FP2級実技(FP協会)解説-2020年9月・問11~20
【問11】
中井洋子さん(52歳)が保険契約者(保険料負担者)および被保険者として加入している生命保険(下記<資料>参照)の保障内容に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値を解答欄に記入しなさい。なお、保険契約は有効に継続し、かつ特約は自動更新しているものとし、洋子さんはこれまでに<資料>の保険から、保険金・給付金を一度も受け取っていないものとする。また、各々の記述はそれぞれ独立した問題であり、相互に影響を与えないものとする。
<資料/保険証券1>
<資料/保険証券2>
・ | 洋子さんが現時点で、糖尿病で12日間入院した場合(手術は受けていない)、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( ア )万円である。 |
・ | 洋子さんが現時点で、初めてガン(悪性新生物)と診断され、治療のため26日間入院し、その間に約款所定の手術(給付倍率20倍)を1回受けた場合、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( イ )万円である。 |
・ | 洋子さんが現時点で、交通事故で死亡(入院・手術なし)した場合、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( ウ )万円である。 |
正解:8、758、4,010
(ア) | 疾病入院特約5,000円×(12-4)+生活習慣病入院特約5,000円×(12-4)=8万円です。 |
(イ) | 特定疾病保障特約保険金額500万円+疾病入院特約5,000円×(26-4)+手術給付金5,000円×20+生活習慣病入院特約5,000円×(26-4)+ガン診断給付金200万円+ガン入院給付金1万円×26=758万円です。 |
(ウ) | 終身保険金額200万円+定期保険特約保険金額2,800万円+特定疾病保障特約保険金額500万円+傷害特約保険金額500万円+死亡給付金10万円=4,010万円です。 |
【問12】
リビングニーズ特約に関する下記<資料>の空欄(ア)~(エ)に入る適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。
<資料(ご契約のしおり・約款から一部抜粋)>
リビングニーズ特約による保険金のお支払い
リビングニーズ特約による保険金のお支払い
<語群>
1.1ヵ月 2.3ヵ月
3.6ヵ月 4.1年
5.保険料相当額 6.利息相当額
7.保険料相当額および利息相当額
8.死亡保険金受取人 9.被保険者
10.保険契約者 11.法定相続人
12.1,000万円 13.3,000万円
14.5,000万円 15.1億円
1.1ヵ月 2.3ヵ月
3.6ヵ月 4.1年
5.保険料相当額 6.利息相当額
7.保険料相当額および利息相当額
8.死亡保険金受取人 9.被保険者
10.保険契約者 11.法定相続人
12.1,000万円 13.3,000万円
14.5,000万円 15.1億円
正解:3、7、9、13
(ア) | リビングニーズ特約の保険金は、被保険者の余命が6ヵ月以内と診断された場合に支給されます。 |
(イ) | リビングニーズ特約の保険金は、請求保険金額から、6ヵ月分の保険料相当額及び利息相当額を控除した金額です。 |
(ウ) | リビングニーズ特約の保険金の受取人は、原則として、被保険者です。 |
(エ) | リビングニーズ特約の保険金は、3,000万円が限度です。 |
【問13】
大久保邦彦さんと妻の久代さんが加入している生命保険契約(下記<資料>参照)について、保険金または給付金が支払われた場合の課税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
<資料:生命保険の加入状況>
1. | 契約Aについて、邦彦さんが受け取った死亡保険金は相続税の課税対象となる。 |
2. | 契約Bについて、久代さんが2年目以降に受け取る死亡年金は所得税(雑所得)の課税対象となる。 |
3. | 契約Bについて、久代さんが年金受取に代えて一時金受取を選択した場合、所得税(一時所得)の課税対象となる。 |
4. | 契約Cについて、久代さんが受け取ったガン診断給付金は、所得税(一時所得)の課税対象となる。 |
正解:2
1. | 契約者と保険金受取人が同一である死亡保険金は、一時所得として所得税の課税対象となります。 |
2. | 正しい記述です。契約者と被保険者が同一である収入保障保険の死亡年金は、1年目は相続税の課税対象になって、2年目以降は雑所得として所得税の課税対象となります。 |
3. | 契約者と被保険者が同一である収入保障保険の保険金を一時金で受け取った場合、相続税の課税対象となります。 |
4. | ガン診断給付金は非課税です。 |
【問14】
柴田さん(52歳)は、自身を記名被保険者として契約している自動車保険の契約更新案内(下記<資料>参照)について、FPの唐沢さんにアドバイスを求めた。唐沢さんが述べた次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。なお、<資料>に記載のない特約については考慮しないものとする。
<資料:自動車保険 契約更新のご案内>
(ア) | 「柴田さんが車を駐車する際、誘導していた柴田さんの妻に誤って接触してケガを負わせた場合は、どのプランでも対人賠償保険による補償の対象になります。」 |
(イ) | 「前年同内容プランは、大雨による洪水で被保険自動車が水没した場合の車の損害も補償しています。」 |
(ウ) | 「運転免許証を取得した柴田さんの息子(同居で22歳)が被保険自動車を運転して対物事故を起こした場合、おすすめプランAであれば補償の対象になります。」 |
(エ) | 「おすすめプランBは、柴田さんが運転中に他車との接触事故でケガをした場合、過失割合にかかわらず柴田さんの治療費用等は補償の対象になります。」 |
正解:×、○、×、○
(ア) | 家族が被害者である事故は、対人賠償保険による補償の対象外です。 |
(イ) | 洪水による被害は、車両保険による補償の対象になります。 |
(ウ) | 資料では、運転者の年齢条件が35歳以上となっていますから、22歳の人が運転して事故を起こしても、補償されません。 |
(エ) | 正しい記述です。おすすめプランBには、人身傷害補償保険が付いています。人身傷害補償保険は、自動車事故を起こした場合、過失割合にかかわらず、損害額の全額が補償される保険です。 |
【問15】
氷室さんはアパートを事業的規模で賃貸している青色申告者である。下記<資料>に基づき氷室さんが2020年分の確定申告をする際の不動産所得の計算方法に関する次の(ア)~(ウ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。
<資料>
[2020年中の収入]
[2020年中の支出]
(ア) | 氷室さんは、新規に入居した賃借人より敷金と礼金を受け取ったが、これは家賃ではないため不動産所得の計算上、両方とも収入金額に計上する必要はない。 |
(イ) | アパートローンの返済金額は元本部分と利息部分の両方を必要経費として計上することができる。 |
(ウ) | 敷金を返還した場合、預かっていたものを返還しただけなので、必要経費に計上することはできない。 |
正解:×、×、○
(ア) | 礼金などの返還する義務がないお金は、不動産所得の計算上収入金額に計上されます。 |
(イ) | 借入金の利息部分は必要経費として計上することができますが、元本部分は必要経費に計上することはできません。 |
(ウ) | 正しい記述です。 |
【問16】
会社員の最上さんは、2020年3月末日に勤務先を退職した。最上さんの退職に係るデータが下記<資料>のとおりである場合、最上さんの退職一時金に係る退職所得の金額として、正しいものはどれか。なお、最上さんは、勤務先の役員であったことはなく、退職は障害者になったことに基因するものではない。
<資料> | |
支給される退職一時金 | 1,200万円 |
勤続期間 | 21年3ヵ月 |
1. | 130万円 |
2. | 165万円 |
3. | 260万円 |
4. | 330万円 |
正解:1
勤続期間が20年以上である場合の退職所得控除額=800万円+70万円×(勤続年数-20)で、勤続年数の計算上、1年未満の端数は切り上げます。
よって、退職所得控除額=800万円+70万円×(22-20)=940万円となります。
したがって、退職所得の金額=(収入金額退職-所得控除額)×1/2=(1,200万円-940万円)×1/2=130万円となります。
よって、退職所得控除額=800万円+70万円×(22-20)=940万円となります。
したがって、退職所得の金額=(収入金額退職-所得控除額)×1/2=(1,200万円-940万円)×1/2=130万円となります。
【問17】
個人事業主の有馬さんは、2020年9月にトラック(新車)を購入し、事業の用に供している。有馬さんのこのトラックの2020年分の所得税における事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべき減価償却費の金額として、正しいものはどれか。なお、トラックの取得価額は600万円、2020年中の事業供用月数は4ヵ月、耐用年数は5年とする。また、有馬さんは個人事業を開業して以来、車両についての減価償却方法を選択したことはない。
<耐用年数表(抜粋)> | ||
法定耐用年数 | 定額法の償却率 | 定率法の償却率 |
5年 | 0.200 | 0.400 |
正解:1
個人が減価償却の方法を選ばない場合には、定額法を選択したものとみなします。
よって、減価償却費=600万円×0.2×4/12=40万円となります。
よって、減価償却費=600万円×0.2×4/12=40万円となります。
【問18】
長岡さん(67歳)の2020年分の収入等は下記のとおりである。長岡さんの2020年分の所得税における総所得金額として、正しいものはどれか。なお、記載のない事項については一切考慮しないこととし、総所得金額が最も少なくなるように計算すること。
<2020年分の収入等> | |
内容 | 金額 |
老齢厚生年金および企業年金 | 310万円 |
生命保険の満期保険金 | 250万円 |
※ | 老齢厚生年金および企業年金は公的年金等控除額を控除する前の金額である。 |
※ | 生命保険は、養老保険(保険期間20年、保険契約者および満期保険金受取人は長岡さん)の満期保険金であり、既払込保険料(長岡さんが全額負担している)は190万円である。なお、契約者配当については考慮しないこととする。 |
<65歳未満の者の公的年金等控除額の速算表> | |
収入金額(A) | 公的年金等控除額 |
130万円未満 | 60万円 |
130万円以上 410万円未満 |
A×25%+27.5万円 |
410万円以上 770万円未満 |
A×15%+68.5万円 |
770万円以上 1,000万円未満 |
A×5%+145.5万円 |
1,000万円以上 | A×5%+145.5万円 |
※ | 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下の場合 |
<65歳以上の者の公的年金等控除額の速算表> | |
収入金額 | 公的年金等控除額 |
330万円未満 | 110万円 |
330万円以上 410万円未満 |
A×25%+27.5万円 |
410万円以上 770万円未満 |
A×15%+68.5万円 |
770万円以上 1,000万円未満 |
A×5%+145.5万円 |
1,000万円以上 | A×5%+145.5万円 |
※ | 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下の場合 |
1. | (310万円-110万円)+(250万円-190万円)=260万円 |
2. | (310万円-110万円)+(250万円-190万円)×1/2=230万円 |
3. | (310万円-110万円)+(250万円-190万円-50万円)=210万円 |
4. | (310万円-110万円)+(250万円-190万円-50万円)×1/2=205万円 |
正解:4
雑所得は、310万円-110万円で、この全額が総所得金額に算入されます。
一時所得は、250万円-190万円-50万円で、この2分の1相当額が総所得金額に算入されます。
一時所得は、250万円-190万円-50万円で、この2分の1相当額が総所得金額に算入されます。
【問19】
木内さんは、父の相続が開始した後の手続き等について、FPで税理士でもある高倉さんに質問をした。下記の空欄(ア)~(ウ)に入る適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。
木内さん: | 「相続発生後の手続きについて教えてください。」 |
高倉さん: | 「相続人は、相続の開始があったことを知った時から、原則として( ア )以内に、相続について単純承認、限定承認、相続放棄のうちいずれかを選びます。その期間内に限定承認も相続放棄もしない場合は、単純承認したものとみなされます。」 |
木内さん: | 「限定承認や相続放棄をする場合はどうするのですか。」 |
高倉さん: | 「( イ )にその旨の申述を行います。」 |
木内さん: | 「被相続人の子どもが相続権を失うことはあるのでしょうか。」 |
高倉さん: | 「欠格や廃除によって相続権を失うことがあります。」 |
木内さん: | 「その場合、欠格や廃除により相続権を失った人の子どもに代襲相続は認められますか。」 |
高倉さん: | 「( ウ )。」 |
<語句群>
1.3ヵ月 2.4ヵ月 3.10ヵ月
4.所轄税務署長 5.地方裁判所
6.家庭裁判所 7.認められます
8.認められません
1.3ヵ月 2.4ヵ月 3.10ヵ月
4.所轄税務署長 5.地方裁判所
6.家庭裁判所 7.認められます
8.認められません
正解:1、6、7
(ア) | 相続の限定承認や放棄は、相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に行わなくてはいけません。 |
(イ) | 相続の限定承認や放棄は、家庭裁判所に申述することによって行います。 |
(ウ) | 欠格や廃除は代襲原因です。 |
【問20】
相続税における「小規模宅地等の評価減の特例」に関する下表の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値の組み合わせとして、正しいものはどれか。
宅地等の区分 | 適用限度面積 | 減額割合 |
特定事業用宅地等※ | 400㎡ | ( ア )% |
特定同族会社事業用宅地等 | ||
特定居住用宅地等 | 330㎡ | |
貸付事業用宅地等※ | 200㎡ | ( イ )% |
※ | 特定事業用宅地等と貸付事業用宅地等については、一定の場合に該当しない限り、相続開始前( ウ )年以内に新たに(貸付)事業の用に供された宅地等を除く。 |
1. | (ア)50 (イ)80 (ウ)3 |
2. | (ア)80 (イ)50 (ウ)1 |
3. | (ア)80 (イ)50 (ウ)3 |
4. | (ア)50 (イ)80 (ウ)1 |
正解:3
(ア) | 小規模宅地等の評価減の特例の適用を受けた場合、特定事業用宅地等や特定居住用宅地等は、限度面積まで、評価額が80%減額されます。 |
(イ) | 小規模宅地等の評価減の特例の適用を受けた場合、貸付事業用宅地等は、限度面積まで、評価額が50%減額されます。 |
(ウ) | 特定事業用宅地等と貸付事業用宅地等については、一定の場合に該当しない限り、相続開始前3年以内に新たに(貸付)事業の用に供された宅地等を除きます。 |
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