お金の寺子屋

FP3級実技(保険)解説-2023年5月・後半

【問10】~【問12】は、以下の資料を元に解答してください。

《設例》
会社員のAさんは、妻Bさんおよび長女Cさんとの3人家族である。Aさんは、住宅ローンを利用して2022年10月に新築マンションを取得(契約締結)し、同月中に入居した。

<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(44歳)]
会社員

[妻Bさん(43歳)]
2022年中に、パートタイマーとして給与収入90万円を得ている。

[長女Cさん(16歳)]
高校生。2022年中の収入はない。

<Aさんの2022年分の収入等に関する資料>
[給与収入の金額]
780万円

[一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金]
契約年月:2016年6月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
解約返戻金額:550万円
正味払込保険料:500万円

<Aさんが利用した住宅ローンに関する資料>
借入年月日:2022年10月20日
2022年12月末の借入金残高:2,000万円

住宅借入金等特別控除の適用要件は、すべて満たしている。
妻Bさんおよび長女Cさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。
Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。
Aさんとその家族の年齢は、いずれも2022年12月31日現在のものである。
上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
【問10】
Aさんの2022年分の所得税における総所得金額は、次のうちどれか。
1. 592万円
2. 642万円
3. 780万円
正解:(4点)
給与所得=780万円-(780万円×10%+110万円)=592万円で、全額総所得金額に算入されます。
一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金は、一時所得となりますが、総収入金額から収入を得るために要した金額を控除した額が特別控除額(50万円)以下ですから、所得の額は0円です。
よって、総所得金額は、592万円となります。
【問11】
Aさんの2022年分の所得税の課税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 「Aさんが受け取った一時払変額個人年金保険の解約返戻金は、源泉分離課税の対象となります」
2. 「Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の額は、38万円です」
3. 「Aさんが適用を受けることができる扶養控除の額は、63万円です」
正解:(3点)
1) 契約から5年を超えて受け取った一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金は、一時所得として総合課税の対象となります。
2) 正しい記述です。収入が給与収入90万円のみである場合、合計所得金額は48万円以下となります。また、納税者の合計所得金額が900万円以下であることから、配偶者控除の額は38万円となります。
3) 16歳以上19歳未満の扶養親族は、一般の控除対象扶養親族として38万円の控除対象となりますから、扶養控除の額は38万円です。
【問12】
住宅借入金等特別控除に関する以下の文章の空欄①~③に入る語句または数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。

ⅰ) 「Aさんの場合、2022年分の所得税に係る住宅借入金等特別控除の控除額は、『住宅ローンの年末残高×( ① )%』の算式により算出され、住宅借入金等特別控除の控除期間は、最長で( ② )年間となります」
ⅱ) 「住宅借入金等特別控除の適用を受ける最初の年分は、所得税の確定申告を行う必要があります。確定申告書は、Aさんの( ③ )を所轄する税務署長に提出します」
1. ①0.7 ②13 ③住所地
2. ①1.0 ②10 ③住所地
3. ①0.7 ②10 ③勤務地
正解:(3点)
住宅ローン控除の額は、原則として、年末のローン残高の0.7%相当額です。
住宅ローン控除の適用を受けられる期間は、新築の場合、最長13年間です。
所得税の確定申告書の提出先は、納税者の住所地を所轄する税務署です。

【問13】~【問15】は、以下の資料を元に解答してください。

《設例》
Aさん(70歳)は、妻Bさん(70歳)との2人暮らしである。Aさん夫妻には、子がいない。Aさんは、妻Bさんに全財産を相続させたいと考えており、遺言書の準備を検討している。

<Aさんの親族関係図>

<Aさんの主な所有財産(相続税評価額)>
現預金 1億円
上場株式 3,000万円
自宅敷地(330㎡) 7,000万円(注)
自宅建物 1,000万円
賃貸アパート敷地(300㎡) 5,000万円(注)
賃貸アパート建物(6室) 3,000万円
合計 2億9,000万円
(注) 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の相続税評価額
上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
【問13】
遺言に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 「遺言により、Aさんの全財産を妻Bさんに相続させた場合、兄Cさんが遺留分侵害額請求権を行使する可能性があります」
2. 「Aさんは、自身が作成した自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)に預けることができます」
3. 「Aさんが公正証書遺言を作成する場合、証人2人以上の立会いが必要となりますが、妻Bさんは証人になることはできません」
正解:(3点)
1) 被相続人の兄弟姉妹に遺留分はありません。
2) 正しい記述です。
3) 正しい記述です。公正証書遺言を作成する場合、証人2人以上の立会いが必要であり、推定相続人などは証人になることができません。
【問14】
仮に、Aさんの相続が現時点(2023年5月28日)で開始し、Aさんの相続に係る課税遺産総額(課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)が2億円であった場合の相続税の総額は、次のうちどれか。
1. 4,600万円
2. 5,100万円
3. 6,300万円
正解:(4点)

各相続人の法定相続分は、妻Bさんが3/4、兄Cさんが1/4です。

よって、妻Bさんの法定相続分に応ずる取得金額は、2億円×3/4=1億5,000万円、兄Cさんの法定相続分に応ずる取得金額は、2億円×1/4=5,000万円となります。

したがって、妻Bさんの法定相続分対応する相続税額は、1億5,000万円×40%-1,700万円=4,300万円となり、兄Cさんの法定相続分対応する相続税額は、5,000万円×20%-200万円=800万円となります。

ゆえに、相続税の総額は、4,300万円+800万円=5,100万円となります。

【問15】
現時点(2023年5月28日)において、Aさんの相続が開始した場合に関する以下の文章の空欄①~③に入る語句または数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。

ⅰ) 「妻Bさんが自宅の敷地を相続により取得し、当該敷地の全部について、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、減額される金額は( ① )万円となります」
ⅱ) 「『配偶者に対する相続税額の軽減』の適用を受けた場合、妻Bさんが相続により取得した財産の金額が、配偶者の法定相続分相当額と1億6,000万円とのいずれか( ② )金額までであれば、原則として、妻Bさんが納付すべき相続税額は算出されません」
ⅲ) 「相続税の申告書は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から( ③ )カ月以内に、Aさんの死亡時の住所地を所轄する税務署長に提出しなければなりません」
1. ①3,500 ②少ない ③10
2. ①5,600 ②少ない ③3
3. ①5,600 ②多い ③10
正解:(3点)
被相続人の自宅の敷地は、特定居住用宅地等に該当し、330㎡まで、相続税評価額が80%減額されます。
よって、減額される金額は、7,000万円×80%=5,600万円です。
配偶者に対する相続税額の軽減の適用を受けた場合に非課税となる金額は、相続や遺贈により取得した財産のうち、配偶者の法定相続分相当額と1億6,000万円とのいずれか多い金額までにかかる税額です。
相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。

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