FP2級実技(FP協会)解説-2020年1月・問35~40
国内の上場企業であるQA社に勤務している飯田貴博さんは、QA社の早期退職制度を利用して2020年4月に退職する予定である。そこで、今後の生活のことなどに関して、FPで税理士でもある安藤さんに相談をした。なお、下記のデータは2020年1月1日現在のものである。
<資産>
預貯金等:5,060万円
債券・株式:1,250万円
投資信託:1,420万円
生命保険:400万円
自宅土地:5,000万円
自宅建物:1,000万円
投資用マンション:1,100万円
その他:470万円
より、計15,700万円です。
<負債>
住宅ローン:950万円
自動車ローン:60万円
より、計1,010万円です。
したがって、純資産=15,700万円-1,010万円=14,690万円となります。
死亡保険金:設例[資料3]に基づき計算
死亡保険金以外の財産:9,000万円
※「小規模宅地等に係る相続税の課税価格の計算の特例」については考慮しないこと。
<計算過程> | |
① | 相続税の課税価格の合計額を計算 |
② | 相続税の課税価格の合計額から基礎控除を差し引き、課税遺産総額を算出 |
③ | 課税遺産総額を各法定相続人が法定相続分に応じて取得したものとして、それぞれの取得金額を計算 |
④ | それぞれの取得金額に対して相続税の速算表を適用 |
⑤ | 上記④で算出された税額を合計し、相続税の総額を算出 |
<資料>相続税の速算表 | ||
法定相続分に 応ずる取得金額 |
税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% | 200万円 |
5,000万円超 10,000万円以下 |
30% | 700万円 |
10,000万円超 20,000万円以下 |
40% | 1,700万円 |
20,000万円超 30,000万円以下 |
45% | 2,700万円 |
30,000万円超 60,000万円以下 |
50% | 4,200万円 |
60,000万円超 | 55% | 7,200万円 |
1. | 1,040万円 |
2. | 1,070万円 |
3. | 1,240万円 |
4. | 1,320万円 |
相続税の課税対象となる死亡保険金は、500万円×法定相続人の数だけ非課税になります。
法定相続人の数は2人ですから、相続税の課税価格に算入される死亡保険金の額は、3,300万円+100万円-(500万円×2)=2,400万円です。
よって、相続税の課税価格=2,400万円+9,000万円=11,400万円となります。
相続税の計算上控除する基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人=3,000万円+600万円×2=4,200万円です。
よって、課税遺産総額=11,400万円-4,200万円=7,200万円となります。
課税遺産総額7,200万円を法定相続分で按分すると、各人の法定相続分に応ずる取得金額は、
友里さん:4,800万円
昌子さん:2,400万円
です。
よって、各人の法定相続分に応ずる取得金額に対応する相続税額は、
友里さん:4,800万円×20%-200万円=760万円
昌子さん:2,400万円×15%-50万円=310万円
となります。
したがって、相続税の総額=760万円+310万円=1,070万円となります。
土地:2,000万円
建物:500万円
<贈与税の速算表> | ||
[20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産の場合] | ||
基礎控除後の 課税価格 |
税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超 400万円以下 |
15% | 10万円 |
400万円超 600万円以下 |
20% | 30万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
30% | 90万円 |
1,000万円超 1,500万円以下 |
40% | 190万円 |
1,500万円超 3,000万円以下 |
45% | 265万円 |
3,000万円超 4,500万円以下 |
50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
[上記以外の場合] | ||
基礎控除後の 課税価格 |
税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超 300万円以下 |
15% | 10万円 |
300万円超 400万円以下 |
20% | 25万円 |
400万円超 600万円以下 |
30% | 65万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
40% | 125万円 |
1,000万円超 1,500万円以下 |
45% | 175万円 |
1,500万円超 3,000万円以下 |
50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
1. | なし(贈与税は発生しない) |
2. | 485,000円 |
3. | 530,000円 |
4. | 850,000円 |
よって、贈与税額=(2,000万円+500万円-2,000万円-110万円)×20%-25万円=53万円となります。
(ア) | 貴博さんの死亡時点において、友里さんは遺族基礎年金と遺族厚生年金(中高齢寡婦加算額を含む)を受け取ることができる。 |
(イ) | 貴博さんが死亡したことにより、友里さんが65歳に達するまで受給できる遺族厚生年金の額(中高齢寡婦加算額を除く)は、貴博さんの厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額の4分の3に相当する額となる。 |
(ウ) | 友里さんに遺族給付の受給権が発生し、その後、老齢給付の受給権が発生した場合、友里さんは65歳前においては遺族給付と老齢給付の両方を同時に受給することはできない。 |
(エ) | 友里さんに遺族厚生年金の受給権が発生し、その後、老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権が発生した場合、友里さんは65歳以後において遺族厚生年金の全額を受け取ることができる。 |
(ア) | 遺族基礎年金は、子または子のある配偶者が受給することができますが、友里さんには子がいないため、遺族基礎年金を受給することはできません。 |
(イ) | 正しい記述です。 |
(ウ) | 正しい記述です。通常の老齢厚生年金と遺族厚生年金は併給されます(下記(エ)の通り)が、特別支給の老齢厚生年金と遺族厚生年金は併給されません。 |
(エ) | 老齢厚生年金と遺族厚生年金が併給される場合老齢厚生年金が優先して支給されます。なお、遺族厚生年金の方が老齢厚生年金よりも多い場合、その差額が遺族厚生年金として支給されます。 |
一般被保険者と高年齢被保険者は求職者給付の内容が異なり、一般被保険者には基本手当が支給されます。その支給日数は、退職理由や雇用保険の加入期間などに応じ、原則として90日から330日です。ただし、7日間の待期期間に加え、自己都合退職や重責解雇の場合は、最長( イ )の給付制限期間が設けられています。
一方、高年齢被保険者の場合は、基本手当の30日分または50日分に相当する高年齢( ウ )給付金が一時金で支給されます。高年齢( ウ )給付金は、( エ )受給することができます。」
1. | (ア)60歳 (イ)3ヵ月 (ウ)再就職 (エ)生涯1回に限り |
2. | (ア)60歳 (イ)6ヵ月 (ウ)求職者 (エ)生涯1回に限り |
3. | (ア)65歳 (イ)3ヵ月 (ウ)求職者 (エ)支給要件を満たすたびに |
4. | (ア)65歳 (イ)6ヵ月 (ウ)再就職 (エ)支給要件を満たすたびに |
(ア) | 雇用保険においては、65歳未満の人は一般被保険者、65歳以上の人は高年齢被保険者と区分されます。 |
(イ) | 基本手当の給付制限期間は、基本的に2ヵ月間で、最長3ヵ月間です。 |
(ウ) | 高年齢被保険者には基本手当は支給されず、代わりに、高年齢求職者給付金が一時金として支給されます。 |
(エ) | 高年齢求職者給付金は、 支給要件を満たす度に受給する事ができます。 |
保険者(運営主体) | 都道府県単位で設立された( ア ) |
被保険者 | ( イ )以上の高齢者 一定の障害認定を受けた前期高齢者 |
一部負担金の割合 | 原則として、医療費の( ウ ) 現役並み所得者は別に定める割合 |
保険料 | ( エ )単位で、均等割額と所得割額の合計額を徴収 |
保険者 (運営主体) |
都道府県単位で設立された( ア ) |
被保険者 | ( イ )以上の高齢者 一定の障害認定を受けた前期高齢者 |
一部負担金 の割合 |
原則として、医療費の( ウ ) 現役並み所得者は別に定める割合 |
保険料 | ( エ )単位で、均等割額と所得割額の合計額を徴収 |
1.健康保険協会
2.後期高齢者医療広域連合
3.国民健康保険団体連合会
4.65歳 5.70歳 6.75歳
7.1割 8.2割 9.3割
10.被保険者 11.夫婦 12.世帯
(ア) | 後期高齢者医療制度の保険者は、後期高齢者医療広域連合です。 |
(イ) | 後期高齢者医療制度の被保険者は、75歳以上の人です。 |
(ウ) | なお、現在は、現役並み所得者以外の自己負担割合は、1割または2割とされています。 |
(エ) | 後期高齢者医療制度は、個人単位で加入する制度であるため、保険料は被保険者単位で徴収されます。 |
スポンサーリンク
スポンサーリンク
<戻る | ホーム |