FP2級実技(FP協会)解説-2023年5月・問35~40
【問35】~【問40】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
国内の企業に勤務する西山裕子さんは、早期退職優遇制度を利用して、2023年9月に退職する予定である。そこで、退職後の生活のことや先日死亡した母の相続のことなどに関して、FPで税理士でもある駒田さんに相談をした。なお、下記のデータは2023年4月1日現在のものである。
国内の企業に勤務する西山裕子さんは、早期退職優遇制度を利用して、2023年9月に退職する予定である。そこで、退職後の生活のことや先日死亡した母の相続のことなどに関して、FPで税理士でもある駒田さんに相談をした。なお、下記のデータは2023年4月1日現在のものである。
【問35】
FPの駒田さんは、まず2023年4月1日現在における西山裕子さんのバランスシート分析を行うこととした。下表の空欄(ア)に入る数値を計算しなさい。
正解:8,660(万円)
<資産>
預貯金等:1,850万円
株式・投資信託:2,400万円+200万円
生命保険:500万円
自宅の敷地:3,500万円
自宅の建物:560万円
その他:180万円
より、計9,190万円です。
<負債>
住宅ローン:380万円
自動車ローン:70万円
相続税と税理士報酬:80万円
より、計530万円です。
したがって、純資産=9,190万円-530万円=8,660万円となります。
【問36】
下記<資料>は、裕子さんの2022年(令和4年)分の「給与所得の源泉徴収票(一部省略)」である。空欄(ア)に入る裕子さんの2022年分の所得税額として、正しいものはどれか。なお、裕子さんには、2022年において給与所得以外に申告すべき所得はなく、年末調整の対象となった所得控除以外に適用を受けることのできる所得控除はない。また、復興特別所得税は考慮しないこと。
<資料>
<資料>所得税の速算表 | ||
課税される 所得金額 |
税率 | 控除額 |
195万円未満 | 5% | - |
195万円以上 330万円未満 |
10% | 97,500円 |
330万円以上 695万円未満 |
20% | 427,500円 |
695万円以上 900万円未満 |
23% | 636,000円 |
900万円以上 1,800万円未満 |
33% | 1,536,000円 |
1,800万円以上 4,000万円未満 |
40% | 2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
1. | 292,500(円) |
2. | 324,500(円) |
3. | 388,500(円) |
4. | 420,500(円) |
正解:1
資料より、総所得金額(=給与所得の額)は、5,380,000円です。
また、所得控除の額は、基礎控除480,000円+社会保険料控除1,040,000円+生命保険料40,000円+地震保険料控除20,000円=1,580,000円です。
よって、課税総所得金額=5,380,000円-1,580,000円=3,800,000円となり、所得税の算出税額は、3,800,000円×20%-427,500円=332,500円となります。
したがって、住宅ローン控除の額が40,000円であることから、所得税額は、332,500円-40,000円=292,500円となります。
また、所得控除の額は、基礎控除480,000円+社会保険料控除1,040,000円+生命保険料40,000円+地震保険料控除20,000円=1,580,000円です。
よって、課税総所得金額=5,380,000円-1,580,000円=3,800,000円となり、所得税の算出税額は、3,800,000円×20%-427,500円=332,500円となります。
したがって、住宅ローン控除の額が40,000円であることから、所得税額は、332,500円-40,000円=292,500円となります。
【問37】
裕子さんは、勤務先の早期退職優遇制度を利用して2023年9月末に退職を予定している。裕子さんの退職に係るデータが下記<資料>のとおりである場合、裕子さんの退職一時金に係る所得税額を計算しなさい。なお、裕子さんは「退職所得の受給に関する申告書」を適正に提出し、勤務先の役員であったことはなく、退職は障害者になったことに基因するものではないものとする。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこととし、所得控除および復興特別所得税については考慮しないこととする。
<資料>
支給される退職一時金:2,500万円
勤続期間:21年4ヵ月
支給される退職一時金:2,500万円
勤続期間:21年4ヵ月
<資料>所得税の速算表 | ||
課税される 所得金額 |
税率 | 控除額 |
195万円未満 | 5% | - |
195万円以上 330万円未満 |
10% | 97,500円 |
330万円以上 695万円未満 |
20% | 427,500円 |
695万円以上 900万円未満 |
23% | 636,000円 |
900万円以上 1,800万円未満 |
33% | 1,536,000円 |
1,800万円以上 4,000万円未満 |
40% | 2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
正解:1,158,000(円)
勤続年数が20年を超える場合、退職所得控除額は、「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」の式で計算されます。
また、退職所得控除額の計算上勤続年数の1年未満の端数は切り上げますから勤続年数は22年となります。
よって、退職所得控除額=800万円+70万円×(22-20)=940万円となります。
ゆえに、退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2=(2,500万円-940万円)×1/2=780万円となります。
したがって、退職一時金に係る所得税額は、780万円×23%-636,000円=1,158,000円となります。
また、退職所得控除額の計算上勤続年数の1年未満の端数は切り上げますから勤続年数は22年となります。
よって、退職所得控除額=800万円+70万円×(22-20)=940万円となります。
ゆえに、退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2=(2,500万円-940万円)×1/2=780万円となります。
したがって、退職一時金に係る所得税額は、780万円×23%-636,000円=1,158,000円となります。
【問38】
裕子さんが取引をしている国内の証券会社から送付された2022年分の特定口座年間取引報告書(一部)が下記<資料>のとおりである場合、次の記述の空欄(ア)~(ウ)に入る適切な数値を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、同じ番号を何度選択してもよいこととする。また、復興特別所得税については考慮しないこと。
<語群>
1.-100,000 2.0(ゼロ) 3.5,000
4.15,000 5.20,000 6.30,000
7.45,000 8.60,000 9.100,000
1.-100,000 2.0(ゼロ) 3.5,000
4.15,000 5.20,000 6.30,000
7.45,000 8.60,000 9.100,000
正解:4、9、4
(ア) | 住民税の額は、配当所得の5%相当額ですから、300,000円×5%=15,000円です。 |
(イ) | 譲渡損失の金額は、2,800,000円-3,000,000円=▲200,000円ですから、配当所得の額(300,000円)と通算すると、損益通算後の配当所得の額は100,000円となります。 |
(ウ) | 本来納付するべき所得税の額は、損益通算後の配当所得の額の15%ですから、100,000円×15%=15,000円です。 |
【問39】
裕子さんは、母親の春美さんが亡くなるまでの一定期間、春美さんを介護するために会社を休んでいた。こうした介護を理由に休業する場合に支給される介護休業給付について、FPの駒田さんに質問をした。雇用保険制度の介護休業給付に関する次の説明の空欄(ア)~(エ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
「雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者が、配偶者や父母など対象となる家族を介護するために会社を休業した場合、一定の要件を満たせば介護休業給付金を受給することができます。介護休業給付金は、( ア )について、通算( イ )を限度に支給されます。また、この介護休業は( ウ )を限度に分割して取得することが可能で、そのたびに給付金を受給することができます。
1日当たりの給付金の支給額は、該当する被保険者が休業を開始した日の前日に離職したものとみなして計算する休業開始時賃金日額の( エ )となりますが、この賃金日額には上限があるほか、対象期間中に会社から一定額以上の賃金が支給されると、給付金が減額されたり不支給となったりする場合もあるので注意が必要です。」
1日当たりの給付金の支給額は、該当する被保険者が休業を開始した日の前日に離職したものとみなして計算する休業開始時賃金日額の( エ )となりますが、この賃金日額には上限があるほか、対象期間中に会社から一定額以上の賃金が支給されると、給付金が減額されたり不支給となったりする場合もあるので注意が必要です。」
1. | (ア)該当する被保険者 (イ)93日 (ウ)3回 (エ)50% |
2. | (ア)対象となる同じ家族 (イ)93日 (ウ)3回 (エ)67% |
3. | (ア)該当する被保険者 (イ)6ヵ月 (ウ)6回 (エ)67% |
4. | (ア)対象となる同じ家族 (イ)6ヵ月 (ウ)6回 (エ)50% |
正解:2
(ア) | 介護休業給付金の支給日数は、対象となる同じ家族(介護される人)ごとに計算されます。 |
(イ) | 介護休業給付金は、通算93日を限度に支給されます。 |
(ウ) | 介護休業給付金は、支給対象となる同じ家族について、最大で3回に分割して受け取ることが出来まs。 |
(エ) | 介護休業給付金の1日当たりの支給額は、休業開始時賃金日額の67%相当額です。 |
【問40】
裕子さんは、病気療養のため2023年3月、RA病院に6日間入院し、退院後の同月内に同病院に6日間通院した。裕子さんの2023年3月の1ヵ月間における保険診療分の医療費(窓口での自己負担分)が入院について18万円、退院後の通院について3万円、さらに入院時の食事代が9,000円、差額ベッド代が6万円であった場合、下記<資料>に基づく高額療養費として支給される額として、正しいものはどれか。なお、裕子さんは全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の被保険者であって標準報酬月額は44万円であるものとする。また、RA病院に「健康保険限度額適用認定証」の提示はしておらず、多数該当は考慮しないものとし、同月中に<資料>以外の医療費はないものとする。
<資料>
1. | 96,570円 |
2. | 125,570円 |
3. | 163,270円 |
4. | 192,270円 |
正解:2
入院時の食事代と差額ベッド代は、健康保険の給付(療養の給付)の対象外ですから、1ヵ月当たりの総医療費(保険診療分)は、(18万円+3万円)÷0.3=70万円と推定されます(総医療費の3割が21万円なので、総医療費は70万円と推定されます)。
よって、自己負担限度額は、80,100円+(700,000円-267,000円)×1%=84,430円となりますから、高額療養費として支給される金額は、210,000円-84,430円=125,570円となります。
よって、自己負担限度額は、80,100円+(700,000円-267,000円)×1%=84,430円となりますから、高額療養費として支給される金額は、210,000円-84,430円=125,570円となります。
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