お金の寺子屋

FP2級実技(FP協会)解説-2022年1月・問1~10

【問1】
ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)が、ファイナンシャル・プランニング業務を行ううえでは関連業法等を順守することが重要である。FPの行為に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

(ア) 弁護士資格を有していないFP(遺言者や公証人と利害関係のない成年者)が、顧客から依頼されて公正証書遺言の証人となり、顧客から適正な報酬を受け取った。
(イ) 税理士資格を有していないFPが、参加費有料の相続対策セミナーで、仮定の事例に基づく一般的な解説を行い、講師料を受け取った。
(ウ) 投資助言・代理業の登録を受けていないFPが、特定企業の公表されている決算報告書を用いて、有償で具体的な投資時期等の判断や助言を行った。
(エ) 生命保険募集人・保険仲立人の登録を受けていないFPが、生命保険契約を検討している顧客のライフプランに基づき、必要保障額を具体的に試算した。
正解:○、○、×、○
(ア) 公正証書遺言の証人となる為に保有しておかなくてはいけない資格はありません。
(イ) 仮定の事例に基づく一般的な説明は、有償無償を問わず誰でもすることができます。
(ウ) 投資助言・代理業の登録を受けていない人は、有償で具体的な投資時期などの判断や助言を行ってはいけません。
(エ) 必要保障額の計算は誰でもすることができます。
【問2】
「消費者契約法」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1. 消費者契約法における「消費者」とは、個人(事業としてまたは事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く)のみである。
2. 事業者が、消費者の利益となる旨を告げながら、重要事項について消費者に不利な事実をわざと告げずに消費者が誤認をして契約した場合、当該契約は取り消すことができる。
3. 消費者が、商品を買わずに帰りたいと言っても帰らせてもらえずに困惑して契約した場合で、購入場所が事業者の店舗であるときは、当該契約は取り消すことができない。
4. 「販売した商品は、いかなる理由があっても、後から返品・キャンセルはできません」とした契約条項は無効である。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 消費者が困惑して契約した場合、その場所を問わず消費者は契約を取り消すことができます。なお、事業者の店舗で行った契約は、クーリングオフをすることはできません。
4. 正しい記述です。
【問3】
東京証券取引所に上場している株式会社LYは、2月末日が決算日および株主配当金の基準日である。株式会社LYの202Ⅹ年2月期の株主配当金の権利が得られる最終の買付日として、正しいものはどれか。なお、解答に当たっては、下記のカレンダーを使用すること。また、202Ⅹ年は、2020年以降の年であるものとする。

202Ⅹ年 2月/3月
2/21 22 23
(祝)
24 25 26 27
28 3/1
網掛け部分は、市場休業日である。
1. 2月22日
2. 2月24日
3. 2月25日
4. 2月26日
正解:
株主配当金の基準日が営業日でないため、株主配当金の基準日日から起算して最も近い26日が権利付き最終日です。
よって、26日から起算して3営業日前の24日が、株主配当金の権利が得られる最終の買付日となります。
【問4】
下記<資料>に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値を解答欄に記入しなさい。なお、解答に当たっては小数点以下第3位を四捨五入すること。

<資料>
株価 6,280円
1株当たり利益 340円
1株当たり純資産 4,850円
1株当たり年間配当金 100円
配当利回りは、( ア )%である。
PER(株価収益率)は、( イ )倍である。
正解:1.59、18.47
(ア) 配当利回り(%)=1株当たり年間配当金÷株価×100=100円÷6,280円×100=1.592…≒1.59%です。
(イ) PER=株価÷1株当たり当期純利益=6,280円÷340円=18.470…≒18.47倍です。
【問5】
落合さんはMA投資信託を新規募集時に購入し、保有している。下記<資料>に基づき、落合さんが保有するMA投資信託に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、適切なものはどれか。

<資料>
[MA投資信託の商品概要(新規募集時)]
投資信託の分類:追加型投資信託/海外/株式
(Aコース/為替ヘッジあり Bコース/為替ヘッジなし)
購入時手数料:購入金額に対し、一律3.85%(税込み)
運用管理費用(信託報酬):純資産総額に対し年1.76%(税込み)
その他の費用・手数料:なし

[落合さんが保有するMA投資信託の2022年1月4日現在の状況]
基準価額:8,632円

落合さんは、為替変動のリスクを可能な限り回避したかったので、( ア )の投資信託を購入した。
<資料>の基準価額は、( イ )が控除されている。
1. (ア)Aコース 
(イ)購入時手数料および運用管理費用(信託報酬)
2. (ア)Aコース 
(イ)運用管理費用(信託報酬) 
3. (ア)Bコース 
(イ)購入時手数料および運用管理費用(信託報酬) 
4. (ア)Bコース 
(イ)運用管理費用(信託報酬) 
正解:
(ア) 為替変動のリスクを回避したい場合、為替ヘッジありのコースを選択するべきです。
(イ) 基準価額は、純資産総額を総口数で割って計算します。純資産総額からは毎日信託報酬が差し引かれていますから、基準価額は信託報酬を控除した金額だと言えます。
なお、購入時手数料は、投資信託の購入金額(純資産総額に含まれる金額)とは別に販売会社に支払うものですから、基準価額には影響を与えません。

【問6】
宮野さんは、投資信託への投資を検討するに当たり、FPの阿久津さんから候補である3ファンドの過去3年間の運用パフォーマンスについて説明を受けた。FPの阿久津さんが下記<資料>に基づいて説明した内容の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値または語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

<資料>
ファンド名 収益率 標準偏差
ファンドA 6.50% 10.00%
ファンドB 8.00% 7.50%
ファンドC 9.50% 18.00%
無リスク金利は0.5%とする。
<FPの阿久津さんの説明>
「ポートフォリオの運用パフォーマンスの評価の一つとして、シャープレシオがあります。」
「ファンドAのシャープレシオは( ア )となります。」
「最も収益率が高いのはファンドCですが、投資効率をシャープレシオの観点から考えると、最も効率的なのは( イ )といえます。」
1. (ア)0.6  (イ)ファンドB
2. (ア)0.65 (イ)ファンドB
3. (ア)0.6  (イ)ファンドC
4. (ア)0.65 (イ)ファンドC
正解:
(ア) シャープレシオ=(ポートフォリオの収益率-無リスク金利)÷標準偏差です。
よって、ファンドAのシャープレシオ=(6.5%-0.5%)÷10%=0.6となります。
(イ) ファンドBのシャープレシオ=(8.0%-0.5%)÷7.5%=1.0、ファンドCのシャープレシオ=(9.5%-0.5%)÷18%=0.5です。
シャープレシオは、高いほど投資効率が良いと考る指標ですから、ファンドBが最も効率的に運用したと言えます。
【問7】
建築基準法に従い、下記<資料>の土地に耐火建築物を建てる場合、建築面積の最高限度(ア)と延べ面積(床面積の合計)の最高限度(イ)の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、<資料>に記載のない条件については一切考慮しないこと。

<資料>
1. (ア)189㎡ (イ)432㎡
2. (ア)189㎡ (イ)540㎡
3. (ア)162㎡ (イ)432㎡
4. (ア)162㎡ (イ)540㎡
正解:
(ア) 防火地域に耐火建築物を建てる場合、建蔽率の上限が10%緩和されます。
よって、建蔽率の上限は70%となります。
したがって、建築面積の最高限度は、270㎡×70%=189㎡となります。
(イ) 前面道路の幅員が12m未満である場合、容積率の上限は、指定容積率と前面道路の幅員によって定まる容積率のどちらか小さい方になります。
前面道路の幅員によって定まる容積率=4×4/10=1.6より、 容積率の上限は1.6(=160%)となります。
したがって、延床面積の最高限度は、270㎡×160%=432㎡となります。
【問8】
下記<資料1>は、天野さんが購入を予定している新築マンションの物件概要である。<資料1>の住戸の均等積立方式による修繕積立金の目安額(月額)を下記<資料2>に基づいて計算しなさい。なお、<資料1>および<資料2>に記載のない事項は一切考慮しないこととする。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。なお、端数が出る場合は、計算過程においては端数処理をせずに計算し、計算結果については小数点以下第1位を四捨五入すること。

<資料1>
○○マンション 510号室(専有床面積75㎡)

[○○マンションの概要]
・地上7階建て
・建築延床面積 8,000㎡
・専有床面積の合計 6,000㎡
・駐車場 3段(ピット2段)昇降式の機械式駐車場30台分
<資料2>均等積立方式による修繕積立金の目安額(月額)

(出所:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を基に作成)
正解:17,415円
202円×75+6,040円×30×75/6,000=17,415円となります。
【問9】
井川さんは、相続により取得した土地の有効活用を検討するに当たり、FPの飯田さんに、借地借家法に定める借地権について質問をした。下記の空欄(ア)~(エ)に入る適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、本問においては、同法第22条の借地権を一般定期借地権といい、第22条から第24条の定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。

井川さん 「まず、普通借地権について教えてください。存続期間の定めはありますか。」
飯田さん 「普通借地権の最初の存続期間は( ア )ですが、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とされます。」
井川さん 「地主から契約の更新を拒絶するに当たって、正当事由は必要でしょうか。」
飯田さん 「正当事由は( イ )です。」 
井川さん 「次に、一般定期借地権の存続期間について教えてください。」
飯田さん 「一般定期借地権の存続期間は( ウ )以上です。契約を締結する際は、契約の更新がない旨などの特約を、( エ )行わなければなりません。」
<語句群>
1.10年 2.20年 3.30年 
4.50年 5.必要 6.不要
7.地方裁判所等の許可を得て 
8.公正証書等の書面によって
正解:3,5,4,8
(ア) 普通借地権の最初の存続期間は、30年以上の期間を定めなくてはいけません。
(イ) 地主が普通借地権の更新を拒絶するためには、正当事由が必要です。
(ウ) 一般定期借地権の存続期間は、50年以上の期間を定めなくてはいけません。
(エ) 一般定期借地権は、公正証書等の書面によって設定しなくてはいけません。
【問10】
倉田さんは、居住している自宅の土地および建物を売却する予定である。売却に係る状況が下記<資料>のとおりである場合、所得税における次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値または語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。

<資料>
取得日:2017年1月5日
売却予定日:2022年2月1日
取得費:5,500万円
譲渡価額(合計):9,800万円
譲渡費用(合計):300万円
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例の適用を受けるものとする。
所得控除は考慮しないものとする。
倉田さんがこの土地および建物を売却した場合の特別控除後の譲渡所得の金額は( ア )万円となり、課税( イ )譲渡所得金額として扱われる。
1. (ア)1,000 (イ)短期
2. (ア)1,300 (イ)短期
3. (ア)1,000 (イ)長期
4. (ア)1,300 (イ)長期
正解:
(ア) 譲渡所得の額=9,800万円-(5,500万円+300万円)-3,000万円=1,000万円です。
(イ) 分離課税される譲渡所得(不動産に係る譲渡所得)の長期と短期の判定は、取得日から売却した日が属する年の1月1日までの保有期間が5年を超えるか否かで判定しますから、分離短期譲渡所得となります。

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