お金の寺子屋

FP2級学科解説-2022年5月・問11~20

【問11】
死亡保障を目的とする生命保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
1. 定期保険では、保険期間中に所定の支払事由が発生すると、死亡保険金や高度障害保険金が支払われるが、保険期間満了時に満期保険金は支払われない。
2. 終身保険では、保険料払込期間が有期払いの場合と終身払いの場合を比較すると、他の契約条件が同一であれば、年払いの1回当たりの払込保険料は終身払いの方が高い。
3. 特定(三大)疾病保障定期保険では、がん、急性心筋梗塞、脳卒中以外で被保険者が死亡した場合も死亡保険金が支払われる。
4. 変額保険(終身型)では、契約時に定めた保険金額(基本保険金額)が保証されており、運用実績にかかわらず、死亡保険金の額は基本保険金額を下回らない。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 他の条件を同じとして、有期払いと終身払いを比較すると、1年間の保険料は有期払いの方が高くなります(終身払の方が高いと、誰も終身払いにしないはずです)。
3. 正しい記述です。特定疾病保障定期保険は、被保険者が死亡した理由にかかわらず死亡保険金が支払われる定期保険に、被保険者が三大疾病により所定の状態になった場合に生前に特定疾病保険金が支払われる特約がついた商品です。
4. 正しい記述です。
【問12】
個人年金保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 終身年金では、他の契約条件が同一の場合、保険料は被保険者が女性であるよりも男性である方が高くなる。
2. 確定年金では、年金受取期間中に被保険者が死亡した場合、死亡保険金受取人が既払込保険料相当額の死亡保険金を受け取ることができる。
3. 外貨建て個人年金保険は、契約時に円換算支払特約を付加することで、為替変動があっても、円貨で受け取る年金受取総額が既払込保険料総額を下回ることはない。
4. 変額個人年金保険は、特別勘定による運用実績によって、将来受け取る年金額や解約返戻金額が変動する。
正解:
1. 個人年金保険は被保険者が生きていることを前提に年金が支払われる保険商品ですから、予定死亡率が低いほど保険料は高くなります。よって、他の条件を同じとすると、被保険者が女性である場合の方が男性である場合よりも保険料は高くなります(予定死亡率は女性の方が男性よりも低いため)。
2. 確定年金では、年金受取期間中に被保険者が死亡した場合、残りの期間に応じた年金または一時金が死亡保険金受取人に支払われます。
3. 円換算支払特約には、為替ヘッジをする機能はありません(保険料支払と保険金受け取りを円通貨で行うための特約です)。
4. 正しい記述です。
【問13】
2012年1月1日以後に締結した保険契約の保険料に係る生命保険料控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
1. 一般の生命保険料控除、個人年金保険料控除および介護医療保険料控除の控除限度額は、所得税では各5万円である。
2. 生命保険契約に付加された傷害特約の保険料は、介護医療保険料控除の対象となる。
3. 変額個人年金保険の保険料は、個人年金保険料控除の対象とはならず、一般の生命保険料控除の対象となる。
4. 少額短期保険の保険料は、一般の生命保険料控除や介護医療保険料控除の対象となる。
正解:
1. 所得税の計算上、介護医療保険料控除の上限は4万円です。
2. 傷害特約のような、身体の傷害のみに起因して保険金が支払われるような契約に係る保険料は、生命保険料控除の対象外です。
3. 正しい記述です。
4. 少額短期保険の保険料は、生命保険料控除の対象外です。
【問14】
契約者(=保険料負担者)を法人、被保険者を役員とする生命保険契約の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれの保険契約も保険料は年払いかつ全期払いで、2021年10月に締結したものとする。
1. 死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が65%である定期保険(保険期間20年、年払保険料120万円)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。
2. 死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。
3. 死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その2分の1相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。
4. 給付金受取人が法人である解約返戻金のない医療保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができる。
正解:
1. 正しい記述です。最高解約返戻率が50%超70%以下である定期保険の保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産計上し、残りを損金算入します。
2. 正しい記述です。
3. 死亡保険金及び満期保険金受取人がいずれも法人である養老保険(ハーフタックスプランの要件を満たさない養老保険)の保険料は、全額資産計上します。
4. 正しい記述です。
【問15】
損害保険による損害賠償等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 政府の自動車損害賠償保障事業による損害の塡補は、自動車損害賠償責任保険と同様に、人身事故による損害が対象となり、物損事故による損害は対象とならない。
2. 自動車保険の対人賠償保険では、被保険者が被保険自動車の運転中に起こした事故が原因で、兄弟姉妹がケガをしたことにより法律上の損害賠償責任を負った場合、補償の対象となる。
3. 失火の責任に関する法律によれば、失火により他人に損害を与えた場合、その失火者に重大な過失がなかったときは、民法第709条(不法行為による損害賠償)の規定が適用される。
4. 生産物賠償責任保険(PL保険)では、被保険者が製造した商品の欠陥が原因で、商品を使用した者がケガをしたことにより法律上の損害賠償責任を負った場合、補償の対象となる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。記名被保険者本人や、その父母・配偶者・子などは、対人賠償保険の補償の対象外ですが、記名被保険者の兄弟姉妹は補償の対象です。
3. 失火責任法の定めにより、失火者に重大な過失がなく、失火により他人に損害を与えた場合には、民法709条の規定が適用されない(損害賠償責任を負わない)こととされています。
4. 正しい記述です。 生産物賠償責任保険(PL保険)は、第三者に引き渡した物や製品、業務の結果に起因して賠償責任を負った場合に備える保険です。

【問16】
任意加入の自動車保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
1. 対物賠償保険では、被保険自動車を運転中に、父の自宅の車庫に誤って衝突して車庫を損壊させた場合、補償の対象となる。
2. 対人賠償保険では、被保険自動車を運転中に、対人事故を起こした被保険者が法律上の損害賠償責任を負った場合、自動車損害賠償責任保険等によって補償される部分を除いた額が補償の対象となる。
3. 人身傷害保険では、被保険者が被保険自動車を運転中に起こした交通事故で死傷した場合、被保険者の過失割合にかかわらず、当該損害額が保険金額を限度として補償の対象となる。
4. 一般条件の車両保険では、被保険自動車が洪水で水没した場合、補償の対象となる。
正解:
1. 対物賠償保険では、被保険者の父母、配偶者、子の財物に対する損害は補償の対象外とされています。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。
【問17】
傷害保険等の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
1. 交通事故傷害保険では、交通乗用具に搭乗中の交通事故や交通乗用具の火災事故によるケガは補償の対象となるが、交通乗用具にエレベーターは含まれない。
2. 普通傷害保険では、自転車で転倒して負ったケガが原因で罹患した破傷風は補償の対象となる
3. 海外旅行(傷害)保険では、海外旅行中に罹患したウイルス性食中毒は補償の対象となる。
4. 所得補償保険では、日本国内外において、保険会社が定める病気やケガによって就業不能となった場合、補償の対象となる。
正解:
1. 交通事故傷害保険における交通乗用具の範囲は結構幅広く、エレベーターやエスカレーターも含みます。
2. 正しい記述です。普通傷害保険は、偶然かつ急激な外来の事故に備える保険です。
3. 正しい記述です。海外旅行傷害保険や国内旅行傷害保険では、細菌性食中毒も補償の対象です。
4. 正しい記述です。
【問18】
契約者(=保険料負担者)を法人とする損害保険契約の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 火災により倉庫を焼失するリスクに備えて、保険期間5年の火災保険に加入し、5年分の保険料を一括で支払った場合、その事業年度に、支払った保険料の全額を損金の額に算入することができる。
2. 業務中の事故によりケガを負うリスクに備えて、すべての役員・従業員を被保険者および保険金受取人とする普通傷害保険に加入した場合、その支払った保険料の全額を損金の額に算入することができる。
3. 法人が所有する業務用自動車が交通事故で損壊し、法人が受け取った自動車保険の車両保険の保険金で修理をした場合、当該保険金を益金の額に算入し、当該修理費を損金の額に算入することができる。
4. 積立傷害保険が満期を迎え、法人が満期返戻金と契約者配当金を受け取った場合、その全額を益金の額に算入し、資産に計上していた積立保険料の累計額を損金の額に算入することができる。
正解:
1. 法人が複数の期間にわたる損害保険の保険料を一時払いした場合、その事業年度に損金算入することができるのは、その事業年度に係る保険料部分だけです(残額は前払保険料として処理し、翌期以降その期に係る保険料を損金算入します)。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。満期により保険契約が消滅した場合、受け取った金額を益金に算入し、資産計上額を取り崩して損金に算入します。
【問19】
医療保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 医療保険では、人間ドック等の治療を目的としない入院をし、異常が発見されなかった場合、入院給付金を受け取ることができない。
2. 更新型の医療保険では、保険期間中に入院給付金を受け取った場合、保険期間満了時に契約を更新することができない。
3. 引受基準緩和型の医療保険と引受基準緩和型ではない一般の医療保険を比較した場合、他の契約条件が同一であれば、保険料は引受基準緩和型の医療保険の方が高くなる。
4. 先進医療特約で先進医療給付金の支払対象とされている先進医療は、療養を受けた日時点において厚生労働大臣によって定められたものである。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 医療保険の更新は、入院給付金の支払い履歴に関係なく、また、更新時の健康状態に関係なく、行うことができます。
3. 正しい記述です。引受基準緩和型の商品は、危険度が高い被保険者が増えるため、そのぶん保険料が高くなります。
4. 正しい記述です。先進医療特約における先進医療の範囲は、療養を受けた日時点において判定します。
【問20】
生命保険を利用した家庭のリスク管理に係る一般的なアドバイスに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 「自分が死亡した場合の相続税の納税資金を確保するために生命保険に加入したい」という相談に対して、終身保険への加入を提案した。
2. 「病気やケガで入院した場合の医療費の負担が不安なので生命保険に加入したい」という相談に対して、定期保険への加入を提案した。
3. 「自分の老後の生活資金を準備するために生命保険に加入したい」という相談に対して、個人年金保険への加入を提案した。
4. 「自分が死亡した後の子どもが社会人になるまでの生活資金を準備するために生命保険に加入したい」という相談に対して、収入保障保険への加入を提案した。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 定期保険は被保険者の死亡に備えるためのもので、病気や怪我をした際の出費の負担に備えるものではありません。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。収入保障保険は死亡保険の一種で、死亡保険金が契約で定めた期間まで年金形式で支払われる商品ですから、子供が社会人になるまでの生活資金を準備したいというニーズに合致します。

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