お金の寺子屋

FP3級実技(FP協会)解説-2023年5月・後半

【問11】
下記<資料>に基づき、目黒昭雄さんの2022年分の所得税を計算する際の所得控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

<資料>

2022年12月31日時点のデータである。
家族は全員、昭雄さんと同居し、生計を一にしている。
障害者または特別障害者に該当する者はいない。
1. 妻の聡美さんは控除対象配偶者となり、昭雄さんは38万円を控除することができる。
2. 長男の幸一さんは特定扶養親族となり、昭雄さんは63万円を控除することができる。
3. 二男の浩二さんは一般の扶養親族となり、昭雄さんは38万円を控除することができる。
正解:
1. 給与所得が100万円であり、合計所得金額が48万円を超えるため、配偶者控除の対象にはなりません。
2. 正しい記述です。19歳以上23歳未満の控除対象扶養親族は、特定扶養親族として、1人当たり63万円の控除を受けることができます。
3. 15歳以下の人は、扶養控除の対象外です。
【問12】
杉野さん(67歳)の2022年分の公的年金等の収入金額は300万円である。杉野さんの2022年分の公的年金等の雑所得の金額として、正しいものはどれか。なお、杉野さんは公的年金等以外に収入はないものとする。

<65歳未満の者の公的年金等控除額の速算表>
収入金額(A) 公的年金等控除額
130万円以下 60万円
130万円超
410万円以下
A×25%+27.5万円
410万円超
770万円以下
A×15%+68.5万円
770万円超
1,000万円以下
A×5%+145.5万円
1,000万円超 195.5万円
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下の場合
<65歳以上の者の公的年金等控除額の速算表>
収入金額 公的年金等控除額
330万円以下 110万円
330万円超
410万円以下
A×25%+27.5万円
410万円超
770万円以下
A×15%+68.5万円
770万円超
1,000万円以下
A×5%+145.5万円
1,000万円超 195.5万円
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下の場合
1.   110万円
2.   190万円
3. 197.5万円
正解:
公的年金等の雑所得=収入金額-公的年金等控除額=300万円-110万円=190万円です。
【問13】
2023年5月2日に相続が開始された最上真司さん(被相続人)の<親族関係図>が下記のとおりである場合、民法上の相続人および法定相続分の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、記載のない条件については一切考慮しないこととする。

<親族関係図>

1. 夏美2/3 智子1/3
2. 夏美2/3 智子1/6 のぶ子1/6
3. 夏美3/4 智子1/12 のぶ子1/12 喜代子1/12
正解:
相続人の組み合わせは、配偶者相続人と第二順位の血族相続人ですから、配偶者相続人の法定相続分は2/3、血族相続人全体の法定相続分は1/3です。
第二順位の血族相続人は、被相続人の父母が居る場合、被相続人の祖父母は該当しないため、相続人は、夏美さんと智子さんの2人となります。
【問14】
FPで税理士でもある長谷川さんは、池谷光雄さんと妻の紀子さんから贈与税の配偶者控除に関する相談を受けた。池谷さん夫婦からの相談内容に関する記録は下記<資料>のとおりである。この相談に対する長谷川さんの回答の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

<資料>
[相談記録]
相談日:2023年5月3日
相談者:池谷光雄 様(57歳) 池谷紀子 様(53歳)
相談内容:贈与税の配偶者控除を活用して、光雄様所有の居住用不動産を紀子様に贈与したいと考えている。贈与税の配偶者控除の適用要件や控除額について知りたい。
[長谷川さんの回答]
「贈与税の配偶者控除の適用を受けるためには、贈与があった日において、配偶者との婚姻期間が( ア )年以上であること等の所定の要件を満たす必要があります。また、贈与税の配偶者控除の額は、最高( イ )万円です。」
1. (ア)10 (イ)1,000
2. (ア)20 (イ)1,000
3. (ア)20 (イ)2,000
正解:
贈与税の配偶者控除を受けるためには、婚姻期間が20年以上あるなどの要件を満たす必要があります。
この特例の適用を受けると、贈与税の計算上、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除することができます。
【問15】
杉山さんは、家族のために遺言書を作成することを考えている。公正証書遺言に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

公正証書遺言は、遺言者が遺言内容を口述し、( ア )が筆記したうえで、遺言者・証人に読み聞かせ、または閲覧させて作成することを原則とし、その作成に当たっては、( イ )以上の証人の立会いが必要とされる。なお、公正証書遺言については、家庭裁判所による検認が( ウ )とされている。
1. (ア)公証人 (イ)2人 (ウ)必要
2. (ア)公証人 (イ)2人 (ウ)不要
3. (ア)裁判官 (イ)1人 (ウ)不要
正解:
(ア) 公正証書遺言は、遺言者が遺言内容を口述し、公証人が筆記して作成します。
(イ) 公正証書遺言の作成に当たっては、2人以上の証人が必要です。
(ウ) 公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されており、改ざんの恐れが無いため、検認は不要です。

【問15】~【問20】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
川野恭平さんは株式会社RBに勤務する会社員である。恭平さんは今後の生活設計について、FPで税理士でもある青山さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2023年4月1日現在のものである。

<家族構成(同居家族)>
[川野 恭平(本人)]
1988年 3月10日(35歳)
会社員

[川野 亜美(妻)]
1988年 4月11日(34歳)
会社員

[川野 潤(長女)]
2019年11月3日(3歳)
大学生

<保有財産(時価)>
[金融資産]
普通預金:120万円
定期預金:100万円
投資信託: 40万円
上場株式:110万円

[生命保険(解約返戻金相当額)]
15万円

[不動産(自宅マンション) ]
3,500万円

<負債残高>
住宅ローン(自宅マンション):3,400万円(債務者は恭平さん、団体信用生命保険付き)
<その他>
上記以外については、各設問において特に指定のない限り一切考慮しないものとする。
【問16】
FPの青山さんは、川野家のバランスシートを作成した。下表の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、<設例>に記載のあるデータに基づいて解答することとする。


1. 370(万円)
2. 470(万円)
3. 485(万円)
正解:

<資産>
普通預金120万円
定期預金100万円
投資信託40万円
上場株式110万円
生命保険15万円
不動産3,500万円
の、計3,885万円

<負債>
住宅ローン3,400万円

よって、純資産=3,885万円-3,400万円=485万円となります。

【問17】
恭平さんと亜美さんは、今後10年間で毎年24万円ずつ積立貯蓄をして、潤さんの教育資金を準備したいと考えている。積立期間中に年利1.0%で複利運用できるものとした場合、10年後の積立金額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の3つの係数の中から最も適切な係数を選択して計算し、解答に当たっては万円未満を切り捨てること。また、税金や記載のない事項については一切考慮しないこととする。

<資料:係数早見表(年利1.0%、10年)>
終価係数  : 1.105
年金現価係数: 0.471
年金終価係数:10.462

記載されている数値は正しいものとする。
1. 265万円
2. 251万円
3. 227万円
正解:
使用する係数は、年金終価係数です。
よって、24万円×10.462=2,510,880円≒251万円となります。
【問18】
恭平さんは、会社の定期健康診断で異常を指摘され、2023年3月に3週間ほど入院をして治療を受けた。その際病院への支払いが高額であったため、恭平さんは健康保険の高額療養費制度によって払い戻しを受けたいと考え、FPの青山さんに相談をした。恭平さんの2023年3月の保険診療に係る総医療費が80万円であった場合、高額療養費制度により払い戻しを受けることができる金額として、正しいものはどれか。なお、恭平さんは全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の被保険者で、標準報酬月額は「38万円」である。また、恭平さんは限度額適用認定証を病院に提出していないものとする。


1.  85,430円
2. 154,570円
3. 714,570円
正解:
自己負担限度額=80,100円+(800,000円-267,000円)×1%=85,430円です。
療養の給付を除いた本来の負担額(医療費の3割相当額)は、80万円×0.3=24万円より、高額療養費制度により払い戻しを受けることができる金額は、24万円-85,430円=154,570円となります。
【問19】
亜美さんは、間もなく第二子を出産予定で、出産後は子が1歳になるまで育児休業を取得しようと思っている。育児休業期間中の健康保険および厚生年金保険の保険料の免除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、亜美さんは全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の被保険者であり、かつ厚生年金保険の被保険者である。
1. 事業主の申出により、被保険者負担分のみ免除される。
2. 事業主の申出により、事業主負担分のみ免除される。
3. 事業主の申出により、被保険者および事業主負担分が免除される。
正解:
「育児休業期間中の健康保険および厚生年金保険の保険料の免除」の適用を受けるためには(普段、被保険者の保険料の納付を行っている)事業主が手続きをする必要があります。
この制度の適用を受けると、被保険者と事業主両方の保険料負担が免除されます。
【問20】
恭平さんが保有する投資信託は、投資信託①と投資信託②であり、5年前にそれぞれ15万円ずつ合計30万円を購入したものである。恭平さんは「リバランス」に興味をもち、FPの青山さんに質問をした。下記の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、手数料は考慮しないものとする。


<青山さんの説明>
リバランスとは、時間の経過とともに運用当初に決めた( ア )がずれて、当初目的とした投資効果が薄れてしまうことを回避する方法の一つです。恭平さんが資金の追加や削減を行わない場合、投資信託①を( イ )して、投資信託②を( ウ )すると、運用当初の( ア )になります。
1. (ア)にあてはまる語句は、「配分比率」である。
2. (イ)にあてはまる語句は、「15万円分売却」である。
3. (ウ)にあてはまる語句は、「10万円分購入」である。
正解:
1. リバランスとは、ポートフォリオを構成する資産の配分比率を当初の通りに修正する(値上がりした資産を売却して値下がりした資産を購入する)ことをいいます。
2. 資金の追加や削減を行わずにリバランスを行うということは、現在の時価40万円を維持して、投資信託①と投資信託②の配分比率を1:1にするということです。
よって、投資信託①を10万円売却(括弧イ)して、投資信託②を10万円購入(括弧ウ)します。
3. 上記の通りです。

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