お金の寺子屋

FP3級実技(個人)解説-2019年1月・問10~15

【問10】~【問12】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
会社員のAさん(55歳)は、現在、会社の借上げ社宅(マンション)に妻と2人で暮らしているが、定年退職後の生活を見据えて、妻の趣味であるガーデニングを楽しむための戸建て住宅を購入したいと考えている。具体的には、現在の住まいから徒歩圏内にある甲土地および建物の購入を検討している。
甲土地および建物の概要は、以下のとおりである。

<甲土地の概要>
指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
【問10】
甲土地の①建蔽率の上限となる建築面積と②容積率の上限となる延べ面積の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
1. ①108㎡ ②216㎡
2. ①108㎡ ②360㎡
3. ①144㎡ ②432㎡
正解: (4点)
建蔽率の上限となる建築面積=敷地面積×建蔽率=180㎡×60%=108㎡です。
容積率の上限となる延べ床面積=敷地面積×容積率の上限です。
容積率の上限は、前面道路の幅員が12m未満ですから、指定容積率と前面道路の幅員×法定乗数のどちらか小さい方となります。
指定容積率=200%、前面道路の幅員×法定乗数=6×4/10=240%ですから、容積率の上限となる延べ床面積=180㎡×200%=360㎡となります。
【問11】
不動産の価格に関する以下の文章の空欄①~③に入る語句または数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。

土地の価格には、「実勢価格(取引価格)」「公示価格」「基準地標準価格」「相続税路線価」「固定資産税評価額」の5つがあるといわれ、このうち相続税路線価は( ① )の8割程度に設定されている。( ① )は、毎年1月1日を基準日として、国土交通省の土地鑑定委員会が判定し、3月に公表されるものである。
<設例>の図では相続税路線価が表示されているが、この道路に示された「200D」とは、1㎡当たりの価額が( ② )万円、借地権割合が( ③ )%であることを示している。
1. ①実勢価格(取引価格) 
② 20 ③50
2. ①公示価格       
② 20 ③60
3. ①公示価格       
②200 ③70
正解: (3点)
相続税路線価は、公示価格の約80%の水準に設定されています。
路線価図に記入された数字は、千円単位です。
路線価図の英字は借地権割合を示していて、A(90%)~ G(30%)まであります。Dは60%です。
【問12】
不動産登記簿の見方およびその調査に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 「甲土地の購入の検討にあたっては、登記簿で権利関係を確認してください。所有権に関する登記事項は、権利部(甲区)で確認することができます」
2. 「全部事項証明書(登記簿謄本)は、誰でも交付を受けることができます。交付にあたっては、土地の地番、建物の家屋番号を確認のうえ、申請してください」
3. 「甲土地の全部事項証明書(登記簿謄本)を取得するためには、甲土地が所在する市区町村役場にその交付の申請をする必要があります。各自治体のホームページからオンライン請求することも可能です」
正解: (3点)
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 登記記録の取得の申請は、法務局に行います。

【問13】~【問15】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
非上場企業であるX株式会社(以下、「X社」という)の社長であったAさんは、平成30年12月17日に病気により死亡した。X社は、死亡退職金5,000万円を妻Bさんに支給した。後任の社長には、長女Cさんの夫でX社の専務取締役であるDさんが就任した。Aさんは、平成14年10月にDさんを普通養子としている。
Aさんの親族関係図等は、以下のとおりである。

<Aさんの親族関係図>
<Aさんの親族関係図>

<Aさんの相続財産(相続税評価額)>
[預金等の金融資産]
7,000万円

[自宅(敷地400㎡)]
2,000万円
(「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用後の相続税評価額)

[自宅(建物)]
1,000万円

[X社株式]
1億5,000万円

[死亡退職金]
5,000万円

上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
【問13】
Aさんの相続に関する以下の文章の空欄①~③に入る数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。

Aさんの相続税における遺産に係る基礎控除額は( ① )万円である。
妻Bさんが受け取った死亡退職金5,000万円のうち、相続税の課税価格に算入される金額は( ② )万円である。
妻Bさんが自宅の敷地を相続により取得し、特定居住用宅地等として小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた場合、その敷地は330㎡までの部分について( ③ )%の減額が受けられる。
1. ①4,200 ②3,500 ③50
2. ①4,800 ②1,500 ③50
3. ①4,800 ②3,500 ③80
正解: (3点)
相続税に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数です。
法定相続人の数を数える際、実子が居れば、養子は1人までカウントする事ができますから、本問のケースでは、法定相続人の数は3人となります。
よって、相続税に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×3=4,800万円となります。
相続人が受け取った死亡退職金は、500万円×法定相続人の数だけ非課税とされます。
法定相続人の数は3人ですから、1,500万円が非課税とされ、5,000万円-1,500万円=3,500万円が相続税の課税価格に算入されます。
特定居住用宅地等は330㎡まで、80%の評価減を受ける事ができます。
【問14】
Aさんの相続に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 「Aさんが平成30年分の所得税について確定申告書を提出しなければならない者に該当する場合、相続人は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から3カ月以内に準確定申告書を提出しなければなりません」
2. 「相続人がAさんの自筆証書遺言を発見した場合、相続人は、遅滞なく、その遺言書を所轄税務署長に提出して、その検認を請求しなければなりません」(注)制度改正あり
3. 「相続税の申告書は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に被相続人であるAさんの死亡時の住所地を所轄する税務署長に提出しなければなりません」
正解: (3点)
1. 準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内です。
2.

遺言の検認の請求は、家庭裁判所に対して行います。

【改正後】なお、遺言保管制度を利用した自筆証書遺言であれば、検認は不要です。

3. 正しい記述です。
【問15】
Aさんの相続に係る課税遺産総額(「課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額」)が2億4,000万円であった場合の相続税の総額は、次のうちどれか。

<資料>相続税の速算表(一部抜粋)
法定相続分に
応ずる取得金額
税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超
3,000万円以下
15% 50万円
3,000万円超
5,000万円以下
20% 200万円
5,000万円超
10,000万円以下
30% 700万円
10,000万円超
20,000万円以下
40% 1,700万円
20,000万円超
30,000万円以下
45% 2,700万円
1. 5,300万円
2. 6,200万円
3. 8,100万円
正解: (4点)
相続人は、配偶者相続人と第一順位の血族相続人の組み合わせですから、法定相続分は、妻Bさんが2分の1、長女Cさんと普通養子のDさんがそれぞれ4分の1ずつです。
よって、課税遺産総額2億4,000万円を法定相続分通りに分割したと仮定すると、Bさんは1億2,000万円、CさんとDさんはそれぞれ6,000万円取得する事になります。
したがって、Bさんの法定相続分に応ずる取得金額に対する相続税額は、1億2,000万円×40%-1,700万円=3,100万円となります。
また、CさんとDさんの法定相続分に応ずる取得金額に対する相続税額は、それぞれ、6,000万円×30%-700万円=1,100万円となります。
ゆえに、相続税の総額は、3,100万円+1,100万円×2=5,300万円となります。

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