お金の寺子屋

FP2級実技(FP協会)解説-2019年5月・問11~21

【問11】
千田次郎さん(47歳)が保険契約者(保険料負担者)および被保険者として加入している生命保険(下記<資料>参照)の保障内容に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値を解答欄に記入しなさい。なお、保険契約は有効に継続し、かつ特約は自動更新しているものとし、次郎さんはこれまでに<資料>の保険から、保険金・給付金を一度も受け取っていないものとする。また、各々の記述はそれぞれ独立した問題であり、相互に影響を与えないものとする。

<資料/保険証券1>
<資料/保険証券2>
次郎さんが現時点で、肺炎で30日間入院した場合(手術は受けていない)、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( ア )万円である。
次郎さんが現時点で、初めてガン(悪性新生物)と診断され、治療のため42日間入院し、その間に約款所定の手術(給付倍率40倍)を1回受けた場合、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( イ )万円である。
次郎さんが現時点で、交通事故で死亡(入院・手術なし)した場合、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( ウ )万円である。
約款所定の手術は無配当定期保険特約付終身保険および終身医療保険ともに該当するものである。
正解:28、1,089、3,820
(ア) 疾病入院特約5,000円×26+疾病入院給付金5,000円×30=28万円です。
(イ) 三大疾病保障定期保険特約1,000万円+疾病入院特約5,000円×38+手術給付金5,000円×40+生活習慣病入院特約5,000円×38+疾病入院給付金5,000円×42+手術給付金10万円=1,089万円です。
(ウ) 終身保険300万円+定期保険特約2,000万円+三大疾病保障定期保険特約1,000万円+障害特約500万円+死亡保険金20万円=3,820万円です。
【問12】
布施陽介さんが契約している終身保険(下記<資料>参照)に関する次の(ア)~(エ)の記述について、正しいものには〇、誤っているものには×を解答欄に記入しなさい。

<資料:終身保険の契約内容>
保険契約者(保険料負担者):布施 陽介
被保険者:布施 弘子(妻)
死亡保険金受取人:布施 貴裕(子)
(ア) 弘子さんが死亡して貴裕さんが受け取る死亡保険金は、相続税の課税対象となる。
(イ) 保険契約を解約して解約返戻金を陽介さんが一時金で受け取った場合、払込保険料との差益が一時所得として所得税の課税対象となる。
(ウ) 陽介さんが死亡して弘子さんに契約者変更をした場合、陽介さん死亡時の解約返戻金相当額が相続税の課税対象となる。
(エ) 毎年支払う保険料について、陽介さんは所得税の生命保険料控除を受けることができない。
正解:×、○、○、×
(ア) 契約者と被保険者と保険金受取人がすべて異なる生命保険の死亡保険金は、贈与税の課税対象となります。
(イ) 正しい記述です。
(ウ) 正しい記述です。被保険者の死亡当時まだ保険事故が発生していない生命保険契約の権利の相続税評価額は、解約返戻金相当額で評価します。
(エ) 保険金等の受取人の全てをその保険料等の払込みをする人又はその配偶者その他の親族とする、終身保険の保険料は、生命保険料控除の対象となります。
【問13】
少額短期保険に関する次の記述の空欄(ア)~(エ)に入る語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。

少額短期保険業者が1人の被保険者から引き受ける保険金額の合計額は、低発生率保険を除き、原則として( ア )を超えてはならない。
保険期間の上限は、生命保険・医療保険が1年、損害保険は( イ )である。
保険料は、生命保険料控除・地震保険料控除の対象と( ウ )。
少額短期保険業者が破綻した場合、契約者は保険契約者保護機構による保護の対象と( エ )。
1. (ア)1,000万円 (イ)3年 
(ウ)ならない (エ)なる
2. (ア)2,000万円 (イ)3年 
(ウ)なる   (エ)なる
3. (ア)1,000万円 (イ)2年 
(ウ)ならない (エ)ならない
4. (ア)2,000万円 (イ)2年 
(ウ)なる   (エ)ならない
正解:
(ア) 少額短期保険業者が1人の被保険者から引き受ける保険金の合計額は、原則として、1,000万円を超える事はできません。
(イ) 少額短期保険業者が引き受ける保険の保険期間は、生命保険と医療保険は最長1年まで、損害保険は最長2年までです。
(ウ) 少額短期保険業者に支払う保険料は、生命保険料控除や地震保険料控除の対象となりません。
(エ) 少額短期保険業者が取り扱う保険は、保険契約者保護機構による保護の対象とはなりません。
【問14】
海外旅行傷害保険に関する次の(ア)~(エ)の記述について、保険金の支払い対象となるものには○、保険金の支払い対象とならないものには×を解答欄に記入しなさい。なお、携行品損害担保特約および賠償責任特約を付帯しているものとする。

(ア) 海外旅行中に食べた料理が原因で細菌性食中毒を発症し、旅行中に入院をした。
(イ) 海外旅行中に、観光地ですりに遭い、クレジットカードを盗まれた。
(ウ) 海外旅行先のホテルに滞在中、不注意により客室の調度品を壊してしまい、ホテルから損害賠償を求められた。
(エ) 海外旅行先から帰国し、空港から自宅へ帰る途中に駅の階段で転倒し、ケガを負った。
正解:○、×、○、○
(ア) 海外旅行傷害保険では、細菌性食中毒による身体の損害を補償します。
(イ) クレジットカードの盗難は、携行品損害担保特約による補償の対象外です。
(ウ) 賠償責任特約を付帯すると、不注意により他者の財物に損害を与えた事により負う損害賠償に備える事ができます。
(エ) 海外旅行傷害保険では、旅行の行程中であれば、国内でのケガも補償します。
【問15】
沼田慎吾さん(66歳)の2018年分の収入等が以下のとおりである場合、慎吾さんの2018年分の所得税における総所得金額として、正しいものはどれか。

<2018年分の収入等>
内容 金額
老齢厚生年金および企業年金(老齢年金) 320万円
生命保険の満期保険金 200万円
老齢厚生年金および企業年金は、公的年金等控除額を控除する前の金額である。
生命保険は保険期間30年の養老保険であり、保険契約者および満期保険金受取人は慎吾さんである。保険料はすべて慎吾さんが負担し、総額は140万円である。なお、契約者配当については考慮しないこととする。
<65歳未満の者の公的年金等控除額の速算表> (注)制度改正あり
収入金額 公的年金等控除額
130万円未満 70万円
130万円以上
410万円未満
収入金額×25%+37.5万円
410万円以上
770万円未満
収入金額×15%+78.5万円
770万円以上 収入金額×5%+155.5万円
<65歳以上の者の公的年金等控除額の速算表>
収入金額 公的年金等控除額
330万円未満 120万円
330万円以上
410万円未満
収入金額×25%+37.5万円
410万円以上
770万円未満
収入金額×15%+78.5万円
770万円以上 収入金額×5%+155.5万円
正解:
雑所得=320万円-120万円=200万円です。
一時所得=200万円-140万円-50万円=10万円です。
一時所得の金額は、その2分の1だけが総所得金額に算入されますから、総所得金額=200万円+10万円×1/2=205万円です。

【問16】
定年退職後にアルバイトを始めた米田さんの2018年分の収入は下記<資料>のとおりである。<資料>の空欄(ア)~(エ)にあてはまる所得の種類を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。

<資料>
所得の種類 収入等の内容 備考
( ア ) 給与収入148万円 アルバイト先1ヵ所のみからの給与
( イ ) 収益分配金10万円 追加型株式投資信託の普通分配金
( ウ ) 老齢厚生年金収入288万円 老齢厚生年金
( エ ) 受取保険金300万円 保険期間20年の養老保険の満期保険金(保険契約者・保険料負担者は米田さん)
<語群>
1.利子所得 2.配当所得 
3.不動産所得 4.事業所得 
5.給与所得 
6.退職所得 
7.山林所得 8.譲渡所得 
9.一時所得 10.雑所得
正解:5、2、10、9
(ア) アルバイトの給料は給与所得です。
(イ) 投資信託の普通分配金は配当所得です。
(ウ) 老齢厚生年金は雑所得です。
(エ) 保険期間が5年を超える養老保険の満期保険金は一時所得です。
【問17】
退職所得に関する次の(ア)~(エ)の記述のうち、正しいものには〇、誤っているものには×を解答欄に記入しなさい。なお、復興特別所得税については考慮しないものとする。

(ア) 勤続年数20年超で退職した場合の退職所得控除額は、「40万円×勤続年数」により計算する。
(イ) 退職所得控除額を計算する際の勤続年数に1年未満の端数があるときには、その端数は切り捨てて勤続年数には含めない。
(ウ) 退職所得の金額は、原則として、退職一時金の額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する額となる。
(エ) 退職金の支給を受ける場合に「退職所得の受給に関する申告書」を退職金の支払者に適正に提出していれば、その退職金の支払いの際、退職所得の金額に応じた所得税額が源泉徴収される。
正解:×、×、○、○
(ア) 勤続年数が20年を超える場合、退職所得控除額は、「800万円+70万円×(勤続年数-20)」という式で計算します。
(イ) 退職所得控除額を計算する際の勤続年数に端数があれば、切り上げます。
(ウ) 正しい記述です。「退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2」です。
(エ) 正しい記述です。退職所得の受給に関する申告書を提出すれば、当該退職所得に係る確定申告をする必要はありません。
【問18】
下記<相続関係図>において、民法の規定に基づく法定相続分および遺留分に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)に入る適切な語句または数値を語群の中から選び、解答欄に記入しなさい。なお、同じ語句または数値を何度選んでもよいこととする。

<相続関係図>
[各人の法定相続分と遺留分]
被相続人の配偶者の法定相続分は( ア )。
被相続人の兄の法定相続分は( イ )。
被相続人の母の遺留分は( ウ )。
<語群>
なし 1/2 1/3 1/4 1/6 
1/8 1/9 2/3 3/4
正解:2/3、なし、1/6
(ア) 配偶者相続人と第2順位の血族相続人という組み合わせの場合、被相続人の配偶者の法定相続分は、2/3になります。
(イ) 第2順位の血族相続人がいる場合、被相続人の兄弟姉妹は血族相続人にはなれません。
よって、被相続人の兄の法定相続分はありません。
(ウ) 被相続人が直系尊属のみである場合を除いて、抽象的遺留分は、遺留分の算定基礎財産の2分の1です。
各遺留分権利者の具体的遺留分は、抽象的遺留分に法定相続文をかけたものですから、 被相続人の母の遺留分は、1/2×1/3=1/6です。
【問19】
香川寛さん(45歳)は、父(73歳)と叔父(70歳)から下記<資料>の贈与を受けた。寛さんの2018年分の贈与税額として、正しいものはどれか。なお、父からの贈与については、2017年から相続時精算課税制度の適用を受けている(適用要件は満たしている)。

<資料>
[2017年中の贈与]
父から贈与を受けた金銭の額:1,000万円

[2018年中の贈与]
父から贈与を受けた金銭の額:2,000万円
叔父から贈与を受けた金銭の額:500万円

2017年中および2018年中に上記以外の贈与はないものとする。
上記の贈与は、住宅取得等資金や結婚・子育てに係る資金の贈与ではない。
<贈与税の速算表>
[20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産の場合]
基礎控除後の
課税価格
税率 控除額
200万円以下 10%
200万円超
400万円以下
15% 10万円
400万円超
600万円以下
20% 30万円
600万円超
1,000万円以下
30% 90万円
1,000万円超
1,500万円以下
40% 190万円
1,500万円超
3,000万円以下
45% 265万円
3,000万円超
4,500万円以下
50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円
[上記以外の場合]
基礎控除後の
課税価格
税率 控除額
200万円以下 10%
200万円超
300万円以下
15% 10万円
300万円超
400万円以下
20% 25万円
400万円超
600万円以下
30% 65万円
600万円超
1,000万円以下
40% 125万円
1,000万円超
1,500万円以下
45% 175万円
1,500万円超
3,000万円以下
50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円
1. 1,310,000円
2. 1,485,000円
3. 1,530,000円
4. 1,850,000円
正解:
2018年に使える相続時精算課税制度の特別控除額は、2,500万円-1,000万円=1,500万円です。
よって、父からの贈与に係る贈与税額は、(2,000万円-1,500万円)×20%=100万円です。
また、叔父からの贈与に係る贈与税額は、(500万円-110万円)×20%-25万円=53万円です。
よって、2018年分の贈与税額は、100万円+53万円=153万円となります。
【問20】
相続税における「小規模宅地等の評価減の特例」に関する下表の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値の組み合わせとして、正しいものはどれか。

宅地等の区分 適用限度面積 減額割合
特定事業用宅地等 ( ア )㎡ 80㎡
特定同族会社事業用宅地等
特定居住用宅地等 ( イ )㎡
貸付事業用宅地等 200㎡ ( ウ )%
1. (ア)330 (イ)240 (ウ)60
2. (ア)400 (イ)330 (ウ)50
3. (ア)400 (イ)330 (ウ)60
4. (ア)330 (イ)240 (ウ)50
正解:
(ア) 事業用宅地等と特定同族会社事業用宅地等は、400㎡まで評価減の適用を受けることができます。
(イ) 特定居住用宅地等は、330㎡まで評価減の適用を受けることができます。
(ウ) 貸付事業用宅地等の相続税評価額は、200㎡まで、50%評価減されます。
【問21】
下記<資料>の土地に係る路線価方式による普通借地権の相続税評価額の計算式として、正しいものはどれか。

<資料>
奥行価格補正率 20m以上24m未満 1.00
借地権割合 70%
借家権割合 30%
その他の記載のない条件は、一切考慮しないこと。
1. 200千円×1.00×500㎡
2. 200千円×1.00×500㎡×70%
3. 200千円×1.00×500㎡×(1-70%)
4. 200千円×1.00×500㎡×(1-70%×30%×100%)
正解:
普通借地権の相続税評価額=自用地評価額×借地権割合です。
よって、200千円×1.00×500㎡×70%になります。

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