お金の寺子屋

FP3級実技(個人)解説-2022年9月・後半

【問10】~【問12】は、以下の資料を元に解答してください。

《設例》
Aさん(52歳)は、数年前に父親が死亡し、実家(甲土地および建物)を相続により取得した。父親が1人で暮らしていた実家の建物(築50年)は、父親が亡くなってから空き家となっている。
Aさんは、実家のある都市とは別の都市に所有するマンションに家族と居住しており、実家に戻る予定はないため、実家の建物を取り壊し、甲土地を売却することを検討している。しかし、先日、不動産会社を通じて、大手ドラッグストアのX社から、「新規出店のため、甲土地について事業用定期借地権の設定契約を締結してもらえないか」との提案を受けたことから、甲土地の有効活用にも興味を抱くようになった。

<甲土地の概要>
甲土地は、建蔽率の緩和について特定行政庁が指定する角地である。
指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
【問10】
甲土地に耐火建築物を建築する場合の①建蔽率の上限となる建築面積と②容積率の上限となる延べ面積の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
1. ①350㎡ ②1,400㎡
2. ①400㎡ ②1,400㎡
3. ①400㎡ ②1,500㎡
正解:(4点)
準防火地域に耐火建築物を建てる場合、建蔽率の上限が10%緩和されます。
また、特定行政庁が指定する角地に建築物を建てる場合にも、建蔽率の上限が10%緩和されます。
よって、建蔽率の上限は、60%+10%+10%=80%となります。
したがって、建築面積の上限は、500㎡×80%=400㎡となります。
前面道路の幅員が12m未満である場合、容積率の上限は、指定容積率と前面道路(敷地が複数の道路に面する場合、広い方の道路)の幅員によって定まる容積率のうち、小さい方になります。
前面道路の幅員によって定まる容積率=7×4/10=2.8=280%<指定容積率300%より、容積率の上限は、280%となります。
したがって、延床面積の上限は、500㎡×280%=1,400㎡となります。
【問11】
「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(以下、「本特例」という)に関する以下の文章の空欄①~③に入る語句または数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。

ⅰ) 「被相続人の居住用家屋およびその敷地を取得した相続人が、その家屋や敷地を譲渡し、本特例の適用を受けた場合、最高( ① )万円の特別控除の適用を受けることができます。本特例の対象となる家屋は、1981年5月31日以前に建築されたもので、マンションなどの区分所有建物登記がされている建物は対象になりません」
ⅱ) 「本特例の適用を受けるためには、譲渡価額が( ② )円以下であること、2023年12月31日までに行われる譲渡で相続開始日から同日以後( ③ )を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡することなど、所定の要件を満たす必要があります」
1. ①3,000 ②  1億 ③3年
2. ①3,000 ②6,000万 ③5年
3. ①5,000 ②  1億 ③5年
正解:(3点)
「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」の適用を受けることにより、譲渡所得の課税価格から控除することができる金額は、最高3,000万円です。
「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」の適用を受けるためには、譲渡価額が1億円以下であるなどの要件を満たす昼用があります。
「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」の適用を受けるためには、2023年12月31日までに行われる譲渡で相続開始日から同日以後3を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡するなどの要件を満たす昼用があります。
【問12】
事業用定期借地権方式に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 「事業用定期借地権方式は、X社が甲土地を契約で一定期間賃借し、X社が甲土地上に店舗を建築する方式です。Aさんは、土地を手放さずに安定した地代収入を得ることができ、契約期間満了時には土地が更地で返還されます」
2. 「Aさんが、甲土地についてX社と事業用定期借地権の設定契約を締結する場合、その契約は、公正証書によってしなければなりません」
3. 「Aさんと事業用定期借地権の設定契約を締結したX社が、甲土地上に店舗を建築し、その賃貸期間中にAさんの相続が開始した場合、相続税額の計算上、甲土地は貸家建付地として評価されます」
正解:(3点)
1) 正しい記述です。
2) 正しい記述です。
3) 被相続人の土地の上に賃借人の建物が建っている場合、当該宅地は、相続税額の計算上、貸宅地として評価されます。

【問13】~【問15】は、以下の資料を元に解答してください。

《設例》
Aさん(79歳)は、妻Bさん(73歳)との2人暮らしである。Aさん夫妻には、子がいない。Aさんは、妻Bさんに全財産を相続させたいと考えており、遺言の準備を検討している。

<Aさんの親族関係図>
<Aさんの親族関係図>
<Aさんの主な所有財産(相続税評価額)>
現預金:1億円
上場株式:6,000万円
自宅敷地(240㎡):5,000万円(注)
自宅建物:1,000万円

(注) 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額
上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
【問13】
遺言に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 「自筆証書遺言は、遺言者が、その遺言の全文、日付および氏名を自書し、これに押印して作成するものです。自筆証書に添付する財産目録は、パソコン等で作成することも認められています」
2. 「公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成するものです」
3. 「遺言により、Aさんの全財産を妻Bさんに相続させた場合、弟Cさんが遺留分侵害額請求権を行使する可能性があります」
正解:(3点)
1) 正しい記述です。
2) 正しい記述です。
3) 被相続人の兄弟姉妹には、遺留分はありません。
【問14】
仮に、Aさんの相続が現時点(2022年9月11日)で開始し、Aさんの相続に係る課税遺産総額(課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)が1億4,000万円であった場合の相続税の総額は、次のうちどれか。

<資料>相続税の速算表(一部抜粋)
法定相続分に
応ずる取得金額
税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超
3,000万円以下
15% 50万円
3,000万円超
5,000万円以下
20% 200万円
5,000万円超
10,000万円以下
30% 700万円
10,000万円超
20,000万円以下
40% 1,700万円
1. 2,800万円
2. 3,000万円
3. 3,900万円
正解:(4点)

各相続人の法定相続分は、妻Bさんが3/4、弟Cさんが1/4です。

よって、妻Bさんの法定相続分に応ずる取得金額は、1億4,000万円×3/4=1億500万円、弟Cさんの法定相続分に応ずる取得金額は、1億4,000万円×1/4=3,500万円となります。

したがって、妻Bさんの法定相続分対応する相続税額は、1億500万円×40%-1,700万円=2,500万円となり、弟Cさんの法定相続分対応する相続税額は、3,500万円×20%-200万円=500万円となります。

ゆえに、相続税の総額は、2,500万円+500万円=3,000万円となります。

【問15】
現時点(2022年9月11日)において、Aさんの相続が開始した場合に関する以下の文章の空欄①~③に入る語句または数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。

ⅰ) 「Aさんの相続における相続税額の計算上、遺産に係る基礎控除額は、( ① )万円となります」
ⅱ) 「妻Bさんが自宅の敷地と建物を相続し、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、自宅の敷地(相続税評価額5,000万円)について、相続税の課税価格に算入すべき価額は( ② )万円となります」
ⅲ) 「『配偶者に対する相続税額の軽減』の適用を受けた場合、妻Bさんが相続により取得した財産の金額が、配偶者の法定相続分相当額と1億6,000万円とのいずれか( ③ )金額までであれば、納付すべき相続税額は算出されません」
1. ①3,600 ②4,000 ③多い
2. ①4,200 ②1,000 ③多い
3. ①4,200 ②4,000 ③少ない
正解:(3点)
相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数です。
よって、相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×2=4,200万円となります。
自宅の敷地について『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、330㎡までの部分について、課税価格を80%引き下げます。
よって、課税価格への算入額は、5,000万円×(1-80%)=1,000万円となります。
『配偶者に対する相続税額の軽減』は、配偶者が相続により取得した財産のうち、配偶者の法定相続分相当額と1億6,000万円とのいずれか多い金額までに係る相続税額を0にする特例です。

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