FP2級実技(FP協会)解説-2022年5月・問11~22
【問11】
飯田敬介さん(61歳)が保険契約者(保険料負担者)および被保険者として加入している生命保険(下記<資料>参照)の保障内容に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値を解答欄に記入しなさい。なお、保険契約は有効に継続し、かつ特約は自動更新しているものとし、敬介さんはこれまでに<資料>の保険から、保険金・給付金を一度も受け取っていないものとする。また、各々の記述はそれぞれ独立した問題であり、相互に影響を与えないものとする。
<資料/保険証券1>
<資料/保険証券2>
・ | 敬介さんが現時点で、ケガで36日間入院し(手術は受けていない)、その後「要介護2」の状態に認定された場合、保険会社から支払われる保険金・給付金の給付初年度の合計は( ア )万円である。 |
・ | 敬介さんが現時点で、初めてがん(悪性新生物)と診断され、治療のため42日間入院し、その間に約款所定の手術(給付倍率40倍)を1回受けた場合、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( イ )万円である。 |
・ | 敬介さんが現時点で、交通事故で死亡(入院・手術なし)した場合、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( ウ )万円である。 |
※ | 約款所定の手術は無配当定期保険特約付終身保険および終身医療保険ともに該当するものである。 |
正解:214、1,080、5,320
(ア) | 疾病入院特約5,000円×(36-4)+入院給付金5,000円×36+介護給付金(一時金)120万円+介護給付金(終身介護年金)60万円=214万円となります。 |
(イ) | 三大疾病保障定期保険特約1,000万円+疾病入院特約5,000円×(42-4)+手術給付金5,000円×40+入院給付金5,000円×42+手術給付金5,000円×40=1,080万円となります。 |
(ウ) | 終身保険300万円+定期保険特約2,000万円+三大疾病保障定期保険特約1,000万円+災害割増特約2,000万円+死亡・高度障害保険金20万円=5,320万円となります。 |
【問12】
西山忠一さんが2021年中に支払った定期保険特約付終身保険とがん保険の保険料は下記<資料>のとおりである。忠一さんの2021年分の所得税の計算における生命保険料控除額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の保険について、これまでに契約内容の変更はないものとする。また、2021年分の生命保険料控除額が最も多くなるように計算すること。
<資料>
[定期保険特約付終身保険(無配当)]
契約日:2011年3月1日
保険契約者:西山 忠一
被保険者:西山 忠一
死亡保険金受取人:西山 美香(妻)
2021年の年間支払保険料:99,840円
[がん保険(無配当)]
保険契約者:西山 忠一
被保険者:西山 忠一
死亡保険金受取人:西山 美香(妻)
2021年の年間支払保険料:57,560円
<所得税の生命保険料控除額の速算表>
1. | 76,890円 |
2. | 81,890円 |
3. | 86,850円 |
4. | 91,850円 |
正解:3
定期保険特約付終身保険の保険料は、旧契約に係る一般の生命保険料控除の対象となり、がん保険の保険料は、新契約に係る介護医療保険料控除の対象となります。
よって、一般の生命保険料控除の額=99,840円×1/4+25,000円+67,560円×1/4+20,000円=86,850円となります。
よって、一般の生命保険料控除の額=99,840円×1/4+25,000円+67,560円×1/4+20,000円=86,850円となります。
【問13】
株式会社LPの専務取締役の関根さんが任期満了で退職した場合、同社の役員退職慰労金規程に基づき受け取ることができる役員退職慰労金の金額を計算しなさい。なお、解答は以下の<前提条件>および<資料>に基づくものとし、記載のない事項については一切考慮しないものとする。
<前提条件> | |
・ | 入社時年齢:35歳 |
・ | 退職時年齢:70歳(役員在任年数35年間) |
・ | 入社から退職までの役位は継続して専務取締役 |
・ | 退職時の最終報酬月額:60万円 |
<資料:株式会社LPの役員退職慰労金規程>
正解:5,040
60万円×35×2.4=5,040万円となります。
【問14】
下記<資料>に基づき、山根さんが契約している普通傷害保険について、FPの安藤さんの次の説明の空欄(ア)~(エ)に入る適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、同じ語句を何度選んでもよいこととし、他の保険金の支払い要件はすべて満たしているものとする。
<資料>
・ | 「山根さんが就寝中に発生した地震で、倒れてきたタンスの下敷きになり、腕を骨折して10日間病院に通院治療した場合、受け取れる保険金は( ア )です。」 |
・ | 「山根さんが仕事中の事故でケガを負い、その日から20日間病院に入院した場合(手術は受けていない)、受け取れる保険金は( イ )です。」 |
・ | 「山根さんが交通事故により傷害後遺障害第6級に該当した場合、受け取れる傷害後遺障害保険金は( ウ )です。」 |
・ | 「山根さんの飼い犬が近所の子どもにかみついてケガをさせ、法律上の損害賠償責任を負った場合、その損害に対して支払われる保険金の限度額は( エ )です。」 |
<語群>
1. 0円 2. 2万円 3. 4万円 4. 5万円
5. 10万円 6. 420万円 7. 500万円 8. 590万円
9. 690万円 10. 1,000万円 11. 1億円
1. 0円 2. 2万円 3. 4万円 4. 5万円
5. 10万円 6. 420万円 7. 500万円 8. 590万円
9. 690万円 10. 1,000万円 11. 1億円
<語群>
1. 0円 2. 2万円 3. 4万円
4. 5万円 5. 10万円 6. 420万円
7. 500万円 8. 590万円
9. 690万円 10. 1,000万円
11. 1億円
1. 0円 2. 2万円 3. 4万円
4. 5万円 5. 10万円 6. 420万円
7. 500万円 8. 590万円
9. 690万円 10. 1,000万円
11. 1億円
正解:2、5、7、11
(ア) | 傷害通院保険金2,000円×10=2万円です。 |
(イ) | 傷害入院保険金5,000円×20=10万円です。 |
(ウ) | 傷害後遺障害第6級に該当した場合に支払われる傷害後遺障害保険金の額は、傷害後遺障害の等級ごとの保険金額表より、5,000,000円である事が分かります。 |
(エ) | 日常生活における様々な賠償事故は個人賠償責任保険によって備えることができます。<資料>より、個人賠償責任保険からは、1事故あたり1億円まで保険金が支払われることが分かります。 |
【問15】
飲食店を営む個人事業主の柴田さんは、2020年7月に乗用車(新車)を購入し、その日から2021年12月まで引き続き事業の用に供している。購入した乗用車に関する内容が以下のとおりである場合、柴田さんの2021年分の所得税における事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべき減価償却費の金額として、正しいものはどれか。なお、柴田さんは個人事業の開業年(2015年)において、車両の減価償却方法として定率法を選択している。また、償却保証額は考慮しないこととし、計算過程および計算結果において、円未満の端数が生じたときは、これを切り上げること。
<乗用車に関する内容>
資産名:乗用車
取得年月:2020年7月
法定耐用年数:6年
取得価額:3,500,000円
事業専用割合:100%
資産名:乗用車
取得年月:2020年7月
法定耐用年数:6年
取得価額:3,500,000円
事業専用割合:100%
<定率法による償却率等>
法定耐用年数6年:0.333
法定耐用年数6年:0.333
1. | 583,334円 |
2. | 777,389円 |
3. | 971,445円 |
4. | 1,165,500円 |
正解:3
2020年の減価償却費=350万円×0.333×1/2=582,750円です。
よって、2021年1月1日時点の車両の未償却残高は、350万円-582,750円=2,917,250円ですから、2021年の減価償却費は、2,917,250円×0.333=971,444.25円≒971,445円(円未満切り上げ)となります。
よって、2021年1月1日時点の車両の未償却残高は、350万円-582,750円=2,917,250円ですから、2021年の減価償却費は、2,917,250円×0.333=971,444.25円≒971,445円(円未満切り上げ)となります。
【問16】
退職所得に関する次の(ア)~(ウ)の記述のうち、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。
(ア) | 障害者になったことを直接の原因として勤続年数10年で退職した場合の退職所得控除額は、「40万円×勤続年数」により計算した額に50万円を加えた金額となる。 |
(イ) | 退職所得控除額を計算する際の勤続年数に1年未満の端数があるときには、その端数は切り上げて勤続年数に含めて計算する。 |
(ウ) | 退職所得の金額は、役員の場合でもその在任(勤続)年数に関わらず、退職一時金の額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する額となる。 |
正解:×、◯、×
(ア) | 障害者になったことを直接の原因として退職した場合の退職所得控除額は、通常のルールで計算した退職所得控除額に100万円を加えた金額となります。 |
(イ) | 正しい記述です。 |
(ウ) | 退職所得の計算において、役員等勤続年数が5年以下である者が、その役員勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるもの(特定役員退職手当等)については、収入金額から退職所得控除額を控除した残額を退職所得とします(2分の1は掛けません)。 |
【問17】
会社員の明石さんが2021年に支払った保険料等は下記のとおりである。この場合の明石さんの2021年分の所得税における社会保険料控除額を計算しなさい。なお、記載のない条件については一切考慮しないこととする。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。
保険料等の種類 | 支払金額 (年額)(※1) |
健康保険料 | 17万円 |
介護保険料(※2) | 3万円 |
厚生年金保険料 | 33万円 |
雇用保険料 | 1万円 |
企業型確定拠出年金の マッチング拠出の掛金 |
5万円 |
確定給付企業年金の 加入者拠出掛金 |
12万円 |
(※1) | いずれも明石さんの給与明細および賞与明細に記載された給与および賞与から控除された保険料等の年額であり、会社負担額を含まない。 |
(※2) | 介護保険法の規定による介護保険料である。 |
正解:54
個人が拠出した、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料は、全額社会保険料控除の対象となります。
個人が拠出した確定拠出年金の掛金は、全額小規模企業共済等掛金控除の対象になり、確定給付企業年金の加入者拠出掛金は、生命保険料控除もしくは小規模企業共済等掛金控除の対象になります。
よって、社会保険料控除の額は、17万円+3万円+33万円+1万円=54万円となります。
個人が拠出した確定拠出年金の掛金は、全額小規模企業共済等掛金控除の対象になり、確定給付企業年金の加入者拠出掛金は、生命保険料控除もしくは小規模企業共済等掛金控除の対象になります。
よって、社会保険料控除の額は、17万円+3万円+33万円+1万円=54万円となります。
【問18】
会社員の福岡さんは、2021年中に下記の配当の支払いを受けた。配当所得についてすべて総合課税による確定申告を選択した場合、福岡さんの2021年分の所得税における配当控除の金額として、正しいものはどれか。なお、福岡さんの所得は給与所得、配当所得のみであり、記載のない条件については一切考慮しないこととする。
<福岡さんが2021年中に受け取った配当等>
[株式会社WA]
配当等の金額(税引前):350,000円
上記の計算期間:12ヵ月
内国法人の上場株式から生じた利益剰余金の配当
[株式会社WB]
配当等の金額(税引前):250,000円
上記の計算期間:12ヵ月
内国法人の非上場株式から生じた利益剰余金の配当で、少額配当に該当するものはない。
<福岡さんの給与所得、所得控除額>
給与所得:1,200万円
所得控除額:210万円
給与所得:1,200万円
所得控除額:210万円
<配当控除の控除率>
1. | 25,000円 |
2. | 30,000円 |
3. | 35,000円 |
4. | 55,000円 |
正解:3
配当金を除く課税総所得金額等は、1,200万円-210万円=990万円ですから、受け取った配当所得60万円のうち、10万円が課税総所得金額等1,000万円以下の部分となり、50万円が課税総所得金額等1,000万円超の部分となります。
よって、配当控除の額は、10万円×10%+50万円×5%=35,000円となります。
よって、配当控除の額は、10万円×10%+50万円×5%=35,000円となります。
【問19】
下記の相続事例(2022年4月15日相続開始)における相続税の課税価格の合計額を計算しなさい。なお、記載のない条件については一切考慮しないこととする。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。
<課税価格の合計額を算出するための財産等の相続税評価額>
土地:1,000万円(「小規模宅地等の評価減の特例」適用後)
建物:500万円
現預金:1,000万円
死亡保険金:2,500万円(生命保険金等の非課税限度額控除前)
債務および葬式費用:300万円
土地:1,000万円(「小規模宅地等の評価減の特例」適用後)
建物:500万円
現預金:1,000万円
死亡保険金:2,500万円(生命保険金等の非課税限度額控除前)
債務および葬式費用:300万円
<親族関係図>
※ | 「小規模宅地等の評価減の特例」の適用対象となる要件はすべて満たしており、その適用を受けるものとする。 |
※ | 死亡保険金はすべて被相続人の配偶者が受け取っている。 |
※ | すべての相続人は、相続により財産を取得している。 |
※ | 相続開始前3年以内に被相続人からの贈与により財産を取得した相続人はおらず、相続時精算課税制度を選択した相続人もいない。また、相続を放棄した者もいない。 |
※ | 債務および葬式費用は被相続人の配偶者がすべて負担している。 |
正解:3,200
死亡保険金の非課税枠は500万円×法定相続人の数であり、法定相続人の数は3人ですから、死亡保険金の非課税枠は500万円×3=1,500万円になります。
よって、相続税の課税価格の合計額=1,000万円+500万円+1,000万円+(2,500万円-1,500万円)-300万円=3,200万円となります。
よって、相続税の課税価格の合計額=1,000万円+500万円+1,000万円+(2,500万円-1,500万円)-300万円=3,200万円となります。
【問20】
下記<親族関係図>の場合において、民法の規定に基づく法定相続分および遺留分に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)に入る適切な語句または数値を語群の中から選び、解答欄に記入しなさい。なお、同じ語句または数値を何度選んでもよいこととする。
<親族関係図>
<親族関係図>
[各人の法定相続分と遺留分] | |
・ | 被相続人の配偶者の法定相続分は( ア )。 |
・ | 被相続人の兄の法定相続分は( イ )。 |
・ | 被相続人の母の遺留分は( ウ )。 |
<語群>
なし 1/2 1/3 2/3 1/4
3/4 1/6 1/8 1/12
なし 1/2 1/3 2/3 1/4
3/4 1/6 1/8 1/12
正解:2/3、なし、1/6
(ア) | 相続人の組み合わせが、配偶者相続人と第2順位の血族相続人である場合、配偶者相続人の法定相続分は3分の2になります。 |
(イ) | 第3順位の血族相続人になるべき人は、第1順位の血族相続人または、第2順位の血族相続人がいる場合には相続人にはなれませんから、その場合、法定相続分はありません。 |
(ウ) | 抽象的遺留分の割合は、相続人が直系尊属のみである場合を除いて、遺留分算定基礎財産の2分の1相当額です。また、具体的遺留分の割合は抽象的遺留分に法定相続分をかけたものですから、母の遺留分は、1/2×1/3=1/6となります。 |
【問21】
相続税における「小規模宅地等の評価減の特例」に関する下表の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値の組み合わせとして、正しいものはどれか。
※ | 特定事業用宅地等と貸付事業用宅地等については、一定の場合に該当しない限り、相続開始前3年以内に新たに(貸付)事業の用に供された宅地等を除く。 |
1. | (ア)330 (イ)240 (ウ)70 |
2. | (ア)330 (イ)200 (ウ)80 |
3. | (ア)300 (イ)240 (ウ)70 |
4. | (ア)300 (イ)200 (ウ)80 |
正解:2
(ア) | 特定居住用宅地等は、330㎡まで評価減の特例を受けることができます。 |
(イ) | 貸付事業用宅地等は、200㎡まで評価減の特例を受けることができます。 |
(ウ) | 「特定」の文字が付く区分の宅地に対する減額割合は、80%です。 |
【問22】
下記<資料>の宅地(貸家建付地)に係る路線価方式による相続税評価額の計算式として、正しいものはどれか。
<資料>
<資料>
注1 | : | 奥行価格補正率 1.00 |
注2 | : | 借地権割合 60% |
注3 | : | 借家権割合 30% |
注4 | : | この宅地には宅地所有者の所有する賃貸マンションが建っており、現在満室(すべて賃貸中)となっている。 |
注5 | : | その他の記載のない条件は一切考慮しないものとする。 |
1. | 250,000円×1.00×400㎡ |
2. | 250,000円×1.00×400㎡×60% |
3. | 250,000円×1.00×400㎡×(1-60%) |
4. | 250,000円×1.00×400㎡×(1-60%×30%×100%) |
正解:4
貸家建付地の相続税評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)です。
なお、自用地評価額=路線価×地積×各種補正率です。
なお、自用地評価額=路線価×地積×各種補正率です。
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