お金の寺子屋

FP2級学科解説-2024年1月・問31~40

【問31】
所得税の基本的な仕組みに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 所得税では、納税者が申告した所得金額に基づき、納付すべき税額を税務署長が決定する賦課課税方式が採用されている。
2. 所得税の課税対象は国内において生じた所得のみであり、国外において生じた所得が課税対象となることはない。
3. 所得税における居住者とは、国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいう。
4. 所得税額の計算において課税総所得金額に乗じる税率には、課税総所得金額が大きくなるにつれて段階的に税率が高くなる超過累進税率が採用されており、その最高税率は30%である。
正解:
1. 所得税では、納税者が税額を計算して納税する、申告納税方式の税金です。
2. 所得税は、国外源泉所得も課税の対象とします。
3. 正しい記述です。
4. 所得税の超過累進税率の最高税率は、45%です(5%~45%までの7段階)。
なお、問題文の前半は正しいです。
【問32】
所得税における各種所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 不動産の貸付けをしたことに伴い敷金の名目により収受した金銭の額のうち、その全部または一部について、返還を要しないことが確定した金額は、その確定した日の属する年分の不動産所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
2. 老齢基礎年金の受給者の公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円を超える場合、雑所得の金額の計算上、老齢基礎年金に係る収入金額から公的年金等控除額は控除されない。
3. 退職一時金を受け取った退職者が、「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合、所得税および復興特別所得税として、退職一時金の支給額の20.42%が源泉徴収される。
4. 為替予約を締結していない外貨定期預金を満期時に円貨で払い戻した結果生じた為替差益は、一時所得として総合課税の対象となる。
正解:
1. 正しいです。敷金は、返還する予定があるものですから、収受した時点では総収入金額に算入しませんが、返還を要しないことが確定した時点で、その金額を総収入金額に算入します。
2. 公的年金等に係る雑所得の計算上、合計所得金額に関係なく、公的年金等控除額を控除することができます。
なお、控除額は、収入金額や公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額に応じて変わります。
3. 「退職所得の受給に関する申告書」を提出すると、正しい税額が源泉徴収され、課税関係が終了します。
なお、問題文は、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合の説明です。
4. 為替予約を締結していない外貨預金の為替差益は、雑所得として総合課税の対象となります。
【問33】
所得税の損益通算に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 先物取引に係る雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、不動産所得の金額と損益通算することができる。
2. 業務用車両を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、事業所得の金額と損益通算することができる。
3. 不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、不動産所得を生ずべき土地の取得に要した負債の利子の額に相当する部分の金額は、事業所得の金額と損益通算することができる。
4. 生命保険の解約返戻金を受け取ったことによる一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、不動産所得の金額と損益通算することができる。
正解:
1. 先物取引に係る雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、雑所得の赤字です(不・事・山・譲に該当しません)から、他の所得の金額と損益通算することはできません。
2. 正しい記述です。業務用車両を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、譲渡所得の赤字ですから、他の所得と損益通算することができます。
3. 不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、土地取得のための借入金の利子相当額は、損益通算の対象外です。
4. 一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、(不・事・山・譲に該当しませんから、)他の所得の金額と損益通算することはできません。
【問34】
所得税における寡婦控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載されたもの以外の要件はすべて満たしているものとする。
1. 夫と死別した後に婚姻をしていない納税者は、扶養親族を有していない場合であっても、寡婦控除の適用を受けることができる。
2. 夫と離婚した後に婚姻をしていない納税者は、納税者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の者がいる場合であっても、寡婦控除の適用を受けることができる。
3. 納税者の合計所得金額が500万円を超えている場合、寡婦控除の適用を受けることはできない。
4. 寡婦控除とひとり親控除は、重複して適用を受けることができない。
正解:
1. 正しい記述です。夫と死別した場合には、扶養親族を有していない場合であっても、寡婦控除の適用を受けることができます。
なお、夫と離婚した場合には、扶養親族を有していることが、寡婦控除の適用を受けるための要件となります。
2. 納税者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいる場合は、寡婦控除やひとり親控除の適用を受けることができません。
3. 正しい記述です。寡婦控除やひとり親控除の適用を受けるためには、納税者の合計所得金額が500万円以下であるなどの要件を満たさなくてはなりません。
4. 正しい記述です。寡婦控除の適用要件には、ひとり親に該当しない事が含まれます。
【問35】
次のうち、青色申告者のみが適用を受けることができる所得税の青色申告の特典として、最も不適切なものはどれか。
1. 棚卸資産の評価における低価法の選択
2. 純損失の繰戻還付
3. 雑損失の繰越控除
4. 中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入
正解:
青色申告は、正しい記帳と納税を促す制度ですから、青色申告者には、棚卸資産の評価における低価法の選択、純損失の繰戻還付、中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入等の特典が与えられます。
一方、雑損失の繰越控除は、正しい記帳と納税とは関係がない制度ですから、青色申告者以外も適用を受けることができます(資産に損害を受けた場合、事業を行っている人だけが優遇されて、会社員や公務員として働いている人は優遇されないというのはおかしいです)。

【問36】
法人税の仕組みに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 法人は、法人税の納税地に異動があった場合、原則として、異動前および異動後の納税地の所轄税務署長にその旨を届け出なければならない。
2. 新設法人が設立事業年度から青色申告の適用を受けようとする場合は、設立の日から1ヵ月以内に、「青色申告の承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出し、その承認を受けなければならない。
3. 期末資本金の額等が1億円以下の一定の中小法人に対する法人税の税率は、所得金額のうち年800万円以下の部分について軽減税率が適用される。
4. 青色申告法人は、仕訳帳・総勘定元帳等の帳簿を備えて取引に関する事項を記録するとともに、当該帳簿を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から事業の廃止日後7年を経過するまで保存しなければならない。
正解:
1. 法人は、法人税の納税地に異動があった場合、原則として、移動前の納税地の所轄税務署長にその旨を届け出なければなりません。
2. 新設法人が設立事業年度から青色申告の適用を受けようとする場合は、設立の日から3ヵ月以内に、「青色申告の承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出し、その承認を受けなければなりません。
3. 正しい記述です。
4. 青色申告法人は、仕訳帳・総勘定元帳等の帳簿を、原則として、確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりません。
【問37】
法人税の益金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、法人は内国法人(普通法人)であるものとする。
1. 法人が法人税の還付を受けた場合、その還付された金額は、原則として、還付加算金を除き、益金の額に算入する。
2. 法人が個人から債務の免除を受けた場合、その免除された債務の金額は、原則として、益金の額に算入する。
3. 法人が個人から無償で土地の譲渡を受けた場合、その土地の時価に相当する金額は、原則として、益金の額に算入する。
4. 法人が支払いを受けた完全支配関係のある他の法人の株式等(完全子法人株式等)に係る配当等の額は、所定の手続により、その全額が益金不算入となる。
正解:
1. 仮に納付したお金が返ってきたとしても、儲けているとは言えませんから、法人税の還付金は益金不算入です。一方、利息の性質を持つ還付加算金は、益金の額に算入します。
2. 正しい記述です。債務を免除された場合、利益を得たと考えられますから、その金額を益金の額に算入します。
3. 正しい記述です。土地の無償譲渡を受けた場合、その土地の時価に相当する金額分の利益を得たと考えられますから、その金額を益金の額に算入します。
4. 正しい記述です。完全子法人株式等に係る配当等の額は、二重課税を排除するため、所定の手続により、その全額が益金不算入となります。
【問38】
消費税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 消費税の課税事業者が行う居住の用に供する家屋の貸付けは、その貸付期間が1ヵ月以上であれば、消費税の課税取引に該当する。
2. 簡易課税制度の適用を受けることができるのは、消費税の課税期間に係る基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者である。
3. 消費税の課税事業者が行う金融商品取引法に規定する有価証券の譲渡は、消費税の非課税取引に該当する。
4. 消費税の課税事業者である法人は、原則として、消費税の確定申告書を各課税期間の末日の翌日から2ヵ月以内に、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
正解:
1. 貸付期間が1ヵ月以上である居住用家屋の貸付けは、非課税取引とされます。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。有価証券の譲渡は、資本の移転であり、消費ではないと考えられるからです。
4. 正しい記述です。
【問39】
会社と役員間の取引に係る所得税・法人税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 会社が役員に対して無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、会社の益金の額に算入される。
2. 役員が会社の所有する社宅に無償で居住している場合、原則として、通常の賃貸料相当額が、その役員の給与所得の収入金額に算入される。
3. 会社が役員に対して支給する当該会社の株式上場に係る記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない)であって、社会通念上記念品としてふさわしく、かつ、その価額が1万円以下のものは、役員の給与所得の収入金額に算入しない。
4. 役員が所有する建物を適正な時価の2分の1以上かつ適正な時価未満の価額で会社に譲渡した場合、その役員は、適正な時価により当該土地を譲渡したものとして譲渡所得の計算を行う。
正解:
1. 正しい記述です。法人が無償で役務の提供をした場合は、益金を計上する必要があります。
2. 正しい記述です。役員が会社の所有する社宅に無償で居住している場合、原則として、その経済的利益は定期同額給与とみなされます。
3. 正しい記述です。参考:所得税基本通達36-22
4. 役員が所有する建物を適正な時価の2分の1以上かつ適正な時価未満の価額で会社に譲渡した場合、その役員は、実際の譲渡価格により当該土地を譲渡したものとして譲渡所得の計算を行います。
なお、適正な時価により当該土地を譲渡したものとして譲渡所得の計算を行うのは、適正な時価の2分の1未満の価額で譲渡した場合です。
【問40】
貸借対照表および損益計算書の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 貸借対照表の無形固定資産は、物理的な形態を持たない特許権や商標権等の資産の金額を表示している。
2. 貸借対照表の固定負債は、返済期限が決算日の翌日から起算して1年以内に到来しない借入金等の負債の金額を表示している。
3. 損益計算書の営業利益は、売上総利益金額から販売費及び一般管理費の合計額を控除した金額を表示している。
4. 損益計算書の税引前当期純利益は、経常利益または経常損失の金額に営業外収益・営業外費用を加算・減算した金額を表示している。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 税引前当期純利益=経常利益(または経常損失)+特別利益-特別損失です。

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