お金の寺子屋

FP2級実技(FP協会)解説-2019年1月・問35~40

【問35】~【問40】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
国内の上場企業に勤務する大場勇人さんは、今後の生活のことなどに関して、FPで税理士でもある成田さんに相談をした。なお、下記のデータは2019年1月1日現在のものである。


【問35】
FPの成田さんは、まず現時点(2019年1月1日)における大場家(勇人さんと里美さん)のバランスシート分析を行うこととした。下表の空欄(ア)に入る数値を計算しなさい。

正解:9,750万円
<資産>
預貯金等:2,860万円
債券・株式等:820万円
生命保険:1,280万円
不動産(土地):4,400万円
不動産(建物):300万円
その他(動産等):170万円
の、計9,830万円です。
<負債>
自動車ローンのみ80万円です。
よって、純資産=資産-負債=9,830万円-80万円=9,750万円となります。
【問36】
2018年分の所得税の計算において、勇人さんが適用を受けることができる配偶者控除または配偶者特別控除(ア)と扶養控除(イ)の金額の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、2018年中において大場家は全員勇人さんと同居し、生計を一にしている。また、障害者・特別障害者に該当する者はいない。(注)制度改正あり

<2018年における大場家の合計所得金額>

勇人さん:700万円
里美さん:112万円
涼太さん: 15万円
真実さん: 20万円
幸子さん: 80万円
<配偶者控除額(所得税)の早見表>
<配偶者特別控除額(所得税)の早見表>
1. (ア)11万円 (イ) 76万円
2. (ア)11万円 (イ)101万円
3. (ア)38万円 (イ) 76万円
4. (ア)38万円 (イ)101万円
正解:
(ア)

勇人さんの合計所得金額が700万円で、里美さん(妻)の合計所得金額が112万円ですから、表より、配偶者特別控除の金額は11万円である事が分かります。

<参考>
制度改正後の現在は、配偶者特別控除の表の数値が異なります。

(イ)

涼太さんは、合計所得金額が38万円以下で23歳以上70歳未満ですから、一般の扶養親族として38万円の控除の対象です。
真実さんは、合計所得金額が38万円以下で19歳以上23歳未満ですから、特定扶養親族として63万円の控除の対象です。
なお、合計所得金額が38万円を超える幸子さんは、扶養控除の対象外です。
よって、扶養控除の金額は、38万円+63万円=101万円となります。

<参考>
現在は、扶養控除を受けるための親族の合計所得金額の要件は、48万円以下である事とされています。

【問37】
仮に、幸子さんが現時点(2019年1月1日)で死亡した場合、幸子さんの相続に係る相続税の総額として、正しいものはどれか。なお、相続税の課税価格の合計額は2億4,000万円であるものとし、計算に当たっては、下記<計算過程>に従って計算すること。また、相続を放棄した者はいないものとする。

<計算過程>
相続税の課税価格の合計額から基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を算出
課税遺産総額を各法定相続人が民法の規定に基づく法定相続分に応じて取得したものとして、各法定相続人の取得金額を計算
各法定相続人の取得金額に対して<相続税の速算表>を適用し、税額を算出
上記③で算出された税額を合計し、相続税の総額を算出
<資料>相続税の速算表
法定相続分に
応ずる取得金額
税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超
3,000万円以下
15% 50万円
3,000万円超
5,000万円以下
20% 200万円
5,000万円超
10,000万円以下
30% 700万円
10,000万円超
20,000万円以下
40% 1,700万円
20,000万円超
30,000万円以下
45% 2,700万円
30,000万円超
60,000万円以下
50% 4,200万円
60,000万円超 55% 7,200万円
1. 2,920万円
2. 3,160万円
3. 3,660万円
4. 4,540万円
正解:
法定相続人の数は、勇人さん、智子さん、健吾さん、加奈さんの四人ですから、相続税に係る基礎控除の額は、3,000万円+600万円×4=5,400万円です。
よって、課税遺産総額=2億4,000万円-5,400万円=1億8,600万円です。
これを、仮に法定相続分通りに按分したと仮定すると、勇人さんと智子さんが、それぞれ3分の1に当たる6,200万円ずつ、健吾さんと加奈さんが、それぞれ6分の1に当たる3,100万円ずつ取得する事になります。
法定相続分に応ずる取得価格が6,200万円の場合、相続税額は、6,200万円×30%-700万円=1,160万円となります。
また、法定相続分に応ずる取得価格が3,100万円の場合、相続税額は、3,100万円×20%-200万円=420万円となります。
したがって、相続税の総額は、1,160万円×2+420万円×2=3,160万円となります。

【問38】
幸子さんは、自宅の敷地と貸駐車場(敷地内に構築物のない、いわゆる青空駐車場である)を所有している(他に所有する土地等はない)。仮に、現時点(2019年1月1日)で幸子さんが死亡した場合、幸子さんの相続に係る相続税の課税価格の計算に際し、小規模宅地等に係る相続税の課税価格の計算の特例(以下「小規模宅地等の評価減特例」という)の適用を受けることのできる面積の上限として、最も適切なものはどれか。なお、自宅の敷地については同居親族である勇人さんが、貸駐車場については智子さんが、それぞれ相続するものとする。

1. 自宅の敷地(240㎡)にのみ、小規模宅地等の評価減特例の適用を受けることができる。
2. 勇人さんと智子さんの選択により、自宅の敷地(240㎡)と貸駐車場(200㎡)のいずれか一方にのみ、小規模宅地等の評価減特例の適用を受けることができる。
3. 勇人さんと智子さんの選択により、自宅の敷地(240㎡)と貸駐車場(200㎡)のうち、合計で330㎡まで小規模宅地等の評価減特例の適用を受けることができる。
4. 自宅の敷地(240㎡)と貸駐車場(200㎡)のすべて(合計440㎡)について、小規模宅地等の評価減特例の適用を受けることができる。
正解:
青空駐車場は小規模宅地等の評価減の特例を受けることができません。
また、自宅の敷地は330㎡まで小規模宅地等の評価減の特例を受けることができます。
【問39】
里美さんは、パートタイマーとして働いている勤務先で健康保険の被保険者となっているが、働く時間を減らせば、勇人さんが加入する全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の被扶養者となれるかどうか、FPの成田さんに質問をした。成田さんが行った協会けんぽの被扶養者に関する次の説明の空欄(ア)~(エ)にあてはまる数値および語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。

「健康保険の被扶養者とされるのは、主として被保険者の収入により生活をしている者です。具体的には、被扶養者とされる者の年間収入が( ア )万円(60歳以上の者や一定の障害者は、( ア )万円に50万円を加えた額)未満で、原則として被保険者の収入の( イ )未満であることとされています。
ただし、被扶養者とされる者が被保険者と同居していない場合には、年間収入が( ア )万円(60歳以上の者や一定の障害者は、( ア )万円に50万円を加えた額)未満で、その金額が被保険者からの仕送り額より少ない場合に被扶養者とされます。
なお、被扶養者となれるのは一定の親族に限られますが、そのうち配偶者(内縁関係を( ウ ))、子、孫、被保険者本人の兄弟姉妹および父母などの直系尊属については、別居であっても収入要件を満たしていれば被扶養者となることができます。
ただし、被扶養者とされる者が他の医療保険(健康保険、後期高齢者医療制度)の被保険者とされる場合には、被扶養者となることができないため、海外居住者等一部の例外を除き、( エ )歳以上の者が被扶養者とされることはありません。」
1. (ア)103 (イ)3割   
(ウ)除く (エ)75
2. (ア)103 (イ)2分の1 
(ウ)除く (エ)70
3. (ア)130 (イ)3割   
(ウ)含む (エ)70
4. (ア)130 (イ)2分の1 
(ウ)含む (エ)75
正解:
1. 健康保険の被扶養者となるための年収要件は、基本的に、130万円以下とされています。
2. 年収が130万円以下であっても、被保険者の収入の2分の1以上であれば、被扶養者となることはできません。
3. 税金では内縁関係は認められませんが、社会保険では内縁関係が認められます。
4. 75歳以上の国民は、全員、後期高齢者医療制度の被保険者となります。
【問40】
勇人さんは、20歳から大学卒業までの間は国民年金に加入しておらず、その期間は保険料を納付していなかった。このままでは満額の老齢基礎年金を受給することができないので、FPの成田さんに国民年金の任意加入制度について相談をした。国民年金の任意加入制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 厚生年金保険に加入中の者は、国民年金に任意加入することができない。
2. 60歳に達した時点で老齢基礎年金の受給資格期間は満たしているが、その額が満額ではない者は、年金額を増やすため70歳になるまで国民年金に任意加入することができる。
3. 老齢基礎年金の繰上げ請求を行った者は、それ以降国民年金に任意加入することができない。
4. 国民年金に任意加入している65歳未満の者は、付加保険料を納付することができる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 国民年金の金額額を増やすための任意加入は、65歳までしか認められていません。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。

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