お金の寺子屋

FP2級実技(FP協会)解説-2023年5月・問28~34

【問28】~【問34】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
鶴見義博さんは、民間企業に勤務する会社員である。義博さんと妻の由紀恵さんは、今後の資産形成や家計の見直しなどについて、FPで税理士でもある高倉さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2023年4月1日現在のものである。

<家族構成>
[鶴見 義博(本人)]
生年月日:1987年12月20日(35歳)
会社員(正社員)

[鶴見 由紀恵(妻)]
生年月日:1988年10月13日(34歳)
会社員(正社員)

[鶴見 涼太(長男)]
生年月日:2015年7月19日(7歳)
小学生

<収入金額(2022年)>
[義博さん]
給与収入450万円(手取り額)。給与収入以外の収入はない。

[由紀恵さん]
給与収入400万円(手取り額)。給与収入以外の収入はない。

[自宅]
賃貸マンションに居住しており、家賃は月額11万円(管理費込み)である。
マイホームとして販売価格4,000万円(うち消費税200万円)のマンションを購入する予定である。

<金融資産(時価)>
[義博さん名義]
銀行預金(普通預金):250万円
銀行預金(定期預金):250万円

[由紀恵さん名義]
銀行預金(普通預金):50万円
銀行預金(定期預金):250万円

[負債]
義博さんと由紀恵さんに負債はない。

<保険>
[収入保障保険A]
年金月額15万円。保険契約者(保険料負担者)および被保険者は義博さん、年金受取人は由紀恵さんである。

[低解約返戻金型終身保険B]
保険金額300万円。保険契約者(保険料負担者)および被保険者は由紀恵さんである。

【問28】
鶴見さん夫妻は、2023年7月にマンションを購入する予定である。鶴見さん夫妻が<設例>のマンションを購入する場合の販売価格のうち、土地(敷地の共有持分)の価格を計算しなさい。なお、消費税の税率は10%とし、計算結果については万円未満の端数が生じる場合は四捨五入すること。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。
正解:1,800(万円)
土地の売買代金には消費税はかかりませんから、購入金額に含まれる消費税の額は全額建物にかかるものといえます。
よって、建物の代金(税抜)は、200万円÷10%=2,000万円と推定されます。
ゆえに、土地の代金は、4,000万円-2,000万円-20万円=1,800万円となります。
【問29】
FPの高倉さんは、個人に対する所得税の仕組みについて義博さんから質問を受けた。高倉さんが下記<イメージ図>を使用して行った所得税に関する次の(ア)~(エ)の説明のうち、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

<イメージ図>
(出所:財務省HP「所得税の基本的な仕組み」を基に作成)
(ア) 「義博さんが収入保障保険の保険料を支払ったことにより受けられる生命保険料控除は、所得控除として、一定金額を所得金額から差し引くことができます。」
(イ) 「由紀恵さんがふるさと納税をしたことにより受けられる寄附金控除は、税額控除として、一定金額を所得税額から差し引くことができます。」
(ウ) 「義博さんが空き巣に入られ盗難被害を受けたことによって受けられる雑損控除は、税額控除として、一定金額を所得税額から差し引くことができます。」
(エ) 「由紀恵さんがケガで入院し入院費を支払ったことにより受けられる医療費控除は、所得控除として、一定金額を所得金額から差し引くことができます。」
正解:○、×、×、○
(ア) 正しい記述です。生命保険料控除は、所得控除です。
(イ) 寄付金控除は、所得控除です。
(ウ) 雑損控除は、所得控除です。
(エ) 正しい記述です。医療費控除は、所得控除です。
【問30】
義博さんは、生命保険の解約返戻金について、FPの高倉さんに質問をした。高倉さんが、生命保険の解約返戻金相当額について説明する際に使用した下記の<イメージ図>のうち、一般的な低解約返戻金型終身保険の解約返戻金相当額の推移に係る図として、最も適切なものはどれか。

<イメージ図>
正解:
低解約返戻型終身保険は、一定の低解約返戻期間(一般的には保険料払込期間)、低解約返戻型でない通常の終身保険に比べて、解約返戻金の額が低く抑えられている保険商品で低解約返戻期間を経過すると、解約返戻金の水準は、通常の終身保険と同水準になります。

【問31】
義博さんは、契約中の収入保障保険Aの保障額について、FPの高倉さんに質問をした。高倉さんが説明の際に使用した下記<イメージ図>を基に、2023年6月1日に義博さんが死亡した場合に支払われる年金総額
として、正しいものはどれか。なお、年金は毎月受け取るものとする。

<イメージ図>
義博さんは、収入保障保険Aを2016年6月1日に契約している。
保険期間は25年、保証期間は5年である。
1.   900万円
2. 3,240万円
3. 4,500万円
4. 5,400万円
正解:
<設例>より、年金月額は15万円であり、保険期間満了まで18年ですから、年金総額は、15万円/月×12月×18年=3,240万円となります。
なお、保証期間の5年は、保険期間の満了までの期間が5年未満である場合に5年間の支払いを保証するものですから、本問においては関係ありません。
【問32】
由紀恵さんは、義博さんが万一死亡した場合の公的年金の遺族給付について、FPの高倉さんに相談をした。義博さんが、2023年6月に35歳で在職中に死亡した場合に、由紀恵さんが受け取ることができる遺族給付を示した下記<イメージ図>の空欄(ア)〜(エ)に入る適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、義博さんは、20歳から大学卒業まで国民年金に加入し、大学卒業後の22歳から死亡時まで継続して厚生年金保険に加入しているものとする。また、家族に障害者に該当する者はなく、記載以外の遺族給付の受給要件はすべて満たしているものとする。

<イメージ図>
<語句群>
1.18歳 2.20歳 3.60歳 
4.65歳 5.70歳 
6.遺族基礎年金 
7.経過的寡婦加算 8.中高齢寡婦加算 
9.遺族厚生年金(義博さんの報酬比例部分の年金額の3分の2相当額) 
10.遺族厚生年金(義博さんの報酬比例部分の年金額の4分の3相当額)
正解:4、1、8、10
仮に義博さんが2023年6月に35歳で在職中に死亡した場合、陽子さんは遺族基礎年金の受給資格(国民年金の被保険者に生計を維持されていた子のある配偶者)と遺族厚生年金の受給資格(厚生年金保険の被保険者に生計を維持されていた妻)を満たします。
(ア) 中高齢寡婦加算は、妻が65歳になるまで加算されます。
(イ) 遺族基礎年金は、末子が18歳到達年度の末日を経過すると支給停止されます。
(ウ) 遺族基礎年金が支給停止されたとき、妻の年齢が40歳を越えていれば、妻が65歳になるまで、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されます。
(エ) 遺族遺族厚生年金の額は、死亡した人の報酬比例部分の年金額の4分の3相当額です。
【問33】
義博さんの健康保険料に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。なお、義博さんは全国健康保険協会管掌健康保険(以下「協会けんぽ」という)の被保険者である。また、健康保険料の計算に当たっては、下記<資料>に基づくこととする。

<資料>
[義博さんに関するデータ]
給与:基本給:毎月300,000円
   通勤手当:毎月15,000円
賞与:1回につき450,000円(年2回支給される)

[標準報酬月額]
標準報酬月額 報酬月額
300,000円 290,000円以上310,000円未満
320,000円 310,000円以上330,000円未満

[健康保険の保険料率]
介護保険第2号被保険者に該当しない場合:10.00%(労使合計)
介護保険第2号被保険者に該当する場合 :11.64%(労使合計)

(ア) 毎月の給与に係る健康保険料のうち、義博さんの負担分は15,000円である。
(イ) 年2回支給される賞与に係る健康保険料については、義博さんの負担分はない。
(ウ) 義博さんが負担した健康保険料は、所得税の計算上、全額が社会保険料控除の対象となる。
(エ) 協会けんぽの一般保険料率は都道府県支部単位で設定され、全国一律ではない。
正解:×、×、○、○
(ア) 通勤手当などの各種手当は、標準報酬月額に含まれます(所得税における取り扱いと混同しないでください)ので、標準報酬月額は32万円となります。
また、<設例>より、義博さんは35歳であり、介護保険第2号被保険者に該当しないことから、毎月の給与に係る健康保険料は、32万円×10%=32,000円となります。
この金額を労使折半しますから、義博さんの負担額は、32,000円×1/2=16,000円となります。
(イ) 賞与に係る健康保険料も、労使折半で負担します。
(ウ) 個人が負担した健康保険料は、所得税の計算上、全額が社会保険料控除の対象となります。
(エ) 協会けんぽの保険料率には、一般保険料と介護保険料率があり、一般保険料率は都道府県ごとに異なり、介護保険料率は全国一律です。
【問34】
義博さんの母親の弘子さんは今年65歳になる。義博さんは、弘子さんの老齢基礎年金の繰下げ受給についてFPの高倉さんに質問をした。老齢基礎年金の繰下げ受給に関する次の記述の空欄(ア)〜(ウ)に入る適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。

老齢基礎年金を繰下げ受給した場合は、65歳に達した月から支給繰下げの申し出を行った日の属する月の前月までの月数に応じて、次の増額率によって年金額が増額されます。
 増額率=(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数)×0.7%
従って、仮に68歳に達した月に支給繰下げの申し出をすると、65歳から支給される額の( ア )に増額され、この支給率は( イ )継続して適用されます。
なお、老齢基礎年金と併せて付加年金を受給できる場合、付加年金は( ウ )。
<語群>
1.102.1% 2.125.2% 3.133.6% 
4.一生涯 5.70歳に達するまでの間 
6.75歳に達するまでの間 
7.老齢基礎年金と同率で増額されます 
8.繰下げによる増額はありません
正解:2、4、7
(ア) 3年は36月ですから、0.7%×36月=25.2%増額されます。
(イ) 繰上げや繰下げにより増減額された金額は、一生涯継続して適用されます。
(ウ) 付加年金は老齢基礎年金と運命共同体ですから、老齢基礎年金を繰上げたり繰下げたりすると、同じ割合で増減額されます。

スポンサーリンク




スポンサーリンク



<戻る ホーム 進む>
LINEで送る
Pocket

コメントは受け付けていません。