FP3級実技(保険)解説-2022年5月・後半
【問10】~【問12】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
会社員のAさんは、妻Bさん、長女Cさんおよび長男Dさんとの4人家族である。Aさんは、2021年中に「ふるさと納税」の制度を初めて利用し、8つの地方自治体に計10万円の寄附を行っている。
会社員のAさんは、妻Bさん、長女Cさんおよび長男Dさんとの4人家族である。Aさんは、2021年中に「ふるさと納税」の制度を初めて利用し、8つの地方自治体に計10万円の寄附を行っている。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(45歳)]
会社員
[妻Bさん(44歳)]
2021年中に、パートタイマーとして給与収入85万円を得ている。
[長女Cさん(20歳)]
大学生。2021年中の収入はない。
[長男Dさん(10歳)]
小学生。2021年中の収入はない。
<Aさんの2021年分の収入等に関する資料>
[給与収入の金額]
800万円
[一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金]
契約年月:2013年10月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
解約返戻金額:600万円
正味払込保険料:500万円
※ | 妻Bさん、長女Cさんおよび長男Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんとその家族の年齢は、いずれも2021年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問10】
Aさんの2021年分の所得税における総所得金額は、次のうちどれか。
<資料>給与所得控除額 | |
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 (最低55万円) |
180万円超 360万円以下 |
収入金額×30%+8万円 |
360万円超 660万円以下 |
収入金額×20%+44万円 |
660万円超 850万円以下 |
収入金額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円 |
1. | 610万円 |
2. | 635万円 |
3. | 900万円 |
正解:2(4点)
給与所得=800万円-(800万円×10%+110万円)=610万円です。
一時所得=600万円-500万円-50万円=50万円です。
給与所得はその全額が総所得金額に算入され、一時所得はその2分の1相当額が総所得金額に算入されますから、総所得金額=610万円+50万円×1/2=635万円となります。
一時所得=600万円-500万円-50万円=50万円です。
給与所得はその全額が総所得金額に算入され、一時所得はその2分の1相当額が総所得金額に算入されますから、総所得金額=610万円+50万円×1/2=635万円となります。
【問11】
Aさんの2021年分の所得税における所得控除に関する以下の文章の空欄①~③に入る数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
ⅰ) | 「妻Bさんの2021年分の合計所得金額は30万円です。妻Bさんの合計所得金額は( ① )万円以下となりますので、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができます。Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の額は、( ② )万円です」 |
ⅱ) | 「Aさんが適用を受けることができる扶養控除の額は、( ③ )万円です」 |
1. | ① 48 ② 38 ③ 63 |
2. | ① 48 ② 26 ③ 76 |
3. | ① 103 ② 38 ③ 38 |
正解:1(3点)
① | 配偶者控除を受けるための配偶者の合計所得金額の要件は、48万円以下であることとされています。 |
② | 合計所得金額が900万円以下の人が受けることができる配偶者控除の金額は、38万円です。 |
③ | 19歳以上23歳未満の控除対象扶養親族は、特定扶養親族として、1人当たり63万円の控除を受けることができます。また、16歳未満の親族は扶養控除の対象外とされます。 よって、Aさんが受けることができる扶養控除の額は、63万円となります。 |
【問12】
Aさんの2021年分の所得税の課税等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 「Aさんが受け取った一時払変額個人年金保険の解約返戻金は、源泉分離課税の対象となります」 |
2. | 「総所得金額に算入される一時所得の金額が20万円を超えるため、Aさんは所得税の確定申告をしなければなりません」 |
3. | 「Aさんは、所得税の確定申告をすることで、ふるさと納税で寄附した10万円の全額について、2021年分の所得税額から控除されます」 |
正解:2(3点)
1. | 一時払変額個人年金保険の解約返戻金は、契約から5年を超えて受け取った場合には、一時所得となります。 |
2. | 正しい記述です。なお、一時所得の金額等については、問10で解説しています。 |
3. | ふるさと納税で寄付した額は、寄付金控除(所得控除)の対象となり、所得税の計算上、「寄付額-2,000」円が控除されます(別途、住民税の税額控除を受けることができます)。 |
【問13】~【問15】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
Aさん(73歳)は、X市内の自宅で妻Bさん(72歳)との2人暮らしである。
Aさんには、2人の子がいる。X市内の企業に勤務する二男Dさん(43歳)は、妻および孫Eさん(9歳)の3人で賃貸マンションに住んでいる。一方、長男Cさん(45歳)は、県外で働いており、X市に戻る予定はない。
Aさんは、普段から身の回りの世話をしてくれる二男Dさんに対して、生活資金や孫の学費等について面倒を見てやりたいと思っており、現金の贈与を検討している。
また、長男Cさんと二男Dさんの関係は悪くないものの、Aさんは、自身の相続が起こった際に遺産分割で争いが生じるのではないかと心配している。
Aさん(73歳)は、X市内の自宅で妻Bさん(72歳)との2人暮らしである。
Aさんには、2人の子がいる。X市内の企業に勤務する二男Dさん(43歳)は、妻および孫Eさん(9歳)の3人で賃貸マンションに住んでいる。一方、長男Cさん(45歳)は、県外で働いており、X市に戻る予定はない。
Aさんは、普段から身の回りの世話をしてくれる二男Dさんに対して、生活資金や孫の学費等について面倒を見てやりたいと思っており、現金の贈与を検討している。
また、長男Cさんと二男Dさんの関係は悪くないものの、Aさんは、自身の相続が起こった際に遺産分割で争いが生じるのではないかと心配している。
<Aさんの親族関係図>
<Aさんが加入している一時払終身保険の内容>
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
死亡保険金額:2,000万円
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
死亡保険金額:2,000万円
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問13】
Aさんの相続等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 「自筆証書遺言は、その遺言の全文および財産目録をパソコンで作成し、日付および氏名を自書して押印することで作成することができます」 |
2. | 「公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成します」 |
3. | 「妻Bさんが受け取る一時払終身保険の死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることで、相続税の課税価格に算入される金額は、500万円となります」 |
正解:1(3点)
1. | 自筆証書遺言は、財産目録を除いて、全て自書により作成しなくてはいけません。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。相続人が受け取った死亡保険金は500万円×法定相続人の数まで非課税になりますから、死亡保険金額2,000万円のうち、1,500万円が非課税となり、相続税の課税価格に算入される金額は500万円となります。 |
【問14】
生前贈与に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 「Aさんが二男Dさんに現金を贈与し、二男Dさんが暦年課税を選択した場合、その年にAさんから二男Dさんへ贈与した財産の価額が贈与税の基礎控除額を超えるときは、受贈者である二男Dさんが贈与税の申告書を提出しなければなりません」 |
2. | 「Aさんが二男Dさんに現金を贈与し、二男Dさんが相続時精算課税制度を選択した場合、累計で2,500万円までの贈与について贈与税は課されません」 |
3. | 「『直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税』の適用を受けた場合、受贈者1人につき2,000万円までは贈与税が非課税となります」 |
正解:3(4点)
1. | 正しい記述です。贈与税について暦年課税を選択した場合には、贈与税の課税価格が基礎控除額を超えると、受贈者に贈与税の納税義務が生じます。 |
2. | 正しい記述です。贈与税について相続時精算課税制度を選択した場合には、その贈与者から贈与を受ける財産について、累計で2,500万円まで非課税になります。 |
3. | 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税の適用を受けた場合、受贈者一人につき1,500円まで贈与税が非課税になります。 |
【問15】
仮に、二男Dさんが暦年課税(各種非課税制度の適用はない)により、2022年中にAさんから現金600万円の贈与を受けた場合の贈与税額は、次のうちどれか。
<贈与税の速算表(一部抜粋)> | ||
[特例贈与財産] | ||
基礎控除後の 課税価格 |
税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超 400万円以下 |
15% | 10万円 |
400万円超 600万円以下 |
20% | 30万円 |
1. | 68万円 |
2. | 90万円 |
3. | 114万円 |
正解:1(3点)
贈与税の課税価格は、600万円-110万円=490万円です。
よって、贈与税額は、490万円×20%-30万円=68万円となります。
よって、贈与税額は、490万円×20%-30万円=68万円となります。
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