FP3級実技(FP協会)解説-2022年5月・後半
【問11】
飲食店を営む個人事業主の天野さんは、2021年11月に器具を購入し、事業の用に供している。天野さんの2021年分の所得税における事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべき減価償却費の金額として、正しいものはどれか。なお、器具の取得価額は90万円、2021年中の事業供用月数は2ヵ月、耐用年数は5年とする。また、天野さんは個人事業を開業して以来、器具についての減価償却方法を選択したことはない。
<耐用年数表(抜粋)>
[法定耐用年数:5年]
定額法の償却率:0.200
定率法の償却率:0.400
[法定耐用年数:5年]
定額法の償却率:0.200
定率法の償却率:0.400
<減価償却費の計算方法>
取得価額×償却率×事業供用月数÷12ヵ月
取得価額×償却率×事業供用月数÷12ヵ月
1. | 30,000円 |
2. | 60,000円 |
3. | 180,000円 |
正解:1
所得税の計算上、償却方法を選択しなかった場合には、定額法を選択したことになります。
よって、減価償却費は、90万円×0.200×2/12=3万円となります。
よって、減価償却費は、90万円×0.200×2/12=3万円となります。
【問12】
会社員の飯田さんは、2021年中に勤務先を定年退職した。飯田さんの退職に係るデータが下記<資料>のとおりである場合、飯田さんの所得税に係る退職所得の金額として、正しいものはどれか。
<資料>
[飯田さんの退職に係るデータ] | |||
・ | 支給された退職一時金:1,800万円 | ||
・ |
勤続期間:23年4ヵ月
|
||
・ | 勤務した会社で役員であったことはない。 | ||
・ | 退職は障害者になったことに基因するものではない。 | ||
・ | 2020年以前に受け取った退職金はない。 | ||
・ | 「退職所得の受給に関する申告書」は適切に提出されている。 |
[参考:退職所得控除額の求め方] | |
勤続年数 | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円×勤続年数 (80万円に満たない場合には、80万円) |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
1. | 360万円 |
2. | 395万円 |
3. | 720万円 |
正解:1
勤続年数は24年と計算されますから、退職所得控除額=70万円×(24-20)+800万円=1,080万円です。
よって、退職所得=(1,800万円-1,080万円)×1/2=360万円となります。
よって、退職所得=(1,800万円-1,080万円)×1/2=360万円となります。
【問13】
今年80歳になる安西さんは、将来発生するであろう自身の相続について、遺産分割等でのトラブルを防ぐために遺言書の作成を検討しており、FPの高梨さんに相談をした。遺言書に関する高梨さんの次の説明のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 「公正証書遺言を作成した後に、自筆証書遺言によって、先に作成した公正証書遺言を撤回することができます。」 |
2. | 「自筆証書遺言を作成した場合、原則として、遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は、遅滞なく遺言書を公証役場に提出して、その検認を請求する必要があります。」 |
3. | 「自筆証書遺言を作成する場合、遺言者と2人以上の証人が、各自これに署名し、押印をすることが必要です。」 |
正解:1
1. | 正しい記述です。自筆証書遺言と公正証書遺言に効力の違いはなく、複数の遺言の内容が抵触する場合には最も日付が新しい遺言の内容が優先されますから、自筆証書遺言で公正証書遺言の内容を撤回することができます。 |
2. | 検認は家庭裁判所で行う手続きです。 |
3. | 自筆証書遺言は単独で作成するものですから、証人は不要です。 |
【問14】
福岡明雄さんは、妻から居住用不動産の贈与を受けた。明雄さんは、この居住用不動産の贈与について、贈与税の配偶者控除の適用を受けることを検討しており、FPで税理士でもある木内さんに相談をした。この相談に対する木内さんの回答の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値の組み合わせとして、正しいものはどれか。
<木内さんの回答>
「贈与税の配偶者控除を受ける場合、基礎控除とは別に最高( ア )万円の控除を受けることができます。なお、贈与税の配偶者控除を受けるためには、贈与があった日において、配偶者との婚姻期間が( イ )年以上あること等の所定の要件を満たす必要があります。」
「贈与税の配偶者控除を受ける場合、基礎控除とは別に最高( ア )万円の控除を受けることができます。なお、贈与税の配偶者控除を受けるためには、贈与があった日において、配偶者との婚姻期間が( イ )年以上あること等の所定の要件を満たす必要があります。」
1. | (ア)1,000 (イ)10 |
2. | (ア)2,000 (イ)10 |
3. | (ア)2,000 (イ)20 |
正解:3
贈与税の配偶者控除は、婚姻期間が20年以上の夫婦間での居住用財産又は居住用財産を取得するための金銭の贈与に適用され、基礎控除とは別に最高2,000万円の控除を受けることができます。
【問15】
近藤恭子さん(60歳)は、母親である杉田保子さん(85歳)の相続について、FPで税理士でもある村瀬さんに相談をした。相続税の債務控除に関する村瀬さんの次の説明のうち、最も適切なものはどれか。なお、保子さんの相続人は、債務控除の適用要件を満たしているものとする。
1. | 「保子さんが生前に受けた治療に係る医療費で未払いとなっているものは、債務控除の対象となります。」 |
2. | 「保子さんが生前に購入した墓碑の購入代金で未払いとなっているものは、債務控除の対象となります。」 |
3. | 「保子さんのご葬儀の際に受け取った香典の返戻に要する費用は、債務控除の対象となります。」 |
正解:1
1. | 被相続人が未払いであった税金や医療費は、債務控除の対象となります。 |
2. | 非課税財産に係る未払金は、債務控除の対象にはなりません。 |
3. | 香典返戻費用は、債務控除の対象にはなりません。 |
【問16】~【問20】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
山岸明さんは株式会社KWに勤務する会社員である。明さんは、今後の生活設計について、FPで税理士でもある小田さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2022年4月1日現在のものである。
山岸明さんは株式会社KWに勤務する会社員である。明さんは、今後の生活設計について、FPで税理士でもある小田さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2022年4月1日現在のものである。
<家族構成(同居家族)>
[山岸 明(本人)]
1984年4月10日(37歳)
会社員
[山岸 加奈(妻)]
1986年1月25日(36歳)
専業主婦
[山岸 直人(長男)]
2014年4月21日(7歳)
小学生
<保有財産(時価)>
[金融資産]
普通預金:120万円
定期預金:200万円
投資信託:130万円
[生命保険(解約返戻金相当額)]
10万円
[不動産(自宅マンション) ]
3,800万円
<負債残高>
住宅ローン(自宅マンション):3,600万円(債務者は明さん、団体信用生命保険付き)
住宅ローン(自宅マンション):3,600万円(債務者は明さん、団体信用生命保険付き)
<その他>
上記以外については、各設問において特に指定のない限り一切考慮しないものとする。
上記以外については、各設問において特に指定のない限り一切考慮しないものとする。
【問16】
FPの小田さんは、山岸家のバランスシートを作成した。下表の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、<設例>に記載のあるデータに基づいて解答することとする。
1. | 460(万円) |
2. | 520(万円) |
3. | 660(万円) |
正解:3
<資産>
普通預金120万円
定期預金200万円
投資信託130万円
生命保険10万円
不動産3,800万円
の、計4,260万円
<負債>
住宅ローン3,600万円
よって、純資産=4,260万円-3,600万円=660万円となります。
【問17】
明さんと加奈さんは、今後10年間で積立貯蓄をして、長男の直人さんの教育資金として250万円を準備したいと考えている。積立期間中に年利1.0%で複利運用できるものとした場合、250万円を準備するために必要な毎年の積立金額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の3つの係数の中から最も適切な係数を選択して計算し、解答に当たっては千円未満を切り上げること。また、税金や記載のない事項については一切考慮しないこととする。
<資料:係数早見表(年利1.0%)> | |||
現価係数 | 資本回収係数 | 減債基金係数 | |
10年 | 0.9053 | 0.10558 | 0.09558 |
※ | 記載されている数値は正しいものとする。 |
<資料:係数早見表(年利1.0%)> | |
10年 | |
現価係数 | 0.9053 |
資本回収係数 | 0.10558 |
減債基金係数 | 0.09558 |
※ | 記載されている数値は正しいものとする。 |
1. | 227,000円 |
2. | 239,000円 |
3. | 264,000円 |
正解:2
積立型運用における毎年の積立額を計算する際に用いる係数は、減債基金係数です。
よって、250万円×0.09558=238,950円≒239,000(千円未満切上げ)となります。
よって、250万円×0.09558=238,950円≒239,000(千円未満切上げ)となります。
【問18】
明さんは、地震保険への加入を検討しており、FPの小田さんに質問をした。地震保険に関する小田さんの次の説明のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 「地震保険は、住宅総合保険や火災保険などとセットで契約するため、単独で契約することはできません。」 |
2. | 「地震保険の保険料は、建物の構造が同じであれば、所在地にかかわらず同一です。」 |
3. | 「地震保険で支払われる保険金は、実際の損害額ではなく、損害の程度に応じて支払われ、生活再建の一助として役立てるものです。」 |
正解:2
1. | 正しい記述です。 |
2. | 地震保険の保険料は、都道府県ごと建物の構造区分ごとに異なります。 |
3. | 地震保険では、保険金の支払いをスムーズにするために、実際の損害額を算定することはせず、損害の程度を「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の四つに区分して、それぞれの区分ごとに定められた割合で保険金の支払いを行います。 |
【問19】
明さんは、病気やケガで働けなくなった場合、健康保険からどのような給付が受けられるのか、FPの小田さんに質問をした。小田さんが行った健康保険(全国健康保険協会管掌健康保険)の傷病手当金に関する次の回答の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値または語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。
<小田さんの回答>
「傷病手当金は業務外の病気やケガの療養のため、勤務先を休んだ日が連続して3日間続いた後4日目以降の休業して賃金が受けられない日について支給されます。休業1日当たりの支給額は、支給開始日以前の継続した( ア )ヵ月間の各月の標準報酬月額の平均額を30で除した額の( イ )相当額です。」
「傷病手当金は業務外の病気やケガの療養のため、勤務先を休んだ日が連続して3日間続いた後4日目以降の休業して賃金が受けられない日について支給されます。休業1日当たりの支給額は、支給開始日以前の継続した( ア )ヵ月間の各月の標準報酬月額の平均額を30で除した額の( イ )相当額です。」
1. | (ア) 6 (イ)2分の1 |
2. | (ア)12 (イ)3分の2 |
3. | (ア)24 (イ)4分の3 |
正解:2
(ア) | 傷病手当金の計算における標準報酬日額は、支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額を30で割った金額です。 |
(イ) | 傷病手当金の休業1日当たりの支給額は、標準報酬日額の3分の2相当額です。 |
【問20】
明さんは、将来両親の介護が必要になり仕事を休んだ場合、雇用保険ではどのような給付があるのか、FPの小田さんに質問をした。小田さんが行った雇用保険の介護休業給付金に関する次の回答の空欄(ア)にあてはまる数値として、正しいものはどれか。
<小田さんの回答>
介護休業給付金は、雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者が対象家族の介護をするために休業をした場合に支給されます。支給日数1日当たりの支給額は、休業中に賃金が支払われない場合、休業開始時賃金日額の( ア )%相当額で、同一の対象家族について通算して93日(3回まで分割可能)を限度に支給されます。
介護休業給付金は、雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者が対象家族の介護をするために休業をした場合に支給されます。支給日数1日当たりの支給額は、休業中に賃金が支払われない場合、休業開始時賃金日額の( ア )%相当額で、同一の対象家族について通算して93日(3回まで分割可能)を限度に支給されます。
1. | 40 |
2. | 50 |
3. | 67 |
正解:3
介護休業給付の支給日数1日あたりの支給額は、休業開始時賃金日額の67%相当額です。
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