FP3級実技(保険)解説-2020年9月・後半
会社員のAさんは、妻Bさん、長男Cさんおよび父Dさんとの4人家族である。Aさんは、2020年中に終身保険および一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金を受け取っている。また、Aさんは、住宅ローンを利用して2020年2月に新築マンションを取得し、同月中に入居している。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(43歳)]
会社員
[妻Bさん(42歳)]
専業主婦。2020年中の収入はない。
[長男Cさん(19歳)]
大学生。2020年中の収入はない。
[父Dさん(72歳)]
2020年中の収入は、老齢基礎年金のみであり、その収入金額は72万円である。
<Aさんの2020年分の収入等に関する資料>
[給与収入の金額]
800万円
[終身保険の解約返戻金]
契約年月:2007年1月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
解約返戻金額:100万円
正味払込済保険料:120万円
[一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金]
契約年月:2011年5月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
解約返戻金額:620万円
一時払保険料:500万円
<Aさんが利用した住宅ローンに関する資料>
借入年月日:2020年2月10日
2020年12月末の借入金残高:2,500万円
※ | 住宅借入金等特別控除の適用要件は、すべて満たしている。 |
※ | 妻Bさん、長男Cさんおよび父Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんとその家族の年齢は、いずれも2020年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
ⅰ) | Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の控除額は、( ① )万円である。 |
ⅱ) | 長男Cさんは特定扶養親族に該当するため、Aさんが適用を受けることができる長男Cさんに係る扶養控除の控除額は、( ② )万円である。 |
ⅲ) | 父Dさんは老人扶養親族の同居老親等に該当するため、Aさんが適用を受けることができる父Dさんに係る扶養控除の控除額は、( ③ )万円である。 |
1. | ①38 ②38 ③48 |
2. | ①38 ②63 ③58 |
3. | ①48 ②63 ③48 |
① | 合計所得金額が900万円以下の人が配偶者控除の適用を受けた場合の控除額は、配偶者が老人控除対象配偶者である場合を除いて、38万円です。 |
② | 特定扶養親族に係る扶養控除の額は、63万円です。 |
③ | 老人扶養親族に係る扶養控除の額は、同居老親等に該当する場合58万円です。 |
<資料>給与所得控除額 | |
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 (最低55万円) |
180万円超 360万円以下 |
収入金額×30%+8万円 |
360万円超 660万円以下 |
収入金額×20%+44万円 |
660万円超 850万円以下 |
収入金額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円 |
1. | 635万円 |
2. | 650万円 |
3. | 700万円 |
一時所得=100万円-120万円+620万円-500万円-50万円=50万円で、これは2分の1相当額が総所得金額に算入されます。
よって、総所得金額=610+50万円×1/2=635万円となります。
1. | 「Aさんは、2020年分の所得税から最長で15年間、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます」 |
2. | 「転勤等のやむを得ない事由によりAさんが単身赴任で転居した場合、妻Bさんが引き続きマンションに居住していたとしても、単身赴任後は住宅借入金等特別控除の適用を受けることができなくなります」 |
3. | 「Aさんが2020年分の所得税において住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、一定の書類を添付して、所轄税務署長に確定申告書を提出する必要がありますが、翌年分以後の所得税については、年末調整においてその適用を受けることができます」 |
1. | 消費税率10%で住宅を購入し、2019年10月から2020年12月までに居住の用に供した場合の住宅ローン控除の控除期間は、最長13年間です。 |
2. | 転勤などのやむを得ない事由により転居した場合、一定要件を満たせば、単身赴任後に住宅ローン控除の適用を受けることができます。 |
3. | 正しい記述です。給与所得者が住宅ローン控除の適用を受けようとする場合、1年目は確定申告が必要で、2年目以降年末調整の対象になります。 |
Aさん(45歳)は、妻と子の3人でX市に住んでいる。2020年9月1日、故郷であるY市内の自宅(実家)で1人暮らしをしていた父Cさんが死亡し、Aさんおよび妹Bさん(43歳)は同日中にその相続開始の事実を知った。Aさんおよび妹Bさんは、それぞれが所有する持家に居住しており、今後、Y市内の自宅(実家)に戻る予定はない。なお、父Cさんは、生前に自筆証書による遺言書を作成し、自宅に保管していた。
<父Cさんの主な相続財産(みなし相続財産を含む)>
[現預金]
2,500万円
[自宅(実家)]
敷地(300㎡):4,000万円
建物(1978年築):400万円
[死亡保険金]
2,500万円(下記の生命保険契約によるもの)
<父Cさんが加入していた生命保険に関する資料>
保険の種類:終身保険
契約者(=保険料負担者):父Cさん
被保険者:父Cさん
死亡保険金受取人:妹Bさん
死亡保険金額:2,500万円
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
ⅰ) | 「父Cさんの相続における相続税額の計算上、遺産に係る基礎控除額は、( ① )万円となります」 |
ⅱ) | 「妹Bさんが受け取る死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることで、相続税の課税価格に算入される金額は、( ② )万円となります」 |
ⅲ) | 「相続税の申告書は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から( ③ )カ月以内に提出しなければなりません」 |
1. | ①4,200 ②1,000 ③4 |
2. | ①4,200 ②1,500 ③10 |
3. | ①4,800 ②1,500 ③4 |
① | 遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数です。 法定相続人の数は2人ですから、遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×2=4,200万円となります。 |
② | 死亡保険金の非課税金額=500万円×法定相続人の数です。 法定相続人の数は2人ですから、相続税の課税価格に算入される死亡保険金の額=2,500万円-500万円×2=1,500万円となります。 |
③ | 相続税の申告期限は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。 |
1. | 「自筆証書による遺言書を自宅で発見した相続人は、相続の開始を知った後、遅滞なく、その遺言書を所轄税務署長に提出して、その検認を請求しなければなりません」(注)制度改正あり |
2. | 「自宅(実家)を相続により取得したAさんが、『被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例』の適用を受けて、その敷地を譲渡した場合、最高1,000万円の特別控除の適用を受けることができます」 |
3. | 「Aさんおよび妹Bさんは、自宅(実家)の敷地について『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けることはできません」 |
1. |
遺言の検認は家庭裁判所で行います。 【改正後】なお、遺言保管制度を利用した自筆証書遺言であれば、検認は不要です。 |
2. | 「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」の適用を受けた場合、譲渡所得の額から最高3,000万円を控除する事ができます。 |
3. | 正しい記述です。「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」は、自己または配偶者の持ち家に居住している非同居親族は適用を受ける事ができません。 |
<資料>相続税の速算表(一部抜粋) | ||
法定相続分に 応ずる取得金額 |
税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% | 200万円 |
5,000万円超 10,000万円以下 |
30% | 700万円 |
1. | 325万円 |
2. | 650万円 |
3. | 800万円 |
5,000万円を法定相続分で按分すると、各人の法定相続分に応ずる取得金額は、
Aさん:2,500万円
Bさん:2,500万円
です。
よって、各人の法定相続分に応ずる取得金額に対応する相続税額は、
Aさん:2,500万円×15%-50万円=325万円
Bさん:2,500万円×15%-50万円=325万円
ですから、相続税の総額=325万円+325万円=650万円となります。
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