お金の寺子屋

FP2級実技(FP協会)解説-2022年5月・問1~10

【問1】
ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)は、ファイナンシャル・プランニング業務を行ううえで関連業法等を順守することが重要である。FPの行為に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

(ア) 社会保険労務士資格を有していないFPが、顧客である個人事業主が受ける雇用関係助成金申請の書類を作成して手続きを代行し、顧客から報酬を受け取った。
(イ) 生命保険募集人・保険仲立人の登録を受けていないFPが、生命保険契約を検討している顧客のライフプランに基づき、具体的な必要保障額を試算した。
(ウ) 税理士資格を有していないFPが、参加費無料の相談会で、相談者が持参した資料に基づき、具体的な納税額を計算した。
(エ) 弁護士資格を有していないFP(遺言者や公証人と利害関係はない成年者)が、顧客から依頼されて公正証書遺言の証人となり、顧客から適正な報酬を受け取った。
正解:×、◯、×、◯
(ア) 社会保険労務士の資格を有しない人は、社会保険の申請書の作成や手続きの代行をすることができません(但し、弁護士の資格を有している場合には可能です)。
(イ) 必要保障額の計算は誰でもすることができます。
(ウ) 税理士の資格を有しない人は、具体的な納税額の計算をすることができません。
(エ) 公正証書遺言の証人になるために有しておかなくてはいけない資格はありません。
【問2】
フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)を遂行する軸として金融庁が公表した「顧客本位の業務運営に関する原則」(以下「本原則」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1. 本原則では、金融事業者は顧客の資産状況、取引経験、知識等を把握し、当該顧客にふさわしい金融商品の販売、推奨等を行うべきだとしている。
2. 本原則は、金融庁が原則のみを示し、金融事業者が各々の置かれた状況に応じて自主的に方針の策定に取り組むように促すものである。
3. 本原則を採択する場合、金融事業者が策定した業務運営に関する方針は、一貫して継続する必要があるため、定期的な見直しは不要である。
4. 金融事業者が、本原則を採択したうえで、自らの状況等に照らし、本原則の一部を実施しない場合は、その理由や代替策を十分に説明することが求められる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 金融事業者が策定した業務運営に関する方針は、より良い業務運営を実現するため、定期的に見直されるべきであると言えます。
4. 正しい記述です。
【問3】
下記<資料>は、2022年4月28日時点の室井さん夫婦(隆雄さんと美也子さん)のMV銀行(日本国内に本店のある普通銀行)における金融資産(時価)の一覧表である。この時点においてMV銀行が破綻した場合に、預金保険制度によって保護される金融資産の金額に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値を解答欄に記入しなさい。

<資料>
隆雄さんおよび美也子さんはともに、MV銀行からの借入れはない。
普通預金は決済用預金ではない。
預金の利息については考慮しないこととする。
MV銀行は過去1年以内に他行との合併等を行っていないこととする。
隆雄さんの金融資産のうち、預金保険制度によって保護される金額は( ア )万円である。
美也子さんの金融資産のうち、預金保険制度によって保護される金額は( イ )万円である。
正解:940、390
普通預金、定期預金、財形貯蓄は、元本1,000万円とその利息まで預金保険制度による保護の対象になりますが、投資信託や外貨預金は預金保険制度による保護の対象にはなりません。
よって、隆雄さんの金融資産のうち保護される金額は、120万円+420万円+380万円+20万円=940万円となります。
また、美也子さんの金融資産のうち保護される金額は、40万円+280万円+10万円+60万円=390万円となります。
【問4】
財形貯蓄制度に関する下表の空欄(ア)~(エ)にあてはまる数値を語群の中から選び、解答欄に記入しなさい。なお、同じ数値を何度選んでもよいこととする。

問題作成の都合上、一部を「**」としている。また、復興特別所得税は考慮していない。
<語句群>
1 5 10 20 50 55 
60 500 550 600
正解:55、5、550、5
(ア) 財形年金貯蓄財形住宅貯蓄は、契約時の年齢が満55歳未満でなくては、契約することができません。
(イ) 財形年金貯蓄財形住宅貯蓄は、原則として、5年以上の期間にわたって積立なくてはいけません。
(ウ) 財形年金貯蓄財形住宅貯蓄の保険型商品は、財形年金貯蓄と合算して550万円までしか保険料を払い込むことができません。
(エ) 財形住宅貯蓄の貯蓄型の商品について、目的外の払い戻しを受けた場合、過去5年間に遡って課税されます。
【問5】
長谷川さんは、保有しているRM投資信託(追加型国内公募株式投資信託)の収益分配金を2022年2月に受け取った。RM投資信託の運用状況が下記<資料>のとおりである場合、収益分配後の個別元本として、正しいものはどれか。

<資料>
[長谷川さんが保有するRM投資信託の収益分配金受取時の状況]
収益分配前の個別元本:15,750円
収益分配前の基準価額:16,500円
収益分配金:1,000円
収益分配後の基準価額:15,500円
1. 15,000円
2. 15,500円
3. 15,750円
4. 16,500円
正解:
分配金1,000円のうち、個別元本を上回る部分(普通分配金)は750円で、下回る部分(元本払戻金)は250円です。
分配落ち後の個別元本(正味の投資額)は、分配落ち前の個別元本-元本払戻金の額の式で計算されますから、分配落ち後の個別元本=15,750円-250円=15,500円となります。

【問6】
大下さんは、少額の資金で多額の取引ができるデリバティブ取引に興味を持ち、FPの有馬さんに株価指数先物取引の仕組みについて質問をした。FPの有馬さんが下記<取引例>に基づいて説明した内容の空欄(ア)~(エ)にあてはまる数値または語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、手数料や税金等については考慮しないものとする。

<取引例>
<FPの有馬さんの説明>
<取引例>の場合、資金決済は決済取引時に( ア )円の( イ )となります。このように、株価指数先物取引では、新規取引と決済取引のそれぞれで多額の資金決済を必要とせず、決済取引時に差金決済できることから、少額の資金で多額の取引ができる( ウ )効果があるといえます。なお、新規取引から決済取引までの間は、担保金として( エ )を差し入れる必要があります。
1. (ア)1,000,000 (イ)支払い 
(ウ)バイアス  (エ)供託金
2. (ア)1,000,000 (イ)受取り 
(ウ)レバレッジ (エ)証拠金
3. (ア)  1,000 (イ)支払い 
(ウ)バイアス  (エ)供託金
4. (ア)  1,000 (イ)受取り 
(ウ)レバレッジ (エ)証拠金
正解:
(ア) 取引単位が1,000倍の先物を単価31,000円で2枚(3,100万円×2)買い建てたのち、これを単価31,500円(3,150万円×2)で売却していますから、31,500円×1,000×2-31,000円×1,000×2=1,000,000円受け取る事になります。
(イ) 同上
(ウ) 少額の資金で多額の取引をすることにより、元手の資金に対する利益率を上げる効果をレバレッジ効果といいます。
(エ) 先物取引において担保として差し入れるお金を証拠金と言います。
【問7】
建築基準法に従い、下記<資料>の甲土地に建物を建てる場合の建築面積の最高限度を計算しなさい。なお、<資料>に記載のない条件については一切考慮しないこととする。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと(解答用紙に記載されているマス目に数値を記入すること)。

<資料>
正解:172.8㎡
道路の反対側が宅地で、敷地が面している道路の幅員が4mに満たない場合、道路の中心線から2m後退した線が、道路と敷地の境界線とされます。
よって、道路と敷地の境界線は、2m-2.8m÷2=0.6m後退した線となり、建築基準法上の敷地面積は、20m×(15m-0.6m)=288㎡となります。
よって、建築面積の最高限度は、288㎡×60%=172.8㎡となります。
【問8】
下記<資料>は、大垣一郎さんが所有する土地の登記事項証明書の一部である。この登記事項証明書に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。なお、<資料>に記載のない事項は一切考慮しないこととする。

<資料>
問題作成の都合上、一部を「***」としている。
(ア) 登記事項証明書は、法務局などにおいて手数料を納付すれば、誰でも交付の請求をすることができる。
(イ) この土地には株式会社PK銀行の抵当権が設定されているが、別途、ほかの金融機関が抵当権を設定することも可能である。
(ウ) 上記<資料>から、抵当権の設定当時、青山二郎さんがこの土地の所有者であったことが確認できる。
(エ) 青山二郎さんが株式会社PK銀行への債務を完済すると、当該抵当権の登記は自動的に抹消される。
正解:◯、◯、×、×
(ア) 正しい記述です。
(イ) 正しい記述です。抵当権は複数設定することができます。
(ウ) 権利部の乙区からは、所有権に関する情報を読み取ることはできません(他人の土地を抵当に入れることも可能であるため、抵当権を設定した債務者が、抵当権設定時のその土地の所有者であるとは言えません)。
(エ) 抵当権を設定する原因となった債務を完済した場合、当該抵当権の登記は自動的には抹消されず、抹消するためには抹消登記を行う必要があります。
【問9】
公的な土地評価に関する下表の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

問題作成の都合上、一部を「**」としている。
1. (ア)国土交通省 (イ)70% (ウ)贈与税
2. (ア)国土交通省 (イ)80% (ウ)贈与税
3. (ア)  内閣府 (イ)80% (ウ)不動産取得税
4. (ア)  内閣府 (イ)70% (ウ)不動産取得税
正解:
(ア) 公示価格は国土交通省が公表します。
(イ) 固定資産税評価額は公示価格の70%を目安に設定されます。
(ウ) 相続税路線価は相続税や贈与税の計算をする際に用いるものです。なお、不動産取得税の課税標準は、固定資産税評価額です。
【問10】
杉山さんは、9年前に相続により取得し、その後継続して居住している自宅の土地および建物の売却を検討している。売却に係る状況が下記<資料>のとおりである場合、所得税における課税長期譲渡所得の金額として、正しいものはどれか。なお、<資料>に記載のない事項は一切考慮しないこととする。

<資料>
取得費:土地および建物とも不明であるため概算取得費とする。
譲渡価額(合計):6,600万円
譲渡費用(合計):240万円
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例の適用を受けるものとする。
所得控除は考慮しないものとする。
1. 3,600万円
2. 3,360万円
3. 3,270万円
4. 3,030万円
正解:
概算取得費は収入金額の5%相当額ですから、6,600万円×5%=330万円となります。
よって、譲渡所得の額=6,600万円-330万円-240万円-3,000万円=3,030万円となります。

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