FP3級実技(個人)解説-2018年9月・問1~9
【問1】~【問3】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
会社員のAさん(36歳)は、妻Bさん(35歳)および長男Cさん(0歳)との3人 暮らしである。 Aさんは、今年4月に長男Cさんが誕生したことを機に、マイホームの購入や教育 資金の準備など、今後の資金計画を検討したいと考えている。Aさんは、その前提と して、病気やケガで入院等した場合の健康保険の保険給付や自分が死亡した場合の公 的年金制度からの遺族給付の支給など、社会保険制度の概要について理解しておきた いと思っている。 そこで、Aさんは、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんに相談 することにした。Aさんの家族構成等は、以下のとおりである。
会社員のAさん(36歳)は、妻Bさん(35歳)および長男Cさん(0歳)との3人 暮らしである。 Aさんは、今年4月に長男Cさんが誕生したことを機に、マイホームの購入や教育 資金の準備など、今後の資金計画を検討したいと考えている。Aさんは、その前提と して、病気やケガで入院等した場合の健康保険の保険給付や自分が死亡した場合の公 的年金制度からの遺族給付の支給など、社会保険制度の概要について理解しておきた いと思っている。 そこで、Aさんは、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんに相談 することにした。Aさんの家族構成等は、以下のとおりである。
<Aさんの家族構成>
[Aさん]
昭和56年12月16日生まれ
会社員(厚生年金保険・全国健康保険協会管掌健康保険に加入)
[妻Bさん]
昭和58年5月14日生まれ
国民年金に第3号被保険者として加入している。
<Aさんの家族構成>
[長男Cさん]
平成30年4月19日生まれ
<公的年金加入歴(平成30年8月分まで)>
※ | 妻Bさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、生計維持関係にあるものとする。また、就業の予定はないものとする。 |
※ | 家族全員、Aさんと同一の世帯に属し、Aさんの健康保険の被扶養者である。 |
※ | 家族全員、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問1】
Mさんは、健康保険の保険給付についてアドバイスした。MさんのAさんに対するアドバイスとして、次のうち最も適切なものはどれか。
1. | 「医療費の一部負担金等の額が自己負担限度額を超える場合は、所定の手続により、自己負担限度額を超えた額が高額療養費として支給されます。自己負担限度額は、所得区分に応じて、その額が異なります」 |
2. | 「Aさんに係る医療費の一部負担金の割合は、入院・外来を問わず、実際にかかった費用の1割です」 |
3. | 「Aさんが病気やケガによる療養のために、連続4日以上、業務に就くことができず、当該期間について事業主から報酬が支払われない場合は、所定の手続により、傷病手当金が療養を開始した日から起算して3年を限度として支給されます」 |
正解:1 (3点)
1. | 正しい記述です。 |
2. | 医療費の一部負担金の割合は、3割です。 |
3. | 傷病手当金は、最長1年6ヵ月支給されます。 |
【問2】
Mさんは、現時点(平成30年9月9日)においてAさんが死亡した場合に妻Bさんに支給される遺族厚生年金の金額等について説明した。Mさんが、Aさんに対して説
明した以下の文章の空欄①~③に入る語句の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
明した以下の文章の空欄①~③に入る語句の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
「現時点においてAさんが死亡した場合、妻Bさんに対して遺族厚生年金と遺族基礎年金が支給されます。
遺族厚生年金の額は、原則として、Aさんの厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の( ① )に相当する額になります。ただし、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が( ② )に満たないときは、( ② )とみなして年金額が計算されます。
また、長男Cさんの( ③ )到達年度の末日が終了すると、妻Bさんの有する遺族基礎年金の受給権は消滅します。その後、妻Bさんが65歳に達するまでの間、妻Bさんに支給される遺族厚生年金の額に中高齢寡婦加算が加算されます」
遺族厚生年金の額は、原則として、Aさんの厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の( ① )に相当する額になります。ただし、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が( ② )に満たないときは、( ② )とみなして年金額が計算されます。
また、長男Cさんの( ③ )到達年度の末日が終了すると、妻Bさんの有する遺族基礎年金の受給権は消滅します。その後、妻Bさんが65歳に達するまでの間、妻Bさんに支給される遺族厚生年金の額に中高齢寡婦加算が加算されます」
1. | ①3分の2 ②240月 ③18歳 |
2. | ①4分の3 ②240月 ③20歳 |
3. | ①4分の3 ②300月 ③18歳 |
正解:3 (4点)
① | 遺族厚生年金の額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の額の4分の3相当額です。 |
② | 遺族厚生年金の計算上、被保険者期間は300ヵ月が最低保証されます。 |
③ | 遺族基礎年金は、子または子のある配偶者に支給されます。年金法上の子とは、基本的に、18歳到達年度の末日を経過していない子を指します。 |
【問3】
現時点(平成30年9月9日)においてAさんが死亡した場合、妻Bさんに支給される遺族基礎年金の年金額(平成30年度価額)は、次のうちどれか。
1. | 779,300円 |
2. | 779,300円+74,800円=854,100円 |
3. | 779,300円+224,300円=1,003,600円 |
正解:3 (3点)
遺族基礎年金の額=老齢基礎年金の満額+子の加算です。
子の加算額は、2人目までは1人当たり224,300円で、3人目以降は1人当たり74,800円です。
子の加算額は、2人目までは1人当たり224,300円で、3人目以降は1人当たり74,800円です。
【問4】~【問6】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
会社員のAさん(27歳)は、少額から始められる資産運用の方法として、「非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度(以下、当該非課税制度を『つみたてNISA』、非課税口座内に設定される累積投資勘定を『つみたてNISA勘定』という)」について関心を持つようになった。
また、Aさんは、友人が株主優待を目当てに保有しているX社株式(東京証券取引所市場第一部)を自分も購入したいと考えているが、その前提として、PERやPBRなどの株式の投資指標について理解を深めたいと考えている。そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
Aさんが購入を検討しているX社株式に関する資料は、以下のとおりである。
会社員のAさん(27歳)は、少額から始められる資産運用の方法として、「非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度(以下、当該非課税制度を『つみたてNISA』、非課税口座内に設定される累積投資勘定を『つみたてNISA勘定』という)」について関心を持つようになった。
また、Aさんは、友人が株主優待を目当てに保有しているX社株式(東京証券取引所市場第一部)を自分も購入したいと考えているが、その前提として、PERやPBRなどの株式の投資指標について理解を深めたいと考えている。そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
Aさんが購入を検討しているX社株式に関する資料は、以下のとおりである。
<X社の財務データ>
売上高:3,000億円
営業利益:110億円
経常利益:90億円
純利益(年間):45億円
配当金(年間):1株当たり30円
配当金総額:18億円
決算期:平成31年2月28日(木)
売上高:3,000億円
営業利益:110億円
経常利益:90億円
純利益(年間):45億円
配当金(年間):1株当たり30円
配当金総額:18億円
決算期:平成31年2月28日(木)
<X社株式の関連情報>
PER:16.0倍
PBR:1.20倍
ROE:7.50%
配当利回り:2.50%
株式益回り:6.25%
株価:1,200円
発行済株式数:6,000万株
PER:16.0倍
PBR:1.20倍
ROE:7.50%
配当利回り:2.50%
株式益回り:6.25%
株価:1,200円
発行済株式数:6,000万株
<X社株式の株主優待>
[次回権利確定]
平成31年2月28日時点の株主名簿に記載された株主
[お買物券]
100株以上500株未満 3,000円(3枚)
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問4】
はじめに、Mさんは、つみたてNISAについてアドバイスした。MさんのAさんに対するアドバイスとして、次のうち最も不適切なものはどれか。
1. | 「つみたてNISA勘定に受け入れることができる限度額は年間40万円です。購入方法は累積投資契約に基づく定期かつ継続的な買付けに限られていますので、40万円分を一括で購入することはできません」 |
2. | 「つみたてNISAの非課税期間は、25年間です。つみたてNISAは、長期の分散投資を前提とした資産運用の方法ですので、短期の売買を目的とした資産運用に利用することには適していません」 |
3. | 「つみたてNISA勘定に受け入れることができる商品は、ETF(上場投資信託)や公募株式投資信託のうち一定の要件を満たすものです。Aさんが購入を検討されているX社株式をつみたてNISA勘定に受け入れることはできません」 |
正解:2 (4点)
1. | 正しい記述です。 |
2. | つみたてNISAの非課税期間は、最長20年間です。 |
3. | 正しい記述です。 |
【問5】
次に、Mさんは、株式の投資指標について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
1. | 「PERは、株価が1株当たり当期純利益の何倍であるかを示す指標です。何倍程度が妥当であるかは、業種や会社の規模等により異なりますので、同業他社との比較や過去のトレンドとの比較等、相対的な比較に利用してください」 |
2. | 「ROEは、総資産(総資本)に対する当期純利益の割合を示す指標です。ROEが高い水準で推移していれば、企業の収益性は高いと判断できます」 |
3. | 「配当利回りは、当期純利益のなかから配当金がどの程度支払われているのかを示す指標です。この指標により、株主への利益還元の傾向を見ることができます」 |
正解:1 (3点)
1. | 正しい記述です。 |
2. | ROEは、自己資本に対する当期純利益の割合です。 |
3. | 配当性向の説明です。 |
【問6】
最後に、Mさんは、X社株式の購入についてアドバイスした。MさんのAさんに対するアドバイスとして、次のうち最も不適切なものはどれか。
1. | 「X社株式の次回の配当および株主優待を受け取るためには、権利確定日である平成31年2月28日(木)の7営業日前までにX社株式を購入しておく必要があります」 |
2. | 「Aさんが特定口座(源泉徴収あり)でX社株式を株価1,200円で100株購入し、同年中に株価1,500円で全株売却した場合、手数料等を考慮しなければ、売却益3万円の20.315%相当額が源泉徴収等されます」 |
3. | 「Aさんが特定口座(源泉徴収あり)でX社株式を購入する場合、証券会社所定の売買委託手数料を負担する必要があります。手数料体系は、証券会社各社でさまざまな特徴がありますので、口座を開設する前に比較してみるとよいでしょう」 |
正解:1 (3点)
1. |
株式の受け渡しは、約定日から起算して4営業日後です。 【改正後】2019年7月から3営業日後に変更されました。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
【問7】~【問9】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
Aさんは、飲食店を営む個人事業主で、開業後直ちに青色申告承認申請書と青色事業専従者給与に関する届出書を所轄税務署長に対して提出している青色申告者である。
Aさんは、過去に会社員をしていた期間があり、平成30年6月から特別支給の老齢厚生年金を受給している。
Aさんとその家族に関する資料等は、以下のとおりである。なお、金額の前の「▲」は赤字であることを表している。
Aさんは、飲食店を営む個人事業主で、開業後直ちに青色申告承認申請書と青色事業専従者給与に関する届出書を所轄税務署長に対して提出している青色申告者である。
Aさんは、過去に会社員をしていた期間があり、平成30年6月から特別支給の老齢厚生年金を受給している。
Aさんとその家族に関する資料等は、以下のとおりである。なお、金額の前の「▲」は赤字であることを表している。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(62歳)]
個人事業主(青色申告者)
[妻Bさん(60歳)]
Aさんが営む飲食店の事業に専ら従事し、青色事業専従者給与(平成30年分:84万円)の支払を受けている。
<Aさんの平成30年分の収入等に関する資料>
[事業所得の金額]
350万円(青色申告特別控除後)
[特別支給の老齢厚生年金の年金額]
30万円
<Aさんの平成30年分の収入等に関する資料>
[不動産所得]
▲100万円(土地等の取得に係る負債の利子10万円を含む)
※ | 妻Bさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんおよび妻Bさんは、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんおよび妻Bさんの年齢は、いずれも平成30年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問7】
所得税における青色申告制度に関する以下の文章の空欄①~③に入る語句または数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
・ | 「事業所得に係る取引を正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書その他の計算明細書を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出することにより、事業所得の金額の計算上、青色申告特別控除として最高( ① )万円を控除することができます。なお、確定申告書を法定申告期限後に提出した場合、青色申告特別控除額は最高10万円となります」(注)制度改正あり |
・ | 「青色申告者が受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除のほかに、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の( ② )年間の繰越控除、純損失の繰戻還付、棚卸資産の評価について( ③ )を選択することができることなどが挙げられます」 |
1. | ①55 ②3 ③先入先出法 |
2. | ①65 ②3 ③低価法 |
3. | ①65 ②7 ③最終仕入原価法 |
正解:2 (3点)
① | 事業所得の計算上控除する事が出来る青色申告特別控除は、最大65万円です(青色申告特別控除額は、基本的に最高55万円ですが、電子申告要件等を満たした場合、最高65万円になります)。 |
② | 所得税の計算上、青色申告者は、純損失を最大3年間繰越控除する事が出来ます。 |
③ | 青色申告者は低価法を選択して(期末商品棚卸高の評価額を下げて売上原価を増やして)、所得の金額を低くすることができます。 |
【問8】
Aさんの平成30年分の所得税の課税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 「妻Bさんの平成30年分の合計所得金額は38万円を超えないため、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができます」 |
2. | 「Aさんの場合、公的年金等の収入金額の合計額が70万円以下であるため、公的年金等に係る雑所得の金額は算出されません」(注)制度改正あり |
3. | 「不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、土地等の取得に係る負債の利子10万円に相当する部分の金額は、Aさんの事業所得の金額と損益通算することはできません」 |
正解:1 (3点)
1. | 青色事業専従者は、扶養控除の対象にはなりません。なお、制度改正後の現在は、配偶者控除における配偶者の合計所得金額の要件は、48万円以下である事とされています。 |
2. |
正しい記述です。65歳未満の人に対する公的年金等控除額は、最大70万円です。 <改正後> |
3. | 正しい記述です。 |
【問9】
Aさんの平成30年分の所得税における総所得金額は、次のうちどれか。
1. | 250万円 |
2. | 260万円 |
3. | 380万円 |
正解:2 (4点)
事業所得の金額が350万円、
老齢厚生年金に係る雑所得は、収入が所得控除の額を下回る為、0円、
不動産所得のマイナスは、土地取得の為の借入金の利子を除く90万円が損益通算の対象になります。
よって、総所得金額は、260万円になります。
老齢厚生年金に係る雑所得は、収入が所得控除の額を下回る為、0円、
不動産所得のマイナスは、土地取得の為の借入金の利子を除く90万円が損益通算の対象になります。
よって、総所得金額は、260万円になります。
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