お金の寺子屋

FP2級実技解説-2018年(平成30年)9月・問11~18

【問11】
株式会社RKの代表取締役である長谷川和彦さん(44歳)は、現在、法人契約での生命保険の加入を検討しており、下記の生命保険について、FPで税理士でもある大下さんに支払保険料に関する税務の相談をした。大下さんがそれぞれの生命保険の保険料支払時における一般的な経理処理について述べた次の説明の空欄(ア)~(エ)に入る適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、同じ語句を何度選んでもよいこととし、契約条件はいずれも以下のとおりとする。

<契約条件>
保険契約者:株式会社RK
被保険者:長谷川 和彦
死亡保険金受取人:株式会社RK
被保険者生年月日:1973年12月1日
保険料払込方法:月払い

<加入を検討している生命保険>

保険料については、定期保険は全期払い、終身保険は終身払いである。
保険期間の経過により、保険金額が増額するものはない。

<参考資料>
法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて(国税庁HPより抜粋)

「定期保険Aは( ア )となります。」
「定期保険Bは( イ )となります。」
「定期保険Cは( ウ )となります。」
「終身保険Dは( エ )となります。」
<語群>
1. 支払保険料の全額が損金
2. 支払保険料の全額が資産計上
3. 保険期間の前半60%に相当する期間、支払保険料の2分の1相当額が資産計上
4. 保険期間の前半60%に相当する期間、支払保険料の3分の2相当額が資産計上
5. 保険期間の前半60%に相当する期間、支払保険料の4分の3相当額が資産計上
正解:1、1、3、2
(ア) 長期平準定期保険や逓増定期保険に該当しない定期保険の保険料は、支払保険料の全額が損金算入されます。
(イ) 長期平準定期保険や逓増定期保険に該当しない定期保険の保険料は、支払保険料の全額が損金算入されます。
(ウ) 長期平準定期保険の要件を満たす保険ですので、保険期間の前半6割に相当する期間は支払保険料の2分の1相当額が資産計上されます。
(エ) 法人が死亡保険金受取人である終身保険の保険料は支払保険料の全額が資産計上されます。
【問12】
西里良二さんが2018年中に支払った生命保険の保険料は下記<資料>のとおりである。この場合の西里さんの2018年分の所得税の計算における生命保険料控除の金額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の保険について、これまでに契約内容の変更は行われていないものとする。また、その年分の生命保険料控除額が最も多くなるように計算すること。

<資料>

[定期保険(無配当)]
契約日:2005年4月1日
保険契約者:西里 良二
被保険者:西里 良二
死亡保険金受取人:西里 美奈子(妻)
2018年の年間支払保険料:58,000円

[個人年金保険(税制適格特約付)]
契約日:2015年8月1日
保険契約者:西里 良二
被保険者:西里 良二
年金受取人:西里 良二
2018年の年間支払保険料:250,720円
2018年の年間配当金:なし

<所得税の生命保険料控除額の速算表>
1. 39,500円
2. 74,500円
3. 79,500円
4. 89,500円
正解:
定期保険に係る生命保険料控除は、旧契約ですから、58,000円×1/4+25,000円=39,500円です。
個人年金保険に係る生命保険料控除は、新契約ですから、40,000円です。
よって、合計79,500円になります。
【問13】
下記<資料>に基づき、杉山さん(50歳)が契約している自動車保険に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには〇、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。なお、<資料>に記載のない特約については考慮しないものとする。
<資料>

(ア) 杉山さんの友人(50歳)が被保険自動車を運転して事故を起こした場合、補償の対象とならない。
(イ) 杉山さんが被保険自動車を運転中に事故を起こしケガをした場合、過失割合に関わらず治療費用の補償を受けることができる。
(ウ) 杉山さんと同居している杉山さんの長女(21歳)が被保険自動車を運転して事故を起こした場合、補償の対象となる。
(エ) 杉山さんが所有する原動機付自転車(50cc)を杉山さんの妻(45歳)が運転し、事故を起こして他人にケガを負わせてしまった場合、補償の対象となる。
正解:○、○、×、○
(ア) 正しい記述です。運転者家族限定割引を付帯していますから、友人が被保険自動車を運転して事故を起こした場合は、補償されません。
(イ) 正しい記述です。人身傷害補償保険は、過失割合に関わらず補償されます。
(ウ) 資料より、30歳未満の人が運転する事故は免責となっています。
(エ) ファミリーバイク特約により、 原動機付自転車による事故も補償されます。
【問14】
駒田シゲ子さん(69歳)の2018年分の収入等が以下のとおりである場合、駒田さんの2018年分の所得税における総所得金額を計算しなさい。なお、青色申告特別控除10万円の適用を受けるものとする。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。

<2018年分の収入等>

内容 金額
老齢基礎年金 72万円
遺族厚生年金 135万円
アパート収入 120万円
アパート収入に係る必要経費 48万円
駒田さんは、アパート経営を始めた翌年の2009年から青色申告者となっており、帳簿書類の備付け等の要件は満たしている。なお、このアパート経営は、事業的規模には該当しない。

<公的年金等控除額の速算表> (注)制度改正あり

正解:62万円
老齢基礎年金は、公的年金控除額以下ですから、総所得金額には含まれません。
遺族厚生年金は非課税です。
不動産所得の金額=120万円-48万円-10万円=62万円で、これは全額総所得金額に算入されます。

【問15】
個人事業主で青色申告者である細井さんの2018年分の所得等が下記<資料>のとおりである場合、細井さんが2018年分の所得税の確定申告を行う際、事業所得と損益通算できる損失に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、▲が付された所得の金額は、その所得に損失が発生していることを意味するものとする。

<資料>
必要経費の中には、土地の取得に要した借入金の利子の額40万円が含まれている。
1. 不動産所得▲120万円および譲渡所得▲30万円と損益通算できる。
2. 不動産所得▲120万円および雑所得▲10万円と損益通算できる。
3. 不動産所得▲80万円および譲渡所得▲30万円と損益通算できる。
4. 不動産所得▲80万円と損益通算できる。
正解:
不動産所得のマイナスについては、土地取得のための借入金の利子を除く80万円が損益通算の対象になります。
上場株式等の譲渡損失は事業所得と損益通算することはできません(申告分離課税を選択した配当所得もしくは上場株式等の譲渡益と損益通算する事は可能です)。
雑所得は損益通算することはできません。
【問16】
所得税におけるセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)に関する次の(ア)~(エ)の記述について、正しいものには○、誤っているものには×を解答欄に記入しなさい。

(ア) セルフメディケーション税制の適用対象者は、その適用を受けようとする年分に、健康の保持増進および疾病の予防に関する一定の取組みを行っている居住者である。
(イ) 会社員の場合、一定の要件を満たしていれば、年末調整によりセルフメディケーション税制の適用を受けることができる。
(ウ) セルフメディケーション税制の適用を受ける場合、その年分に従来の医療費控除の適用を受けることはできない。
(エ) セルフメディケーション税制における控除の上限額は10万円である。
正解:○、×、○、×
(ア) 正しい記述です。
(イ) セルフメディケーション税制は医療費控除の制度ですから、年末調整を受けることはできません。
(ウ) 正しい記述です。従来の医療費控除とセルフメディケーション税制は選択適用となっています。
(エ) セルフメディケーション税制における控除の上限額は88,000円です。
【問17】
下記<相続関係図>の場合において、民法の規定に基づく法定相続分に関する次の記述の空欄(ア)~(エ)に入る適切な語句または数値を語群の中から選び、解答欄に記入しなさい。なお、同じ語句または数値を何度選んでもよいこととする。
<相続関係図>

<語群>
なし 1/2 1/3 
1/4 1/6 1/8 
2/3 3/4 3/8
正解:2/3、1/3、1/3、1/6
(ア) 相続人が被相続人の妻と母つまり配偶者相続人第2順位の血族相続人の組み合わせですから、配偶者相続人の法定相続分は2/3になります。
(イ) 相続人が被相続人の直系尊属のみである場合を除いて、抽象的遺留分の割合は遺留分の算定の基礎となる相続財産の1/2であり、具体的遺留分は抽象的遺留分に法定相続分をかけたものですから、1/2×2/3=1/3になります。
(ウ) 第二順位の血族相続人の法定相続分は、全体で1/3です。
(エ) 具体的遺留分は抽象的遺留分に法定相続分をかけたものですから、1/2×1/3=1/6になります。
【問18】
吉田さんは、相続開始後の手続き等について、FPで税理士でもある西山さんに質問をした。下記の空欄(ア)~(エ)に入る適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、同じ語句を何度選んでもよいこととする。

吉田さん: 「相続人は、相続するかどうかの意思決定を、いつまでにする必要がありますか。」
西山さん: 「相続人は、相続の開始があったことを知った時から原則として( ア )以内に、単純承認、限定承認、相続放棄のうちいずれかを選ぶことができます。その期間内に限定承認も相続放棄もしない場合は、単純承認したものとみなされます。」
吉田さん: 「限定承認や相続放棄をする場合はどうするのですか。」
西山さん: 「( イ )に、その旨の申述を行います。」
吉田さん: 「相続税の申告はいつまでにする必要がありますか。」
西山さん: 「相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から( ウ )以内に行うことになっています。」
吉田さん: 「準確定申告はいつまでにする必要がありますか。」
西山さん: 「相続の開始があったことを知った日の翌日から( エ )以内の手続きが必要です。」
<語群>
1.3ヵ月 2.4ヵ月 
3.10ヵ月 4.税務署 
5.家庭裁判所 6.地方裁判所
正解:1、5、3、2
(ア) 限定承認相続の放棄をするためには、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に行う必要があります。
(イ) 限定承認や相続放棄をする場合は、家庭裁判所にその旨の申述を行います。
(ウ) 相続税の申告は、相続の開始があったことを知った時から10ヶ月以内に行う必要があります。
(エ) 準確定申告は、相続の開始があったことを知った時から4ヶ月以内に行う必要があります。
死(4)人の確定申告と覚えてください。

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