FP3級実技(個人)解説-2019年1月・問1~9
X株式会社(以下、「X社」という)に勤務するAさん(55歳)は、長男Cさん(19歳)との2人暮らしである。長男Cさんの父親Bさんとは、長男Cさんが5歳のときに離婚している。
Aさんは、現在、定年退職後の資金計画を検討しており、公的年金制度から支給される老齢給付について理解を深めたいと思っている。また、今年20歳になる大学生の長男Cさんの国民年金の保険料の納付について、学生納付特例制度の利用を検討している。そこで、Aさんは、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
Aさんとその家族に関する資料は、以下のとおりである。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん]
昭和38年10月17日生まれ・55歳・会社員
公的年金加入歴:下図のとおり(60歳定年時までの見込みを含む)20歳から大学生であった期間(30月)は国民年金に任意加入していない。大学卒業後、X社に入社し、現在に至るまで同社に勤務している。
健康保険(保険者:健康保険組合)、雇用保険に加入中
[長男Cさん]
平成11年5月20日生まれ・19歳・大学1年生
※ | 長男Cさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。 |
※ | 家族全員、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
1. | 779,300円×450月/480月 |
2. | 779,300円×(450月+30月×1/2)/480月 |
3. | 779,300円×(450月+30月×1/3)/480月 |
1. | 「Aさんのような昭和36年4月2日以後に生まれた女性の場合、報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の支給はありません。Aさんは、原則として、65歳から老齢厚生年金を受給することになります」 |
2. | 「Aさんの厚生年金保険の被保険者期間は20年以上ありますので、Aさんが65歳から受給することができる老齢厚生年金の年金額には加給年金額が加算されます」 |
3. | 「Aさんが老齢厚生年金の繰上げ支給の請求をする場合、同時に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求を行わなければなりません」 |
1. | 男性は、昭和36年4月2日以降に生まれた場合、特別支給の老齢厚生年金を受け取ることはできませんが、女性は、昭和41年4月1日までに生まれた場合、特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。 |
2. | 加給年金は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あり、一定要件を満たした配偶者または(基本的に18歳到達年度の末日を経過していない)子が居る場合に支給されます。 |
3. | 正しい記述です。 |
「本制度は、国民年金の第1号被保険者で大学等の所定の学校に在籍する学生について、( ① )の前年所得が一定額以下の場合、被保険者等からの申請に基づき、国民年金保険料の納付を猶予する制度です。なお、本制度の適用を受けた期間は、老齢基礎年金の受給資格期間に算入( ② )。
本制度の適用を受けた期間の保険料は、( ③ )年以内であれば、追納することができます。ただし、本制度の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます」
1. | ①世帯主 ②されません ③10 |
2. | ①学生本人 ②されません ③5 |
3. | ①学生本人 ②されませす ③10 |
① | 学生納付特例の適用の有無の判定は、学生本人の前年の所得によります。 |
② | 学生納付特例を受けると、受給資格期間に算入され、年金の受け取りの可否の判定で有利になります。 |
③ | 学生納付特例は猶予の制度の一つです。免除や猶予を受けると、10年間遡って保険料を追納することができます。 |
会社員のAさん(30歳)は、将来に向けた資産形成のため、株式や投資信託によって積極的に運用したいと考えている。Aさんは、これまで預貯金以外の金融商品を利用した経験がなく、ニュース番組等で見聞きする日経平均株価などの株価指数やPERなどの投資指標について理解しておきたいと思っている。
Aさんは、X社株式(東京証券取引所市場第一部上場)を購入したいと考えているが、友人が保有している上場不動産投資信託(J-REIT)にも興味を持っている。そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
X社に関する資料は、以下のとおりである。
<X社に関する資料>
総資産:2,000億円
自己資本(純資産):600億円
当期純利益:45億円
年間配当金総額:18億円
発行済株式数:6,000万株
株価:1,200円
決算期:2月末
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
1. | 「東証株価指数(TOPIX)は、東京証券取引所市場第一部に上場している内国普通株式全銘柄を対象とする株価指数です。時価総額の大きい銘柄(大型株)の値動きの影響を受けやすいという特徴があります」 |
2. | 「日経平均株価は、東京証券取引所市場第一部および第二部に上場している代表的な400銘柄で構成される修正平均型の株価指数です。株価水準の高い銘柄(値がさ株)の値動きの影響を受けやすいという特徴があります」 |
3. | 「ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均株価)は、ニューヨーク証券取引所に上場している全銘柄で構成される修正平均型の株価指数です。分散投資の観点から、ダウ平均株価に連動する投資信託を購入することも検討事項の1つです」 |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 日経平均株価は、東証一部上場企業のうち、225銘柄を対象にした指標です。 |
3. | ダウ工業株価平均を構成する銘柄数は30です。 |
1. | 「 PERは、株価が1株当たり当期純利益の何倍であるかを示す指標です。<X社に関する資料>から算出されるX社のPERは、16倍です」 |
2. | 「 ROEは、総資産(総資本)に対する当期純利益の割合を示す指標です。<X社に関する資料>から算出されるX社のROEは、2.25%です」 |
3. | 「 <X社に関する資料>から算出される投資指標の数値は、同業他社の数値やX社の 過去の傾向などと比較して、投資判断材料の1つとすることをお勧めします」 |
1. | 正しい記述です。PER=株価÷1株当たり純利益です。 1株当たり当期純利益=45億円÷6,000万=75円ですから、PER=1,200÷75=16倍です。 |
2. | ROE=当期純利益÷自己資本です。よって、ROE=45億円÷600億円=7.5%です。 |
3. | 正しい記述です。 |
1. | 「上場不動産投資信託(J-REIT)は、複数の不動産会社の株式を主たる投資対象とする投資信託です。不動産会社の株式を直接購入するよりも、リスクを分散することができます」 |
2. | 「上場不動産投資信託(J-REIT)は、上場株式と同様に証券取引所を通じて取引することができます。実物不動産への投資に比べて、流動性(換金性)が高い、少額から投資ができる等の特徴があります」 |
3. | 「上場不動産投資信託(J-REIT)の分配金は、不動産所得として課税の対象となります。当該金額が年間20万円を超える場合は、所得税の確定申告をする必要があります」 |
1. | J-REITの投資対象は、不動産株式ではなく、現物の不動産などです。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | J-REITの分配金は、配当所得として課税されます。 |
なお、Aさんとその家族に関する資料等は、以下のとおりである。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(50歳)]
会社員
[妻Bさん(50歳)]
専業主婦。平成30年中の収入はない。
[長男Cさん(20歳)]
アルバイト。平成30年中の給与収入は150万円である。
[長女Dさん(17歳)]
高校生。平成30年中の収入はない。
不動産所得の金額:120万円
※ | 妻Bさん、長男Cさんおよび長女Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんとその家族の年齢は、いずれも平成30年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
<資料>給与所得控除額 | |
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40% (最低65万円) |
180万円超 360万円以下 |
収入金額×30%+18万円 |
360万円超 660万円以下 |
収入金額×20%+54万円 |
660万円超 1,000万円以下 |
収入金額×10%+120万円 |
1,000万円超 | 220万円 |
1. | 717万円 |
2. | 837万円 |
3. | 1,050万円 |
給与所得=930万円-(930万円×10%+120万円)=717万円、
不動産所得=120万円より、
総所得金額=717万円+120万円=837万円です。
<参考>
現在の給与所得控除額は、資料と異なります。
1) | ( ① )、医療費控除および寄附金控除の3種類の所得控除については、年末調整では適用を受けることができないため、これらの控除の適用を受けるためには所得税の確定申告が必要となる。 |
2) | Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の控除額は、( ② )である。 |
3) | Aさんが適用を受けることができる扶養控除の控除額は、( ③ )である。 |
1. | ①雑損控除 ②38万円 ③38万円 |
2. | ①住宅借入金等特別控除 ②26万円 ③63万円 |
3. | ①小規模企業共済等掛金控除 ②26万円 ③101万円 |
1. | 適用を受けるために必ず確定申告をしなくてはいけない所得控除は、寄付金控除、医療費控除、雑損控除の3つです。 |
2. | <問7>より、Aさんの合計所得金額は、900万円以下ですから、資料より配偶者控除の金額は38万円であると分かります。 |
3. |
<問7>より、xx長男Cは、給与所得の額=150万円-65万円=85万円となり、合計所得金額が38万円を超えるため、扶養控除の対象外です。 <改正後> |
1. | 「Aさんは、ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用することで、寄附金控除については確定申告をする必要がなくなります」 |
2. | 「Aさんは、確定申告書に医療費控除の明細書を添付することにより、医療費控除の適用を受けることができます」 |
3. | 「確定申告書は、原則として、平成31年2月16日から3月15日までの間にAさんの住所地を所轄する税務署長に提出してください」 |
1. | ワンストップ特例が使えるのは、5団体までの寄付に限ります。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
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