FP3級実技(FP協会)解説-2023年5月・前半
【問1】
ファイナンシャル・プランニング業務を行うに当たっては、関連業法を順守することが重要である。ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の行為に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 税理士資格を有していないFPが、無料の相続相談会において、相談者の持参した資料に基づき、相談者が納付すべき相続税額を計算した。 |
2. | 社会保険労務士資格を有していないFPが、顧客の「ねんきん定期便」等の資料を参考に、公的年金の受給見込み額を試算した。 |
3. | 投資助言・代理業の登録を受けていないFPが、顧客が保有する投資信託の運用報告書に基づき、その記載内容について説明した。 |
正解:1
1. | 具体的な税額の計算は、税理士資格を保有していない人が行ってはいけません。 |
2. | 公的年金の受給見込み額の計算は、誰でもすることができます。 |
3. | 顧客が保有する投資信託の運用報告書に記載されている内容の説明は、一般的な説明と言え、誰でもすることができます。 |
【問2】
下記は、山岸家のキャッシュフロー表(一部抜粋)である。このキャッシュフロー表の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、計算過程においては端数処理をせず計算し、計算結果については万円未満を四捨五入すること。
※ | 年齢および金融資産残高は各年12月31日現在のものとし、2022年を基準年とする。 |
※ | 給与収入は可処分所得で記載している。 |
※ | 記載されている数値は正しいものとする。 |
※ | 問題作成の都合上、一部空欄にしてある。 |
1. | (ア) 402 |
2. | (イ) 61 |
3. | (ウ)1,220 |
正解:3
1. | 390万円×(1.01)^3=401.81…万円≒402万円です。 |
2. | 486万円-425万円=61万円です。 |
3. | 1,160万円×1.01+60万円=1,231.6万円です。 |
【問3】
露木さんは、投資信託の費用についてFPの中井さんに質問をした。下記の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
露木さん | : | 投資信託の費用について教えてください。 |
中井さん | : | まず、購入する際に「購入時手数料」がかかります。中には、この手数料が無料である「( ア )型」の投資信託もあります。 |
露木さん | : | 無料もあるのですね。 |
中井さん | : | 購入時に払う手数料がなくても、保有中に差し引かれる費用がありますよ。「( イ )」といって信託報酬とも呼ばれ、運用にかかる経費として、信託財産の残高から日々、差し引かれます。 |
露木さん | : | 保有中に差し引かれるということは、長期投資をする場合には気にしておきたいですね。 |
中井さん | : | そうですね。また、解約する際に「( ウ )」が差し引かれる投資信託もあります。これは、投資家同士の公平性を期し、投資信託の純資産を安定的に保つ目的です。解約する投資家から徴収して投資信託の純資産に残す趣旨で、手数料とは性格が異なります。 |
1. | (ア)にあてはまる語句は、「オープン」である。 |
2. | (イ)にあてはまる語句は、「口座管理料」である。 |
3. | (ウ)にあてはまる語句は、「信託財産留保額」である。 |
正解:3
1. | 購入時手数料がかからない投資信託は、「ノーロード」型といいます。 |
2. | 投資信託の保有中、毎日差し引かれる費用は、信託報酬で、「運用管理費用」などと呼ばれます。 なお、「口座管理料」は、口座の維持・管理に係る手数料です。 |
3. | 投資信託の解約の際に徴収されるお金は、「信託財産留保額」です。 |
【問4】
佐野さんは、預金保険制度の対象となるMA銀行の国内支店に下記<資料>の預金を預け入れている。仮に、MA銀行が破綻した場合、預金保険制度によって保護される金額に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
<資料>
決済用預金:2,500万円
円定期預金:500万円
円普通預金:200万円
外貨預金:700万円
決済用預金:2,500万円
円定期預金:500万円
円普通預金:200万円
外貨預金:700万円
※ | 佐野さんはMA銀行からの借入れはない。 |
※ | 預金の利息については考慮しないこととする。 |
※ | 円普通預金は決済用預金ではない。 |
1. | 決済用預金2,500万円は全額保護される。 |
2. | 円定期預金・円普通預金および外貨預金は、合算して1,000万円が保護される。 |
3. | 円定期預金・円普通預金の合算額700万円は全額保護される。 |
正解:2
1. | 正しい記述です。 |
2. | 外貨預金は、預金保険制度による保護の対象外です。 |
3. | 円定期預金と円普通預金は、どちらも預金保険制度による保護の対象で、元本1,000万円とその利息が保護されます。 |
【問5】
下記<資料>に基づくMX株式会社の投資指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、購入時の手数料および税金は考慮しないこととする。
<資料>
[MX株式会社に関するデータ] | |
株価 | 4,500円 |
1株当たり純利益(今期予想) | 685円 |
1株当たり純資産 | 5,150円 |
1株当たり年間配当金(今期予想) | 150円 |
1. | 株価収益率(PER)で比較した場合、MX株式会社の株価は日経平均採用銘柄の平均(予想ベース)より割安である。 |
2. | 株価純資産倍率(PBR)で比較した場合、MX株式会社の株価は東証プライム全銘柄の平均より割高である。 |
3. | 配当利回りで比較した場合、MX株式会社の配当利回りは東証グロース全銘柄の単純平均(予想ベース)より高い。 |
正解:2
1. | PER=株価÷1株当たり当期純利益=4,500円÷685円≒6.57倍です。 これは、日経平均採用銘柄の平均(予想ベース)の12.62倍よりも低く、割安であると言えます。 |
2. | PBR=株価÷1株当たり純資産=4,500円÷5,150≒0.87倍です。 これは、東証プライム全銘柄の平均(予想ベース)の1.18倍よりも低く、割安であると言えます。 |
3. | 配当利回り(%)=1株当たり年間配当金÷株価×100=150円÷4,500円×100≒3.33%です。 これは、東証グロース全銘柄の単純平均の0.32%よりも高いです。 |
【問6】
下記<資料>の甲土地の建築面積の最高限度を算出する基礎となる敷地面積として、正しいものはどれか。なお、この土地の存する区域は、特定行政庁が指定する区域に該当しないものとし、その他記載のない条件については一切考慮しないこととする。
<数値群>
1. | 260㎡ |
2. | 280㎡ |
3. | 290㎡ |
正解:3
道路の向かい側が宅地であるため、道路の中心線から水平距離で2mの位置が、(建築基準法上の)道路と敷地の境界線となります。
現在の道路の幅員が3mであるということは、道路の中心線から3m÷2=1.5mの位置が道路と(外形上の)敷地のなっているため、2m-1.5m=0.5mのセットバックを要します。
したがって、建築基準法上、甲土地の敷地面積は、20m×(15-0.5)m=290㎡とみなされます。
現在の道路の幅員が3mであるということは、道路の中心線から3m÷2=1.5mの位置が道路と(外形上の)敷地のなっているため、2m-1.5m=0.5mのセットバックを要します。
したがって、建築基準法上、甲土地の敷地面積は、20m×(15-0.5)m=290㎡とみなされます。
【問7】
井上さんは、下記<資料>の物件の購入を検討している。この物件の購入金額(消費税を含んだ金額)として、正しいものはどれか。なお、<資料>に記載されている金額は消費税を除いた金額であり、消費税率は10%として計算すること。また、記載のない条件については一切考慮しないこととする。
<資料>
1. | 5,200万円 |
2. | 5,300万円 |
3. | 5,500万円 |
正解:1
建物の売買代金には消費税がかかり、土地の売買代金には消費税がかからないことから、2,000万円×1.1+3,000万円=5,200万円となります。
【問8】
明石誠二さんが加入しているがん保険(下記<資料>参照)の保障内容に関する次の記述の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、保険契約は有効に継続しているものとし、誠二さんはこれまでに<資料>の保険から保険金および給付金を一度も受け取っていないものとする。
<資料>
誠二さんは、2022年中に初めてがん(膵臓がん、悪性新生物)と診断され、がんの治療で42日間入院し、がんにより病院で死亡した。入院中には手術(給付倍率20倍)を1回受けている。2022年中に支払われる保険金および給付金は、合計( ア )である。
1. | 1,620,000円 |
2. | 2,720,000円 |
3. | 3,620,000円 |
正解:3
がん入院給付金10,000円×42+がん診断給付金200万円+手術給付金10,000円×20+死亡給付金10,000円×100=362万円となります。
【問9】
会社員の村瀬徹さんが加入している生命保険は下表のとおりである。下表の保険契約A~Cについて、保険金が支払われた場合の課税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 契約Aについて、徹さんの妻が受け取る死亡保険金は贈与税の課税対象となる。 |
2. | 契約Bについて、徹さんの子が受け取る死亡保険金は相続税の課税対象となる。 |
3. | 契約Cについて、徹さんが受け取る満期保険金は所得税・住民税の課税対象となる。 |
正解:3
1. | 登場人物が全員個人である場合、契約者(=保険料負担者)と被保険者が同一である契約の死亡保険金は、相続税の課税対象となります。 |
2. | 登場人物が全員個人である場合、契約者(=保険料負担者)、被保険者、保険金受取人が全て異なる契約の死亡保険金は、贈与税の課税対象となります。 |
3. | 個人である契約者(=保険料負担者)が受け取る満期保険金は、所得税の課税対象となります。 |
【問10】
損害保険の種類と事故の内容について記述した次の1~3の事例のうち、契約している保険で補償の対象になるものはどれか。なお、いずれの保険も特約などは付帯していないものとする。
正解:1
1. | 普通傷害保険は、業務上 業務外を問わず、日常生活における様々なケガを補償します。 |
2. | 住宅総合保険は、地震・津波・噴火を原因とする損害は、補償しません(地震保険の補償の対象です)。 |
3. | 原動機付自転車(原付バイク)により他人の財物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った場合には、対物賠償責任保険で備えます。 |
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