FP3級実技(FP協会)解説-2019年9月・後半
【問11】
会社員の大下さんの2019年分の収入は下記<資料>のとおりである。大下さんの2019年分の給与所得の金額として、正しいものはどれか。なお、<資料>に記載のない事項については一切考慮しないこととする。(注)制度改正あり
<資料> | |
内容 | 金額 |
給料 | 580万円 |
賞与 | 170万円 |
<資料>給与所得控除額 | |
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
162.5万円以下 | 65万円 |
162.5万円超 180万円以下 |
収入金額×40% |
180万円超 360万円以下 |
収入金額×30%+18万円 |
360万円超 660万円以下 |
収入金額×20%+54万円 |
660万円超 1,000万円以下 |
収入金額×10%+120万円 |
1,000万円超 | 220万円 |
1. | 750万円 |
2. | 555万円 |
3. | 410万円 |
正解:2
750万円-(750万円×10%+120万円)=555万円です。
<参考>
現在の給与所得控除額は、資料と異なります。
【問12】
会社員の井上太一さんが、2019年中に支払った医療費等が下記<資料>のとおりである場合、太一さんの2019年分の所得税の確定申告における医療費控除の金額として、正しいものはどれか。なお、太一さんの所得は給与所得700万円のみであり、妻および長女は太一さんと生計を一にしている。また、医療費控除の金額が最も大きくなるよう計算すること。
<資料>
※1 | 人間ドックの結果、特に重大な疾患等は発見されなかった。 |
※2 | 保険金等により補てんされた金額はないものとする。また、自己の都合により差額ベッドを使用し、差額ベッド料を支払った。 |
1. | 70,000円 |
2. | 130,000円 |
3. | 160,000円 |
正解:1
人間ドック代は、その結果特に重大な疾病等が発見されなかった場合医療費控除の対象とはなりません。
入院費用は医療費控除の対象となりますが、差額ベッド代は医療費控除の対象とはなりません。
健康増進のためのビタミン剤の購入代は医療費控除の対象となりません。
したがって、医療費控除の金額=(230,000円-60,000円)-10万円=70,000円となります。
入院費用は医療費控除の対象となりますが、差額ベッド代は医療費控除の対象とはなりません。
健康増進のためのビタミン剤の購入代は医療費控除の対象となりません。
したがって、医療費控除の金額=(230,000円-60,000円)-10万円=70,000円となります。
【問13】
2019年9月2日に相続が開始された谷口啓二さん(被相続人)の<親族関係図>が下記のとおりである場合、民法上の相続人および法定相続分の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、記載のない事項については一切考慮しないこととする。
1. | 京子1/2 英男1/4 祥子1/4 |
2. | 京子1/3 英男1/3 祥子1/3 |
3. | 京子1/2 英男1/6 祥子1/6 春菜1/6 |
正解:1
放棄をすると、代襲相続は起こりません。
相続人の組み合わせは、配偶者相続人と第一順位の血族相続人ですから、配偶者相続人の法定相続分は1/2となり、血族相続人は残りの1/2を頭数で割ります。
相続人の組み合わせは、配偶者相続人と第一順位の血族相続人ですから、配偶者相続人の法定相続分は1/2となり、血族相続人は残りの1/2を頭数で割ります。
【問14】
大垣康夫さん(30歳)が2019年中に贈与を受けた財産の価額と贈与者は以下のとおりである。康夫さんの2019年分の贈与税額として、正しいものはどれか。なお、2019年中において、康夫さんはこれ以外の財産の贈与を受けておらず、相続時精算課税制度は選択していないものとする。
・ | 康夫さんの父からの贈与 現金450万円 |
・ | 康夫さんの祖母からの贈与 現金100万円 |
※ | 上記の贈与は、住宅取得等資金や教育資金、結婚・子育てに係る資金の贈与ではない。 |
<贈与税の速算表> | ||
[20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産の場合] | ||
基礎控除後の 課税価格 |
税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超 400万円以下 |
15% | 10万円 |
400万円超 600万円以下 |
20% | 30万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
30% | 90万円 |
1,000万円超 1,500万円以下 |
40% | 190万円 |
1,500万円超 3,000万円以下 |
45% | 265万円 |
3,000万円超 4,500万円以下 |
50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
[上記以外の場合] | ||
基礎控除後の 課税価格 |
税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超 300万円以下 |
15% | 10万円 |
300万円超 400万円以下 |
20% | 25万円 |
400万円超 600万円以下 |
30% | 65万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
40% | 125万円 |
1,000万円超 1,500万円以下 |
45% | 175万円 |
1,500万円超 3,000万円以下 |
50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
1. | 80万円 |
2. | 67万円 |
3. | 58万円 |
正解:3
基礎控除額は受贈者1人当たりの110万円で、贈与者はどちらも直系尊属ですから、課税価格=(450万円+100万円)-110万円=440万円となります。
したがって、贈与税額は、440万円×20%-30万円=58万円となります。
したがって、贈与税額は、440万円×20%-30万円=58万円となります。
【問15】
下記は、贈与税の配偶者控除の適用要件および控除額についてまとめた表である。下表の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値の組み合わせとして、正しいものはどれか。
対象となる贈与 | 居住用不動産の贈与または居住用不動産を取得するための金銭の贈与 |
婚姻期間の要件 | 贈与者である配偶者との婚姻期間が( ア )年以上であることが必要である。 |
申告要件 | 一定の事項を記載した贈与税の申告書を提出することが必要である。 |
控除額 | 基礎控除とは別に、最大( イ )万円が課税価格から控除される。 |
1. | (ア)10 (イ)1,000 |
2. | (ア)10 (イ)2,000 |
3. | (ア)20 (イ)2,000 |
正解:3
婚姻期間が20年以上ある夫婦間で居住用財産や居住用財産を取得するための金銭を贈与した場合、2,000万円まで贈与税が非課税になります。
「おしどり夫婦(22)に贈与の特例がある」と覚えてください。
「おしどり夫婦(22)に贈与の特例がある」と覚えてください。
【問16】~【問20】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
馬場誠さんは株式会社PKに勤める会社員である。誠さんは間もなく50歳を迎えることもあり、今後の生活設計についてFPで税理士でもある藤原さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2019年9月1日現在のものである。
馬場誠さんは株式会社PKに勤める会社員である。誠さんは間もなく50歳を迎えることもあり、今後の生活設計についてFPで税理士でもある藤原さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2019年9月1日現在のものである。
<家族構成(同居家族)>
[馬場 誠(本人)]
1971年8月7日生まれ(48歳)
会社員
[馬場 陽子(妻)]
1973年5月10日生まれ(46歳)
専業主婦
[馬場 萌(長女)]
1999年6月16日(20歳)
大学生
<保有財産(時価)>
[金融資産]
普通預金 650万円
定期預金 500万円
財形年金貯蓄 320万円
上場株式 240 万円
[生命保険(解約返戻金相当額)]
80万円
[不動産(自宅マンション)]
2,800万円
<負債残高>
[住宅ローン(自宅マンション)]
1,900万円
(債務者は誠さん、団体信用生命保険付き)
<その他>
上記以外については、各設問において特に指定のない限り一切考慮しないこととする。
【問16】
FPの藤原さんは、馬場家のバランスシートを作成した。下表の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、<設例>に記載のあるデータに基づいて解答することとする。
1. | 2,370(万円) |
2. | 2,610(万円) |
3. | 2,690(万円) |
正解:3
<資産合計>
普通預金:650万円
定期預金:500万円
財形年金貯蓄:320万円
上場株式:240万円
生命保険:80万円
不動産:2,800万円
の、計4,590万円です。
普通預金:650万円
定期預金:500万円
財形年金貯蓄:320万円
上場株式:240万円
生命保険:80万円
不動産:2,800万円
の、計4,590万円です。
よって、純資産=資産合計-負債合計より、4,590万円-1,900万円=2,690万円となります。
【問17】
誠さんは、60歳で定年を迎えた後、その後公的年金の支給が始まる65歳までの5年間の生活資金に退職一時金の一部を充てようと考えている。仮に退職一時金のうち700万円を年利2.0%で複利運用しながら5年間で均等に取り崩すこととした場合、年間で取り崩すことができる最大金額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の3つの係数の中から最も適切な係数を選択して計算し、円単位で解答すること。また、税金や記載のない事項については一切考慮しないこととする。
<資料:係数早見表(年利2.0%,5年)>
減債基金係数:0.19216
現価係数:0.9057
資本回収係数:0.21216
減債基金係数:0.19216
現価係数:0.9057
資本回収係数:0.21216
※ | 記載されている数値は正しいものとする。 |
1. | 1,485,120円 |
2. | 1,345,120円 |
3. | 1,267,980円 |
正解:1
使用する係数は、資本回収係数です。
よって、700万円×0.21216=1,485,120円となります。
よって、700万円×0.21216=1,485,120円となります。
【問18】
誠さんは、住宅ローンの繰上げ返済について、FPの藤原さんに質問をした。住宅ローンの繰上げ返済に関する藤原さんの次の説明のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 「繰上げ返済は、現に返済しているローンの利息部分を返済するものです。」 |
2. | 「毎月の返済額は変えずに、返済期間を短縮する方法を『期間短縮型』といいます。」 |
3. | 「最低返済額や繰上げ手数料は、金融機関によって異なります。」 |
正解:1
1. | 繰り上げ返済は、ローンの元本部分を返済するものです。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
【問19】
誠さんは、個人型確定拠出年金(以下「iDeCo」という)について、FPの藤原さんに質問をした。iDeCoに関する藤原さんの次の説明のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 「国民年金の第3号被保険者である陽子さんは、iDeCoの加入対象者となります。」 |
2. | 「iDeCoに加入した場合、支払った掛金は、生命保険料控除として所得控除の対象となります。」 |
3. | 「受給権が発生する年齢に到達すると、老齢給付金は年金として受け取ることができるほか、一時金として受け取ることもできます。」 |
正解:2
1. | 正しい記述です。 |
2. | 個人が支払ったiDeCoの掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象となります。 |
3. | 正しい記述です。 |
【問20】
誠さんは、通常65歳から支給される老齢基礎年金を繰り上げて受給できることを知り、FPの藤原さんに質問をした。老齢基礎年金の繰上げ受給に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、老齢基礎年金の受給要件は満たしているものとする。
1. | 老齢基礎年金を繰上げ受給した場合の年金額の減額は、一生涯続く。 |
2. | 老齢基礎年金を繰上げ受給した場合の年金額は、繰上げ月数1月当たり0.5%の割合で減額される。 |
3. | 老齢基礎年金を60歳から繰上げ受給した場合、老齢厚生年金を同時に繰上げ受給する必要はない。 |
正解:3
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 老齢基礎年金と老齢厚生年金は、別々に繰り下げる事はできますが、繰上げる場合には、同時に繰り上げなくてはいけません。 |
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