FP3級実技(個人)解説-2019年9月・後半
【問10】~【問12】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
Aさん(55歳)は、上場企業に勤務する会社員である。2019年2月、X市内の実家(甲土地および建物)で1人暮らしをしていた母Bさんが死亡した。法定相続人は、1人息子のAさんのみであり、相続手続は完了している。
Aさんは、祖父の代から所有する甲土地を売却することに抵抗があるが、Aさんの妻は「だれも住んでいない空き家を所有していても管理などが大変。今のうちに売却したほうがよいのではないか」と言っている。
他方、先日、ビジネスホテルチェーンのY社から、「X市内でビジネスホテルを新規オープンしたいと考えている。X駅から徒歩3分の甲土地に、40年間の事業用定期借地権を設定させてください」との提案があり、Aさんは甲土地の有効活用に興味を抱くようになった。
Aさん(55歳)は、上場企業に勤務する会社員である。2019年2月、X市内の実家(甲土地および建物)で1人暮らしをしていた母Bさんが死亡した。法定相続人は、1人息子のAさんのみであり、相続手続は完了している。
Aさんは、祖父の代から所有する甲土地を売却することに抵抗があるが、Aさんの妻は「だれも住んでいない空き家を所有していても管理などが大変。今のうちに売却したほうがよいのではないか」と言っている。
他方、先日、ビジネスホテルチェーンのY社から、「X市内でビジネスホテルを新規オープンしたいと考えている。X駅から徒歩3分の甲土地に、40年間の事業用定期借地権を設定させてください」との提案があり、Aさんは甲土地の有効活用に興味を抱くようになった。
<Aさんの実家(甲土地および建物)の概要>
・ | 指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。 |
・ | 特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問10】
甲土地に耐火建築物を建築する場合の①建蔽率の上限となる建築面積と②容積率の上限となる延べ面積の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
1. | ①320㎡ ②1,440㎡ |
2. | ①400㎡ ②1,600㎡ |
3. | ①400㎡ ②1,920㎡ |
正解:2
① | 指定建蔽率が80%である防火地域に耐火建築物を建築する場合、建蔽率の制限は無くなります。 したがって、建蔽率の上限となる建築面積=400㎡×100%=400㎡となります。 |
② | 前面道路幅員による容積率の制限は、8×6/10=480%(>指定容積率:400%)より、容積率の上限は、400%となります。 したがって、容積率の上限となる延べ床面積=400㎡×400%=1,600㎡となります。 |
【問11】
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 「Aさんが相続により取得した実家の家屋と甲土地を譲渡し、本特例の適用を受けた場合、最高3,000万円の特別控除の適用を受けることができます」 |
2. | 「家屋を取り壊して、甲土地を更地にした場合、本特例の適用を受けることはできませんので、家屋は現況の空き家のままにしておいてください」 |
3. | 「本特例の適用を受けるためには、確定申告書にX市から交付を受けた被相続人居住用家屋等確認書を添付する必要があります」 |
正解:2
1. | 正しい記述です。 |
2. | 家屋を取り壊して更地にした場合でも、一定要件を満たせば、特例の適用を受けることができます。 |
3. | 正しい記述です。 |
【問12】
事業用定期借地権方式に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 「事業用定期借地権方式は、Y社が建設資金をAさんに貸し付け、Aさんがこの資金を利用してホテルを建設し、その建物をY社に賃貸する手法です。建設資金は、Y社からの賃料の一部で返済するため、実質的には、Aさんの資金負担はありません」 |
2. | 「存続期間が30年以上50年未満の事業用定期借地権は、40年の期間満了時点で契約が自動更新されますので、契約を終了する場合は、期間満了の1年前から6カ月前までの間にY社に対して更新しない旨の通知をしなければなりません」 |
3. | 「事業用定期借地権方式のメリットとして、土地を手放さずに安定した地代収入を得ることができること、期間満了後は土地が更地となって返還される点などが挙げられます」 |
正解:3
1. | 事業用定期借地権方式は、借地権者が、借地権者の資金を以って、借地権者名義の建物を建設する方式です。 |
2. | 定期借地契約(期間の定めがある借地契約)は、自動更新されません。但し、再契約する事は可能です。 |
3. | 正しい記述です。 |
【問13】~【問15】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
Aさん(80歳)は、妻Bさん(73歳)との2人暮らしである。Aさん夫妻には、2人の子がいるが、二男Dさんは既に他界している。Aさんは、孫Gさん(22歳)および孫Hさん(20歳)に対して、相応の資産を承継させたいと考えている。
Aさん(80歳)は、妻Bさん(73歳)との2人暮らしである。Aさん夫妻には、2人の子がいるが、二男Dさんは既に他界している。Aさんは、孫Gさん(22歳)および孫Hさん(20歳)に対して、相応の資産を承継させたいと考えている。
<Aさんの親族関係図>
<Aさんが保有する主な財産(相続税評価額)>
現預金:6,000万円
自宅(敷地330㎡):8,000万円(注)
自宅(建物):1,000万円
賃貸マンション(敷地400㎡):1億円(注)
賃貸マンション(建物):8,000万円
現預金:6,000万円
自宅(敷地330㎡):8,000万円(注)
自宅(建物):1,000万円
賃貸マンション(敷地400㎡):1億円(注)
賃貸マンション(建物):8,000万円
(注) | 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問13】
現時点(2019年9月8日)において、Aさんの相続が開始した場合に関する以下の文章の空欄①~③に入る語句の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
ⅰ) | 「Aさんが2019年分の所得税について確定申告書を提出しなければならない者に該当する場合、相続人は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から( ① )以内に準確定申告書を提出しなければなりません」 |
ⅱ) | 「相続税の申告書の提出期限は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から( ② )以内です。なお、申告書の提出先は( ③ )の住所地の所轄税務署長になります」 |
1. | ①4カ月 ②10カ月 ③被相続人 |
2. | ①3カ月 ②10カ月 ③相続人 |
3. | ①3カ月 ②1年 ③被相続人 |
正解:1
① | 準確定申告の期限は被相続人の死亡を知った日の翌日から4ヵ月以内です。 |
② | 相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内です。 |
③ | 相続税の申告書の提出先は、被相続人の住所地を所轄する税務署です。 |
【問14】
Aさんの相続が現時点(2019年9月8日)で開始し、Aさんの相続に係る課税遺産総額(課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)が2億円であった場合の相続税の総額は、次のうちどれか。
<資料>相続税の速算表(一部抜粋) | ||
法定相続分に 応ずる取得金額 |
税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% | 200万円 |
5,000万円超 10,000万円以下 |
30% | 700万円 |
10,000万円超 20,000万円以下 |
40% | 1,700万円 |
1. | 3,750万円 |
2. | 3,900万円 |
3. | 4,600万円 |
正解:1
相続人は配偶者相続人と第一順位の血族相続の組み合わせですから、妻Bさんの法定相続分は1/2になります。
また、長男Cさんの法定相続分は1/4となり、孫Gさんと孫Hさんの法定相続分は、それぞれ1/8ずつとなります。
よって、妻Bさんの法定相続分に応ずる取得金額は、2億円×1/2=1億円、長男Cさんの法定相続分に応ずる取得金額は2億円×1/4=5,000万円、孫Gさんと孫Hさんの法定相続分に応ずる取得金額は、それぞれ、2億円×1/8=2,500万円となります。
したがって、妻Bさんの法定相続分対応する相続税額は、1億円×30%-700万円=2,300万円となり、長男Cさんの法定相続分対応する相続税額は、5,000万円×20%-200万円=800万円となり、孫Gさんと孫Hさんの法定相続分対応する相続税額は、それぞれ、2,500万円×15%-50万円=325万円となります。
ゆえに、相続税の総額は、2,300万円+800万円+325万円×2=3,750万円となります。
また、長男Cさんの法定相続分は1/4となり、孫Gさんと孫Hさんの法定相続分は、それぞれ1/8ずつとなります。
よって、妻Bさんの法定相続分に応ずる取得金額は、2億円×1/2=1億円、長男Cさんの法定相続分に応ずる取得金額は2億円×1/4=5,000万円、孫Gさんと孫Hさんの法定相続分に応ずる取得金額は、それぞれ、2億円×1/8=2,500万円となります。
したがって、妻Bさんの法定相続分対応する相続税額は、1億円×30%-700万円=2,300万円となり、長男Cさんの法定相続分対応する相続税額は、5,000万円×20%-200万円=800万円となり、孫Gさんと孫Hさんの法定相続分対応する相続税額は、それぞれ、2,500万円×15%-50万円=325万円となります。
ゆえに、相続税の総額は、2,300万円+800万円+325万円×2=3,750万円となります。
【問15】
Aさんの相続に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 「自宅の敷地と賃貸マンションの敷地について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けようとする場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの宅地の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます」 |
2. | 「孫Gさんが相続により財産を取得した場合、孫Gさんの相続税額に100分の20に相当する金額が加算されます」 |
3. | 「配偶者に対する相続税額の軽減の適用を受けた場合、原則として、妻Bさんが相続により取得した財産の額が、配偶者の法定相続分相当額と1億6,000万円とのいずれか多い金額までであれば、妻Bさんが納付すべき相続税額は算出されません」 |
正解:3
1. | 小規模宅地等の評価減の特例を受けようとする場合、特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等があれば、調整計算されます。 |
2. | 代襲相続人である孫は、相続税の2割加算の対象とはなりません。 |
3. | 正しい記述です。 |
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