お金の寺子屋

FP2級学科解説-2022年9月・問11~20

【問11】
生命保険の保険料等の一般的な仕組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 保険料は、大数の法則および収支相等の原則に基づき、予定死亡率、予定利率および予定事業費率の3つの予定基礎率を用いて算定される。
2. 保険料は、将来の保険金・給付金等の支払い財源となる純保険料と、保険会社が保険契約を維持・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料で構成される。
3. 所定の利率による運用収益をあらかじめ見込んで保険料を割り引く際に使用する予定利率を低く設定した場合、新規契約の保険料は高くなる。
4. 保険会社が実際に要した事業費が、保険料を算定する際に見込んでいた事業費よりも多かった場合、費差益が生じる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。予定利率を低く設定した場合、集めた保険料を大きく増やすことができないと見積もる訳ですから、想定される保険金等の支払い原資を用意するために、契約者から集めなくてはいけないお金(保険料)が高くなります。
4. 保険会社が実際に要した事業費が、保険料を算定する際に見込んでいた事業費よりも多かった場合、費差損が生じます。なお、費差益は、保険会社が実際に要した事業費が、保険料を算定する際に見込んでいた事業費よりも少なかった場合に生じます。
【問12】
生命保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない特約については考慮しないものとする。
1. 変額保険(終身型)の死亡保険金は、運用実績に応じて増減するが、契約時に定めた保険金額(基本保険金額)は保証される。
2. 収入保障保険の死亡保険金を一時金で受け取る場合の受取額は、年金形式で受け取る場合の受取総額よりも少なくなる。
3. 生存給付金付定期保険では、被保険者が死亡した場合、保険契約上の死亡保険金額からすでに支払われた生存給付金の額を差し引いた金額が死亡保険金として支払われる。
4. 定期保険特約付終身保険(更新型)の定期保険特約を同額の保険金額で更新する場合、更新に当たって被保険者の健康状態についての告知や医師の診査は必要ない。
正解:
1. 正しい記述です。変額保険では、被保険者が死亡した際に支払われるお金に最低保証があります。
2. 正しい記述です。一時金ではなく年金形式で受け取った場合、未払い部分の金額を保険会社が運用によって増やすことができますから、一時金で受け取るよりも受取総額が多くなります。
3. 生存給付金付定期保険では、被保険者が死亡した場合、生存給付金の支払いの有無に関わらず、死亡保険金の全額が死亡保険金として支払われます。
4. 正しい記述です。更新は、被保険者の健康状態に関係なくすることができます。
【問13】
生命保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない特約については考慮しないものとする。
1. 養老保険では、被保険者が高度障害保険金を受け取った場合、保険契約は消滅する。
2. 積立利率変動型終身保険では、契約後に積立利率が高くなった場合、契約時に定めた保険金額(基本保険金額)を上回る保険金額を受け取れることがある。
3. 外貨建て個人年金保険では、年金を円貨で受け取る場合、外貨と円貨の為替レートの変動により、年金受取総額が払込保険料相当額を下回ることがある。
4. 外貨建て終身保険では、円換算支払特約を付加することで、当該保険契約の締結後から保険金を受け取るまでの為替リスクを回避することができる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 円換算支払特約は、保険料の支払いや保険金などの受取を円貨で行うためだけの特約であり、為替レートを固定する機能はありません。よって、円換算支払特約を付加することで、為替リスクを回避することはできません。
【問14】
団体生命保険等の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 団体定期保険(Bグループ保険)は、従業員等が任意に加入する1年更新の保険であり、毎年、保険金額を所定の範囲内で見直すことができる。
2. 総合福祉団体定期保険では、ヒューマン・ヴァリュー特約を付加した場合、当該特約の死亡保険金受取人は被保険者の遺族となる。
3. 住宅ローンの利用に伴い加入する団体信用生命保険では、被保険者が住宅ローン利用者(債務者)、死亡保険金受取人が住宅ローン利用者の遺族となる。
4. 勤労者財産形成貯蓄積立保険(一般財形)には、払込保険料の累計額385万円までにかかる利子差益が非課税となる税制上の優遇措置がある。
正解:
1. 正しい記述です。
2. ヒューマン・ヴァリュー特約の死亡保険金の受取人は、契約者(団体)です。
3. 団体信用生命保険(団信)の死亡保険金の受取人は、金融機関です。
4. 一般財形貯蓄には、税制上の優遇措置がありません。また、一般財形貯蓄には、基本的に、積立限度額がありませんが、生命保険の場合、払込限度額(累計)に3,000万円の上限が設けられているなど、商品によって制限ある場合があります。
ちなみに、財形年金積立保険(財形年金貯蓄の保険型)は385万円、財形住宅貯蓄積立保険(財形住宅貯蓄の保険型)は550万円までにかかる利子差益が非課税となります。
【問15】
2012年1月1日以後に締結した生命保険契約の保険料に係る生命保険料控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 終身保険の月払保険料について、保険料の支払いがなかったため自動振替貸付により保険料の払込みに充当された金額は、生命保険料控除の対象となる。
2. 一般の生命保険料控除、個人年金保険料控除および介護医療保険料控除の控除限度額は、所得税では各3万円である。
3. 勤労者財産形成貯蓄積立保険(一般財形)の保険料は、一般の生命保険料控除の対象となる。
4. 特定(三大)疾病保障定期保険の保険料は、介護医療保険料控除の対象となる。
正解:
1. 正しい記述です。自動振替貸付によって立て替えられた保険料も、保険料を払っていることに変わりありませんから、生命保険料控除の対象になります。
2. 所得税の計算上、一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除の控除限度額は各5万円(旧契約に係るもの。新契約は4万円。)で、介護医療保険料控除の控除限度額は、4万円です。
3. 勤労者財産形成貯蓄積立保険(一般財形)の保険料は、生命保険料控除の対象ではありません。
4. 特定(三大)疾病保障定期保険の保険料は、一般の生命保険料控除の対象です。

【問16】
契約者(=保険料負担者)を法人とする生命保険の保険料の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれの保険契約も保険料は年払いかつ全期払いで、2022年4月に締結したものとする。
1. 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。
2. 被保険者が役員・従業員全員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。
3. 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が75%である定期保険(保険期間:40年、年払保険料:100万円)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その60%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。
4. 被保険者が役員、保険金受取人が法人である解約返戻金のない終身払いのがん保険(保険期間:終身、年払保険料:80万円)の支払保険料は、保険期間満了年齢を116歳とした保険期間の前半5割相当期間においては、その50%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。
正解:
1. 正しい記述です。法人が保険金を受け取る蓋然性が高い契約に係る保険料は、基本的に、資産計上します。
2. 正しい記述です。ハーフタックスプランの要件を満たさない養老保険の保険料は、資産計上します。
3. 正しい記述です。最高解約返戻率が70%超85%以下である長期平準定期保険の保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その60%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができます。
4. 解約返戻金のない保険契約の保険料は、その期分の額を全額損金算入します。
【問17】
住宅用建物および家財を保険の対象とする火災保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
1. 火災保険の保険料は、対象となる住宅用建物の構造により、M構造、T構造、H構造の3つに区分されて算定される。
2. 保険金額が2,000万円(保険価額と同額)の火災保険に加入した後、火災により住宅用建物が損害を被り、損害保険金1,000万円が支払われた場合、保険契約は継続するが、保険期間満了日までの保険金額が1,000万円に減額される。
3. 火災保険では、隣家の火災の消火活動により住宅用建物に収容されている家財が損壊した場合、補償の対象となる。
4. 火災保険では、雪災により住宅用建物の屋根が損壊して100万円の損害が発生した場合、補償の対象となる。
正解:
1. 正しい記述です。M構造(マンション構造)、T構造(耐火構造)、H構造(非耐火構造)の意味です。
2. 火災保険では、1回の事故で保険金額に相当する額の保険金が支払われた場合、保険契約は終了します。また、1回の事故で保険金額に満たない額の保険金の額が支払われた場合、支払回数を問わず、保険金額は減額されずに契約は有効に継続します。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。
【問18】
傷害保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
1. 家族傷害保険では、保険期間中に記名被保険者に子が生まれた場合、その子を被保険者に加えるためには追加保険料を支払う必要がある。
2. 普通傷害保険では、被保険者が就業中の事故によりケガをした場合、補償の対象となる。
3. 国内旅行傷害保険では、被保険者が旅行中の飲食により細菌性食中毒を発症した場合、補償の対象となる。
4. 海外旅行傷害保険では、被保険者が旅行先の火山の噴火により発生した津波でケガをした場合、補償の対象となる。
正解:
1. 家族傷害保険では、保険期間中に記名被保険者に子が生まれた場合、特別な手続きをすることなく(=追加で保険料を払ったり、保険会社に通知したりすることなく)、自動的に被保険者になります。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。
【問19】
第三分野の保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 就業不能保険では、入院や在宅療養が一定日数以上継続して所定の就業不能状態に該当した場合に、所定の保険金・給付金が支払われる。
2. 先進医療特約で先進医療給付金の支払い対象とされている先進医療は、契約時点において厚生労働大臣によって定められたものである。
3. 限定告知型の医療保険は、他の契約条件が同一で、限定告知型ではない一般の医療保険と比較した場合、保険料は割安となる。
4. がん保険では、被保険者ががんで入院したことにより受け取る入院給付金について、1回の入院での支払日数は90日が限度となる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 先進医療特約で先進医療給付金の支払い対象とされている先進医療は、療養を受けた時点において厚生労働大臣によって定められたものです。
3. 他の条件を同じとすると、限定告知型の医療保険は、限定告知型ではない一般の医療保険と比較した場合、保険料は割高となります。
4. がん保険では、入院給付金の支払日数や手術給付金の支払回数に上限はありません。
【問20】
損害保険を活用した家庭のリスク管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、契約者(=保険料負担者)は会社員の個人であるものとする。
1. 自動車の運転中に誤って単独事故を起こして車両が破損するリスクに備えて、自動車保険の一般条件の車両保険を契約した。
2. 海岸近くに自宅を新築したので、地震による津波で自宅が損壊するリスクに備えて、火災保険に地震保険を付帯して契約した。
3. 同居の子が原動機付自転車で通学中に、他人に接触してケガをさせて法律上の損害賠償責任を負うリスクに備えて、火災保険加入時に個人賠償責任補償特約を付帯した。
4. 所定の病気やケガにより会社の業務にまったく従事することができなくなるリスクに備えて、所得補償保険を契約した。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 自動車(原動機付自転車を含む)を運転中に他人に怪我をさせた場合に備えるリスクは、自動車保険などで備えますから、個人賠償責任保険では補償されません。
4. 正しい記述です。

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