FP2級実技(FP協会)解説-2022年1月・問11~22
【問11】
池谷勇樹さん(55歳)が保険契約者(保険料負担者)および被保険者として加入している生命保険(下記<資料>参照)の保障内容に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値を解答欄に記入しなさい。なお、保険契約は有効に継続し、かつ特約は自動更新しているものとし、勇樹さんはこれまでに<資料>の保険から、保険金・給付金を一度も受け取っていないものとする。また、各々の記述はそれぞれ独立した問題であり、相互に影響を与えないものとする。
<資料/保険証券1>
<資料/保険証券2>
・ | 勇樹さんが現時点で、慢性肝炎で18日間入院し、退院してから24日後に同じ病気で再度6日間入院した場合(いずれも手術は受けていない)、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( ア )万円である。 |
・ | 勇樹さんが現時点で、初めてがん(悪性新生物)と診断され、治療のため38日間入院し、その間に約款所定の手術(給付倍率40倍)を1回受けた場合、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( イ )万円である。 |
・ | 勇樹さんが現時点で、交通事故で死亡(入院・手術なし)した場合、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( ウ )万円である。 |
※ | 約款所定の手術は無配当定期保険特約付終身保険および終身がん保険ともに該当するものである。 |
正解:10、695、7,010
(ア) | 180日以内に同じ病院で再度入院した場合は、1回の入院とみなされますから、18+6=24日入院したと考えます。よって、支払われる保険金と給付金の合計は、疾病入院特約5,000円×(24-4)=10万円となります。 |
(イ) | 三大疾病保障定期保険特約500万円+疾病入院特約5,000円×(38-4)+手術給付金5,000円×40+がん診断給付金100万円+がん入院給付金1万円×38+がん手術給付金20万円=695万円となります。 |
(ウ) | 終身保険200万円+定期保険特約2,800万円+三大疾病保障定期保険特約500万円+災害割増特約3,500万円+死亡給付金10万円=7,010万円となります。 |
【問12】
最上さん(66歳)の2021年分の収入は、下記<資料>のとおりである。最上さんの2021年分の所得税における雑所得の金額として、正しいものはどれか。
<資料:公的年金および個人年金の明細> | ||
年金額 (収入金額) |
源泉徴収 された税額 |
|
老齢基礎年金 | 72万円 | なし |
遺族厚生年金 | 112万円 | なし |
個人年金(注) | 100万円 | 30,630円 |
(注) | 必要経費となる個人年金保険料は、70万円である。 |
<65歳未満の者の公的年金等控除額の速算表> | |
収入金額(A) | 公的年金等控除額 |
130万円未満 | 60万円 |
130万円以上 410万円未満 |
A×25%+27.5万円 |
410万円以上 770万円未満 |
A×15%+68.5万円 |
770万円以上 1,000万円未満 |
A×5%+145.5万円 |
1,000万円以上 | A×5%+145.5万円 |
<65歳以上の者の公的年金等控除額の速算表> | |
収入金額 | 公的年金等控除額 |
330万円未満 | 110万円 |
330万円以上 410万円未満 |
A×25%+27.5万円 |
410万円以上 770万円未満 |
A×15%+68.5万円 |
770万円以上 1,000万円未満 |
A×5%+145.5万円 |
1,000万円以上 | A×5%+145.5万円 |
※ | いずれも、公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下の場合 |
1. | 269,370円 |
2. | 300,000円 |
3. | 1,009,370円 |
4. | 1,740,000円 |
正解:2
老齢基礎年金は公的年金等に係る雑所得となり、遺族厚生年金は非課税で、個人年金の年金額は公的年金以外の雑所得です。
公的年金等に係る雑所得の額は、収入金額が公的年金等控除額を下回りますから0になります。
公的年金以外の雑所得の額は、100万円-70万円=30万円です。
よって、雑所得の金額は30万円になります。
<注>
源泉徴収された税額は税金の仮払ですから、所得の計算に影響を与えません(必要経費に算入されません)
【問13】
高倉邦治さんが契約している第三分野の保険(下記<資料>参照)の契約に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。なお、保険契約は有効に成立しており、記載のない事項については一切考慮しないこととする。
<資料1:保険証券(一部抜粋)>
<資料2:介護保障保険B約款(一部抜粋)>
(ア) | 邦治さんが、がん(悪性新生物)と診断され、特定疾病保障保険Aから特定疾病保険金が支払われた場合、特定疾病保障保険Aの契約は終了となる。 |
(イ) | 邦治さんが、疾病により余命1年以内と診断された場合、介護保障保険Bから死亡保険金の一部または全部を受け取ることができる。 |
(ウ) | 邦治さんが、公的介護保険制度の要介護3に認定された場合、介護保障保険Bから介護保険金を受け取ることができる。 |
(エ) | 邦治さんが、常時寝たきり状態で、ベッド周辺の歩行、入浴および大小便の排泄後の拭き取り始末が自分ではできなくなり、他人の介護を要する状態が180日以上継続した場合、介護保障保険Bから介護保険金を受け取ることができる。 |
正解:○、×、○、○
(ア) | 正しい記述です。特定疾病保障保険の特定疾病保険金が支払われると、当該特定疾病保険の契約は終了します。 |
(イ) | リビングニーズ特約は、余命6ヵ月以内と診断された場合に、死亡保険金の一部または全部を生前に受け取ることができる特約です。 |
(ウ) | 正しい記述です。資料より、公的介護保険制度に定める要介護2以上の状態になった場合に、介護保険金が支払われると分かります。 |
(エ) | 正しい記述です。資料の介護保険金の支払事由②に該当しますから、介護保険金が支払われます。 |
【問14】
野村洋平さんが契約している火災保険(地震保険付帯、下記<資料>参照)の契約に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。なお、超過保険や一部保険には該当しないものとし、<資料>に記載のない特約等については付帯がないものとする。また、保険契約は有効に継続しているものとする。
<資料1:保険証券>
<資料2:付帯している特約(水災支払方法縮小特約(縮小割合70%型))>
<資料3:地震保険 損害の程度と認定の基準(建物)>
(ア) | 台風による強風で看板が飛来し、野村さんの住宅建物が損害を被った場合、補償の対象にならない。 |
(イ) | 野村さんの住宅に空き巣が侵入し、時価25万円の骨董品が盗まれた場合、補償の対象にならない。 |
(ウ) | 豪雨による床上浸水で野村さんの住宅建物が保険価額の20%の損害を被った場合、280万円の保険金を受け取ることができる。 |
(エ) | 野村さんの住宅建物が地震による火災で延床面積の60%の床面積を焼失した場合、地震保険の損害の程度は「大半損」に該当する。 |
正解:○、×、×、○
(ア) | 資料1の保険証券では、風災は補償の対象外とされています。 |
(イ) | 一個又は一組の価額が30万円未満の資産が盗難された場合には、保険証券に明記していなくても補償の対象になります。 |
(ウ) | 資料2より、床上浸水により建物が保険価額の20%の損害を被った場合、1,400万円×10%=140万円の保険金が支払われます。 |
(エ) | 正しい記述です。資料3より、地震等により損害を受け、焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延べ床面積の50%以上70%未満となった場合には、大半損に該当します。 |
【問15】
馬場さんは、2021年12月末で25年9ヵ月勤め続けてきたHB株式会社を退職した(支給された退職一時金は1,500万円である)。馬場さんの退職一時金に係る退職所得の金額として、正しいものはどれか。なお、「退職所得の受給に関する申告書」は適正に提出している。また、馬場さんは、勤務先の役員であったことはなく、退職は障害者になったことに基因するものではない。
1. | 140万円 |
2. | 175万円 |
3. | 280万円 |
4. | 350万円 |
正解:1
退職所得控除額の計算上、勤続年数の1年未満の端数は切り上げ、勤続年数が20年を超える場合には、800万円×70万円×(勤続年数-20)となります。
よって、退職所得控除額=800万円+70万円×(26-20)=1,220万円となります。
退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2=(1,500万円-1,220万円)×1/2=140万円となります。
よって、退職所得控除額=800万円+70万円×(26-20)=1,220万円となります。
退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2=(1,500万円-1,220万円)×1/2=140万円となります。
【問16】
会社員である湯本さんの2021年分の所得等が下記<資料>のとおりである場合、湯本さんが2021年分の所得税の確定申告を行う際に、給与所得と損益通算できる損失に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、▲が付された所得の金額は、その所得に損失が発生していることを意味するものとする。
<資料>
1. | 不動産所得▲160万円が控除できる。 |
2. | 不動産所得▲110万円と譲渡所得▲80万円が控除できる。 |
3. | 不動産所得▲160万円と雑所得▲8万円が控除できる。 |
4. | 不動産所得▲110万円が控除できる。 |
正解:4
不動産所得の計算上生じた損失は土地取得のための借入金の額に相当する部分を除いて損益通算の対象になります。
また、上場株式の売却に係る損失や雑所得の損失は、給与所得などと損益通算することはできません。
よって、給与所得と損益通算できる額は、不動産所得の損失のうち110万円です。
また、上場株式の売却に係る損失や雑所得の損失は、給与所得などと損益通算することはできません。
よって、給与所得と損益通算できる額は、不動産所得の損失のうち110万円です。
【問17】
青山さんの2021年分の収入は、下記<資料>のとおりである。<資料>の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる所得の種類の組み合わせとして、適切なものはどれか。
<資料>
1. | (ア)配当所得 (イ)譲渡所得 (ウ)雑所得 |
2. | (ア)利子所得 (イ)雑所得 (ウ)雑所得 |
3. | (ア)配当所得 (イ)雑所得 (ウ)一時所得 |
4. | (ア)利子所得 (イ)譲渡所得 (ウ)一時所得 |
正解:3
(ア) | 個人が受け取るETFの分配金は、配当所得になります。 |
(イ) | 暗号資産取引により生じた所得は、雑所得となります。 |
(ウ) | 保険期間が5年を超える一時払養老保険の満期保険金は、一時所得となります |
【問18】
個人事業主の千田さんは、2021年4月1日に建物を購入したが、営業開始が遅延し、同年10月25日から事業の用に供している。千田さんの2021年分の所得税における事業所得の計算上、必要経費に算入すべき減価償却費の金額として、正しいものはどれか。なお、建物は、事業にのみ使用しており、その取得価額は5,000万円、法定耐用年数は50年である。
<耐用年数表(抜粋)>
[法定耐用年数:50年]
定額法の償却率:0.020
定率法の償却率:0.040
[法定耐用年数:50年]
定額法の償却率:0.020
定率法の償却率:0.040
1. | 25万円 |
2. | 50万円 |
3. | 75万円 |
4. | 150万円 |
正解:1
建物は必ず定額法で減価償却しますから、1年間の減価償却費は、5,000万円×0.020=100万円となります。
また、減価償却費として費用計上することができるのは、業務の用に供した期間に対応する部分だけですから、減価償却費は、100万円×3/12=25万円となります。
また、減価償却費として費用計上することができるのは、業務の用に供した期間に対応する部分だけですから、減価償却費は、100万円×3/12=25万円となります。
【問19】
下記<資料>の宅地(貸家建付地)に係る路線価方式による相続税評価額の計算式として、正しいものはどれか。
<資料>
注1 | : | 奥行価格補正率 1.00 |
注2 | : | 借地権割合 70% |
注3 | : | 借家権割合 30% |
注4 | : | この宅地には宅地所有者の所有する賃貸アパートが建っており、現在すべて賃貸中となっている。 |
注5 | : | その他の記載のない条件は一切考慮しないものとする。 |
1. | 250,000円×1.00×160㎡ |
2. | 250,000円×1.00×160㎡×70% |
3. | 250,000円×1.00×160㎡×(1-70%) |
4. | 250,000円×1.00×160㎡×(1-70%×30%×100%) |
正解:4
路線価方式による自用地の評価額は、路線価×各種補正率×敷地面積の式により求められます。
また、貸家建付地の相続税評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)です。
また、貸家建付地の相続税評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)です。
【問20】
浅見純一さん(39歳)は、父(71歳)と叔父(66歳)から下記<資料>の贈与を受けた。純一さんの2021年分の贈与税額を計算しなさい。なお、父からの贈与については、2020年から相続時精算課税制度の適用を受けている。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。
<資料>
[2020年中の贈与]
父から贈与を受けた金銭の額:1,200万円
[2021年中の贈与]
父から贈与を受けた金銭の額:1,500万円
叔父から贈与を受けた金銭の額:900万円
<贈与税の速算表> | ||
[20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産の場合] | ||
基礎控除後の 課税価格 |
税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超 400万円以下 |
15% | 10万円 |
400万円超 600万円以下 |
20% | 30万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
30% | 90万円 |
1,000万円超 1,500万円以下 |
40% | 190万円 |
1,500万円超 3,000万円以下 |
45% | 265万円 |
3,000万円超 4,500万円以下 |
50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
[上記以外の場合] | ||
基礎控除後の 課税価格 |
税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超 300万円以下 |
15% | 10万円 |
300万円超 400万円以下 |
20% | 25万円 |
400万円超 600万円以下 |
30% | 65万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
40% | 125万円 |
1,000万円超 1,500万円以下 |
45% | 175万円 |
1,500万円超 3,000万円以下 |
50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
正解:2,310,000円
2021年に使える相続時精算課税制度の特別控除額は、2,500万円-1,200万円=1,300万円です。
よって、父からの贈与に係る贈与税額は、(1,500万円-1,300万円)×20%=40万円です。
また、叔父からの贈与に係る贈与税額は、(900万円-110万円)×40%-125万円=191万円です。
よって、2021年分の贈与税額は、40万円+191万円=231万円となります。
よって、父からの贈与に係る贈与税額は、(1,500万円-1,300万円)×20%=40万円です。
また、叔父からの贈与に係る贈与税額は、(900万円-110万円)×40%-125万円=191万円です。
よって、2021年分の贈与税額は、40万円+191万円=231万円となります。
【問21】
下記の<親族関係図>の場合において、民法の規定に基づく法定相続分に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)に入る適切な語句または数値を語群の中から選び、解答欄に記入しなさい。なお、同じ語句または数値を何度選んでもよいこととする。
<親族関係図>
[各人の法定相続分] | |
・ | 被相続人の配偶者の法定相続分は( ア ) |
・ | 被相続人の弟の法定相続分は( イ ) |
・ | 被相続人の甥Aの法定相続分は( ウ ) |
<語群>
なし 1/2 1/3
1/4 1/8 2/3
3/4 3/8 1/16
なし 1/2 1/3
1/4 1/8 2/3
3/4 3/8 1/16
正解:3/4、1/8、1/16
(ア) | 相続人の組み合わせが配偶者相続人と第3順位の血族相続人である場合、配偶者相続人の法定相続分は3/4になります。 |
(イ) | 血族相続人全体の法定相続分は1/4です。また、代襲相続が起こる場合、代襲相続人以外の相続人の相続分は、代襲相続が無かったものとして計算します。 よって、弟の法定相続分は、1/4×1/2=1/8となります。 |
(ウ) | 代襲相続人の法定相続分は、被代襲者の本来の法定相続分を代襲相続人の頭数で按分したものになります。 よって、甥Aの法定相続分は、1/8×1/2=1/16となります。 |
【問22】
三上さんは、相続開始後の手続き等について、FPで税理士でもある吉田さんに質問をした。下記の空欄(ア)~(ウ)に入る適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、同じ語句を何度選んでもよいこととする。
三上さん | : | 相続税の申告書は、いつまでに提出する必要がありますか。」 |
吉田さん | : | 「相続税の申告書は、相続人等が、その相続の開始があったことを知った日の翌日から、原則として、( ア )以内に提出しなければなりません。」 |
三上さん | : | 「所得税の準確定申告書は、いつまでに提出する必要がありますか。」 |
吉田さん | : | 「所得税の準確定申告書は、相続人等が、その相続の開始があったことを知った日の翌日から、原則として、( イ )以内に提出しなければなりません。」 |
三上さん | : | 「相続人は、相続について限定承認や相続放棄をすることができると聞きましたが、いつまでにどのような手続きを行う必要がありますか。」 |
吉田さん | : | 「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から、原則として、( ウ )以内に、家庭裁判所にその旨を申述することになります。」 |
<語群>
1.1ヵ月 2.3ヵ月 3.4ヵ月
4.6ヵ月 5.10ヵ月 6.1年
1.1ヵ月 2.3ヵ月 3.4ヵ月
4.6ヵ月 5.10ヵ月 6.1年
正解:5、3、2
(ア) | 相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。 |
(イ) | 準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内です。 |
(ウ) | 相続放棄や限定承認の期限は、自己の為に相続の開始があったことを知った日の翌日から3ヵ月以内です。 |
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