FP2級学科解説-2022年9月・問31~40
【問31】
所得税における各種所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 不動産所得の金額は、原則として、「不動産所得に係る総収入金額-必要経費」の算式により計算される。 |
2. | 賃貸の用に供している土地の所有者が、当該土地を取得した際に支出した仲介手数料は、当該土地の取得価額に算入されるため、その支払った年分の不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできない。 |
3. | 個人による不動産の貸付けが事業的規模である場合、その賃貸収入による所得は、事業所得に該当する。 |
4. | 借家人が賃貸借の目的とされている居宅の立退きに際して受け取る立退き料(借家権の消滅の対価の額に相当する部分の金額を除く)は、原則として一時所得に該当する。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 不動産の貸付に係る所得は、その規模を問わず、不動産所得となります。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問32】
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」(以下「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 納税者が本特例の適用を受けるためには、譲渡した居住用財産の所有期間が、譲渡した日の属する年の1月1日時点で10年を超えていなければならない。 |
2. | 本特例のうち、譲渡損失の損益通算の特例の適用を受けるためには、買換資産を取得した日の属する年の12月31日時点において、買換資産に係る住宅借入金等の金額を有していなければならない。 |
3. | 本特例のうち、譲渡損失の損益通算の特例の適用を受けるためには、納税者のその年分の合計所得金額が3,000万円以下でなければならない。 |
4. | 納税者が本特例の適用を受けた場合、買換資産に係る住宅借入金等の金額を有していたとしても、住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできない。 |
正解:2 | |
1. | 「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の適用を受けるためには、譲渡した居住用財産の所有期間が、譲渡した日の属する年の1月1日時点で5年を超えていなければなりません。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」のうち、繰越控除の適用を受けるためには、は合計所得金額が3,000万円以下でなくてはなりませんが、損益通算の適用を受けるための合計所得金額の要件はありません。 |
4. | 「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」は、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)と併用することができます。 |
【問33】
所得税における所得控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
1. | 所得税法上の障害者に該当する納税者は、その年分の合計所得金額の多寡にかかわらず、障害者控除の適用を受けることができる。 |
2. | 納税者は、その年分の合計所得金額の多寡にかかわらず、基礎控除の適用を受けることができる。 |
3. | 納税者は、その年分の合計所得金額が500万円を超える場合、ひとり親控除の適用を受けることができない。 |
4. | 納税者は、その年分の合計所得金額が1,000万円を超える場合、配偶者の合計所得金額の多寡にかかわらず、配偶者控除の適用を受けることができない。 |
正解:2 | |
1. | 正しい記述です。障害者控除の適用を受けるための合計所得金額の要件はありません。 |
2. | 合計所得金額が2,500万円を超える場合、基礎控除の適用を受けることはできません。 |
3. | 正しい記述です。ひとり親控除の適用を受けるためには、合計所得金額が500万円以下であるなどの要件を満たす必要があります。 |
4. | 正しい記述です。配偶者控除の適用を受けるためには、合計所得金額が1,000万円以下であるなどの要件を満たす必要があります。 |
【問34】
所得税における住宅借入金等特別控除(以下「住宅ローン控除」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、2022年4月に住宅ローンを利用して住宅を取得し、同月中にその住宅を居住の用に供したものとする。
1. | 住宅ローン控除の対象となる家屋は、納税者がもっぱら居住の用に供する家屋に限られ、店舗併用住宅は対象とならない。 |
2. | 住宅を新築した場合の住宅ローン控除の控除額の計算上、借入金等の年末残高に乗じる控除率は、0.7%である。 |
3. | 住宅ローン控除の適用を受けようとする場合、納税者のその年分の合計所得金額は3,000万円以下でなければならない。 |
4. | 住宅ローン控除の適用を受けていた者が、転勤等のやむを得ない事由により転居したため、取得した住宅を居住の用に供しなくなった場合、翌年以降に再び当該住宅をその者の居住の用に供したとしても、再入居した年以降、住宅ローン控除の適用を受けることはできない。 |
正解:2 | |
1. | 店舗併用住宅も、一定要件を満たせば、住宅ローン控除の対象となります。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 住宅ローン控除の適用を受けるためには、納税者のその年分の合計所得金額が2,000万円以下であるなどの要件を満たす必要があります。 |
4. | 住宅ローン控除の適用を受けていた者が、転勤等のやむを得ない事由により転居したため、取得した住宅を居住の用に供しなくなった場合、翌年以降に再び当該住宅をその者の居住の用に供したら、残存期間について適用を受けることができます。 |
【問35】
所得税の申告と納付等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 給与所得者が、医療費控除の適用を受けることにより、給与から源泉徴収された税金の還付を受けようとする場合、納税地の所轄税務署長に確定申告書を提出する必要がある。 |
2. | 年間の給与収入の金額が2,000万円を超える給与所得者は、年末調整の対象とならない。 |
3. | 確定申告書を提出した納税者が、法定申告期限後に計算の誤りにより所得税を過大に申告していたことに気づいた場合、原則として、法定申告期限から5年以内に限り、更正の請求をすることができる。 |
4. | 納税者が、確定申告に係る所得税について延納の適用を受けようとする場合、納期限までに納付すべき所得税額の3分の1相当額以上を納付する必要がある。 |
正解:4 | |
1. | 正しい記述です。医療費控除の適用を受けるためには、必ず確定申告をしなくてはいけません。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。所得税の更正の請求ができる期間は、原則として、法定申告期限から5年以内です。 |
4. | 所得税について延納の適用を受けようとする場合、納期限までに納付すべき所得税額の2分の1相当額以上を納付する必要があります。 |
【問36】
法人税の仕組みに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 法人税の納税地は、原則として、その法人の代表者の住所または居所の所在地である。 |
2. | 法人税の各事業年度の所得の金額は、その事業年度の益金の額からその事業年度の損金の額を控除した金額である。 |
3. | 期末資本金の額等が1億円以下の一定の中小法人に対する法人税の税率は、所得金額のうち年1,000万円以下の部分について軽減税率が適用される。 |
4. | 法人税の確定申告書は、原則として、各事業年度終了の日の翌日から1ヵ月以内に、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 |
正解:2 | |
1. | 法人税の納税地は、原則として、その法人の本店又は主たる事務所の所在地です。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 期末資本金の額等が1億円以下の一定の中小法人に対する法人税の税率は、所得金額のうち年800万円以下の部分について、軽減税率が適用されます。 |
4. | 法人税の確定申告書は、原則として、各事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内に、納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。 |
【問37】
法人税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 法人が特定公益増進法人に支払った寄附金(確定申告書に明細を記載した書類の添付あり)は、その全額を損金の額に算入することができる。 |
2. | 法人が納付した法人税の本税および法人住民税の本税は、その全額を損金の額に算入することができる。 |
3. | 法人が減価償却費として損金経理した金額のうち、償却限度額に達するまでの金額は、その事業年度の損金の額に算入することができる。 |
4. | 期末資本金の額等が1億円以下の一定の中小法人が支出した交際費等のうち、年1,000万円までの金額は、損金の額に算入することができる。 |
正解:3 | |
1. | 法人が支払った、国や地方公共団体に対する寄附金と指定寄附金は、全額損金算入されますが、これ以外の寄附金は、一定の損金算入限度額があります(特定公益増進法人に対するものは、それ以外のものより限度額が大きいです)。 |
2. | 法人が納付した法人税の本税および法人住民税の本税は、益金を得るための支出ではないため、損金算入できません。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 期末資本金の額等が1億円以下の一定の中小法人に対する、交際費の損金算入限度額は、年800万円または接待飲食費の50%相当額とのうち、いずれか大きい金額です。 |
【問38】
消費税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 消費税の課税期間に係る基準期間は、個人事業者についてはその年の前々年である。 |
2. | 消費税の課税事業者が行う居住の用に供する家屋の貸付けは、その貸付期間が1ヵ月以上であれば、消費税の課税取引に該当する。 |
3. | 消費税の課税事業者である個人は、原則として、消費税の確定申告書をその年の翌年3月15日までに納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 |
4. | 簡易課税制度の適用を受けることができるのは、消費税の課税期間に係る基準期間における課税売上高が1億円以下の事業者である。 |
正解:1 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 居住の用に供する家屋の貸付けは、原則として、消費税の非課税取引とされます。 |
3. | 個人の消費税の申告期限は、原則として、翌年3月31日までです。 |
4. | 消費税の簡易課税制度の適用を受けることができるのは、消費税の課税期間に係る基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者です。 |
【問39】
会社と役員間の取引に係る所得税・法人税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 会社が株主総会の決議を経て役員に対して退職金を支給した場合、その退職金の額は、不相当に高額な部分の金額など一定のものを除き、その会社の所得金額の計算上、損金の額に算入することができる。 |
2. | 会社が役員の所有する土地を時価未満の価額で譲り受けた場合、時価と譲受対価の差額相当額は、その会社の所得金額の計算上、益金の額に算入される。 |
3. | 役員が会社に無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、その役員の雑所得の収入金額に算入される。 |
4. | 役員が会社の所有する社宅に無償で居住している場合、原則として、通常の賃料相当額が、その役員の給与所得の収入金額に算入される。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。法人が定額譲受により利益を得た場合、その利益(時価と譲受対価の差額相当額)が益金となります。 |
3. | 役員が会社に無利息で金銭の貸付けを行った場合、課税関係は生じません。 |
4. | 正しい記述です。毎月賃料相当額の経済的利益を得ていると考えられますから、定期同額給与となります。 |
【問40】
決算書に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 損益計算書の売上総利益の額は、売上高の額から売上原価の額を差し引いた額である。 |
2. | 損益計算書の営業利益の額は、経常利益の額から販売費及び一般管理費の額を差し引いた額である。 |
3. | 損益計算書の税引前当期純利益の額は、営業利益の額から特別損益の額を加算・減算した額である。 |
4. | 貸借対照表の資産の部の合計額と負債の部の合計額は一致する。 |
正解:1 | |
1. | 正しい記述です。売上総利益(粗利益)=売上高-売上原価です。 |
2. | 営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費です。 |
3. | 税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失です。 |
4. | 資産の部の合計額と負債の部の合計額は、一致するとは限りません(資産の部の合計額と負債の部および純資産の部の合計額が一致します)。 |
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