FP3級実技(FP協会)解説-2020年1月・後半
【問11】
個人事業主として不動産賃貸業を営む山本さんは、FPで税理士でもある倉田さんに2019年分の所得税より確定申告書の作成を依頼することにした。山本さんの2019年分の収入および必要経費が下記<資料>のとおりである場合、山本さんの2019年分の不動産所得の金額(青色申告特別控除前の金額)として、正しいものはどれか。
<資料>山本さんの2019年分の収入および必要経費
[収入]
家賃 380万円(未収家賃・前受家賃は発生していない)
礼金 20万円(全額返還を要しない)
敷金 60万円(退去時に全額返還する予定である)
[必要経費]
210万円
※ | 山本さんは2019年分の所得税から青色申告の承認を受けている。 |
1. | 250万円 |
2. | 190万円 |
3. | 170万円 |
正解:2
不動産所得の計算上、返還を要しないものは収入金額に算入され、返還を要するものは収入金額に算入されません。
よって、青色申告特別控除前の不動産所得の金額=380万円+20万円-210万円=190万円です。
よって、青色申告特別控除前の不動産所得の金額=380万円+20万円-210万円=190万円です。
【問12】
個人事業主として飲食店を営む宮野さんの2019年分の各種所得の金額が下記<資料>のとおりである場合、宮野さんの2019年分の総所得金額として、正しいものはどれか。なお、<資料>に記載のない事項については一切考慮しないこととする。
[宮野さんの2019年分の所得の金額]
事業所得の金額 280万円
給与所得の金額 100万円(退職した勤務先から受給したものである)
退職所得の金額 500万円(退職した勤務先から受給したものである)
事業所得の金額 280万円
給与所得の金額 100万円(退職した勤務先から受給したものである)
退職所得の金額 500万円(退職した勤務先から受給したものである)
1. | 880万円 |
2. | 780万円 |
3. | 380万円 |
正解:3
総所得金額は総合課税される所得の合計ですから、本問では、事業所得の額と給与所得の額合計で、退職所得の金額は含まれません。
よって、総所得金額=280万円+100万円=380万円となります。
よって、総所得金額=280万円+100万円=380万円となります。
【問13】
2019年11月20日に相続が開始された山根博子さん(被相続人)の<親族関係図>が下記のとおりである場合、民法上の相続人および法定相続分の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、記載のない条件については一切考慮しないこととする。
<親族関係図>
※ | 真奈美さんは期限内に家庭裁判所で手続を行い、適法に相続を放棄した。 |
<親族関係図>
※ | 真奈美さんは期限内に家庭裁判所で手続を行い、適法に相続を放棄した。 |
1. | 勝夫2/3 正行1/6 洋子1/6 |
2. | 勝夫1/2 正行1/4 洋子1/4 |
3. | 勝夫1/2 正行1/6 洋子1/6 優奈1/6 |
正解:1
放棄は代襲原因ではありませんから相続人は、勝夫、正行、洋子の3人となり、配偶者相続人と第二順位の血族相続人の組み合わせですから、配偶者相続人の法定相続分は3分の2となり、残りの3分の1を血族相続人の頭数で按分します。
よって、各相続人の法定相続分は、勝夫2/3、正行1/6、洋子1/6となります。
よって、各相続人の法定相続分は、勝夫2/3、正行1/6、洋子1/6となります。
【問14】
相続開始後の各種手続きに関する下記<資料>の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。
<資料> | |
手続きの種類 | 行うべき手続きの内容 |
相続の放棄 または限定承認 |
原則として、相続の開始を知った時から3ヵ月以内に( ア )に申述書を提出 |
相続税の 期限内申告 |
相続の開始を知った日の翌日から( イ )以内に被相続人の死亡時の住所地の所轄税務署長に申告書を提出 |
<資料> | |
手続きの種類 | 行うべき手続きの内容 |
相続の放棄 または限定承認 |
原則として、相続の開始を知った時から3ヵ月以内に( ア )に申述書を提出 |
相続税の 期限内申告 |
相続の開始を知った日の翌日から( イ )以内に被相続人の死亡時の住所地の所轄税務署長に申告書を提出 |
1. | (ア)家庭裁判所 (イ) 6ヵ月 |
2. | (ア)公証役場 (イ)10ヵ月 |
3. | (ア)家庭裁判所 (イ)10ヵ月 |
正解:3
(ア) | 相続の放棄または限定承認は、家庭裁判所で行う必要があります。 |
(イ) | 相続税の申告期限は。相続の開始を知った日の翌日から10ヵ月以内です。 |
【問15】
皆川真紀子さんは、夫から2019年5月に居住用不動産(財産評価額2,700万円)の贈与を受けた。真紀子さんは、この居住用不動産の贈与について、贈与税の配偶者控除の適用を受けることを検討している。真紀子さんが贈与税の配偶者控除の適用を最高限度額まで受けた場合の2019年分の贈与税の配偶者控除および基礎控除後の課税価格として、正しいものはどれか。なお、贈与税の配偶者控除の適用を受けるための要件はすべて満たしているものとする。また、真紀子さんは2019年中に、当該贈与以外の贈与を受けていないものとする。
1. | 90万円 |
2. | 590万円 |
3. | 700万円 |
正解:2
贈与税の配偶者控除の適用を受けた場合、配偶者が控除を受けることができる金額は、最高で2,000万円で、さらに基礎控除を受けることができます。
よって、2,700万円-2,000万円-110万円=590万円となります。
よって、2,700万円-2,000万円-110万円=590万円となります。
【問16】~【問20】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
荒木浩介さんは株式会社QAに勤める会社員である。2017年8月に生まれた第一子も2歳になり、今後の生活設計についてFPで税理士でもある福岡さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2020年1月1日現在のものである。
荒木浩介さんは株式会社QAに勤める会社員である。2017年8月に生まれた第一子も2歳になり、今後の生活設計についてFPで税理士でもある福岡さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2020年1月1日現在のものである。
<家族構成(同居家族)>
[荒木 浩介(本人)]
1986年6月15日(33歳)
会社員
[荒木 理恵(妻)]
1987年5月20日(32歳)
専業主婦
[荒木 千穂(長女)]
2017年8月10日(2歳)
<保有財産(時価)>単位:万円
金融資産
普通預金:100
定期預金:250
財形住宅貯蓄:200
生命保険(解約返戻金相当額):10
金融資産
普通預金:100
定期預金:250
財形住宅貯蓄:200
生命保険(解約返戻金相当額):10
<負債>
なし
なし
<マイホーム:資金計画>
浩介さんは、3,000万円のマンションの購入を検討しており、民間金融機関で2,500万円の住宅ローンを組む予定である。マンション購入の頭金は500万円とし、その内訳は、財形住宅貯蓄200万円、定期預金250万円のうち200万円、親から受ける贈与100万円である。
浩介さんは、3,000万円のマンションの購入を検討しており、民間金融機関で2,500万円の住宅ローンを組む予定である。マンション購入の頭金は500万円とし、その内訳は、財形住宅貯蓄200万円、定期預金250万円のうち200万円、親から受ける贈与100万円である。
<その他>
上記以外については、各設問において特に指定のない限り一切考慮しないこととする。
上記以外については、各設問において特に指定のない限り一切考慮しないこととする。
【問16】
FPの福岡さんは、資金計画どおりにマンションを購入した後の荒木家のバランスシートを作成した。下表の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、<設例>に記載のあるデータに基づいて解答することとする。
1. | 160(万円) |
2. | 660(万円) |
3. | 1,060(万円) |
正解:2
<資産>
普通預金100万円
定期預金50万円
財形住宅貯蓄0円
生命保険10万円
不動産3,000万円
の、計3,160万円
<負債>
住宅ローン2,500万円
よって、純資産=3,160万円-2,500万円=660万円となります。
【問17】
浩介さんは、今後10年間で毎年36万円ずつ積立貯蓄をして、長女の千穂さんの教育資金を準備したいと考えている。積立期間中に年利2.0%で複利運用できるものとした場合、10年後の合計金額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の3つの係数の中から最も適切な係数を選択して計算し、解答に当たっては、千円未満を四捨五入すること。また、税金や記載のない事項については一切考慮しないこととする。
<資料:係数早見表(年利2.0%)> | |||
終価係数 | 年金終価係数 | 年金現価係数 | |
10年 | 1.219 | 10.950 | 8.983 |
※ | 記載されている数値は正しいものとする。 |
<資料:係数早見表(年利2.0%)> | |
10年 | |
終価係数 | 1.219 |
年金終価係数 | 10.950 |
年金現価係数 | 8.983 |
※ | 記載されている数値は正しいものとする。 |
1. | 3,234,000円 |
2. | 3,942,000円 |
3. | 4,388,000円 |
正解:2
使用する係数は、年金終価係数です。
よって、36万円×10.950=3,942,000円となります。
よって、36万円×10.950=3,942,000円となります。
【問18】
浩介さんは、会社の定期健康診断で異常を指摘され、2019年11月に2週間ほど入院をして治療を受けた。その際の病院への支払いが高額であったため、浩介さんは健康保険の高額療養費制度によって払戻しを受けたいと考え、FPの福岡さんに相談をした。浩介さんの2019年11月の保険診療に係る総医療費が90万円であった場合、高額療養費制度により払戻しを受けることができる金額として、正しいものはどれか。なお、浩介さんは全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者で、標準報酬月額は「36万円」である。また、浩介さんは限度額適用認定証を病院に提出していないものとする。
<70歳未満の者:医療費の自己負担額(1ヵ月当たり)>
※ | 高額療養費の多数該当および世帯合算については考慮しないものとする。 |
1. | 86,430円 |
2. | 183,570円 |
3. | 189,870円 |
正解:2
自己負担限度額=80,100円+(900,000円-267,000円)×1%=86,430円です。
本来の自己負担額は、90万円の3割=270,000円より、高額療養費制度により払い戻しを受けることができる金額=270,000円-86,430円=183,570円となります。
本来の自己負担額は、90万円の3割=270,000円より、高額療養費制度により払い戻しを受けることができる金額=270,000円-86,430円=183,570円となります。
【問19】
浩介さんの公的年金加入歴は下記のとおりである。仮に浩介さんが現時点(33歳)で死亡した場合、浩介さんの死亡時点において妻の理恵さんに支給される公的年金の遺族給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、浩介さんは、入社時(22歳)から死亡時まで厚生年金保険に加入しているものとし、遺族給付における生計維持要件は満たされているものとする。
1. | 遺族基礎年金と死亡一時金が支給される。 |
2. | 遺族厚生年金と寡婦年金が支給される。 |
3. | 遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給される。 |
正解:3
厚生年金の被保険者が死亡した場合、遺族に遺族厚生年金が支給されます。
また、厚生年金の被保険者である国民年金の第2号被保険者が死亡した場合、子のある配偶者には、遺族基礎年金も支給されます。
また、厚生年金の被保険者である国民年金の第2号被保険者が死亡した場合、子のある配偶者には、遺族基礎年金も支給されます。
【問20】
浩介さんと理恵さんが加入している生命保険は下表のとおりである。仮に浩介さんが2020年2月に死亡し理恵さんに保険金が支払われた場合、課税の対象となる税金の種類として、正しいものはどれか。
保険種類 | 保険契約者 (保険料負担者) |
被保険者 | 死亡保険金 受取人 |
終身保険A | 浩介 | 浩介 | 理恵 |
終身保険B | 浩介 | 理恵 | 浩介 |
保険種類 | 保険契約者 | 被保険者 | 死亡保険金 受取人 |
終身保険 A |
浩介 | 浩介 | 理恵 |
終身保険 B |
浩介 | 理恵 | 浩介 |
※ | 保険契約者は保険料負担者と同一人物であるものとする。 |
1. | 相続税 |
2. | 贈与税 |
3. | 所得税・住民税 |
正解:1
契約者(=保険料負担者)と被保険者が同じである生命保険の死亡保険金は、相続税の課税対象となります。
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