FP3級実技(個人)解説-2022年9月・前半
【問1】~【問3】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
<Aさんの家族構成>
[Aさん]
1982年11月14日生まれ
会社員(厚生年金保険・全国健康保険協会管掌健康保険に加入)
[妻Bさん]
1984年6月20日生まれ
国民年金に第3号被保険者として加入している。
[長男Cさん(歳)]
2012年6月1日生まれ
[二男Dさん(歳)]
2016年1月4日生まれ
<公的年金加入歴(2022年8月分まで)>
※ | 妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。 |
※ | 家族全員、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問1】
現時点(2022年9月11日)においてAさんが死亡した場合、妻Bさんに支給される遺族基礎年金の年金額(2022年度価額)は、次のうちどれか。
1. | 777,800円+74,600円+74,600円=927,000円 |
2. | 777,800円+223,800円+74,600円=1,076,200円 |
3. | 777,800円+223,800円+223,800円=1,225,400円 |
正解:3(3点)
遺族基礎年金の額=老齢基礎年金の満額+子の加算額です。
子の加算額は、基本的に、18歳到達年度の末日を経過していない子1人につき223,800円、3人目以降は1人当たり74,600円です。
よって、遺族基礎年金の額=777,800円+223,800円+223,800円=1,225,400円となります。
子の加算額は、基本的に、18歳到達年度の末日を経過していない子1人につき223,800円、3人目以降は1人当たり74,600円です。
よって、遺族基礎年金の額=777,800円+223,800円+223,800円=1,225,400円となります。
【問2】
Mさんは、現時点(2022年9月11日)においてAさんが死亡した場合に、妻Bさんに支給される遺族厚生年金の金額等について説明した。Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~③に入る語句または数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
「遺族厚生年金の額は、原則として、Aさんの厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の( ① )相当額となります。ただし、Aさんの場合、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が( ② )月に満たないため、( ② )月とみなして年金額が計算されます。
また、二男Dさんの18歳到達年度の末日が終了し、妻Bさんの有する遺族基礎年金の受給権が消滅したときは、妻Bさんが65歳に達するまでの間、妻Bさんに支給される遺族厚生年金に( ③ )が加算されます」
また、二男Dさんの18歳到達年度の末日が終了し、妻Bさんの有する遺族基礎年金の受給権が消滅したときは、妻Bさんが65歳に達するまでの間、妻Bさんに支給される遺族厚生年金に( ③ )が加算されます」
1. | ①3分の2 ②240 ③中高齢寡婦加算 |
2. | ①4分の3 ②300 ③中高齢寡婦加算 |
3. | ①4分の3 ②240 ③経過的寡婦加算 |
正解:2(4点)
① | 遺族厚生年金の額は、基本的に、亡くなった人が受給できるはずだった老齢厚生年金の額の4分の3相当額です。 |
② | 厚生年金の被保険者が死亡した際に支払われる遺族厚生年金の額は、その計算上、被保険者期間に300月の最低保証があります。 |
③ | 40歳以上65歳未満の子のない妻が受給する遺族厚生年金には、中高齢寡婦加算が加算されます。 |
【問3】
Mさんは、公的介護保険(以下、「介護保険」という)について説明した。Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~③に入る語句の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
「介護保険の被保険者が保険給付を受けるためには、市町村(特別区を含む)から要介護・要支援認定を受ける必要があります。介護保険の被保険者は、( ① )以上の第1号被保険者と40歳以上( ① )未満の医療保険加入者である第2号被保険者に区分されます。介護保険の第2号被保険者は、( ② )要介護状態または要支援状態となった場合に保険給付を受けることができます。
介護保険の第2号被保険者が介護給付を受けた場合、原則として、実際にかかった費用(食費、居住費等を除く)の( ③ )を自己負担する必要があります」
介護保険の第2号被保険者が介護給付を受けた場合、原則として、実際にかかった費用(食費、居住費等を除く)の( ③ )を自己負担する必要があります」
1. | ①60歳 ②特定疾病が原因で ③2割 |
2. | ①65歳 ②原因を問わず ③2割 |
3. | ①65歳 ②特定疾病が原因で ③1割 |
正解:3(3点)
① | 公的介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満の第2号被保険者に分かれています。 |
② | 第1号被保険者は、要介護状態や要支援状態になった場合、その原因を問わず給付を受けることができますが、第2号被保険者は、16種類の特定疾病により要介護状態や要支援状態になった場合にしか、給付を受けることができません。 |
③ | 介護保険の利用者負担割合は、原則として、1割です。 |
【問4】~【問6】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
会社員のAさん(45歳)は、妻Bさん(44歳)および長男Cさん(17歳)との3人暮らしである。長男Cさんが通う高校では資産形成についての授業が行われており、株式や投資信託の基本的な仕組みを学んだ長男Cさんは、将来、株式や投資信託に投資をしてみたいと考えるようになった。Aさんは、投資に関心を持ち始めた長男Cさんと一緒に、銘柄を選ぶ際の判断基準や取引のルール等について理解したいと考えている。
そこで、Aさんは、長男Cさんを連れて、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんを訪ねることにした。Mさんは、来訪したAさんと長男Cさんに対して、X社株式(東京証券取引所上場銘柄)とY投資信託を例として、株式や投資信託に投資する際の留意点等について説明を行った。
会社員のAさん(45歳)は、妻Bさん(44歳)および長男Cさん(17歳)との3人暮らしである。長男Cさんが通う高校では資産形成についての授業が行われており、株式や投資信託の基本的な仕組みを学んだ長男Cさんは、将来、株式や投資信託に投資をしてみたいと考えるようになった。Aさんは、投資に関心を持ち始めた長男Cさんと一緒に、銘柄を選ぶ際の判断基準や取引のルール等について理解したいと考えている。
そこで、Aさんは、長男Cさんを連れて、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんを訪ねることにした。Mさんは、来訪したAさんと長男Cさんに対して、X社株式(東京証券取引所上場銘柄)とY投資信託を例として、株式や投資信託に投資する際の留意点等について説明を行った。
<X社に関する資料> | |
総資産 | 2,500億円 |
自己資本(純資産) | 1,500億円 |
当期純利益 | 120億円 |
年間配当金総額 | 36億円 |
発行済株式数 | 1億株 |
株価 | 1,800円 |
※ | 決算期:2022年11月30日(水)(配当の権利が確定する決算期末) |
<Y投資信託(公募株式投資信託)に関する資料>
銘柄名:日経225インデックス
投資対象地域/資産:国内/株式
信託期間:無期限
基準価額:13,000円(1万口当たり)
決算日:年1回(10月20日)
購入時手数料:なし
運用管理費用(信託報酬):0.187%(税込)
信託財産留保額:なし
銘柄名:日経225インデックス
投資対象地域/資産:国内/株式
信託期間:無期限
基準価額:13,000円(1万口当たり)
決算日:年1回(10月20日)
購入時手数料:なし
運用管理費用(信託報酬):0.187%(税込)
信託財産留保額:なし
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問4】
はじめに、Mさんは、<X社に関する資料>から算出されるX社株式の投資指標について説明した。MさんのAさんおよび長男Cさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
1. | 「X社株式のPERは15倍です。一般に、PERが高いほど株価は割高、低いほど株価は割安と判断されます」 |
2. | 「X社のROEは8%です。一般に、ROEが低い会社ほど、資産の効率的な活用がなされていると考えることができます」 |
3. | 「X社の配当性向は2%です。一般に、配当性向が高いほど、株主への利益還元の度合いが高いと考えることができます」 |
正解:1(4点)
1) | 正しい記述です。X社株式のPER=1,800円÷(120億円÷1億株)=15倍です。 |
2) | ROEは高いほど資産の効率的な活用がされていると言えます。なお、X社のROE=120億円÷1,500億円=0.08=8%です。 |
3) | 配当性向=36億円÷120億円=0.3=30%です。 |
【問5】
次に、Mさんは、X社株式を売買する場合の留意点等について説明した。MさんのAさんおよび長男Cさんに対する説明として、次のうち最も不適切なものはどれか。
1. | 「証券取引所における株式の売買注文の方法のうち、成行注文は、希望する売買価格を明示せず、希望する銘柄、売り買いの別および数量を指定して注文する方法です。成行注文は、指値注文に優先して売買が成立します」 |
2. | 「権利付き最終日である2022年11月30日(水)までに、X社株式を買付約定(購入)すれば、X社株式の次回の期末配当を受け取ることができます」 |
3. | 「仮に、特定口座(源泉徴収あり)でX社株式を株価1,800円で100株購入し、同年中に株価2,000円で全株売却した場合、その他の取引や手数料等を考慮しなければ、譲渡益2万円に対して20.315%相当額が源泉徴収等されます」 |
正解:2(3点)
1) | 正しい記述です。 |
2) | 株式の受け渡しは約定日から起算して3営業日後です。よって、権利付き最終日である2022年11月30日(水)に株式を保有しておくためには、2022年11月28日(月)までに、X社株式を買付約定(購入)する必要があります。 |
3) | 正しい記述です。譲渡益=(2,000円-1,800円)/株×100株=20,000円です。 |
【問6】
最後に、Mさんは、Y投資信託を購入する場合の留意点等について説明した。MさんのAさんおよび長男Cさんに対する説明として、次のうち最も不適切なものはどれか。
1. | 「Y投資信託のように購入時手数料を徴収しない投資信託は、一般に、ノーロードファンドと呼ばれます。投資信託に投資する際には、購入時だけでなく、保有中や換金時にかかる費用等も勘案して銘柄を選択することが大切です」 |
2. | 「運用管理費用(信託報酬)は、投資信託を保有する投資家が負担する費用です 一般に、Y投資信託のようなインデックス型投資信託は、アクティブ型投資信託よりも運用管理費用(信託報酬)が低い傾向があります」 |
3. | 「仮に、Y投資信託を基準価額13,000円(1万口当たり)で1万口購入した後、最初の決算時に1万口当たり200円の収益分配金が支払われ、分配落ち後の基準価額が13,200円(1万口当たり)となる場合、その収益分配金は、全額が元本払戻金(特別分配金)として非課税となります」 |
正解:3(3点)
1) | 正しい記述です。 |
2) | 正しい記述です。 |
3) | 分配落ち後の基準価額が分配前の個別元本を上回る場合、支払われた分配金は全額普通分配金であると言えます。 |
【問7】~【問9】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
会社員のAさんは、妻Bさん、長男Cさんおよび長女Dさんとの4人家族である。2022年5月に20歳になった長男Cさんの国民年金保険料は、Aさんが毎月支払っている。
会社員のAさんは、妻Bさん、長男Cさんおよび長女Dさんとの4人家族である。2022年5月に20歳になった長男Cさんの国民年金保険料は、Aさんが毎月支払っている。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(50歳)]
会社員
[妻Bさん(47歳)]
2022年中に、パートタイマーとして給与収入80万円を得ている。
[長男Cさん(20歳)]
大学生。2022年中の収入はない。
[長女Dさん(14歳)]
中学生。2022年中の収入はない。
<Aさんの2022年分の収入等に関する資料>
[給与収入の金額]
800万円
[不動産所得の金額]
30万円
[一時払養老保険(10年満期)の満期保険金]
契約年月:2012年3月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
満期保険金受取人:Aさん
満期保険金額:320万円
一時払保険料:300万円
※ | 妻Bさん、長男Cさんおよび長女Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんとその家族の年齢は、いずれも2022年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問7】
Aさんの2022年分の所得税における総所得金額は、次のうちどれか。
<資料>給与所得控除額 | |
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 (最低55万円) |
180万円超 360万円以下 |
収入金額×30%+8万円 |
360万円超 660万円以下 |
収入金額×20%+44万円 |
660万円超 850万円以下 |
収入金額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円 |
1. | 640万円 |
2. | 650万円 |
3. | 660万円 |
正解:1(4点)
給与所得=800万円-(800万円×10%+110万円)=610万円です。
一時所得=320万円-300万円≦特別控除額(50万円)より、0円です。
給与所得と不動産所得は、全額が総所得金額に算入されるため、総所得金額=610万円+30万円=640万円となります。
一時所得=320万円-300万円≦特別控除額(50万円)より、0円です。
給与所得と不動産所得は、全額が総所得金額に算入されるため、総所得金額=610万円+30万円=640万円となります。
【問8】
Aさんの2022年分の所得税における所得控除に関する以下の文章の空欄①~③に入る数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
ⅰ) | 「妻Bさんの合計所得金額は48万円以下となりますので、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができます。Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の額は、( ① )万円です」 |
ⅱ) | 「Aさんが適用を受けることができる扶養控除の額は、( ② )万円です」 |
ⅲ) | 「Aさんが適用を受けることができる基礎控除の額は、( ② )万円です」 |
1. | ①38 ② 63 ③48 |
2. | ①38 ②101 ③38 |
3. | ①48 ②101 ③48 |
正解:1(3点)
① | 合計所得金額が900万円以下の人が一般の控除対象配偶者(12月31日時点で70歳未満の配偶者)について適用を受けることができる配偶者控除の額は、38万円です。 |
② | 19歳以上23歳未満の控除対象扶養親族は、特定扶養親族として63万円の控除対象となります。また、15歳以下の親族は、扶養控除の対象とはなりません。よって、長男Cさんについては63万円の控除を受けることができ、長女Dさんについては控除を受けることができないため、扶養控除の額は63万円となります。 |
③ | 合計所得金額が2,400万円以下の人が適用を受けることができる基礎控除の額は、48万円です。 |
【問9】
Aさんの2022年分の所得税の課税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 「Aさんが2022年中に支払った長男Cさんの国民年金保険料は、その全額を社会保険料控除として総所得金額等から控除することができます」 |
2. | 「Aさんは、不動産所得の金額が20万円を超えるため、確定申告をしなければなりません」 |
3. | 「確定申告書は、原則として、2023年2月16日から3月31日までの間に、Aさんの住所地を所轄する税務署長に提出してください」 |
正解:3(3点)
1) | 正しい記述です。生計を一にする親族のための社会保険料を負担した場合、当該社会保険料について、社会保険料控除を受けることができます。 |
2) | 正しい記述です。給与所得と退職所得以外の所得が20万円を超える場合、確定申告をする必要があります。 |
3) | 確定申告書の提出期限は、2月16日から3月15日までです。 |
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