FP2級実技(FP協会)解説-2021年9月・問1~10
【問1】
ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)は、ファイナンシャル・プランニング業務を行ううえで関連業法等を順守することが重要である。FPの行為に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。
(ア) | 投資助言・代理業の登録を受けていないFPが、特定の顧客に対し、特定企業の公表されている決算報告書を用いて、その特定企業の株式に関する具体的な投資時期等の判断や助言を行った。 |
(イ) | 税理士資格を有していないFPが、公民館主催の無料相談に訪れた相談者に対し、相続人の具体的な相続税額を計算した。 |
(ウ) | 社会保険労務士資格を有していないFPが、顧客から依頼され、有償で顧問先である事業所の社会保険に関する書類の申請を代行した。 |
(エ) | 生命保険募集人・保険仲立人の登録を受けていないFPが、一般的な変額個人年金保険の商品説明を行った。 |
正解:×、×、×、○
(ア) | 投資助言・代理業の登録を受けていない人は、具体的な投資時期などの判断や助言を行ってはいけません。 |
(イ) | 税理士の資格を有していない人は、具体的な税金の計算を行ってはいけません。 |
(ウ) | 社会保険労務士の資格を有していない人が、社会保険に関する申請の代行を行ってはいけません。 |
(エ) | 一般的な変額個人年金保険の商品説明のような一般的な説明は、誰でもすることができます。 |
【問2】
ファイナンシャル・プランニングのプロセスに従い、次の(ア)~(カ)を6つのステップの順番に並べ替えたものとして、最も適切なものはどれか。
(ア) | 顧客が決定したプランに従い、目的に合った金融商品やサービスの提示や取引の支援、または専門家の紹介等を行う。 |
(イ) | 顧客の目標を達成するための解決策等を提示した提案書を作成して説明をする。 |
(ウ) | 面談などを通じて、現状における顧客および家族の情報、財政的な情報等を収集し、顧客の財政的な目標を明確にする。 |
(エ) | 家族構成など顧客を取り巻く環境や社会情勢の変化、および税制や法律の改正等の内容に応じ、定期的にプランの見直しを行う。 |
(オ) | 顧客のキャッシュフロー表などを作成し、顧客の将来における財政上の問題点等を明らかにし、解決方法を検討する。 |
(カ) | 顧客に対し、ファイナンシャル・プランニングで提供できるサービス内容や報酬体系、顧客とファイナンシャル・プランナーの互いの責任範囲などを説明する。 |
1. | (ウ)→(カ)→(イ)→(ア)→(オ)→(エ) |
2. | (ウ)→(カ)→(オ)→(イ)→(ア)→(エ) |
3. | (カ)→(ウ)→(イ)→(ア)→(オ)→(エ) |
4. | (カ)→(ウ)→(オ)→(イ)→(ア)→(エ) |
正解:4
FPの6ステップは、「顧客との関係確立とその明確化→顧客データの収集と目標の明確化→顧客のファイナンス状態の分析と評価→プランの検討・作成と提示→プランの実行援助→プランの定期的見直し」という順序です。
【問3】
経済指標について説明した下表の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。
経済指標 | 内容 |
国内総生産 (GDP) |
一定期間中に国内で生み出された財およびサービスなどの付加価値の合計。ここから物価の変動による影響を取り除いたものを( ア )GDPという。 |
( イ ) | 全国の世帯が購入する家計に係る財およびサービスの価格等を総合した物価の変動を示した指標。調査結果は各種経済施策や公的年金の給付水準の改定などに利用されている。 |
1. | (ア)実質 (イ)消費動向調査 |
2. | (ア)名目 (イ)消費動向調査 |
3. | (ア)実質 (イ)消費者物価指数 |
4. | (ア)名目 (イ)消費者物価指数 |
正解:3
(ア) | 名目GDPから物価の変動による影響を取り除いたものを実質GDPと言います。 |
(イ) | 全国の世帯が購入する家計に係る財およびサービスの価格等を総合した物価の変動を示した指標は、消費者物価指数です。 |
【問4】
下記<資料>の債券を満期(償還)時まで保有した場合の最終利回り(単利・年率)を計算しなさい。なお、手数料や税金等については考慮しないものとし、計算結果については小数点以下第4位を切り捨てること。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと(解答用紙に記載されているマス目に数値を記入すること)。
<資料>
表面利率:年0.10%
購入価格:額面100円につき100.60円
償還価格:額面100円につき100.00円
償還までの残存期間:8年
表面利率:年0.10%
購入価格:額面100円につき100.60円
償還価格:額面100円につき100.00円
償還までの残存期間:8年
正解:0.024(%)
最終利回り(%)={0.1+(100-100.6)÷8}÷100.6×100=0.02485…%
より、小数点第4位を切り捨てると0.024%となります。
より、小数点第4位を切り捨てると0.024%となります。
【問5】
成田さんはGX投資信託を100万口購入し、その後は追加購入や換金をせずに全額を保有している。下記<資料>に基づき、成田さんが保有するGX投資信託のトータルリターンの金額を計算しなさい。なお、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。
<資料>
[成田さんが保有するGX投資信託の状況]
投資信託の分類:追加型国内公募株式投資信託
申込価格:1口当たり1円
申込単位:1万口以上1口単位
購入時手数料(税込み):2.20%
運用管理費用(信託報酬)(税込み):純資産総額に対し年1.650%
購入時の基準価額(1万口当たり):13,200円
トータルリターンの評価基準日における基準価額(1万口当たり):14,050円
保有期間中の受取分配金額(1万口当たり、税引き後):120円
[成田さんが保有するGX投資信託の状況]
投資信託の分類:追加型国内公募株式投資信託
申込価格:1口当たり1円
申込単位:1万口以上1口単位
購入時手数料(税込み):2.20%
運用管理費用(信託報酬)(税込み):純資産総額に対し年1.650%
購入時の基準価額(1万口当たり):13,200円
トータルリターンの評価基準日における基準価額(1万口当たり):14,050円
保有期間中の受取分配金額(1万口当たり、税引き後):120円
<トータルリターンの金額の算式>
トータルリターンの金額=評価金額+累計受取分配金額(税引き後)+累計売付金額-累計買付金額
トータルリターンの金額=評価金額+累計受取分配金額(税引き後)+累計売付金額-累計買付金額
正解:67,960(円)
評価金額=14,050円/1万口×100万口=1,405,000円です。
累計受取分配金額(税引き後)=120円/1万口×100万口=12,000円です。
累計売付金額=0円です。
累計買付金額(除手数料)=13,200円/1万口×100万口=1,320,000円です。
累計買付金額(購入時手数料)=1,320,000円×0.022=29,040円です。
よって、トータルリターンの金額は、1,405,000円+12,000円-1,320,000円-29,040円=67,960円となります。
信託報酬が差し引かれた結果現在の基準価額となっていますので、信託報酬の資料はダミー資料です。
【問6】
下記<資料>に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。
GY株式会社 | GZ株式会社 | |
株価 | 4,650円 | 12,020円 |
1株当たり 当期純利益 |
186円 | 432円 |
1株当たり 自己資本 |
2,650円 | 4,420円 |
1株当たり 年間配当金 |
50円 | 140円 |
・ | GY株式会社とGZ株式会社の株価をPER(株価収益率)で比較した場合、( ア )株式会社の方が割安といえる。 |
・ | GY株式会社とGZ株式会社の効率性をROE(自己資本利益率)で比較した場合、( イ )株式会社の方が効率的に利益を上げているといえる。 |
1. | (ア)GY (イ)GY |
2. | (ア)GY (イ)GZ |
3. | (ア)GZ (イ)GY |
4. | (ア)GZ (イ)GZ |
正解:2
(ア) | GY株式のPER=株価÷一株当たり純利益=4,650円÷186円=25倍です。 GZ株式のPER=12,020円÷432円≒27.82…倍です。 PERは、低い方が割安と言えます。 |
(イ) | GY株式のROE(%)=一株当たり純利益÷一株当たり自己資本×100=186円÷2,650円×100≒7.02%です。 GZ株式のROE=432円÷4,420円×100≒9.77%です。 ROEは、高いほど効率的に利益を上げていると言えます。 |
【問7】
建築基準法に従い、下記<資料>の土地に建築物を建てる場合の延べ面積(床面積の合計)の最高限度を計算しなさい。なお、記載のない条件は一切考慮しないこととする。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。
<資料>
正解:900(㎡)
延べ床面積の最高限度=敷地面積×容積率の上限です。
容積率の上限は。前面道路の幅員が12m未満の場合、指定容積率と前面道路の幅員によって定まる容積率のどちらか小さい方になります。
前面道路の幅員によって定まる容積率=10×4/10=4(=400%)>指定容積率(300%)より、容積率の上限は300%となります。
よって、延べ床面積の最高限度=300㎡×300%=900㎡となります。
容積率の上限は。前面道路の幅員が12m未満の場合、指定容積率と前面道路の幅員によって定まる容積率のどちらか小さい方になります。
前面道路の幅員によって定まる容積率=10×4/10=4(=400%)>指定容積率(300%)より、容積率の上限は300%となります。
よって、延べ床面積の最高限度=300㎡×300%=900㎡となります。
【問8】
下記<資料>は、大下さんが購入を検討している物件の登記事項証明書の一部である。この登記事項証明書に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。なお、<資料>に記載のない事項は一切考慮しないこととする。
<資料>
(ア) | 所有権保存など所有権に関する事項が記載されている欄(A)は、権利部の甲区である。 |
(イ) | 上記<資料>を確認する限り、本物件には現在、抵当権は設定されていないことが分かる。 |
(ウ) | 平成9年5月8日にRM銀行の抵当権設定登記が行われ、RM銀行の抵当権設定当初の債権額は3,000万円であることが分かる。 |
(エ) | 本物件の登記事項証明書は、現在の所有者である有馬純一さんでなければ、交付の請求をすることができない。 |
正解:○、○、○、×
(ア) | 正しい記述です。所有権に関する事項は権利部の甲区に記載されています。 |
(イ) | 正しい記述です。 平成9年5月8に設定された抵当権は、令和2年6月25日に抹消されています。 |
(ウ) | 正しい記述です。権利部乙区の権利者その他の事項の欄から読み取ることができます。 |
(エ) | 登記事項証明書は、手数料さえ払えば誰でも交付の請求をすることができます。 |
【問9】
公的な土地評価に関する下表の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
1. | (ア)1月1日 (イ)2年 (ウ)80% |
2. | (ア)1月1日 (イ)3年 (ウ)70% |
3. | (ア)4月1日 (イ)2年 (ウ)70% |
4. | (ア)4月1日 (イ)3年 (ウ)80% |
正解:2
(ア) | 路線価は、毎年1月1日時点の評価額が公表されます。 |
(イ) | 固定資産税評価額は原則として3年に1度評価替えされます。 |
(ウ) | 固定資産税評価額は公示価格の70%を目安に設定されます。 |
【問10】
西里さんは、保有しているマンションを賃貸している。2021年分の賃貸マンションに係る収入および支出等が下記<資料>のとおりである場合、2021年分の所得税に係る不動産所得の金額を計算しなさい。なお、<資料>以外の収入および支出等はないものとし、青色申告特別控除は考慮しないこととする。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。
<資料:2021年分の賃貸マンションに係る収入および支出等>
[賃料収入(総収入金額)]
156万円
[支出]
銀行へのローン返済金額:100万円(元金60万円、利息40万円)
管理費等:15万円
管理業務委託費:85,000円
火災保険料:1万円
固定資産税:13万円
修繕費:6万円
[減価償却費]
33万円
※ | 支出等のうち必要経費となるものは、すべて2021年分の所得に係る必要経費に該当するものとする。 |
正解:395,000(円)
不動産所得の金額=総収入金額-必要経費です。
支出のうち借入金の元本返済額は必要経費にはなりません。
よって、必要経費の合計は、40万円+15万円+8.5万円+1万円+13万円+6万円+33万円=116.5万円となります。
よって、不動産所得の金額=156万円-116.5万円=395,000円となります。
支出のうち借入金の元本返済額は必要経費にはなりません。
よって、必要経費の合計は、40万円+15万円+8.5万円+1万円+13万円+6万円+33万円=116.5万円となります。
よって、不動産所得の金額=156万円-116.5万円=395,000円となります。
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