お金の寺子屋

FP3級実技解説-2018年(平成30年)9月・後半

【問11】
会社員の福岡忠雄さんが2018年中に支払った医療費等が下記<資料>のとおりである場合、福岡さんの2018年分の所得税の確定申告における医療費控除の金額として、正しいものはどれか。なお、福岡さんの所得は給与所得700万円のみであり、妻は福岡さんと生計を一にしている。また、医療費控除の金額が最も大きくなるよう計算すること。
<資料>

人間ドックの結果、重大な疾病が発見され引き続き治療のため入院した。
保険金等により補てんされた金額はないものとする。
1. 250,000円
2. 220,000円
3. 140,000円
正解:
人間ドック代と入院費用が医療費控除の対象であり、医療費控除の金額は、医療費控除の対象額から10万円を控除した金額ですから、8万円+24万円-10万円=22万円となります。
【問12】
給与所得者である杉田さんは、2018年中にマンションを購入し、直ちに居住を開始した。杉田さんは、住宅借入金等特別控除(以下「住宅ローン控除」という)の適用を受けたいと考えており、FPで税理士でもある村瀬さんに相談をした。村瀬さんの住宅ローン控除に関する次の説明のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 「住宅ローン控除の適用対象となる住宅の床面積は、45㎡以上とされています。」
2. 「住宅ローン控除の控除額は、『住宅借入金等の年末残高等×1%』で計算されます。」
3. 「住宅ローン控除は、その年分の合計所得金額が3,000万円以下でなければ適用を受けることができません。」
正解:
1. 住宅ローン控除を受けるための床面積の要件は、50㎡以上とされています。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
【問13】

桑原さんは、個人で飲食店を経営している青色申告者である。桑原さんの2018年分の所得および所得控除が下記<資料>のとおりである場合、桑原さんの2018年分の所得税額として、正しいものはどれか。なお、桑原さんに<資料>以外の所得はなく、復興特別所得税や税額控除、源泉徴収税額や予定納税等については一切考慮しないこととする。

<資料>

[2018年分の所得]
事業所得の金額 1,200万円
*必要経費や青色申告特別控除額を控除した後の金額である。

[2018年分の所得控除]
所得控除の合計額 250万円

<課税総所得金額に対する所得税の計算方法>
課税総所得金額×所得税率-控除額
<資料>所得税の速算表
課税総所得金額 税率 控除額
195万円以下 5%
195万円超
330万円以下
10% 97,500円
330万円超
695万円以下
20% 427,500円
695万円超
900万円以下
23% 636,000円
900万円超
1,800万円以下
33% 1,536,000円
1,800万円超
4,000万円以下
40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円
1. 3,135,000円
2. 2,424,000円
3. 1,599,000円
正解:
課税総所得金額=1,200万円-250万円=950万円より、
所得税額=950万円×33%-1,536,000円=1,599,000円です。
【問14】
2018年9月2日に相続が開始された山岸哲郎さん(被相続人)の<親族関係図>が下記のとおりである場合、民法上の相続人および法定相続分の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、記載のない条件については一切考慮しないこととする。
<親族関係図>

雅美さんは期限内に所定の手続きを行い、相続を放棄した。
1. 節子1/2 正司1/2
2. 節子1/2 正司1/4 優斗1/4
3. 節子1/2 良江1/6 正司1/6 
優斗1/6
正解:
放棄は代襲原因ではありませんから、相続人は、妻の節子さんと長男の正司さんの2人です。
相続人が、配偶者相続人と第1順位の血族相続人である場合、配偶者相続人の法定相続分と血族相続人全員の法定相続分は、それぞれ2分の1になります。

【問15】
中井さんは、FPの浅田さんに公正証書遺言について質問をした。この質問に対する浅田さんの回答の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。

<浅田さんの回答>

「公正証書遺言は、遺言者が遺言内容を口授し、公証人が筆記したうえで、遺言者・証人に読み聞かせ、または閲覧させて作成する遺言書です。公正証書遺言の作成に当たっては、( ア )以上の証人の立会いが必要となります。また、相続開始後における家庭裁判所の検認が( イ )です。」

1. (ア)1人 (イ)必要
2. (ア)2人 (イ)必要
3. (ア)2人 (イ)不要
正解:
(ア) 公正証書遺言の作成に当たっては、証人が2人以上必要です。
(イ) 公正証書遺言は、原本が公証役場にあり改ざんの恐れがありませんから、検認は不要です。

【問16】
野村由美子さん(60歳)は、夫から居住用不動産の贈与を受けるに当たっての贈与税の取扱いについて、FPで税理士でもある横川さんに相談をした。この相談に対する横川さんの回答の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。

<横川さんの回答>

「贈与税の配偶者控除は、婚姻期間が( ア )以上の配偶者から、国内の居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与を受け、所定の要件を満たす場合に、基礎控除とは別に、最大( イ )の控除を受けることができる制度です。」

1. (ア)10年 (イ)1,000万円
2. (ア)20年 (イ)2,000万円
3. (ア)20年 (イ)2,500万円
正解:
(ア) 贈与税の配偶者控除を受けるための婚姻期間の要件は20年以上です。
(イ) 贈与税の配偶者控除の控除額は、最大2,000万円です。
【問17】~【問20】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
佐野勇也さんは株式会社MKに勤める会社員である。勇也さんは40歳を過ぎたこともあり、今後の生活設計について、FPで税理士でもある鶴見さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2018年9月1日現在のものである。
【問17】
FPの鶴見さんは、佐野家のバランスシートを作成した。下表の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、<設例>に記載のあるデータに基づいて解答することとする。
1. 2,130(万円)
2. 2,060(万円)
3. 1,990(万円)
正解:
保有資産の合計は、
普通預金450万円
定期預金500万円
財形年金貯蓄220万円
個人向け国債50万円
上場株式140万円
生命保険(解約返戻金相当額)70万円
不動産(自宅マンション)2,600万円
の、計4,030万円です。
負債は1,900万円ですから、純資産=4,030万円-1,900万円=2,130万円です。
【問18】
勇也さんは、今後15年間で毎年24万円ずつ積立貯蓄をして、老後の生活資金を準備したいと考えている。積立期間中に年利2.0%で複利運用できるものとした場合、15年後の合計金額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の3つの係数の中から最も適切な係数を選択して計算し、解答に当たっては、千円未満を四捨五入すること。また、税金や記載のない事項については一切考慮しないこととする。

<資料:係数早見表(年利2.0%,15年)>
終価係数:1.346
年金終価係数:17.293
年金現価係数:12.849
※記載されている数値は正しいものとする。
1. 4,846,000円
2. 4,150,000円
3. 3,084,000円
正解:
使用する係数は、年金終価係数です。
ゆえに、240,000円×17.293=4,150,000円となります。
【問19】
勇也さんは、通常65歳から支給される老齢基礎年金を繰り下げて受給できることを知り、FPの鶴見さんに質問をした。老齢基礎年金の繰下げ受給に関する次の(ア)~(ウ)の記述について、正しいものを○、誤っているものを×とした組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、老齢基礎年金の受給要件は満たしているものとする。

(ア) 老齢基礎年金を繰下げ受給した場合の年金額の増額は、一生涯続く。
(イ) 老齢基礎年金を繰下げ受給した場合の年金額は、繰下げ月数1月当たり0.7%の割合で増額される。
(ウ) 老齢基礎年金を繰下げ受給する場合、老齢厚生年金を65歳から受給することはできない。
1. (ア)× (イ)○ (ウ)○
2. (ア)× (イ)× (ウ)○
3. (ア)○ (イ)○ (ウ)×
正解:
(ア) 正しい記述です。
(イ) 正しい記述です。
(ウ) 老齢基礎年金と老齢厚生年金は、別々に繰り下げる事が出来ますから、老齢基礎年金を繰り下げて、65歳から老齢厚生年金を受給する事が可能です。
余談ですが、繰下げをする人で、加給年金を受給する事が出来る人に多いパターンです。(加給年金は、繰り下げても増額されない為)
【問20】
勇也さんの公的年金加入歴は下記のとおりである。仮に、勇也さんが現時点(46歳)で死亡した場合、勇也さんの死亡時点において妻の弥生さんに支給される公的年金の遺族給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、勇也さんは、入社時(22歳)から死亡時まで厚生年金保険に加入しているものとし、遺族給付における生計維持要件は満たされているものとする。
1. 遺族厚生年金のみが支給される。
2. 遺族基礎年金および遺族厚生年金が支給される。
3. 死亡一時金および遺族厚生年金が支給される。
正解:
長女の真理恵さんが、年金法上の子(原則として、18歳到達年度の末日までの子)に該当しますから、遺族基礎年金が支給されます。
また、遺族厚生年金の支給要件(厚生年金保険の被保険者が死亡した時に、その者に生計を維持されていた配偶者等)も満たしますから、これらが併給されます。

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