お金の寺子屋

FP3級実技(FP協会)解説-2023年9月・前半

【問1】
公表された他人の著作物を自分の著作物に引用する場合の注意事項に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 自らが作成する部分が「主」で、引用する部分が「従」となる内容にした。
2. 自らが作成する部分と引用する部分を区別できないようにまとめて表現した。
3. 引用する著作物のタイトルと著作者名を明記した。
正解:
1. 正しい記述です。著作物を引用する場合、自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であり、自分の著作物が主体でなければなりません。
2. 著作物を引用する場合、自分の著作物と引用部分は区別されていなくてはなりません。
3. 正しい記述です。著作物を引用する場合、出所を明示しなくてはなりません。
【問2】
下記は、小山家のキャッシュフロー表(一部抜粋)である。このキャッシュフロー表の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値として、誤っているものはどれか。なお、計算過程においては端数処理をせず計算し、計算結果については万円未満を四捨五入すること。

年齢および金融資産残高は各年12月31日現在のものとし、2022年を基準年とする。
給与収入は可処分所得で記載している。
記載されている数値は正しいものとする。
問題作成の都合上、一部空欄にしてある。
1. 310
2. 203
3. 841
正解:
(ア) 287×(1.02)^4=310.65…≒311です。
(イ) 830-627=203です。
(ウ) 627×1.01;208=841.27≒841です。
【問3】
下記<資料>に基づくHX株式会社の投資指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、購入時の手数料および税金は考慮しないものとする。

<資料>
1. 株価収益率(PER)で比較した場合、HX株式会社の株価は日経平均採用銘柄の平均(予想ベース)より割安である。
2. 株価純資産倍率(PBR)で比較した場合、HX株式会社の株価は東証プライム全銘柄の平均より割安である。
3. 配当利回り(単純平均)で比較した場合、HX株式会社の配当利回りは東証スタンダード全銘柄の平均(予想ベース)より低い。
正解:
1. HX社のPER=株価÷1株当たり当期純利益=2,200円÷730円=3.013…倍です。
PERは低いほど割安と言えるので、日経平均採用銘柄の平均(予想ベース)12.27倍よりも割安です。
2. HX社のPBR=株価÷1株当たり純資産=2,200円÷4,280円=0.514…倍です。
PBRは低いほど割安と言えるので、東証プライム全銘柄の平均1.12倍よりも割安です。
3. HX社の配当利回り(%)=1株当たり年間配当金÷株価×100=200円÷2,200円×100=9.090…%です。
これは、東証スタンダード全銘柄の平均(予想ベース)2.27%よりも高いです。
【問4】
東京証券取引所に上場されている国内株式の買い付け等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、解答に当たっては、下記のカレンダーを使用すること。

<資料>
1. 9月29日に国内上場株式を買い付けた場合、受渡日は10月3日である。
2. 配当金の権利確定日が9月29日である国内上場株式を9月28日に買い付けた場合、配当金を受け取ることができる。
3. 権利確定日が9月29日である国内上場株式の権利落ち日は、10月2日である。
正解:
1. 正しい記述です。受渡日は、約定日から起算して3営業日後です。
2. 配当金を受け取るためには、権利付き最終日までに買付約定をする必要があります。
権利付き最終日は、権利確定日から起算して3営業日前ですから、27日です。
3. 権利落ち日は、権利確定日から起算して2営業日前ですから、28日です。
【問5】
金投資に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、金の取引は継続的な売買でないものとする。

金地金の売買において、海外の金価格(米ドル建て)が一定の場合、円高(米ドル/円相場)は国内金価格の( ア )要因となる。
個人が金地金を売却した場合の所得については、保有期間が( イ )以内の場合、短期譲渡所得として課税される。
純金積立てにより購入した場合、積み立てた金を現物で受け取ることが( ウ )。
1. (ア)上昇 (イ)10年 (ウ)できない
2. (ア)上昇 (イ) 5年 (ウ)できない
3. (ア)下落 (イ) 5年 (ウ)できる
正解:
(ア) 円高は、外貨建て商品の円換算額の下落要因です。
(イ) 金地金の売却は、譲渡所得として総合課税されます。よって、売却時点における保有期間が5年を超えるか否かで短期と長期を区別します。
(ウ) 純金積み立てにより購入した金は、現物で受け取ることができます。

【問6】
下表は、定期借地権についてまとめた表である。下表の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値または語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

1. (ア)30 (イ)居住用 (ウ)借地人
2. (ア)50 (イ)事業用 (ウ)土地所有者
3. (ア)50 (イ)居住用 (ウ)土地所有者
正解:
(ア) 一般定期借地権の存続期間は、50年以上の期間を定めなくてはなりません。
(イ) 存続期間が10年以上50年未満であり、必ず公正証書により設定しなくてはならない借地権は、事業用定期借地権です。
(ウ) 建物譲渡特約付借地権は、期間の満了時に、土地所有者が借地上の建物を時価で買い取るものです。
【問7】
下表は、宅地建物の売買・交換において、宅地建物取引業者と交わす媒介契約の種類とその概要についてまとめた表である。下表の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句または数値の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、自己発見取引とは、自ら発見した相手方と売買または交換の契約を締結する行為を指すものとする。

1. (ア)なし (イ)可 (ウ)5
2. (ア)3週間に1回以上 (イ)不可 (ウ)5
3. (ア)3週間に1回以上 (イ)可  (ウ)3
正解:
(ア) 一般媒介契約において、宅地建物取引業者に業務の処理状況の報告義務はありません。
(イ) 専属専任媒介契約以外の媒介契約においては、自己発見取引が認められています。
(ウ) 専属専任媒介契約を締結した場合、宅地建物取引業者は、契約締結日の翌日から5営業日以内に指定流通機構に登録しなくてはなりません。
【問8】
飯田雅彦さんが加入している定期保険特約付終身保険(下記<資料>参照)の保障内容に関する次の記述の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、保険契約は有効に継続しており、特約は自動更新されているものとする。また、雅彦さんはこれまでに<資料>の保険から保険金および給付金を一度も受け取っていないものとする。

<資料>
飯田雅彦さんが、2023年中に交通事故により死亡(入院・手術なし)した場合に支払われる死亡保険金は、合計( ア )である。
1. 3,500万円
2. 3,900万円
3. 4,200万円
正解:
終身保険500万円+定期保険特約3,000万円+特定疾病保障定期保険特約400万円+障害特約300万円=4,200万円です。
【問9】
大垣正臣さんが2023年中に支払った生命保険の保険料は下記<資料>のとおりである。この場合の正臣さんの2023年分の所得税の計算における生命保険料控除の金額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の保険について、これまでに契約内容の変更はないものとする。また、2023年分の生命保険料控除額が最も多くなるように計算すること。

<資料>
[定期保険(無配当、新生命保険料)]
契約日:2019年5月1日
保険契約者:大垣 正臣
被保険者:大垣 正臣
死亡保険金受取人:大垣 悦子(妻)
2023年の年間支払保険料:65,040円

[医療保険(無配当、介護医療保険料)]
契約日:2012年8月10日
保険契約者:大垣 正臣
被保険者:大垣 正臣
死亡保険金受取人:大垣 悦子(妻)
2023年の年間支払保険料:50,400円

<所得税の生命保険料控除額の速算表>

(注) 支払保険料とは、その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額をいう。
1. 36,260円
2. 40,000円
3. 68,860円
正解:
定期保険の保険料は、一般の生命保険料控除として、65,040円×1/4+20,000円=36,260円の控除を受けることができます。
また、医療保険の保険料は、介護医療保険料控除として、50,400円×1/4+20,000円=32,600円の控除を受けることができます。
よって、生命保険料控除の額は、36,260+32,600円=68,860円となります。
【問10】
損害保険の用語についてFPの青山さんが説明した次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 「通知義務とは、契約の締結に際し、危険に関する『重要な事項』のうち保険会社が求めた事項について事実を正確に通知する義務のことです。」
2. 「一部保険とは、保険金額が保険の対象の価額(保険価額)を超えている保険のことです。」
3. 「再調達価額とは、保険の対象と同等のものを新たに建築または購入するのに必要な金額のことです。」
正解:
1. 通知義務とは、保険会社が通知することを求めた事項について変更があった時(告知内容に変更があった場合等)に、保険会社に対してその事実を報告しなくてはならないという義務です。なお、問題文は告知義務の説明です。
2. 一部保険とは、保険金額が保険価額を下回っている保険のことです。なお、問題文は超過保険の説明です。
3. 正しい記述です。

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