FP2級学科解説-2022年9月・問21~30
【問21】
為替相場や金利の変動要因に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 日本の貿易黒字の拡大は、一般に、円安要因となる。 |
2. | 日本の物価が米国と比較して相対的に上昇することは、一般に、円安要因となる。 |
3. | 米国が政策金利を引き上げることにより、日本と米国との金利差が拡大することは、一般に、円安要因となる。 |
4. | 日本銀行の金融市場調節の主な手段の1つである公開市場操作において、日本銀行が国債の買入れを行うことで市中に出回る資金量が増加することは、一般に、市中金利の低下要因となる。 |
正解:1 | |
1. | 日本の貿易黒字の拡大は、一般に、円高要因となります。 |
2. | 正しい記述です。物価が上昇すると、通貨価値は下落しますから、その国の通貨の円安要因となります。 |
3. | 正しい記述です。米国が政策金利を引き上げ、日本と米国との金利差が拡大すると、相対的に、ドルの需要が高まり、円の需要が低下しますから、一般に、円安要因となります。 |
4. | 正しい記述です。買いオペを行うと、流通する通貨の量が増加し、資金を貸しやすくなりますから、金利の低下要因となります。 |
【問22】
一般的な投資信託の分類方法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 組入れ資産のほとんどを債券が占め、株式をまったく組み入れていない証券投資信託であっても、約款上、株式に投資することができれば、株式投資信託に分類される。 |
2. | 契約型投資信託は、委託者指図型と委託者非指図型に大別され、委託者指図型投資信託は、投資信託委託会社(委託者)と信託銀行等(受託者)との信託契約により、委託者の運用指図に基づいて運用される投資信託である。 |
3. | 単位型投資信託は、投資信託が運用されている期間中いつでも購入できる投資信託であり、追加型投資信託は、当初募集期間にのみ購入できる投資信託である。 |
4. | パッシブ型投資信託は、対象となるベンチマークに連動する運用成果を目指して運用される投資信託である。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。株式投資信託と公社債投資信託の違いは、約款ベースで、実際の投資対象は関係ありません。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 単位型(ユニット型)投資信託は、当初募集期間にのみ購入できる投資信託で、追加型(オープン型)投資信託は、投資信託が運用されている期間中いつでも購入できる投資信託です。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問23】
固定利付債券の利回り(単利・年率)と価格との関係に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、手数料、経過利子、税金等については考慮しないものとし、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入するものとする。
表面利率が1.00%で、償還までの残存期間が5年の固定利付債券を、額面100円当たり102円で購入した投資家が、2年後に、額面100円当たり101円で売却した。この場合の所有期間利回りは( ア )であり、償還期限まで5年間保有した場合の最終利回りよりも( イ )。
1. | (ア)0.49% (イ)高い |
2. | (ア)0.49% (イ)低い |
3. | (ア)0.59% (イ)高い |
4. | (ア)0.59% (イ)低い |
正解:2 | |
(ア) | {1+(101-102)÷2}÷102×100=0.4901…%≒0.49%です。 |
(イ) | 最終利回り={1+(100-102)÷5}÷102×100=0.5882…%≒0.59%より、所有期間利回りは最終利回りよりも低いです。 |
【問24】
債券のイールドカーブ(利回り曲線)の一般的な特徴等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | イールドカーブは、縦軸を債券の利回り、横軸を債券の残存期間として、利回りと投資期間の関係を表した曲線である。 |
2. | イールドカーブは、好況時に中央銀行が金融引締めを行うとスティープ化し、不況時に中央銀行が金融緩和を行うとフラット化する傾向がある。 |
3. | イールドカーブは、将来の景気拡大が予想されるとスティープ化し、将来の景気後退が予想されるとフラット化する傾向がある。 |
4. | イールドカーブの形状は、通常、右上がりの順イールドであるが、急激な金融引締め時に右下がりの逆イールドとなる傾向がある。 |
正解:2 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | イールドカーブは、金融引き締め政策を行うと(短期債の利回りが上昇して)フラット化し、金融緩和政策を行うと(短期債の利回りが低下して)スティープ化(=勾配が急になること)します。 なお、長期債の利回りも同様に上昇・低下しますが、金融政策が債券の利回り(価格)に与える影響は、長期債よりも短期債の方が強いです。 |
3. | 景気の拡大が予想される場合、(リスク資産が買われ、)相対的に長期債の人気が落ちるため、長期債の利回りが上昇(価格は下落)し、イールドカーブはスティープ化します。 逆に、景気の後退が予想される場合、(リスク資産が売られ、)相対的に長期債の人気が高まるため、長期債の利回りが下落(価格は上昇)し、イールドカーブはフラット化します。 |
4. | 金融引締めを行うと、政策金利(短期金利)が上昇し、短期債の利回りが上昇(価格は下落)しますから、短期債の利回りが長期債の利回りよりも高くなる逆イールドが起こりやすくなります。 |
【問25】
株式の信用取引の一般的な仕組みに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 金融商品取引法では、株式の信用取引を行う際の委託保証金の額は20万円以上で、かつ、当該取引に係る株式の時価に100分の20を乗じた金額以上でなければならないとされている。 |
2. | 信用取引では、売買が成立した後に相場が変動し、その日の終値を基に計算される委託保証金率が、証券会社が定める最低委託保証金維持率を下回った場合、追加保証金を差し入れるなどの方法により、委託保証金の不足を解消しなくてはならない。 |
3. | 信用取引では、現物株式を所有していなければ、その株式の「売り」から取引を開始することができない。 |
4. | 一般信用取引の建株を制度信用取引の建株に変更することはできるが、制度信用取引の建株を一般信用取引の建株に変更することはできない。 |
正解:2 | |
1. | 金融商品取引法では、株式の信用取引を行う際の委託保証金の額は30万円以上で、かつ、当該取引に係る株式の時価に100分の30を乗じた金額以上でなければならないとされています。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 信用取引では、委託保証金を差し入れれば、株式を借りる事ができるため、現物の株式を所有していなくても、株式の「売り」から取引を開始することができます。 |
4. | 一般信用取引の建株を制度信用取引の建株に変更することはできません。また、制度信用取引の建株を一般信用取引の建株に変更することもはできません。 |
【問26】
上場会社であるA株式会社(以下「A社」という)に係る株式投資の指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
<A社のデータ>
株価:2,500円
発行済株式数:600万株
配当金総額(年):4億5,000万円
当期純利益(年):12億円
自己資本(=純資産):300億円
※上記以外の数値は考慮しないものとする。
株価:2,500円
発行済株式数:600万株
配当金総額(年):4億5,000万円
当期純利益(年):12億円
自己資本(=純資産):300億円
※上記以外の数値は考慮しないものとする。
1. | A社株式のPERは、12.5倍である。 |
2. | A社株式のPBRは、2.0倍である。 |
3. | A社株式の配当利回りは、3.0%である。 |
4. | A社のROEは、4.0%である |
正解:2 | |
1. | 2,500円÷(12億円÷600万株)=12.5倍です。 |
2. | 2,500円÷(300億円÷600万株)=0.5倍です。 |
3. | (4.5億円÷600万株)÷2,500円=0.03=3%です。 |
4. | 12億円÷300億円=0.04=4%です。 |
【問27】
先物取引やオプション取引に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 現在保有している現物資産が将来値下がりすることに備えるため、先物を売り建てた。 |
2. | 将来保有しようとする現物資産が将来値上がりすることに備えるため、先物を買い建てた。 |
3. | 現在保有している現物資産が将来値下がりすることに備えるため、プット・オプションを売った。 |
4. | 将来保有しようとする現物資産が将来値上がりすることに備えるため、コール・オプションを買った。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。先物の売りは、原資産価格が下落すると予想する(または、そのシナリオを回避しようとする)際に取るポジションです。 |
2. | 正しい記述です。先物の買いは、原資産価格が上昇すると予想する(または、そのシナリオを回避しようとする)際に取るポジションです。 |
3. | プットオプションの売りは、原資産価格が現状維持または上昇すると予想する(または、そのシナリオを回避しようとする)際に取るポジションですから不適切です。 |
4. | 正しい記述です。コールオプションの買いは、原資産価格が上昇すると予想する(または、そのシナリオを回避しようとする)際に取るポジションです。 |
【問28】
下記<資料>に基づくファンドAとファンドBの過去3年間の運用パフォーマンスの比較評価に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句または数値の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
<資料>ファンドAとファンドBの過去3年間の運用パフォーマンスに関する情報
ファンド名 | 実績収益率の 平均値 |
実績収益率の 標準偏差 |
ファンドA | 4.2% | 4.0% |
ファンドB | 8.8% | 12.0% |
無リスク金利を1.0%として、<資料>の数値によりファンドAのシャープレシオの値を算出すると( ア )となり、同様に算出したファンドBのシャープレシオの値は( イ )となる。両ファンドの運用パフォーマンスを比較すると、過去3年間は( ウ )の方が効率的な運用であったと判断される。
1. | (ア)1.05 (イ)0.73 (ウ)ファンドA |
2. | (ア)1.05 (イ)0.73 (ウ)ファンドB |
3. | (ア)0.80 (イ)0.65 (ウ)ファンドA |
4. | (ア)0.80 (イ)0.65 (ウ)ファンドB |
正解:3 | |
(ア) | シャープレシオ=(ポートフォリオの収益率-無リスク利子率)÷標準偏差=(4.2%-1.0%)÷4.0%=0.8です。 |
(イ) | (8.8%-1.0%)÷12.0%=0.65です。 |
(ウ) | シャープレシオは、高いほど効率的な運用であったと判断されます。 |
【問29】
一般NISA(非課税上場株式等管理契約に係る少額投資非課税制度)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、一般NISAにより投資収益が非課税となる非課税口座を一般NISA口座という。
1. | 特定口座で保有する上場株式を一般NISA口座に設定される非課税管理勘定に移管することにより、移管後5年以内に生じた当該上場株式の譲渡益は非課税となる。 |
2. | 一般NISA口座で保有する上場株式を売却することで生じた譲渡損失の金額のうち、損益通算してもなお控除しきれない金額は、確定申告を行うことにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。 |
3. | 一般NISA口座で保有する上場株式を売却することで生じた譲渡損失の金額は、上場株式の配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択した場合、当該口座で保有する上場株式の配当金の金額と通算することができる。 |
4. | 2022年末に一般NISAの非課税期間が終了した場合において、その終了時に当該非課税管理勘定で保有する金融商品の時価が120万円を超えていても、そのすべてを2023年の一般NISA口座に設定される非課税管理勘定に移すことができる。 |
正解:4 | |
1. | 特定口座で保有する上場株式は、NISA口座に移管することができません。 |
2. | NISA口座で保有していた有価証券に係る損失は、繰越控除することができません。 |
3. | NISA口座で保有していた有価証券に係る損失は、他の所得と損益通算することができません。 |
4. | 正しい記述です。一般NISA勘定の非課税期間が終了した有価証券は、その金額に関わらず(=翌年の非課税投資枠を超えていても全額)、ロールオーバーすることができます。 |
【問30】
わが国における個人による金融商品取引に係るセーフティネットに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 国内銀行に預け入れられている円建ての仕組預金は、他に預金を預け入れていない場合、預金者1人当たり元本1,000万円までと、その利息のうち通常の円建ての定期預金(仕組預金と同一の期間および金額)の店頭表示金利までの部分が預金保険制度による保護の対象となる。 |
2. | ゆうちょ銀行に預け入れられている通常貯金は、他に貯金を預け入れていない場合、貯金者1人当たり元本1,300万円までとその利息が預金保険制度による保護の対象となる。 |
3. | 金融機関同士が合併した場合、合併存続金融機関において、預金保険制度による保護の対象となる預金の額は、合併後1年間に限り、全額保護される預金を除き、預金者1人当たり1,300万円とその利息等となる。 |
4. | 国内に本店のある銀行で購入した投資信託は、日本投資者保護基金による補償の対象となる。 |
正解:1 | |
1. | 正しい記述です。国内銀行に預け入れられている円建ての仕組預金は、預金保険制度による保護の対象となります。また、預金保険制度によって保護される金額は、決済用預金以外の保護の対象となる預金については、基本的に、元本1,000万円までと、その利息です。 |
2. | ゆうちょ銀行に預け入れられている預金保険制度による保護の対象となる貯金は、貯金者1人当たり元本1,000万円までとその利息が保護の対象となります。 |
3. | 金融機関同士が合併した場合、合併存続金融機関において、預金保険制度による保護の対象となる預金の額は、合併後1年間に限り、全額保護される預金を除き、預金者1人当たり元本「1,000万円×合併等に関わった金融機関の数」までとその利息等となります。 |
4. | 投資信託は、日本投資者保護基金による補償の対象ではありません。 |
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