FP3級実技(FP協会)解説-2024年1月・前半
【問1】
ファイナンシャル・プランニング業務を行うに当たっては、関連業法を順守することが重要である。ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の行為に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 税理士の登録を受けていないFPが、無料相談会において、相談者が持参した資料に基づき、相談者が納付すべき所得税の具体的な税額を計算した。 |
2. | 生命保険募集人、保険仲立人または金融サービス仲介業の登録を受けていないFPが、変額年金保険の一般的な商品内容について有償で説明した。 |
3. | 投資助言・代理業の登録を受けていないFPが、顧客が保有する投資信託の運用報告書に基づき、その記載内容について説明した。 |
正解:1
1. | 税理士の資格を有しない人が、個別具体的な税金の計算を行ってはいけません。 |
2. | 一般的な説明は、有償・無償を問わず、誰でもすることができます。 |
3. | 投資信託の運用報告書の記載内容の説明は、一般的な説明ですから、有償・無償を問わず、誰でもすることができます。 |
【問2】
下記は、近藤家のキャッシュフロー表(一部抜粋)である。このキャッシュフロー表の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値として、誤っているものはどれか。なお、計算に当たっては、キャッシュフロー表中に記載の整数を使用し、計算過程においては端数処理をせず計算し、計算結果については万円未満を四捨五入すること。
※ | 年齢および金融資産残高は各年12月31日現在のものとし、2023年を基準年とする。 |
※ | 給与収入は可処分所得で記載している。 |
※ | 記載されている数値は正しいものとする。 |
※ | 問題作成の都合上、一部空欄にしてある。 |
1. | 611 |
2. | 199 |
3. | 1,041 |
正解:3
(ア) | 593万円×(1.01)^3=610.96…≒611万円です。 |
(イ) | 634万円+572万円×1.01-1,013万円=198.72万円≒199万円です。 |
(ウ) | 896万円×1.01+135万円=1,039.96万円≒1,040円です。 |
【問3】
下記<資料>に基づくWX株式会社の投資指標に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項は一切考慮しないものとし、計算結果については表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。
<資料:WX株式会社に関するデータ> | |
株価 | 2,000円 |
1株当たり純利益(今期予想) | 200円 |
1株当たり純資産 | 2,200円 |
1株当たり年間配当金(今期予想) | 30円 |
1. | 株価純資産倍率(PBR)は、1.1倍である。 |
2. | 配当性向は、10%である。 |
3. | 配当利回りは、1.36%である。 |
正解:2
1. | PBR=株価÷1株当たり当期純資産=2,000円÷2,200円=0.90909…≒0.91倍です。 |
2. | 配当性向(%)=1株当たり年間配当金÷1株当たり当期純利益×100=30円÷300円×100=10%です。 |
3. | 配当利回り(%)=1株当たり年間配当金÷株価×100=30円÷2,000円×100=1.5%です。 |
【問4】
下記<資料>は、香川さん、細井さんおよび大津さんがWA銀行(預金保険制度の対象となる銀行)で保有している金融商品の時価の一覧表である。WA銀行が破綻した場合、この時価に基づいて預金保険制度によって保護される金額に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
<資料>
香川さん | 細井さん | 大津さん | |
普通預金 | 100万円 | 180万円 | 700万円 |
定期預金 | 500万円 | 300万円 | 350万円 |
外貨預金 | 300万円 | - | - |
株式投資信託 | - | 300万円 | - |
※ | 香川さん、細井さんおよび大津さんはいずれも、WA銀行からの借入れはない。 |
※ | 普通預金は決済用預金ではない。 |
※ | 預金の利息については考慮しないものとする。 |
1. | 香川さんの金融商品のうち、保護される金額の合計は600万円である。 |
2. | 細井さんの金融商品のうち、保護される金額の合計は780万円である。 |
3. | 大津さんの金融商品のうち、保護される金額の合計は1,050万円である。 |
正解:1
1. | 正しい記述です。外貨預金は保護の対象にならないため、普通預金100万円+定期預金500万円=600万円が保護されます。 |
2. | 投資信託は保護の対象にならないため、普通預金180万円+定期預金300万円=480万円が保護されます。 |
3. | 普通預金と定期預金が保護の対象になりますが、保護されるのは、元本1,000万円までですから、保護される金額の合計は、700万円+350万円>1,000万円より、1,000万円です。 |
【問5】
景気動向指数に関する下表の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句として、最も適切なものはどれか。
採用指標名(抜粋) | |||||||
先行系列 |
|
||||||
一致系列 |
|
||||||
遅行系列 |
|
※ | 「逆サイクル」とは、指数の上昇・下降が景気の動きと反対になる指標であることを指す。 |
1. | (ア)有効求人倍率(除く学卒) |
2. | (イ)東証株価指数 |
3. | (ウ)消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、前年同月比) |
正解:3
1. | 有効求人倍率(除学卒)は、一致系列の指標です。 |
2. | 東証株価指数(TOPIX)は、先行系列の指標です。 |
3. | 消費者物価指数は、遅行系列の指標です。 |
【問6】
建築基準法に従い、下記<資料>の土地に建築物を建築する場合の延べ面積(床面積の合計)の最高限度として、正しいものはどれか。なお、記載のない事項については一切考慮しないものとする。
<資料>
1. | 180㎡ |
2. | 1,080㎡ |
3. | 1,200㎡ |
正解:2
前面道路の幅員が12m未満である場合、容積率の上限は、指定容積率と前面道路の幅員によって定まる容積率のうち、いずれか小さい方となります。
前面道路の幅員によって定まる容積率=6×6/10=3.6=360%ですから、容積率の上限は、360%となります。
よって、容積率の上限となる延床面積は、300㎡×360%=1,080㎡です。
前面道路の幅員によって定まる容積率=6×6/10=3.6=360%ですから、容積率の上限は、360%となります。
よって、容積率の上限となる延床面積は、300㎡×360%=1,080㎡です。
【問7】
土地登記記録に関する下表の空欄(ア)~(ウ)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
<土地登記記録の構成> | |||
土地登記記録 | 表題部 | ( ア ) | |
権利部 | 甲区 | ( イ ) | |
乙区 | ( ウ ) |
1. | 当該土地が初めて造成されたときに、所有権保存登記がされるのは、表題部(ア)である。 |
2. | 当該土地の地目や面積等が登記されるのは、権利部甲区(イ)である。 |
3. | 金融機関から融資を受け、土地を担保として抵当権が設定される場合、抵当権設定登記がされるのは、権利部乙区(ウ)である。 |
正解:3
1. | 所有権に関する事項は、権利部甲区に記録されます。 |
2. | 物件の物理的状況は、表題部に記録されます。 |
3. | 正しい記述です。抵当権などの所有権以外の権利に関する事項は、権利部乙区に記録されます。 |
【問8】
都市計画法に基づく都市計画区域に関する下表の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値または語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
市街化区域 | すでに市街地を形成している区域およびおおむね( ア )年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域 |
市街化調整区域 | 市街化を( イ )すべき区域 |
非線引き区域 | ( ウ )の定められていない都市計画区域 |
1. | (ア) 5 (イ)抑制 (ウ)用途地域 |
2. | (ア)10 (イ)抑制 (ウ)区域区分 |
3. | (ア)10 (イ)調整 (ウ)区域区分 |
正解:2
(ア) | 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域、および、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域です。 |
(イ) | 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域です。 |
(ウ) | 非線引き区域は、市街化区域と市街化調整区域の区域区分が定められていない都市計画区域です。 |
【問9】
山根正人さんが加入している終身医療保険(下記<資料>参照)の保障内容に関する次の記述の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、保険契約は有効に継続しているものとする。また、正人さんはこれまでに<資料>の保険から保険金および給付金を一度も受け取っていないものとする。
<資料>
正人さんは、2023年10月に交通事故により約款所定の手術(給付倍率10倍)を1回受け、その後継続して12日間入院した。また、同年12月には急性心筋梗塞で継続して7日間入院し、その後死亡した。この場合に支払われる保険金および給付金は、合計( ア )である。
1. | 1,170,000円 |
2. | 1,190,000円 |
3. | 1,290,000円 |
正解:3
手術給付金10,000円×10+入院給付金10,000円×12+入院給付金10,000円×7+死亡保険金1,000,000円=1,290,000円です。
【問10】
西里光一さんが2023年中に支払った生命保険の保険料は下記<資料>のとおりである。この場合の光一さんの2023年分の所得税の計算における生命保険料控除の金額として、正しいものはどれか。なお、<資料>の保険について、これまでに契約内容の変更はないものとする。また、2023年分の生命保険料控除額が最も多くなるように計算すること。
<資料>
[終身保険(無配当、新生命保険料)]
契約日:2015年1月1日
保険契約者:西里 光一
被保険者:西里 光一
死亡保険金受取人:西里 由美子(妻)
2023年の年間支払保険料:78,600円
[医療保険(無配当、介護医療保険料)]
契約日:2018年3月1日
保険契約者:西里 光一
被保険者:西里 光一
死亡保険金受取人:西里 由美子(妻)
2023年の年間支払保険料:48,300円
<所得税の生命保険料控除額の速算表>
(注) | 支払保険料とは、その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額をいう。 |
1. | 39,650円 |
2. | 40,000円 |
3. | 71,725円 |
正解:3
終身保険の保険料は、一般の生命保険料控除に区分されるため、78,600円×1/4+20,000円=39,650円の控除を受けることができます。
医療保険の保険料は、介護医療保険料控除に区分されるため、48,300円×1/2+10,000円=32,075円の控除を受けることができます。
よって、生命保険料控除の額は、39,650円+32,075円=71,725円となります。
医療保険の保険料は、介護医療保険料控除に区分されるため、48,300円×1/2+10,000円=32,075円の控除を受けることができます。
よって、生命保険料控除の額は、39,650円+32,075円=71,725円となります。
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