FP2級学科解説-2022年5月・問51~60
【問51】
民法上の贈与に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 定期贈与とは、贈与者が受贈者に対して定期的に財産を給付することを目的とする贈与をいい、贈与者または受贈者のいずれか一方が生存している限り、その効力を失うことはない。 |
2. | 負担付贈与では、受贈者がその負担である義務を履行しない場合において、贈与者が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がない場合であっても、贈与者は、当該贈与の契約の解除をすることができない。 |
3. | 死因贈与では、民法の遺贈に関する規定が準用され、贈与者のみの意思表示により成立し、贈与者の死亡によって効力が生じる。 |
4. | 書面によらない贈与では、その履行前であれば、各当事者は合意がなくとも契約の解除をすることができる。 |
正解:4 | |
1. | 定期贈与は贈与者又は受贈者のいずれか一方が死亡した場合にその効力を失います。 |
2. | 負担付贈与では、受贈者がその負担である義務を履行しない場合において、贈与者が相当の期間を定めて履行の催促をし、その履行がなかった場合には、贈与者は贈与契約の解除をすることができます。 |
3. | 死因贈与は贈与契約の一種ですから、贈与者と受贈者の意思が合致しなければ成立しません。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問52】
親族等に係る民法の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 25歳以上の者は、配偶者を有していなくても、特別養子縁組により養親となることができる。 |
2. | 特別養子縁組の成立には、原則として、養子となる者の父母の同意がなければならない。 |
3. | 本人からみて、配偶者の妹は、2親等の姻族であり、親族に該当する。 |
4. | 協議離婚後の財産分与について、当事者間に協議が調わない場合、当事者は、原則として、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。 |
正解:1 | |
1. | 特別養子縁組により養親となることができる(養子を取ることができる)の人は、25歳以上の配偶者を有している人に限られます(養親となる夫婦の一方が25歳以上である場合、もう一方は20歳以上であれば養親となることができます)。なお、普通養子縁組は、20歳以上の人であれば、独身者でも養親となることができます。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問53】
贈与税の課税財産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 死因贈与により取得した財産は、贈与税の課税対象とならない。 |
2. | 離婚による財産分与として取得した財産は、その価額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額等を考慮して、社会通念上相当な範囲内である場合、原則として、贈与税の課税対象とならない。 |
3. | 保険契約者(=保険料負担者)が母、被保険者が父、保険金受取人が子である生命保険契約に基づき、父の死亡により子が受け取った死亡保険金は、子が母から贈与により取得したものとして贈与税の課税対象となる。 |
4. | 個人が法人からの贈与により取得した金品は、業務に関して受けるものおよび継続的に受けるものを除き、贈与税の課税対象となる。 |
正解:4 | |
1. | 正しい記述です。死因贈与により取得した財産は相続税の課税対象となります。 |
2. | 正しい記述です。儲かっているとは言えないからです。 |
3. | 正しい記述です。保険契約者(=保険料負担者)、被保険者、保険金受取人がすべて異なる個人である生命保険契約の死亡保険金は、贈与税の課税対象となります。 |
4. | 個人が法人からの贈与により取得した金品は、所得税の課税対象となります(贈与税は、個人が個人からの贈与により取得した財産に対して課されます)。 |
【問54】
贈与税の申告と納付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 贈与税の申告書の提出期間は、原則として、贈与を受けた年の翌年2月16日から3月15日までである。 |
2. | 贈与税の申告書の提出先は、原則として、贈与者の住所地の所轄税務署長である。 |
3. | 贈与税の納付は、贈与税の申告書の提出期限までに贈与者が行わなければならない。 |
4. | 贈与税の納付について認められる延納期間は、最長で5年である。 |
正解:4 | |
1. | 贈与税の申告時期は、原則として、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までです。 |
2. | 贈与税の申告書の提出先は、受贈者の住所地の所轄税務署長です。 |
3. | 贈与税の納税義務者は、受贈者です。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問55】
遺産分割協議に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 遺産分割協議書は、民法で定められた形式に従って作成し、かつ、共同相続人全員が署名・捺印していなければ無効となる。 |
2. | 遺産分割協議書は、相続人が相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に作成し、家庭裁判所に提出しなければならない。 |
3. | 遺産を現物分割する旨の遺産分割協議書を作成する際に、一定の場合を除き、遺産の一部についてのみ定めた遺産分割協議書を作成することができる。 |
4. | 適法に成立した遺産分割協議については、共同相続人全員の合意があったとしても、当該協議を解除し、再度、遺産分割協議を行うことはできない。 |
正解:3 | |
1. | 遺産分割協議書には、民法で定められた形式はありません。 |
2. | 遺産分割協議書は、作成する義務も提出する期限もありません。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 民法上、遺産分割協議は、共同相続人全員の合意があれば、再度やり直すことができます。 |
【問56】
民法上の遺言に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 遺言は、満18歳以上の者でなければすることができない。 |
2. | 公正証書遺言を作成した者は、その遺言を自筆証書遺言によって撤回することはできず、公正証書 遺言によってのみ撤回することができる。 |
3. | 遺言による相続分の指定または遺贈によって、相続人の遺留分が侵害された場合、その遺言は無効 となる。 |
4. | 公正証書遺言を作成する場合において、遺言者の推定相続人は、証人として立ち会うことができない。 |
正解:4 | |
1. | 遺言は、満15歳になるとすることができるようになります。 |
2. | 自筆証書遺言と公正証書遺言に効力の違いはなく、複数の遺言の内容が抵触する場合には最も日付が新しい遺言の内容が優先されますから、自筆証書遺言で公正証書遺言の内容を撤回することができます。 |
3. | 遺留分を侵害した遺贈は、直ちに無効になる訳ではありません。遺留分の侵害を受けた人が請求をした時点で、はじめて、相続や遺贈を受けた人が、その侵害額を金銭で支払う義務を負うこととなります。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問57】
相続税の計算に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 法定相続人が相続の放棄をした場合、その放棄をした者の人数を「法定相続人の数」に含めずに、相続税の計算における遺産に係る基礎控除額を計算する。 |
2. | すでに死亡している被相続人の子を代襲して相続人となった被相続人の孫は、相続税額の2割加算の対象とならない。 |
3. | 相続開始時の法定相続人が被相続人の配偶者のみで、その配偶者がすべての遺産を取得した場合、 配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受ければ、相続により取得した財産額の多寡にかかわらず、配偶者が納付すべき相続税額は生じない。 |
4. | 「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることができる配偶者は、被相続人と法律上の婚姻の届出をした者に限られ、いわゆる内縁関係にある者は該当しない。 |
正解:1 | |
1. | 相続税の計算における「法定相続人の数」とは、放棄がなかったこととして数えた法定相続人の数を言います。 |
2. | 正しい記述です。被相続人の孫は、基本的には2割加算の対象になりますが、代襲相続人である場合には、2割加算の対象にならない人の立場を承継していますから、2割加算の対象にはなりません。 |
3. | 正しい記述です。配偶者の税額軽減の適用を受けると、1億6千万円もしくは法定相続分相当額のうち、いずれか多い金額までにかかる相続税が非課税になります。よって、法定相続人が配偶者のみである場合、配偶者の法定相続分は1(=100%)となり、配偶者が取得した財産の多寡にかかわらず、配偶者に相続税の納税義務は生じません。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問58】
相続税における上場株式および取引相場のない株式の評価に関する次の記述のうち、最も適切なもの はどれか。
1. | 上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格と、その課税時期の属する月以前3ヵ月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額のうちいずれか高い価額によって評価する。 |
2. | 会社規模が小会社である会社の株式の価額は、純資産価額方式、または類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式のいずれかによって評価する。 |
3. | 類似業種比準価額を計算する場合の類似業種の株価は、課税時期の属する月以前3ヵ月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いもの、または課税時期の属する月以前3年間の類似業種の平均株価のいずれかを選択する。 |
4. | 配当還元方式による株式の価額は、その株式の1株当たりの年配当金額を5%の割合で還元した元本の金額によって評価する。 |
正解:2 | |
1. | 上場株式の相続税評価額は、課税時期の最終価格と、課税時期が属する月以前3ヵ月間の各月の終値の平均のうち、いずれか低い価額によって評価します。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 類似業種比準価額を計算する場合の類似業種の株価は、課税時期の属する月以前3ヵ月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いものです。但し、納税者の選択により、類似業種の前年平均株価、または、課税時期の属する月以前2年間の平均株価によることもできます。 |
4. | 配当還元方式は、過去2年間の平均配当金額を10%の利率で還元して、元本である株式の価額を求めようとする評価方式です。 |
【問59】
普通住宅地区に所在している下記<資料>の宅地の相続税評価額(自用地評価額)として、最も適切 なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
<資料>
1. | 85,554千円 |
2. | 87,300千円 |
3. | 88,200千円 |
4. | 90,000千円 |
正解:1 | |
1,000千円/㎡×90㎡×1.00×0.97×0.98=85,554千円となります。 |
【問60】
法人成り等に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
個人事業の場合、通常、利益は事業所得として他の所得と合算されて最高( ア )%の超過累進税率による所得税の課税対象となるが、個人事業の法人成りにより、法人に課される法人税は、原則として、比例税率となる。なお、資本金の額が1億円以下の法人(適用除外事業者を除く)に対する法人税の税率は、軽減措置が適用される。2019年4月1日以後に開始する事業年度において、年800万円以下の所得金額からなる部分の金額については( イ )%とされ、年800万円超の所得金額からなる部分の金額については( ウ )%とされる。
1. | (ア)50 (イ)19.0 (ウ)15.0 |
2. | (ア)50 (イ)15.0 (ウ)19.0 |
3. | (ア)45 (イ)23.2 (ウ)15.0 |
4. | (ア)45 (イ)15.0 (ウ)23.2 |
正解:4 | |
(ア) | 所得税の最高税率は45%です。 |
(イ) | 資本金の額が1億円以下の一定の中小法人については、所得金額のうち、年800万円以下の部分に対して適用される法人税の税率が15%に軽減されます(本則税率は19%)。 |
(ウ) | 資本金の額が1億円以下の一定の中小法人については、所得金額のうち、年800万円を超える部分に対して、23.2%の法人税が課されます(資本金の額が1億円超の法人に対して適用される税率も同じです)。 |
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