FP2級学科解説-2023年1月・問1~10
【問1】
ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の顧客に対する行為に関する次の記述のうち、 職業倫理や関連法規に照らし、最も適切なものはどれか。
1. | 顧客から住宅ローンについて相談を受けたFPのAさんは、顧客から預かった給与所得の源泉徴収票のコピーを、顧客に紹介する予定の不動産会社の担当者に顧客の同意を得ないまま渡した。 |
2. | 顧客から外貨預金での資金運用について相談を受けたFPのBさんは、円安ドル高がこの先ずっと続くため、円預金の大半をドル預金に移すべきだとアドバイスをした。 |
3. | 顧客から老後に受け取ることができる年金について相談を受けたFPのCさんは、社会保険労務士の資格を有していないものの、顧客の「ねんきん定期便」に記載されている年金見込額を用いて、繰り下げた場合の年金受給額を試算した。 |
4. | 顧客から所得税の確定申告について相談を受けたFPのDさんは、税理士の資格を有していないものの、顧客の要望に応じて確定申告書の作成を代行した。 |
正解:3 | |
1. | 顧客の個人情報を、当該顧客の同意なしに他社に渡す行為は不適切です。 |
2. | 相場の見通しについて断定的な判断の提供をすることは、不適切な行為です。 |
3. | 公的年金の受給見込み額の計算は、誰でもすることができますので、適切な行為です。 |
4. | 税理士の資格を持っていない人は、顧客の税務書類の作成をしてはいけません。 |
【問2】
ファイナンシャル・プランナーがライフプランニングに当たって作成するキャッシュフロー表の一般的な作成方法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | キャッシュフロー表の作成において、可処分所得は、年間の収入金額から直接税、社会保険料および住居費の金額を控除した金額を計上する。 |
2. | キャッシュフロー表の作成において、住宅ローンの返済方法を元金均等返済方式とした場合、その返済額は、毎年同額を計上する。 |
3. | キャッシュフロー表の作成において、基本生活費や教育費等の支出項目に計上した金額は、家族構成が変わらない限り、見直す必要はない。 |
4. | キャッシュフロー表の作成において、各年次の貯蓄残高は、「前年末の貯蓄残高×(1+運用利率)+当年の年間収支」の算式で計算した金額を計上する。 |
正解:4 | |
1. | 可処分所得は、収入金額から直接税と社会保険料を控除した金額であり、可処分所得の計算上、住居費などは控除しません。 |
2. | 住宅ローンの返済方法を元金均等返済とした場合、返済額は毎年減少します。 |
3. | キャッシュフロー表の作成において、支出項目に計上した金額は、生活環境(物価等の外部環境や生活スタイル等の内部環境)の変化に応じて定期的に見直す必要があります。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問3】
公的医療保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の一般保険料率は、都道府県ごとに算定され、保険料は、原則として、労使で折半して負担する。 |
2. | 自営業者や農林漁業従事者などが被保険者となる国民健康保険は、国が保険者として運営している。 |
3. | 退職により健康保険の被保険者資格を喪失した者が、健康保険の任意継続被保険者になるためには、資格喪失日の前日まで継続して1年以上の被保険者期間がなければならない。 |
4. | 健康保険や国民健康保険の被保険者は、原則として、70歳に達したときに、その被保険者資格を喪失して後期高齢者医療制度の被保険者となる。 |
正解:1 | |
1. | 正しい記述です。協会けんぽの保険料率のうち、一般保険料率は都道府県ごとに異なり、介護保険料率は全国一律です。 |
2. | 国民健康保険の保険者は、都道府県と市町村です。 |
3. | 健康保険の任意継続被保険者となるためには、資格喪失日の前日までに継続して2ヵ月以上の被保険者があることが要件とされます。 |
4. | 後期高齢者医療制度の被保険者は、原則として、75歳以上の人です。 |
【問4】
労働者災害補償保険(以下「労災保険」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 労災指定病院で療養補償給付として受ける療養の給付については、労働者の一部負担金はない。 |
2. | 労災保険の適用を受ける労働者には、雇用形態がアルバイトやパートタイマーである者は含まれるが、日雇労働者や外国人労働者は含まれない。 |
3. | 業務災害により労働者が死亡した場合、対象となる遺族に対し、遺族補償給付として遺族補償年金または遺族補償一時金が支給される。 |
4. | 労働者が業務上の負傷または疾病による療養のため労働することができず賃金を受けられない場合、賃金を受けられない日の第4日目から休業補償給付が支給される。 |
正解:2 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 労災保険の被保険者は、全ての労働者です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 正しい記述です。休業補償給付は労災保険のにおける傷病手当金のような給付ですが、傷病手当金と異なり、連続した休業でなくても3日間休業すると、休業4日目から支給されます。 |
【問5】
雇用保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 2つの事業所に雇用される65歳以上の労働者で、1つの事業所における1週間の所定労働時間がそれぞれ10時間未満、2つの事業所における1週間の所定労働時間の合計が10時間以上である者は、所定の申出により、雇用保険の高年齢被保険者となることができる。 |
2. | 特定受給資格者等を除く一般の受給資格者に支給される基本手当の所定給付日数は、算定基礎期間が10年未満の場合、150日である。 |
3. | 基本手当の受給期間中に、妊娠、出産、育児、病気等により、引き続き30日以上職業に就くことができない場合、最長3年まで受給期間を延長することができる。 |
4. | 高年齢雇用継続基本給付金は、一般被保険者に対して支給対象月に支払われた賃金の額が、みなし賃金日額に30日を乗じて得た額の75%未満であること等の要件を満たす場合に支給される。 |
正解:4 | |
1. | 複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者は、2つの事業所(それぞれの雇用見込みが31日以上であり、1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満であるものに限ります)の労働時間を合計して、1週間の所定労働時間が20時間以上であれば、雇用保険の高年齢被保険者となることができます。これを、高年齢被保険者の特例(雇用保険マルチジョブホルダー制度)と言います。 |
2. | 雇用保険の一般の受給資格者に支給される基本手当の所定給付日数は、算定基礎期間が10年未満の場合、90日です。 |
3. | 基本手当の受給期間は、原則として1年間ですが、妊娠出産育児病気などにより引き続き30日以上職業に就くことができない場合は、(3年間延長し、)最長4年まで 受給期間を延長することができます。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問6】
公的年金等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 公的年金および年金生活者支援給付金は、原則として、毎年1月、3月、5月、7月、9月および11月に、それぞれの前月までの2ヵ月分が支給される。 |
2. | 国民年金の第1号被保険者は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の自営業者や学生などのうち、日本国籍を有する者のみが該当する。 |
3. | 産前産後休業を取得している厚生年金保険の被保険者の厚生年金保険料は、所定の手続きにより、被保険者負担分と事業主負担分がいずれも免除される。 |
4. | 老齢厚生年金の繰上げ支給を請求する場合、老齢基礎年金の繰上げ支給の請求を同時に行う必要はない。 |
正解:3 | |
1. | 公的年金は、偶数月の15日に、前月までの2ヵ月分が支給されます。 |
2. | 国民年金の第1号被保険者は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人で、第2号被保険者または第3号被保険者でない全ての人です(国籍要件はありません)。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 老齢年金の繰上げを請求する場合は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰上げる必要があります。 なお、繰下げる場合は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に繰下げることができます。 |
【問7】
公的年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 障害基礎年金と遺族厚生年金の受給権を有している者は、65歳以降、障害基礎年金と遺族厚生年金を同時に受給することができる。 |
2. | 障害基礎年金と老齢厚生年金の受給権を有している者は、65歳以降、障害基礎年金と老齢厚生年金を同時に受給することができる。 |
3. | 同一の事由により、障害厚生年金と労働者災害補償保険法に基づく障害補償年金が支給される場合、障害補償年金は全額支給され、障害厚生年金は所定の調整率により減額される。 |
4. | 健康保険の傷病手当金の支給を受けるべき者が、同一の疾病または負傷およびこれにより発した疾病について障害厚生年金の支給を受けることができる場合、原則として傷病手当金は支給されない。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。障害基礎年金は、3種類全ての厚生年金と併給されます。 |
2. | 正しい記述です。障害基礎年金は、3種類全ての厚生年金と併給されます。 |
3. | 同一の事由により障害厚生年金と障害補償年金が支給される場合、障害厚生年金は全額支給されますが、障害補償年金は所定の調整率により減額されます。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問8】
確定拠出年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 企業型年金を実施する事業主は、企業型年金規約において、加入者に一定の資格を定めることができる。 |
2. | 企業型年金における加入者掛金(マッチング拠出により加入者が拠出する掛金)の上限額は、事業主掛金の額にかかわらず、拠出限度額から当該加入者に係る事業主掛金の額を差し引いた額となる。 |
3. | 企業型年金の掛金は、月単位での拠出のほか、賞与時期のみの拠出や年1回の拠出も可能である。 |
4. | 企業型年金や確定給付企業年金等を実施していない一定規模以下の中小企業の事業主は、労使の合意かつ従業員の同意を基に、従業員が加入している個人型年金の加入者掛金に一定額の事業主掛金を上乗せして納付することができる。 |
正解:2 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | マッチング拠出により加入者が拠出することができる掛金の上限額は、拠出限度額から当該加入者に係る事業主掛金の額を引いた額、かつ、事業主掛金の額以下です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 正しい記述です。iDeCo+(イデコプラス・中小事業主掛金納付制度)の説明です。 |
【問9】
奨学金および教育ローンに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 日本学生支援機構の貸与奨学金の返還が災害や傷病等により困難となった場合、所定の要件を満たせば、一定期間、毎月の返還額を減額し、減額した金額や期間に応じて返還期間を延長する減額返還制度を利用することができる。 |
2. | 日本学生支援機構の貸与奨学金のうち、第一種奨学金の返還方式には、貸与総額に応じて月々の返還額が算出され、返還完了まで定額で返還する「定額返還方式」と、前年の所得に応じてその年の毎月の返還額が決まり、返還期間が変動する「所得連動返還方式」がある。 |
3. | 日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)の融資金利は、ひとり親家庭や交通遺児家庭等を対象として優遇措置が講じられている。 |
4. | 日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)の返済期間は、最長20年である。 |
正解:4 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。現在は、第一種奨学金にのみ所得連動返還方式の選択肢があります。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 国の教育ローンの返済期間は、最長18年です。 「予備校(4び50)に行くのは嫌(18)だ」という語呂合わせで覚えてください。 |
【問10】
損益分岐点比率に関する次のグラフおよび記述の空欄(ア)~(エ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
売上高に占める損益分岐点売上高の割合を損益分岐点比率といい、損益分岐点比率が( エ )ほど、売上が低下しても赤字になりにくいとされる。
1. | (ア)限界利益 (イ)固定費 (ウ)変動費 (エ)低い |
2. | (ア)利益 (イ)変動費 (ウ)固定費 (エ)低い |
3. | (ア)利益 (イ)固定費 (ウ)変動費 (エ)高い |
4. | (ア)限界利益 (イ)変動費 (ウ)固定費 (エ)高い |
正解:2 | |
(ア) | 売上高から変動費と固定費を引いたものは、利益です。なお、限界利益とは、売上高から変動費を引いたものを言います。 |
(イ) | 売上の額に比例してかかる費用は、変動費です。 |
(ウ) | 売上の額に関わらず一定である費用は、固定費です。 |
(エ) |
問題文に書いてある通り、損益分岐点比率とは売上高に占める損益分岐点売上高の割合(損益分岐点売上高÷売上高)の事を言います。 例えば、損益分岐点売上高が40万円(40万円以上売り上げると黒字になる)場合、売上高が50万円(売上が10万円以上低下するだけで赤字になる状態)であれば、損益分岐点比率は、40万円÷50万円=80%です。 |
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