お金の寺子屋

FP2級学科解説-2023年5月・問1~10

【問1】
ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の顧客に対する行為に関する次の記述のうち、職業倫理や関連法規に照らし、最も不適切なものはどれか。
1. 社会保険労務士の登録を受けていないFPのAさんは、老齢基礎年金の繰下げ受給について相談に来た顧客に対し、繰下げ受給の仕組みや年金額の計算方法について一般的な説明を行った。
2. 税理士の登録を受けていないFPのBさんは、所得税の確定申告について相談に来た顧客に対し、国税庁のホームページを見せながら確定申告の方法について一般的な説明を行った。
3. 生命保険募集人の登録を受けていないFPのCさんは、子の誕生を機に生命保険に加入したいと相談に来た顧客に対し、家計の状況を聞き取りながら必要保障額の計算を行った。
4. 弁護士の登録を受けていないFPのDさんは、相続人間の遺産分割について相談に来た顧客と代理人契約を締結し、顧客の代理人として、有償で他の相続人との遺産分割協議を行った。
正解:
1. 社会保険制度に関する一般的な説明は、誰でもすることができます。
2. 税制に関する一般的な説明は、誰でもすることができます。
3. 必要保障額の計算は、誰でもすることができます。
4. 弁護士でない人は、報酬を得る目的で、遺産分割の交渉や折衝を行ってはなりません。
【問2】
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の保険給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 傷病手当金は、同一の疾病または負傷およびこれにより発した疾病に関して、その支給を始めた日から通算して最長2年支給される。
2. 夫婦がともに被保険者である場合において、妻が出産したときは、所定の手続きにより、夫婦に対して出産育児一時金および家族出産育児一時金が支給される。
3. 被保険者が業務災害および通勤災害以外の事由で死亡した場合、所定の手続きにより、その者により生計を維持されていた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として5万円が支給される。
4. 被保険者が同一月内に同一の医療機関等で支払った医療費の一部負担金等の額が、その者に係る自己負担限度額を超えた場合、所定の手続きにより、支払った一部負担金等の全額が高額療養費として支給される。
正解:
1. 傷病手当金は、支給開始日から通算して最長1年6ヵ月間支給されます。
2. 被保険者に対して出産育児一時金が支払われる場合、被扶養者が出産した時に支払われる給付である家族出産育児一時金は支払われません(出産に係る費用を補填するものなので、同じ子に対して重複しては支給されません)。
3. 正しい記述です。
4. 被保険者が同一月内に同一の医療機関等で支払った医療費の一部負担金等の額が、その者に係る自己負担限度額を超えた場合、所定の手続きにより、支払った一部負担金等のと自己負担限度額との差額が高額療養費として支給されます。
【問3】
労働者災害補償保険の保険給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 労働者災害補償保険の適用を受ける労働者には、雇用形態がアルバイトやパートタイマーである者も含まれる。
2. 労働者が業務上の負傷または疾病による療養のため労働することができず、賃金を受けられない場合、賃金を受けない日の第3日目から休業補償給付が支給される。
3. 労働者が業務災害により死亡したときに支払われる遺族補償年金の年金額は、受給権者および受給権者と生計を同じくしている受給資格者の人数により異なる。
4. 労働者が通勤災害により死亡した場合、所定の手続きにより、葬祭を行う者に対し葬祭給付が支給される。
正解:
1. 正しい記述です。労災保険の被保険者は、全ての労働者です。
2. 休業補償給付は、労働者が業務上の負傷または疾病による療養のため労働することができず、賃金を受けられない場合に、賃金を受けない日の4日目からが支給されます。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。
【問4】
雇用保険の育児休業給付および介護休業給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載されたもの以外の要件はすべて満たしているものとする。
1. 育児休業給付金は、子が1歳に達した日後の期間について休業することが特に必要と認められる場合、最長で子が1歳2ヵ月に達する日の前日まで支給される。
2. 育児休業給付金に係る支給単位期間において支払われた賃金額が、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の80%相当額以上である場合、当該支給単位期間について育児休業給付金は支給されない。
3. 被保険者が、一定の状態にある家族を介護するための休業をした場合、同一の対象家族について、通算3回かつ93日の介護休業を限度として、介護休業給付金が支給される。
4. 複数の被保険者が、同一の対象家族について同時に介護休業を取得した場合、それぞれの被保険者に介護休業給付金が支給される。
正解:
1. 育児休業給付金は、子が1歳に達した日後の期間について休業することが特に必要と認められる場合、最長で、子が1歳6ヵ月または2歳に達する日(誕生日の前日)まで支給されます。パパママ育休プラス制度との混同に注意してください。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。「介護は大変なので無理するな(6りする7)という、さ(3)さやかな救済(93)い」という語呂合わせで覚えることができます。
4. 正しい記述です。介護休業を取得した人の給料の補填だからです。
【問5】
国民年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 学生納付特例期間は、その期間に係る保険料の追納がない場合、老齢基礎年金の受給資格期間に算入されない。
2. 生活保護法による生活扶助を受けることによる保険料免除期間は、その期間に係る保険料の追納がない場合、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されるが、老齢基礎年金の年金額には反映されない。
3. 保険料免除期間に係る保険料のうち、追納することができる保険料は、追納に係る厚生労働大臣の承認を受けた日の属する月前5年以内の期間に係るものに限られる。
4. 産前産後期間の保険料免除制度により保険料の納付が免除された期間は、保険料納付済期間として老齢基礎年金の年金額に反映される。
正解:
1. 学生納付特例期間は、その期間に係る保険料の追納がない場合、老齢基礎年金の年金額の計算には反映されませんが、受給資格期間には算入されます。
2. 生活保護法による生活扶助を受けることによる保険料免除期間は、その期間に係る保険料の追納がない場合、老齢基礎年金の受給資格期間に算入され、老齢基礎年金の年金額にも一部反映されます。
3. 免除や猶予を受けた期間については、最大10年間遡って追納することができます。
4. 正しい記述です。

【問6】
国民年金基金、小規模企業共済および中小企業退職金共済に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 国民年金基金の加入員が死亡以外の事由で加入員資格を喪失した場合、それまでの加入期間に応じた解約返戻金が支払われる。
2. 小規模企業共済の掛金月額は、5,000円から10万円までの範囲内で、500円単位で選択することができる。
3. 中小企業退職金共済の掛金は、事業主と被共済者の合意に基づき、事業主と被共済者が折半して負担することができる。
4. 中小企業退職金共済の被共済者が退職後3年以内に、中小企業退職金共済の退職金を請求せずに再就職して再び被共済者となった場合、所定の要件を満たせば、前の企業での掛金納付月数を再就職した企業での掛金納付月数と通算することができる。
正解:
1. 国民年金基金の加入員が死亡以外の事由で加入員資格を喪失した場合、年金資産を引き出すことはできません。
2. 小規模企業共済の掛金月額は、1,000から70,000円までの範囲内で、500円単位で選択することができます。
3. 中小企業退職金共済の掛金は、全額事業主が負担します。
4. 正しい記述です。
【問7】
公的年金等に係る税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 遺族基礎年金および遺族厚生年金は、所得税の課税対象とならない。
2. 老齢基礎年金および老齢厚生年金は、その年中に受け取る当該年金の収入金額から公的年金等控除額を控除した金額が雑所得として所得税の課税対象となる。
3. 確定拠出年金の老齢給付金は、その全部について、一時金として受給する場合は一時所得として、年金として受給する場合は雑所得として所得税の課税対象となる。
4. 老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給者が死亡した場合において、その者に支給されるべき年金給付のうち、まだ支給されていなかったもの(未支給年金)は、当該年金を受け取った遺族の一時所得として所得税の課税対象となる。
正解:
1. 正しい記述です。老齢年金は所得税の課税対象となりますが、遺族年金と障害年金は非課税です。
2. 正しい記述です。
3. 確定拠出年金の老齢給付金は、その全部について、一時金として受給する場合は退職所得として、年金として受給する場合は雑所得として所得税の課税対象となります。
4. 正しい記述です。未支給年金は、受け取った人固有の権利として受け取るものですから、相続税の課税対象ではなく、一時所得として所得税の課税対象となります。
【問8】
住宅金融支援機構と金融機関が提携した住宅ローンであるフラット35(買取型)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. フラット35Sは、省エネルギー性、耐震性など一定の技術基準を満たした住宅を取得する場合に、借入金利を一定期間引き下げる制度である。
2. フラット35の利用者向けインターネットサービスである「住・My Note」を利用して繰上げ返済する場合、一部繰上げ返済の最低返済額は100万円である。
3. 店舗付き住宅などの併用住宅を建築する際にフラット35を利用する場合、住宅部分の床面積が非住宅部分の床面積以上である必要がある。
4. 住宅金融支援機構は、融資を実行する金融機関から住宅ローン債権を買い取り、対象となる住宅の第1順位の抵当権者となる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. フラット35は、「住・My Note」を利用して繰上げ返済する場合は、最低10万円から、金融機関の窓口で繰り上げ返済する場合は、最低100万円から可能とされています。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。
【問9】
中小企業の資金調達方法の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 企業が民間の銀行から融資を受けて事業資金を調達する方法は、間接金融に分類される。
2. インパクトローンは、米ドル等の外貨によって資金を調達する方法であり、その資金使途は限定されていない。
3. 第三者割当増資により新株を引き受けた第三者が既存株主以外の者であった場合、既存株主の持株比率が上昇する。
4. 日本政策金融公庫のマル経融資(小規模事業者経営改善資金)は、商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者の商工業者が利用できる融資制度であり、利用に当たって担保と保証人は不要とされている。
正解:
1. 正しい記述です。預金者から集めたお金を銀行を経由して融通(融資)しているからです。
2. 正しい記述です。
3. 第三者割当増資は、新株を割り当てて増資をする手法ですから、新株を引き受けた第三者が既存株主以外の者であった場合、既存株主の持株比率は低下します。
4. 正しい記述です。
【問10】
クレジットカード会社(貸金業者)が発行するクレジットカードの一般的な利用に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. クレジットカードで商品を購入(ショッピング)した場合の返済方法の1つである分割払いは、利用代金の支払回数を決め、その回数で利用代金を分割して支払う方法である。
2. クレジットカード会員の信用情報は、クレジットカード会社が加盟する指定信用情報機関により管理されており、会員は自己の信用情報について所定の手続きにより開示請求をすることができる。
3. クレジットカードは、約款上、クレジットカード会社が所有権を有しており、クレジットカード券面上に印字された会員本人以外が使用することはできないとされている。
4. クレジットカードの付帯機能であるキャッシングを利用し、返済方法として翌月一括払いを選択した場合、利息はかからない。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. キャッシングは、カード会社から借金をする制度ですから、利用すると、返済方法に関わらず利息がかかります。

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