FP3級実技(個人)解説-2018年1月・問1~9
会社員のAさん(50歳)は、妻Bさん(47歳)、長男Cさん(16歳)および長女Dさん(13歳)との4人家族である。Aさんは、先日、友人が急逝したことを機に、自分が死亡した場合に備えて、残された家族が受給することができる公的年金制度からの遺族給付について知りたいと考えるようになった。そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
Aさんおよびその家族に関する資料は、以下のとおりである。
<Aさんおよびその家族に関する資料>
(1)Aさん(会社員)
生年月日:昭和42年10月5日
厚生年金保険、全国健康保険協会管掌健康保険、雇用保険に加入している。
〔公的年金の加入歴(見込みを含む)〕
(2)妻Bさん(専業主婦)
生年月日:昭和45年11月27日
大学卒業後から28歳でAさんと結婚するまでは厚生年金保険に加入。結婚後、国民年金に第3号被保険者として加入している。
(3)長男Cさん(高校生)
生年月日:平成13年4月5日
(4)長女Dさん(中学生)
生年月日:平成16年8月7日
※ | 妻Bさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、生計維持関係にあるものとする。 |
※ | 妻Bさん、長男Cさんおよび長女Dさんは、Aさんと同一の世帯に属し、Aさんの健康保険の被扶養者である。 |
※ | 妻Bさん、長男Cさんおよび長女Dさんは、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
1. | 779,300円+224,300円=1,003,600円 |
2. | 779,300円+224,300円+74,800円=1,078,400円 |
3. | 779,300円+224,300円+224,300円=1,227,900円 |
年金で言う「子」とは、原則として18歳到達年度の末日を経過していない子を指しますので、長男Cさんと長女Dさんは、どちらも子の加算の対象になります。
子の加算額は、2人までは1人当たり224,300円で、3人目以降は1人当たり74,800円です。
適切なものはどれか。
「Aさんが現時点(平成30年1月28日)で亡くなった場合、妻Bさんに支給される遺族厚生年金の額は、Aさんの厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の( ① )に相当する額です。
また、長女Dさんの18歳到達年度末日終了により、妻Bさんの遺族基礎年金の受給権が消滅した場合、妻Bさんがその後に受け取る遺族厚生年金には、妻Bさんが ( ② )に達するまでの間、( ③ )の加算が行われます」
1. | ①4分の3 ②65歳 ③中高齢寡婦加算 |
2. | ①3分の2 ②65歳 ③経過的寡婦加算 |
3. | ①2分の1 ②60歳 ③経過的寡婦加算 |
① | 遺族厚生年金の額は、亡くなった被保険者の報酬比例部分の4分の3相当額です。 |
②③ | 中高齢寡婦加算は、配偶者が65歳になるまで支給され、遺族基礎年金とは併給されず、遺族基礎年金が優先されます。 |
1. | 「Aさんが亡くなった後、妻Bさんは国民年金の第1号被保険者となりますが、遺族基礎年金等の遺族給付を受給している者は法定免除の対象となるため、妻Bさんは、所定の届出により、国民年金保険料の納付が免除されます」 |
2. | 「遺族基礎年金や遺族厚生年金は、Aさんが亡くなった後、妻Bさんが再就職をして収入を得るようになった場合でも、その給与収入によって年金額の減額や受給権が消滅することはありません」 |
3. | 「Aさんが業務外の事由により亡くなり、妻Bさんが埋葬を行った場合は、所定の手続により、健康保険から埋葬料が妻Bさんに対して支給されます」 |
1. | 遺族年金の受給権者は、当然に法定免除の対象になる訳ではありません。 |
2. | 正しい記述です。遺族基礎年金や遺族厚生年金は、受給者の収入によって金額が増減したり、受給権が取り消されることはありません。 |
3. | 正しい記述です。健康保険の被保険者が死亡して、その遺族が埋葬を行った場合に支給される健康保険の給付は、埋葬料です。 |
会社員のAさん(50歳)は、余裕資金を利用して、かねてから興味を持っていた上場企業であるX社の株式(以下、「X社株式」という)およびY社の社債(以下、「Y社債」という)を運用対象として検討している。そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
Aさんが購入を検討しているX社株式およびY社債に関する資料は、以下のとおりである。
<X社株式に関する資料>
業種:自動車部品製造業
特徴:業界内では大手の事業規模であり、輸出中心の企業である。
株価:500円
当期純利益:200億円
純資産(自己資本):2,000億円
発行済株式数:4億株(すべて普通株式)
前期の配当金の額(年額):20円(1株当たり)
<Y社債に関する資料>
業種:不動産業
購入価格:102円(額面100円当たり)
表面利率:0.6%
残存期間:4年
償還価格:100円
格付:A
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
「株価の相対的な割安・割高の度合いを判断する指標として、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などが用いられますが、X社株式のPERは( ① )倍、PBRは( ② )倍となります。また、株主から出資された資本をいかに効率よく活用して利益を上げているかを判断する指標として用いられるROE(自己資本利益率)については、X社は( ③ )%となります」
1. | ①1 ②10 ③10 |
2. | ①10 ②1 ③10 |
3. | ①10 ②4 ③50 |
① | PER=株価÷1株当たり純利益です。 資料より、1株当たり純利益=200億円÷4億株=50円と読み取る事ができますから、PER=500円÷50円=10倍です。 |
② | PBR=株価÷1株当たり純資産です。 資料より、1株当たり純資産=2,000億円÷4億株=500円と読み取る事ができますから、PBR=500円÷500円=1倍です。 |
③ | ROE=当期純利益÷自己資本=200億円÷2,000億円=0.1(10%)となります。 |
1. | 「債券や債券の発行体の信用状態に関する評価の結果を記号等で示したものを信用格付といい、一般に、BB(ダブルB)格相当以上の格付が付されていれば、投資適格債券とされます」 |
2. | 「一般に、信用格付の高い債券は、表面利率や償還期限等の他の条件が同一であれば、信用格付の低い債券と比較して、債券価格は高く、利回りは低くなります」 |
3. | 「Y社債の利子については、原則として、利子の支払時において所得税および復興 特別所得税と住民税の合計で20.315%の税率による源泉(特別)徴収がされます」 |
1. | 一般的に、債券は、ダブルB相当以下の格付けがされていれば、投資不適格債、トリプルB相当以上の格付けがされていれば、投資適格債と判断されます。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。債券の利子は利子所得となります。 |
1. | 0.10% |
2. | 1.08% |
3. | 1.10% |
よって、%表示における小数点以下第3位を四捨五入すると、0.10%になります。
<設例>
会社員のAさん(50歳)は、妻Bさん(48歳)、長男Cさん(20歳)、母Dさん(80歳)との4人暮らしである。Aさんおよび家族は下記のような治療等を受けたため、これに係る費用について医療費控除の適用を受けたいと考えている。
Aさんの家族構成および平成29年分の収入等に関する資料等は、以下のとおりである。
<Aさんの家族構成>
[Aさん]
会社員
[妻Bさん]
専業主婦
平成29年中の収入はない。
[長男Cさん]
大学生
平成29年中の収入はない。
[母Dさん]
平成29年中に公的年金等の老齢給付として120万円を得ている。
給与収入の金額:900万円
不動産所得の金額:50万円
※ | Aさんは、所轄税務署長に「青色申告承認申請書」は提出していない。 |
・ | Aさんは、平成29年7月に人間ドックを受診し、その費用を平成29年中に支払った。なお、人間ドックの結果、重大な疾病は発見されなかった。 |
・ | Aさんは、妻Bさんが平成28年12月に受けた歯科治療に係る費用を平成29年1月に支払った。 |
・ | Aさんは、長男Cさんの視力回復レーザー手術(レーシック手術)に係る費用を平成29年中に支払った。 |
※ | 妻Bさん、長男Cさん、母Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | 家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | 家族の年齢は、いずれも平成29年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
・ | 妻Bさんは控除対象配偶者に該当するため、Aさんは、妻Bさんについて( ① )万円の配偶者控除の適用を受けることができる。 |
・ | 長男Cさんは特定扶養親族に該当するため、Aさんは、長男Cさんについて( ② )万円の扶養控除の適用を受けることができる。 |
・ | 母Dさんは老人扶養親族(同居老親等)に該当するため、Aさんは、母Dさんについて( ③ )万円の扶養控除の適用を受けることができる。 |
1. | ①38 ②38 ③48 |
2. | ①48 ②63 ③48 |
3. | ①38 ②63 ③58 |
① | 配偶者控除の金額は、38万円です。 |
② | 特定扶養親族に該当する人に対する扶養控除の金額は、63万円です。 |
③ | 老人扶養親族(同居老親等)に該当する人に対する扶養控除の金額は、58万円です。 |
1. | Aさんが受診した人間ドックの費用は、その人間ドックによって特に異常が発見されなかったため、平成29年分の医療費控除の対象とならない。 |
2. | Aさんが平成29年1月に支払った妻Bさんの歯科治療に係る費用は、その治療が平成28年中に行われているため、平成29年分の医療費控除の対象とならない。 |
3. | 平成29年中に支払った医療費控除額の対象となる医療費の総額が20万円を超えていなければ、医療費控除額が算出されないため、Aさんは医療費控除の適用を受けることができない。 |
1. | 正しい記述です。た人間ドックの費用は、その人間ドックによって異常が発見され引き続き治療を行った場合のみ、医療費控除の対象となります。 |
2. | 医療費控除の対象となるものの判定日は、支払日が基準となります(治療日ではありません)。 |
3. | 医療費控除額の対象となる医療費の総額(保険金控除後)が10万円を超えていれば、医療費控除額が算出されます。 |
<資料>給与所得控除額 | |
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40% (最低65万円) |
180万円超 360万円以下 |
収入金額×30%+18万円 |
360万円超 660万円以下 |
収入金額×20%+54万円 |
660万円超 1,000万円以下 |
収入金額×10%+120万円 |
1,000万円超 | 220万円 |
1. | 690万円 |
2. | 740万円 |
3. | 950万円 |
給与所得=900万円-(900万円×10%+120万円)=690万円です。
本問の場合、給与所得と不動産所得を合算したものが総所得金額となりますから、総所得金額=690万円+50万円=740万円となります。
<参考>
現在の給与所得控除額は、資料と異なります。
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