FP3級実技(保険)解説-2023年9月・後半
【問10】~【問12】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
会社員のAさんは、妻Bさん、長女Cさんとの3人家族である。Aさんは、2023年中に一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金を受け取っている。
会社員のAさんは、妻Bさん、長女Cさんとの3人家族である。Aさんは、2023年中に一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金を受け取っている。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(50歳)]
会社員
[妻Bさん(45歳)]
パートタイマー。2023年中に給与収入100万円を得ている。
[長女Cさん(17歳)]
高校生。2023年中の収入はない。
<Aさんの2023年分の収入等に関する資料>
[給与収入の金額]
650万円
[一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金]
契約年月:2016年6月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
解約返戻金額:440万円
正味払込保険料:400万円
<Aさんが2023年中に支払った生命保険の保険料に関する資料>
[終身保険(特約付加なし)]
契約年月:2013年5月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
年間正味払込保険料:12万円(全額が一般の生命保険料控除の対象)
[終身がん保険(死亡保障なし)]
契約年月:2023年6月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
年間正味払込保険料:9万円(全額が介護医療保険料控除の対象)
※ | 妻Bさんおよび長女Cさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんとその家族の年齢は、いずれも2023年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問10】
Aさんの2023年分の所得税における総所得金額は、次のうちどれか。
<資料>給与所得控除額 | |
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 (最低55万円) |
180万円超 360万円以下 |
収入金額×30%+8万円 |
360万円超 660万円以下 |
収入金額×20%+44万円 |
660万円超 850万円以下 |
収入金額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円 |
1. | 476万円 |
2. | 496万円 |
3. | 516万円 |
正解:1(4点)
給与所得の額=650万円-(650万円×20%+44万円)=476万円です。
一時所得の額は、総収入金額から収入を得るために直接支出した金額が、特別控除額(最高50万円)を下回っているため0円です。
給与所得は、全額が総所得金額に算入されますから、総所得金額は、476万円となります。
一時所得の額は、総収入金額から収入を得るために直接支出した金額が、特別控除額(最高50万円)を下回っているため0円です。
給与所得は、全額が総所得金額に算入されますから、総所得金額は、476万円となります。
【問11】
Aさんの2023年分の所得税の課税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 「Aさんは、2023年中に解約した一時払変額個人年金保険の解約差益が20万円を超えるため、所得税の確定申告をしなければなりません」 |
2. | 「Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の控除額は、38万円です」 |
3. | 「Aさんが適用を受けることができる扶養控除の控除額は、63万円です」 |
正解:2(3点)
1) | 給与所得及び退職所得以外の所得が20万円を超える場合には確定申告をしなくてはいけませんが、 問10の解説の通り、一時払変額個人年金保険の解約差益に係る一時所得の額は0(ゼロ)であるため、 確定申告は不要です。 |
2) | 妻Bさんの合計所得金額は、給与所得=100万円-55万円=45万円より、妻Bさんは配偶者控除の対象になります。 なお、合計所得金額が900万円以下の人が、一般の控除対象配偶者(12月31日時点で70歳未満の配偶者)について適用を受けることができる配偶者控除の額は、38万円です。 |
3) | 長女Cさんは、16歳以上19歳未満であり、一般の控除対象扶養親族に該当しますから、 38万円の扶養控除の対象です。 |
【問12】
Aさんの2023年分の所得税における生命保険料控除の控除額は、次のうちどれか。
1. | 4万円 |
2. | 8万円 |
3. | 10万円 |
正解:2(3点)
2012年以降に契約した契約に係る、一般の生命保険料控除の対象となる保険料は、年間正味払込保険料が8万円を超える場合、所得税の計算上、4万円の控除を受けることができます。
2012年以降に契約した契約に係る、介護医療保険料控除の対象となる保険料は、年間正味払込保険料が8万円を超える場合、所得税の計算上、4万円の控除を受けることができます。
よって、生命保険料控除の額は、8万円となります。
2012年以降に契約した契約に係る、介護医療保険料控除の対象となる保険料は、年間正味払込保険料が8万円を超える場合、所得税の計算上、4万円の控除を受けることができます。
よって、生命保険料控除の額は、8万円となります。
【問13】~【問15】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
Aさん(79歳)は、妻Bさん(76歳)との2人暮らしである。Aさん夫妻には、2人の子がいるが、二男Dさんは既に他界している。Aさんは、孫Eさん(22歳)および孫Fさん(20歳)に対して、相応の資産を承継させたいと考えている。
Aさん(79歳)は、妻Bさん(76歳)との2人暮らしである。Aさん夫妻には、2人の子がいるが、二男Dさんは既に他界している。Aさんは、孫Eさん(22歳)および孫Fさん(20歳)に対して、相応の資産を承継させたいと考えている。
<Aさんの親族関係図>
<Aさんの主な所有財産(相続税評価額、下記の生命保険を除く)>
現預金:1億9,000万円
自宅(敷地330㎡):7,000万円(注)
自宅(建物):1,000万円
現預金:1億9,000万円
自宅(敷地330㎡):7,000万円(注)
自宅(建物):1,000万円
(注) | 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額 |
<Aさんが加入している一時払終身保険の内容>
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
死亡保険金額:2,000万円
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
死亡保険金額:2,000万円
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問13】
Aさんの相続に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 「妻Bさんが受け取る一時払終身保険の死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることで、相続税の課税価格には算入されません」 |
2. | 「孫Eさんおよび孫Fさんが相続により財産を取得した場合、相続税額の2割加算の対象となります」 |
3. | 「相続税の申告書は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から6カ月以内に被相続人であるAさんの死亡時の住所地を所轄する税務署長に提出しなければなりません」 |
正解:1(3点)
1) | 相続人が受け取った相続税の課税対象となる生命保険の死亡保険金は、「500万円×法定相続人の数」の式で計算された額まで非課税となります。 法定相続人の数は4人であるため、非課税限度額は、500万円×4=2,000万円となり、死亡保険金の額と等しいことから、相続税の課税価格に算入される死亡保険金の額は0(ゼロ)となります。 |
2) | 被相続人の孫は、基本的には2割加算の対象ですが、代襲相続人である孫は、2割加算の対象でない人(被相続人の子)の立場を引き継ぐため、2割加算の対象ではありません。 |
3) | 相続税の申告書は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。 |
【問14】
Aさんの相続に関する以下の文章の空欄1~3に入る語句の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
ⅰ) | 「円滑な遺産分割のため、遺言書の作成をお勧めします。公正証書遺言は、証人( ① )以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成します。推定相続人である妻Bさんや長男Cさんを証人にすること( ② )」 |
ⅱ) | 「妻Bさんが自宅の敷地を相続により取得し、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、自宅の敷地(相続税評価額7,000万円)について、相続税の課税価格に算入すべき価額を( ③ )とすることができます」 |
1. | ①3人 ②はできません ③5,600万円 |
2. | ①3人 ②ができます ③3,500万円 |
3. | ①2人 ②はできません ③1,400万円 |
正解:3(4点)
① | 公正証書遺言を作成するためには、証人が2人以上必要です。 |
② | 遺言者の推定相続人は、公正証書遺言の証人にはなれません。 |
③ | 相続税の計算上、自宅の敷地について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた場合、特定居住用宅地等として、相続税の課税価格へ算入する額が330㎡を限度として80%減額されますから、相続税の課税価格へ算入する額は、7,000万円×(1-80%)=1,400万円となります。 |
【問15】
Aさんの相続が現時点(2023年9月10日)で開始し、Aさんの相続に係る課税遺産総額(課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)が1億6,000万円であった場合の相続税の総額は、次のうちどれか。
<資料>相続税の速算表(一部抜粋) | ||
法定相続分に 応ずる取得金額 |
税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% | 200万円 |
5,000万円超 10,000万円以下 |
30% | 700万円 |
10,000万円超 20,000万円以下 |
40% | 1,700万円 |
1. | 2,800万円 |
2. | 4,000万円 |
3. | 4,700万円 |
正解:1(3点)
妻Bさんの法定相続分に対応する取得金額は、1億6,000万円×1/2=8,000万円となります。
これに対応する相続税額は、8,000万円×30%-700万円=1,700万円です。
長男Cさんの法定相続分に対応する取得金額は、1億6,000万円×1/4=4,000万円となります。
これに対応する相続税額は、4,000万円×20%-200万円=600万円です。
孫Eさんおよび孫Fさんの法定相続分に対応する取得金額は、それぞれ、1億6,000万円×1/8=2,000万円となります。
これに対応する相続税額は、2,000万円×15%-50万円=250万円です。
よって、相続税の総額は、1,700万円+600万円+250万円+250万円=2,800万円となります。
これに対応する相続税額は、8,000万円×30%-700万円=1,700万円です。
長男Cさんの法定相続分に対応する取得金額は、1億6,000万円×1/4=4,000万円となります。
これに対応する相続税額は、4,000万円×20%-200万円=600万円です。
孫Eさんおよび孫Fさんの法定相続分に対応する取得金額は、それぞれ、1億6,000万円×1/8=2,000万円となります。
これに対応する相続税額は、2,000万円×15%-50万円=250万円です。
よって、相続税の総額は、1,700万円+600万円+250万円+250万円=2,800万円となります。
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