FP2級実技(生保)解説-2019年9月・問10~15
X社に勤務するAさんは、妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんとの4人家族である。Aさんは、医薬品の購入費用について、セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の適用を受けたいと考えている。また、Aさんは、2019年中に養老保険の満期保険金と一時払終身保険の解約返戻金を受け取っている。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(54歳)]
会社員
[妻Bさん(50歳)]
2019年中に、パートタイマーとして給与収入40万円を得ている。
[長男Cさん(20歳)]
大学生。2019年中に、アルバイトとして給与収入100万円を得ている。
[二男Dさん(17歳)]
高校生。2019年中の収入はない。
<Aさんの2019年分の収入等に関する資料>
[給与収入の金額]
1,050万円
[養老保険(月払・30年満期)の満期保険金]
契約年月:1989年4月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
満期保険金受取人:Aさん
満期保険金額:500万円
正味払込済保険料:380万円
[一時払終身保険の解約返戻金]
契約年月:2015年5月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
解約返戻金額:490万円
一時払保険料:500万円
※ | 妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんとその家族の年齢は、いずれも2019年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
Ⅰ | 「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の適用を受ける場合、特定一般用医薬品等購入費の支払額(保険金などで補填される金額を除く)が( ① )円を超えるときに、その超える部分の金額(最高88,000円)を総所得金額等から控除することができます」 |
Ⅱ | 「長男Cさんの合計所得金額は38万円以下となりますので、Aさんは長男Cさんに係る扶養控除の適用を受けることができます。長男Cさんは特定扶養親族に該当しますので、長男Cさんに係る扶養控除の額は( ② )万円となります」 |
Ⅲ | 「総所得金額に算入される一時所得の金額が( ③ )万円を超えるため、Aさんは所得税の確定申告をしなければなりません」 |
イ.10 ロ.15 ハ.20
ニ.38 ホ.48 へ.63
ト.12,000 チ.40,000 リ. 68,000
① | セルフメディケーション税制は、スイッチOTC医薬品の購入費(保険金などで補填される金額を除く)が12,000円を超える場合に適用を受ける事ができます。 |
② |
扶養控除において、特定扶養親族は、1人当たり63万円の控除対象となります。 <参考> |
③ | 総所得金額に算入される一時所得の金額が20万円を超える場合、給与所得者であっても確定申告の義務が生じます。 |
① | 「Aさんが受け取った養老保険の満期保険金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象となります」 |
② | 「Aさんの合計所得金額は900万円以下であるため、Aさんは38万円の配偶者控除の適用を受けることができます」 |
③ | 「所得税の確定申告書を提出する方法として、確定申告書を税務署に持参または送付して提出する方法のほかに、e-Taxを利用する方法があります」 |
① | 正しい記述です。 |
② | 正しい記述です。配偶者控除の額は、納税者の合計所得金額によって変わり、900万円を超えると逓減し、1,000万円を超えると0になります。 |
③ | 正しい記述です。 |
給与所得の金額 | □□□万円 |
一時所得の金額 | □□□万円 |
(a)総所得金額 | ( ① )円 |
社会保険料控除 | □□□円 |
生命保険料控除 | 100,000円 |
地震保険料控除 | 30,000円 |
配偶者控除 | □□□円 |
扶養控除 | ( ② )円 |
基礎控除 | 380,000円 |
(b)所得控除の額の合計額 | 3,200,000円 |
(c)課税総所得金額((a)-(b)) | □□□円 |
(d)算出税額((c)に対する所得税額) | ( ③ )円 |
<資料>給与所得控除額 | |
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40% (最低65万円) |
180万円超 360万円以下 |
収入金額×30%+18万円 |
360万円超 660万円以下 |
収入金額×20%+54万円 |
660万円超 1,000万円以下 |
収入金額×10%+120万円 |
1,000万円超 | 220万円 |
<資料>所得税の速算表 | ||
課税される 所得金額 |
税率 | 控除額 |
195万円未満 | 5% | - |
195万円以上 330万円未満 |
10% | 97,500円 |
330万円以上 695万円未満 |
20% | 427,500円 |
695万円以上 900万円未満 |
23% | 636,000円 |
900万円以上 1,800万円未満 |
33% | 1,536,000円 |
1,800万円以上 4,000万円未満 |
40% | 2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
① |
給与所得=1,050万円-220万円=830万円です。 <参考> |
② |
問10の②より、長男Cさんは特定扶養親族であり、また、二男Dさんは合計所得金額が38万円以下の16歳以上23歳未満ですから、一般の控除対象扶養親族となり、扶養控除の額=63万円+38万円=101万円となります。 <参考> |
③ | 課税総所得金額=860万円-320万円=540万円より、算出税額=540万円×20%-427,500円=652,500円となります。 |
Aさん(43歳)は、首都圏にあるK市に住んでいる。2019年8月10日、故郷であるX市の自宅(実家)で1人暮らしをしていた父Cさんが病気により死亡し、Aさんおよび弟Bさん(39歳)は同日中にその相続開始の事実を知った。弟Bさんは、自宅を所有していないため、自宅(実家)を相続により取得し、居住してもよいと考えている。他方、Aさんは自宅(実家)については、相続手続の終了後、売却したいと思っている。
<父Cさんの相続人>
[Aさん]
会社員。独身。賃貸マンションに住んでいる。
[弟Bさん]
会社員。独身。勤務先の社宅に住んでいる。
<父Cさんの相続財産(相続税評価額)>
[現預金]
4,000万円
[自宅(実家)]
敷地(420㎡):7,000万円
建物(1976年築):300万円
[死亡保険金]
2,000万円
契約者(=保険料負担者):父Cさん
被保険者:父Cさん
死亡保険金受取人:Aさん
※ | 自宅(実家)の敷地は「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額である。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
ⅰ) | 『死亡保険金』 「Aさんが受け取る死亡保険金(2,000万円)のうち、相続税の課税価格に算入される金額は( ① )万円です」 |
ⅱ) | 『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』 「弟Bさんが自宅(実家)の敷地を相続により取得し、特定居住用宅地等に係る小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた場合、その敷地のうち( ② )㎡までを限度面積として、評価額の( ③ )%相当額を減額した金額を、相続税の課税価格に算入すべき価額とすることができます」 |
イ.50 ロ.75 ハ.80
ニ.200 ホ.330 ヘ.400
ト.500 チ.1,000 リ.1,500
① | 死亡保険金の非課税枠=500万円×法定相続人の数です。 法定相続人は2人ですから、死亡保険金(2,000万円)のうち、相続税の課税価格に算入される金額は、2,000万円-500万円×2=1,000万円です。 |
② | 特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受ける事ができる限度面積は、330㎡です。 |
③ | 小規模宅地等の特例において、特定居住用宅地等は、80%評価減されます。 |
① | 「本特例の適用を受けるためには、相続税の申告期限までに譲渡を行う必要があります」 |
② | 「自宅(実家)の建物を解体して更地で譲渡した場合には、本特例の適用を受けることができません。本特例の適用を受けるためには、そのほかの要件もありますので、税理士等の専門職業家に相談してください」 |
③ | 「自宅(実家)の敷地について『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、本特例の適用を受けることはできません」 |
④ | 「仮に、自宅(実家)の敷地および建物をAさんと弟Bさんが共有名義で取得し、本特例の適用を受けた場合、各人がそれぞれ最高3,000万円の特別控除の適用を受けることができます」 |
① | 「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」の適用を受けるためには、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、2023年12月31日まででに譲渡を行う必要があります。 |
② | 自宅(実家)の建物を解体して更地で譲渡した場合であっても、一定の要件を満たせば、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用を受けることができます。 |
③ | 「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」は、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」と合わせて適用を受けることができます。 |
④ | 正しい記述です。 |
Ⅰ | 「父Cさんの相続における遺産に係る基礎控除額は、( ① )万円です。課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額を上回りますので、相続税の申告が必要となります。相続税の申告書は、相続の開始があったことを知った日の翌日から( ② )カ月以内に、父Cさんの死亡の時における住所地の所轄税務署長に提出してください」 |
Ⅱ | 「仮に、課税遺産総額(課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)を8,100万円として計算した場合の相続税の総額は、( ③ )万円となります」 |
<資料>相続税の速算表 | ||
法定相続分に 応ずる取得金額 |
税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% | 200万円 |
5,000万円超 10,000万円以下 |
30% | 700万円 |
10,000万円超 20,000万円以下 |
40% | 1,700万円 |
20,000万円超 30,000万円以下 |
45% | 2,700万円 |
30,000万円超 60,000万円以下 |
50% | 4,200万円 |
60,000万円超 | 55% | 7,200万円 |
① | 基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数です。 よって、3,000万円+600万円×2=4,200万円となります。 |
② | 相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日か10ヵ月以内です。 |
③ | 相続人は、第1順位の血族相続人のみですから、Aさんと弟Bさんの法定相続分は、それぞれ1/2になります。 よって、Aさんと弟Bさんの法定相続分の法定相続分に応ずる取得金額は、それぞれ、8,100円×1/2=4,050万円となります。 したがって、Aさんと弟Bさんの法定相続分対応する相続税額は、それぞれ、4,050万円×20%-200万円=610万円となります。 ゆえに、相続税の総額は、610万円+610万円=1,220万円となります。 |
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