FP3級実技解説-2018年(平成30年)9月・前半
【問1】
ファイナンシャル・プランニング業務を行うに当たっては、関連業法を順守することが重要である。ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の行為に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 社会保険労務士資格を有していないFPが、顧客からの質問に応じて、日本の公的年金制度の仕組みと特徴について説明をした。 |
2. | 投資助言・代理業の登録をしていないFPが、顧客と投資顧問契約を締結し、当該契約に基づいて特定の上場会社の業績予想や投資判断について助言をした。 |
3. | 税理士資格を有していないFPが、顧客から個別・具体的な税額計算を依頼されたため、業務提携している税理士を紹介し、一般的な税法の解説を行った。 |
正解:2
1. | 一般的な説明は、関連法規に抵触しません。 |
2. | 顧客と投資顧問契約を締結して投資判断について助言を行う為には、投資助言・代理業の登録が必要です。 |
3. | 税理士資格を有していない者は、個別具体的な税金の計算をする事が出来ませんので、税理士を紹介して一般的な税法の解説を行うにとどめるのは、正しいです。 |
【問2】
下記は、伊丹家のキャッシュフロー表(一部抜粋)である。このキャッシュフロー表の(ア)~(ウ)に入る数値とその求め方として、最も不適切なものはどれか。なお、計算に当たっては、キャッシュフロー表中に記載の整数を使用し、計算結果は万円未満を四捨五入すること。
※ | 年齢および金融資産残高は各年12月31日現在のものとし、2018年を基準年とする。 |
※ | 給与収入は可処分所得で記載している。 |
※ | 記載されている数値は正しいものとする。 |
※ | 問題作成の都合上、一部空欄にしてある。 |
1. | 空欄(ア):「416×(1+0.01×3)≒428」 |
2. | 空欄(イ):「681-777=▲96」 |
3. | 空欄(ウ):「1,370×(1+0.01)-18≒1,366」 |
正解:1
(ア) | 416×(1.01)^3≒429です。 |
(イ) | 正しい記述です。 |
(ウ) | 正しい記述です。 |
【問3】
下記は、経済用語についてまとめた表である。下表の経済用語に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
経済指標 | 主な内容 |
(ア) | 日本銀行が景気の現状や先行きの見通しについて企業に直接行うアンケート調査で、全国企業短期経済観測調査の略称であり、年4回、調査・公表される。 |
(イ) | 消費者が購入するモノやサービスなどの物価の動きを把握するための統計指標で、総務省から毎月発表されている。 |
(ウ) | 生産、雇用などの経済活動状況を表すさまざまな指標の動きを統合して、景気の現状把握や将来の動向を予測するために内閣府が発表している指標である。 |
1. | 空欄(ア)に入る用語は、「日銀短観」である。 |
2. | 空欄(イ)に入る用語は、「消費者物価指数」である。 |
3. | 空欄(ウ)に入る用語は、「企業物価指数」である。 |
正解:3
(ア) | 正しい記述です。 |
(イ) | 正しい記述です。 |
(ウ) | 景気動向指数の説明です。 |
【問4】
下記は、NISA(少額投資非課税制度)の概要についてまとめた表である。下表に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
対象となる金融商品 | 上場株式、株式投資信託、J-REIT(上場不動産投資信託)等 |
口座開設 | 原則1人1口座 |
金融機関の変更 | ( ア ) |
非課税投資枠 | 新規投資額で年間( イ )まで |
非課税枠の未使用分 | 翌年以降に( ウ ) |
対象となる 金融商品 |
上場株式、株式投資信託、J-REIT(上場不動産投資信託)等 |
口座開設 | 原則1人1口座 |
金融機関の変更 | ( ア ) |
非課税投資枠 | 新規投資額で年間( イ )まで |
非課税枠の 未使用分 |
翌年以降に( ウ ) |
1. | 空欄(ア)に入る語句は、「1年単位で可能」である。 |
2. | 空欄(イ)に入る語句は、「100万円」である。 |
3. | 空欄(ウ)に入る語句は、「繰り越すことができない」である。 |
正解:2
(ア) | 正しい記述です。 |
(イ) | NISAの非課税投資枠は、年間120万円までです。 |
(ウ) | 正しい記述です。 |
【問5】
下記<資料>に基づくSX株式会社の投資指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、購入時の手数料および税金は考慮しないこととする。
<資料>
<資料>
1. | 株価収益率(PER)で比較した場合、SX株式会社の株価は日経平均採用銘柄の平均(予想ベース)より割安である。 |
2. | 株価純資産倍率(PBR)で比較した場合、SX株式会社の株価は東京証券取引所市場第1部(東証1部)全銘柄の平均より割安である。 |
3. | 配当利回り(単純平均)で比較した場合、SX株式会社の配当利回りはジャスダック全銘柄の平均(予想ベース)より高い。 |
正解:2
1. | 正しい記述です。SX社のPER=810円÷62円≒13.06倍です。PERは、低いと割安だと言える指標ですから、日経平均採用銘柄の平均(13.81倍)より割安だと言えます。 |
2. | SX社のPBR=810円÷580円≒1.397倍です。PBRは、低いと割安だと言える指標ですから、東証一部全銘柄の平均(1.34倍)より割高だと言えます |
3. | 正しい記述です。SX社の配当利回り=16円÷810円≒1.98%であり、ジャスダック全銘柄の平均(1.52%)より高いです。 |
【問6】
建築基準法に従い、下記<資料>の土地に建築物を建築する場合の延べ面積(床面積の合計)の最高限度として、正しいものはどれか。なお、記載のない条件については一切考慮しないこととする。
<資料>
<資料>
1. | 600×0.6=360(㎡) |
2. | 600×3.0=1,800(㎡) |
3. | 600×7.0×6/10=2,520(㎡) |
正解:2
前面道路の幅員が12m未満ですので、容積率の上限は、指定容積率か、前面道路の幅員×法定乗数で計算した容積率のどちらか低い方になります。
前面道路の幅員×法定乗数=7×6/10=420%ですから、容積率の上限は、指定容積率の300%となります。
ゆえに、延べ床面積の最高限度は、600㎡×3.0=1,800㎡となります。
前面道路の幅員×法定乗数=7×6/10=420%ですから、容積率の上限は、指定容積率の300%となります。
ゆえに、延べ床面積の最高限度は、600㎡×3.0=1,800㎡となります。
【問7】
土地の登記記録において、下表の甲区(ア)、乙区(イ)に記録される事項の組み合わせとして、誤っているものはどれか。なお、問題作成の都合上、表の一部を空欄(***)としている。
<土地登記記録の構成>
<土地登記記録の構成>
1. | (ア)抵当権設定登記 (イ)所有権保存登記 |
2. | (ア)所有権移転登記 (イ)抵当権設定登記 |
3. | (ア)所有権移転登記 (イ)地上権設定登記 |
正解:1
甲区には所有権に関する事項が、乙区には所有家に外の権利に関する事項が記載されます。
抵当権と地上権は所有権以外の事項ですから、2と3は正しい記述です。
抵当権と地上権は所有権以外の事項ですから、2と3は正しい記述です。
【問8】
大下実さんが加入しているガン保険(下記<資料>参照)の保障内容に関する次の記述の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、保険契約は有効に継続しているものとし、実さんはこれまでに<資料>の保険から保険金および給付金を一度も受け取っていないものとする。
<資料>
大下実さんが、2018年中に初めてガン(肺ガン・悪性新生物)と診断され、50日間入院した場合、支払われる給付金は、合計( ア )である。
1. | 25万円 |
2. | 100万円 |
3. | 125万円 |
正解:3
入院給付金5,000円×50+診断給付金100万円=125万円です。
【問9】
池谷史郎さんが2017年中に支払った生命保険の保険料が下記<資料>のとおりである場合、史郎さんの2017年分の所得税における生命保険料控除の金額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の保険について、これまでに契約内容の変更は行われていないものとする。
<資料>
[終身保険(無配当)]
保険契約者:池谷 史郎
被保険者:池谷 史郎
死亡保険金受取人:池谷 綾子(妻)
契約日:2016年8月1日
2017年の年間支払保険料:75,000円
[終身保険(無配当)]
保険契約者:池谷 史郎
被保険者:池谷 史郎
死亡保険金受取人:池谷 綾子(妻)
契約日:2016年8月1日
2017年の年間支払保険料:75,000円
<所得税の生命保険料控除額の速算表>
1. | 38,750円 |
2. | 40,000円 |
3. | 43,750円 |
正解:1
契約日が2012年以降ですから、新契約として控除額が計算されます。
75,000円×1/4+20,000円=38,750円です。
75,000円×1/4+20,000円=38,750円です。
【問10】
長谷川隆一さんが契約している自動車保険の主な内容は、下記<資料>のとおりである。次の記述のうち、<資料>の保険の補償の対象となるものはどれか。なお、いずれも保険期間中に損害が発生したものであり、運転者は隆一さんである。また、記載のない事項については一切考慮しないこととする。
<資料>
<資料>
保険種類 | 自動車保険 |
保険期間 | 1年 |
保険契約者 | 長谷川 隆一 |
記名被保険者 | 長谷川 隆一 |
対人賠償 | 無制限 |
対物賠償 | 無制限(免責金額なし) |
人身傷害 | 1名につき5,000万円 |
搭乗者傷害 | 5日未満入通院保険金 2万円 5日以上入通院保険金 20万円 |
1. | 自動車を駐車場に駐車する際に、誘導中の母親に誤って車が接触し、ケガをさせた。 |
2. | 自動車を自宅車庫に入れる際に、誤って車庫の壁に衝突し、壁を損壊した。 |
3. | 自動車を運転中に、交差点で他の自動車と衝突し、隆一さんが重傷を負った。 |
正解:3
1. | 親族に対する事故は、対人賠償保険の補償の対象外です。 |
2. | 自損事故は車両保険で備えますが、本問のケースでは車両保険に加入していませんので、補償されません。 |
3. | 運転者のケガは、人身傷害補償保険による補償の対象です。 |
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