FP3級実技(FP協会)解説-2021年5月・前半
【問1】
ファイナンシャル・プランニング業務を行うに当たっては、関連業法を順守することが重要である。ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の行為に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 投資助言・代理業の登録をしていないFPが、顧客と投資顧問契約を締結し、当該契約に基づいて特定の上場株式の投資判断について助言をした。 |
2. | 税理士資格を有していないFPが、参加費無料の相談会において、相談者の持参した資料に基づき、相談者が納付すべき相続税の具体的な税額計算を行った。 |
3. | 生命保険募集人・保険仲立人の登録を受けていないFPが、変額年金保険の一般的な商品内容について説明を行った。 |
正解:3
1. | 投資助言代理業の登録をしていない人は、顧客と投資顧問契約を締結し、具体的な投資判断について助言をすることはできません。 |
2. | 税理士資格を有していない人は、相談者の具体的な税額計算を行うことはできません。 |
3. | 保険商品の一般的な説明は誰でもすることができます。 |
【問2】
下記は、住吉家のキャッシュフロー表(一部抜粋)である。このキャッシュフロー表の空欄(ア)~(ウ)に入る数値として、誤っているものはどれか。なお、計算過程においては端数処理をせず計算し、計算結果については万円未満を四捨五入すること。
※ | 年齢および金融資産残高は各年12月31日現在のものとし、2020年を基準年とする。 |
※ | 給与収入は可処分所得で記載している。 |
※ | 記載されている数値は正しいものとする。 |
※ | 問題作成の都合上、一部空欄にしてある。 |
1. | 空欄(ア):257 |
2. | 空欄(イ):47 |
3. | 空欄(ウ):591 |
正解:3
(ア) | 242×(1.02)^3=256.81…≒257です。 |
(イ) | 510-463=47です。 |
(ウ) | 576×1.01+15=596.76≒597です。 |
【問3】
下記<資料>に基づくSX株式会社の投資指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、購入時の手数料および税金は考慮しないこととする。
<資料>
1. | 株価収益率(PER)で比較した場合、SX株式会社の株価は日経平均採用銘柄の平均(予想ベース)より割安である。 |
2. | 株価純資産倍率(PBR)で比較した場合、SX株式会社の株価は東京証券取引所市場第1部(東証1部)全銘柄の平均より割安である。 |
3. | 配当利回りで比較した場合、SX株式会社の配当利回りはジャスダック全銘柄の平均(予想ベース)より低い。 |
正解:3
1. | PER=株価÷一株当たり純利益=2,150円÷230円=9.347…倍で、日経平均採用銘柄の平均(予想ベース)の23.05倍よりも低いですから割安と判断することができます。 |
2. | PBR=株価÷一株当たり純資産=2,150円÷2,500円=0.86倍で、東証一部全銘柄の平均の1.22倍よりも低いですから割安と判断することができます。 |
3. | 配当利回り(%)=一株当たり年間配当金÷株価×100=100÷2,150円×100=4.651…%で、ジャスダック全銘柄の平均(予想ベース)の1.83%よりも高いです。 |
【問4】
下記<資料>は、HXファンドの販売用資料(一部抜粋)である。この投資信託に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
<資料>
1. | HXファンドは、国内および海外の資産を投資対象としている。 |
2. | HXファンドは、NISA(少額投資非課税制度)口座で購入することはできない。 |
3. | HXファンドを購入する際、投資家が支払う購入代金は「基準価額(1万口当たり)÷1万口×購入口数+購入時手数料(税込)+運用管理費用(税込)」である。 |
正解:1
1. | 資料にある「内外」は、投資対象を国内及び海外の資産としていることを意味します。 |
2. | 株式投資信託は、NISA口座で購入することができます。 |
3. | 運用管理費用は信託財産から毎日控除されるコストで、購入時に支払う代金ではありません。購入代金は、「基準価額(1万口当たり)÷1万口×購入口数+購入時手数料」です。 |
【問5】
建築基準法に従い、下記<資料>の土地に建築物を建築する場合、その土地に対する建築物の建築面積の最高限度として、正しいものはどれか。なお、記載のない条件については一切考慮しないこととする。
<資料>
1. | 240㎡ |
2. | 1,200㎡ |
3. | 1,440㎡ |
正解:1
建築面積の最高限度=敷地面積×指定建ぺい率=300㎡×80%=240㎡です。
【問6】
建築基準法の用途制限に従い、下表の用途地域において建築可能な建築物の組み合わせとして、正しいものはどれか。
用途地域 | 建築物の種類 | |
(ア) | 第一種低層住居専用地域 | 小学校、病院 |
(イ) | 商業地域 | カラオケボックス、パチンコ店 |
(ウ) | 工業地域 | 共同住宅、ホテル |
1. | (ア) |
2. | (イ) |
3. | (ウ) |
正解:2
(ア) | 病院は第一種低層住居専用地域に立てることはできません。 |
(イ) | 商業地域や準工業地域はかなり幅広い種類の建物を建てることができます。 |
(ウ) | ホテルは工業地域に建てることはできません。 |
【問7】
露木忠則さんが加入している生命保険(下記<資料>参照)の保障内容に関する次の記述の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、保険契約は有効に継続しているものとし、特約は自動更新されているものとする。また、忠則さんはこれまでに<資料>の保険から保険金および給付金を一度も受け取っていないものとする。
<資料>
露木忠則さんが、2021年中に初めてがん(悪性新生物)と診断され、治療のために14日間入院し、その間に手術(給付倍率20倍)を1回受けた場合に支払われる保険金は合計( ア )である。
1. | 515万円 |
2. | 520万円 |
3. | 524万円 |
正解:2
特定疾病保障定期保険特約500万円+疾病入院特約5,000円×(14-4)+手術給付金5,000円×20+成人病入院特約5,000円×(14-4)=520万円です。
【問8】
浅田和久さんが2020年中に支払った生命保険の保険料は下記<資料>のとおりである。この場合の和久さんの2020年分の所得税の計算における生命保険料控除の金額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の保険について、これまでに契約内容の変更はないものとする。また、2020年分の生命保険料控除額が最も多くなるように計算すること。
<資料>
[定期保険(無配当、新生命保険料)]
契約日:2012年9月1日
保険契約者:浅田 和久
被保険者:浅田 和久
死亡保険金受取人:浅田 令子(妻)
2020年の年間支払保険料:58,320円
[がん保険(無配当、介護医療保険料)]
契約日:2015年3月1日
保険契約者:浅田 和久
被保険者:浅田 和久
死亡保険金受取人:浅田 令子(妻)
2020年の年間支払保険料:31,200円
<所得税の生命保険料控除額の速算表>
1. | 34,580円 |
2. | 40,000円 |
3. | 60,180円 |
正解:3
定期保険の保険料は一般の生命保険料控除の対象になり、がん保険の保険料は介護医療保険料控除の対象となります。
よって、一般の生命保険料控除の額=58,320円×1/4+20,000円=34,580円、介護医療保険料控除の額=31,200円×1/2+10,000円=25,600円となりますから、生命保険料控除の額は、34,580円+25,600円=60,180円となります。
よって、一般の生命保険料控除の額=58,320円×1/4+20,000円=34,580円、介護医療保険料控除の額=31,200円×1/2+10,000円=25,600円となりますから、生命保険料控除の額は、34,580円+25,600円=60,180円となります。
【問9】
横川昭二さんが契約している普通傷害保険(個人賠償責任特約付帯)の内容は下記<資料(一部抜粋)>のとおりである。次の記述のうち、保険金の支払い対象となるものはどれか。なお、いずれも保険期間中に発生したものであり、<資料>に記載のない事項については一切考慮しないこととする。
<資料(一部抜粋)>
1. | 昭二さんが徒歩で通勤する途中に他人の運転する車にはねられて死亡した場合。 |
2. | 昭二さんが自動車を運転中に、誤って歩行者に接触し、ケガをさせたことにより法律上の損害賠償責任を負った場合。 |
3. | 昭二さんが地震により倒れてきた家財で肩を打撲し、通院した場合。 |
正解:1
1. | 偶然かつ急激な外来の事故による死亡や怪我は、普通傷害保険による補償の対象となります。 |
2. | 自動車を運転中に他人に怪我をさせた場合に備える保険は、自賠責保険や対物賠償保険ですから、個人賠償責任特約によっては補償されません。 |
3. | 地震を原因とする死亡や怪我は、普通傷害保険による補償の対象とはなりません。 |
【問10】
西里さんは、2020年7月に新築のアパートを購入し、新たに不動産賃貸業を開始した。購入したアパートの建物部分の情報は下記<資料>のとおりである。西里さんの2020年分の所得税における不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入する減価償却費の金額として、正しいものはどれか。
<資料>
取得価額:75,000,000円
取得年月:2020年7月
耐用年数:47年
不動産賃貸の用に供した月:2020年7月
取得価額:75,000,000円
取得年月:2020年7月
耐用年数:47年
不動産賃貸の用に供した月:2020年7月
<耐用年数表(抜粋)> | ||
耐用年数 | 定額法の償却率 | 定率法の償却率 |
47年 | 0.022 | 0.043 |
1. | 825,000円 |
2. | 1,612,500円 |
3. | 1,650,000円 |
正解:1
建物の減価償却費の方法は定額法しか認められていません。
また年の途中に取得した固定資産の減価償却費は、月割計算を行います。
よって、減価償却費の額=75,000,000×0.022×6/12=825,000円となります。
また年の途中に取得した固定資産の減価償却費は、月割計算を行います。
よって、減価償却費の額=75,000,000×0.022×6/12=825,000円となります。
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