お金の寺子屋

FP2級学科解説-2022年5月・問41~50

【問41】
不動産の登記や調査に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 不動産の登記記録において、土地の所有者とその土地上の建物の所有者が異なる場合、その土地の登記記録に借地権の登記がなくても、借地権が設定されていることがある。
2. 不動産の登記事項証明書の交付を請求することができるのは、当該不動産に利害関係を有する者に限られる。
3. 不動産登記には公信力がないため、登記記録を確認し、その登記記録の内容が真実であると信じて取引しても、その登記記録の内容が真実と異なっていた場合、法的に保護されないことがある。
4. 公図(旧土地台帳附属地図)は、登記所に備え付けられており、対象とする土地の位置関係を確認する資料として有用である。
正解:
1. 正しい記述です。抵当権の対抗要件は、抵当権自体の設定登記以外にも、借地上の建物について登記を行う事でも満たします。
2. 不動産の登記記録は、手数料さえ払えば誰でも閲覧することができます。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。
【問42】
土地の価格に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 地価公示法による公示価格は、毎年1月1日を標準地の価格判定の基準日としている。
2. 都道府県地価調査の標準価格は、毎年7月1日を基準地の価格判定の基準日としている。
3. 相続税路線価は、地価公示法による公示価格の70%を価格水準の目安としている。
4. 固定資産税評価額は、原則として、3年ごとの基準年度において評価替えが行われる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。基準地標準価格は公示価格の補完を目的として公表されるものですから、公示価格の基準日から半年後を基準に価格を公表することで、半年ごとに売買価格の目安を公表することができるようになっています。
3. 路線価は、公示価格の80%を目安に設定されます。
4. 正しい記述です。
【問43】
不動産の売買契約に係る民法の規定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
1. 不動産の売買契約は、契約書を作成しなければその効力を生じない。
2. 建物が共有の場合、各共有者は、自己が有している持分を第三者に譲渡するときには、他の共有者の同意は必要としない。
3. 買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が代金の一部を支払った後でも、売主は、自らが契約の履行に着手するまでは、受領した代金を返還し、かつ、受領した手付の倍額を買主に現実に提供することにより、契約を解除することができる。
4. 同一の不動産について二重に売買契約が締結された場合、譲受人相互間においては、所有権移転登記の先後にかかわらず、原則として、売買契約を先に締結した者が当該不動産の所有者となる。
正解:
1. 不動産の売買契約は、契約書を作成しなければ効力を生じない訳ではなく、行動によっても成立します。
2. 正しい記述です。
3. 手付解除をすることができるのは、相手方が取引の履行に着手するまでです。
4. 不動産の所有権の対抗要件は登記ですから、二重売買があった場合には、契約締結日の先後に関わらず、原則として、所有権設定登記を先に行った人が当該不動産の所有者になります。
【問44】
借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第22条から第24条の定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。
1. 普通借地権の設定契約において、居住以外の用に供する建物の所有を目的とする場合、期間の定めがないときは、存続期間は30年となるが、契約で期間を50年と定めたときは、存続期間は50年となる。
2. 普通借地権の存続期間が満了した時点で借地上に建物が存在しない場合、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、従前の契約と同一の条件で契約は更新されたものとみなす。
3. 借地権者の債務不履行により普通借地権の設定契約が解除された場合、借地権者は借地権設定者に対し、借地上の建物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
4. 借地権者は、普通借地権について登記がされていない場合において、当該土地上に借地権者の名義で登記がされている建物が滅失したときは、滅失後3年以内にその旨を当該土地上の見やすい場所に掲示すれば、当該借地権を第三者に対抗することができる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 更新請求による更新は、借地上の建物が存在することが条件とされています。
3. 借地権者の債務不履行により借地権の設定契約が解除された場合には、借地権者は借地権設定者に対して、借地上の建物を買い取るべきことを請求することができません。
4. 借地上の建物が滅失した場合であっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項と、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示すれば、滅失後2年間は、借地権の対抗力を有します。
【問45】
都市計画区域および準都市計画区域内における建築基準法の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 建築物の敷地は、原則として、建築基準法に規定する道路に2m以上接していなければならない。
2. 敷地の前面道路の幅員が12m未満である建築物の容積率は、原則として、「都市計画で定められた容積率」と「前面道路の幅員に一定の数値を乗じて得たもの」とのいずれか低い方が上限となる。
3. 商業地域、工業地域および工業専用地域においては、地方公共団体の条例で日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限)の対象区域として指定することができない。
4. 第二種低層住居専用地域においては、高さが8mを超える建築物を建築することはできない。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。商業地域、工業地域、工業専用地域においては、原則として、日影規制は適用されませんが、周辺の住環境に悪影響を与えることが認められる場合などには、これらの用途地域内に存在する建物であっても、自治体が独自に日影規制を課す場合があります
4. 第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域には、絶対高さの制限が適用され、10mまたは12mを超える高さの建物を建築することができないこととされています。

【問46】
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 管理者は、少なくとも毎年1回、集会を招集しなければならない。
2. 集会の招集の通知は、原則として、開催日の少なくとも1ヵ月前までに、会議の目的たる事項を示して各区分所有者に発しなければならない。
3. 形状または効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更を行うためには、原則として、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議が必要である。
4. 集会の決議は、原則として、当該決議後に区分所有権を譲り受けた者に対して、その効力を有しない。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 集会の招集の通知は、原則として、開催日の少なくとも一週間前までに発しなくてはいけません。
3. 形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更を行うためには、区分所有者と議決権の各過半数の多数による決議が必要です(形状又は効用の著しい変更を伴う場合は、各4分の3以上の多数による決議が必要です)。
4. 集会の決議は、原則として、当該決議後に区分所有権を譲り受けた人に対しても、効力を有します。
【問47】
不動産の取得に係る税金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 不動産取得税は、相続や贈与により不動産を取得した場合は課されない。
2. 一定の要件を満たす戸建て住宅(認定長期優良住宅を除く)を新築した場合、不動産取得税の課税標準の算定に当たっては、1戸につき最高1,200万円を価格から控除することができる。
3. 所有権移転登記に係る登録免許税の税率は、登記原因が相続による場合の方が贈与による場合に比べて高くなる。
4. 登録免許税は、建物を新築した場合の建物表題登記であっても課される。
正解:
1. 不動産取得税は、相続によって不動産を取得した場合には課されませんが、贈与により取得した場合には課されます。
2. 正しい記述です。
3. 所有権設定登記に係る登録免許税の税率は、相続を原因とする場合には0.4%、贈与を原因とする場合には2.0%です。
4. 表題登記には、登録免許税は課されません。
【問48】
個人が土地を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 土地の譲渡に係る所得については、その土地を譲渡した日の属する年の1月1日における所有期間が10年以下の場合には短期譲渡所得に区分される。
2. 土地の譲渡に係る所得が短期譲渡所得に区分される場合、課税短期譲渡所得金額に対し、所得税(復興特別所得税を含む)30.63%、住民税9%の税率で課税される。
3. 取得費が不明または実際の取得費が譲渡収入金額の5%相当額を下回る場合、譲渡所得の金額の計算上、譲渡収入金額の5%相当額を取得費とすることができる。
4. 相続(限定承認に係るものを除く)により取得した土地を譲渡した場合、その土地の所有期間を判定する際の取得の日は、被相続人の取得時期がそのまま相続人に引き継がれる。
正解:
1. 不動産の譲渡にかかる所得については、その不動産を譲渡した日が属する年の1月1日時点における所有期間が5年以下の場合に、短期譲渡所得に区分されます。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。
【問49】
不動産の有効活用の手法の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 事業受託方式は、土地の有効活用の企画、建設会社の選定や当該土地上に建設された建物の管理・運営等をデベロッパーに任せ、建設資金の調達や返済は土地所有者が行う方式である。
2. 等価交換方式は、土地所有者とデベロッパーの共同事業として、土地所有者が土地を出資し、デベロッパーが建設資金を出資して建物を建て、それぞれの出資比率に応じて土地や建物を取得する方式である。
3. 建設協力金方式では、土地所有者が土地の上に建物を建てる際に、事業者が土地所有者に資金を提供するため、当該建物の所有名義は事業者となる。
4. 定期借地権方式では、土地所有者は土地を一定期間貸し付けることにより地代収入を得ることができ、当該土地上に建設される建物の建設資金を負担する必要がない。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 建設協力金方式では、地主が事業者から資金の提供を受けて、地主名義の建物を建てる方式です(提供を受けた資金は、建物の完成後、家賃等に充当されます)。
4. 正しい記述です。
【問50】
不動産の投資判断の手法等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. DCF法は、連続する複数の期間に発生する総収入および復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計して対象不動産の収益価格を求める手法である。
2. NPV法(正味現在価値法)による投資判断においては、対象不動産から得られる収益の現在価値の合計額が投資額の現在価値の合計額を上回っている場合、その投資は投資適格であると判定する。
3. 借入金併用型の不動産投資において、レバレッジ効果が働いて自己資金に対する収益率の向上が期待できるのは、借入金の金利が総投下資本に対する収益率を上回っている場合である。
4. NOI利回り(純利回り)は、対象不動産から得られる年間の総収入を総投資額で除して算出される利回りであり、不動産の収益性を測る指標である。
正解:
1. DCF法は、連続する複数の期間に発生する純収益及び復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引いて、対象不動産の収益価格を求める手法です。
2. 正しい記述です。
3. 借入金併用型の不動産投資において、レバレッジ効果が働いて自己資金に対する収益率の向上が期待できるのは、総投下資本に対する収益率が、借入金の金利を上回っている場合です。
4. NOI利回りは、対象不動産から得られる年間の純収益を総投資額で割って計算します。

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