FP3級実技(保険)解説-2023年1月・後半
【問10】~【問12】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
個人事業主であるAさんは、開業後直ちに青色申告承認申請書と青色事業専従者給与に関する届出書を所轄税務署長に対して提出している青色申告者である。Aさんは、2022年中に終身保険の解約返戻金を受け取っている。
個人事業主であるAさんは、開業後直ちに青色申告承認申請書と青色事業専従者給与に関する届出書を所轄税務署長に対して提出している青色申告者である。Aさんは、2022年中に終身保険の解約返戻金を受け取っている。
Aさん(50歳) | : | 個人事業主(青色申告者) |
妻さん(47歳) | : | Aさんの事業に専ら従事し、2022年中に、青色事業専従者として給与収入80万円を得ている。 |
長女Cさん(21歳) | : | 大学生。2022年中に、塾講師のアルバイトとして給与収入90万円を得ている。 |
二女Dさん(17歳) | : | 高校生。2022年中の収入はない。 |
<Aさんの2022年分の収入等に関する資料>
[事業所得の金額]
450万円(青色申告特別控除後)
[終身保険の解約返戻金]
契約年月:2010年5月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
解約返戻金額:240万円
正味払込保険料:270万円
※ | 妻Bさん、長女Cさんおよび二女Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんとその家族の年齢は、いずれも2022年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問10】
所得税における青色申告制度に関する以下の文章の空欄①~③に入る数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
ⅰ) | 「事業所得の金額の計算上、青色申告特別控除として最高( ① )万円を控除することができます。( ① )万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、事業所得に係る取引を正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書その他の計算明細書を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出することに加えて、e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存を行う必要があります。なお、確定申告書を法定申告期限後に提出した場合、青色申告特別控除額は最高( ② )万円となります」 |
ⅱ) | 「青色申告者が受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除のほかに、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の( ③ )年間の繰越控除、純損失の繰戻還付、棚卸資産の評価について低価法を選択することができることなどが挙げられます」 |
1. | ① 55 ② 10 ③ 7 |
2. | ① 65 ② 55 ③ 7 |
3. | ① 65 ② 10 ③ 3 |
正解:3(3点)
① | 事業所得の計算上控除することができる青色申告特別控除額は、一定の電子申告要件等を満たす場合、最高65万円となります。 |
② | 期限後申告をした場合に適用を受けることができる青色申告特別控除額は、最高10万円です。 |
③ | 青色申告者は、純損失を最大3年間繰越控除することができます。 |
【問11】
Aさんの2022年分の所得税における所得控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 「妻Bさんは青色事業専従者として給与の支払を受けているため、Aさんは、配偶者控除の適用を受けることができません」 |
2. | 「長女Cさんは、特定扶養親族に該当するため、Aさんは、長女Cさんについて63万円の扶養控除の適用を受けることができます」 |
3. | 「二女Dさんは、控除対象扶養親族に該当しないため、Aさんは、二女Dさんについて扶養控除の適用を受けることができません」 |
正解:3(3点)
1) | 正しい記述です。青色事業専従者として給与の支払を受けている人は、その給与の額に関わらず、配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除の対象にはなりません。 |
2) | 正しい記述です。長女Cさんの給与所得は、90万円-55万円=35万円ですから、合計所得金額が48万円以下となり扶養控除の対象となります。 また、控除対象扶養親族のうち、19歳以上23歳未満の人は、特定扶養親族として63万円の控除対象となります。 |
3) | 二女Dさんは、合計所得金額が48万円以下で、16歳以上であるなどの要件を満たしますから、扶養控除の対象になります。 |
【問12】
Aさんの2022年分の所得税における総所得金額は、次のうちどれか。
1. | 420万円 |
2. | 450万円 |
3. | 690万円 |
正解:2(4点)
事業所得450万円は全額総所得金額に算入されます。
また、終身保険の解約返戻金は一時所得となり、所得の金額240万円-270万円=▲30万円は、損益通算の対象外です。
よって、総所得金額=450万円となります。
また、終身保険の解約返戻金は一時所得となり、所得の金額240万円-270万円=▲30万円は、損益通算の対象外です。
よって、総所得金額=450万円となります。
【問13】~【問15】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
非上場企業であるX株式会社(以下、「X社」という)の社長であったAさんは、2022年12月5日に病気により79歳で死亡した。Aさんは、生前に自筆証書遺言を作成し、自宅に保管していた(自筆証書遺言書保管制度は利用していない)。
X社は、死亡退職金5,000万円を妻Bさんに支給した。後任の社長には、長女Cさんの夫でX社の専務取締役であるDさんが就任した。Aさんは、2006年10月にDさんを普通養子としている。
Aさんの親族関係図等は、以下のとおりである。
非上場企業であるX株式会社(以下、「X社」という)の社長であったAさんは、2022年12月5日に病気により79歳で死亡した。Aさんは、生前に自筆証書遺言を作成し、自宅に保管していた(自筆証書遺言書保管制度は利用していない)。
X社は、死亡退職金5,000万円を妻Bさんに支給した。後任の社長には、長女Cさんの夫でX社の専務取締役であるDさんが就任した。Aさんは、2006年10月にDさんを普通養子としている。
Aさんの親族関係図等は、以下のとおりである。
<Aさんの親族関係図>
<Aさんの親族関係図>
<Aさんの主な相続財産(相続税評価額)> | ||
現預金 | : | 8,000万円 |
自宅(敷地400㎡) | : | 1,700万円(「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用後の相続税評価額) |
自宅(建物) | : | 1,000万円 |
X社株式 | : | 1億2,000万円 |
死亡退職金 | : | 5,000万円 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問13】
Aさんの相続に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 「Aさんが2022年分の所得税について確定申告書を提出しなければならない者に該当する場合、相続人は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から3カ月以内に準確定申告書を提出しなければなりません」 |
2. | 「Aさんの自宅から自筆証書遺言を発見した相続人は、相続の開始を知った後、遅滞なく、その遺言書を家庭裁判所に提出し、その検認を請求しなければなりません」 |
3. | 「相続税の申告書は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に、被相続人であるAさんの死亡時の住所地を所轄する税務署長に提出しなければなりません」 |
正解:1(3点)
1) | 準確定申告(亡くなった人が申告するべきであった所得税を代わりに申告する手続き)の申告期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内です。 「死(4)人の確定申告」という語呂合わせで覚えてください。 |
2) | 正しい記述です。 |
3) | 正しい記述です。 |
【問14】
Aさんの相続に関する以下の文章の空欄①~③に入る数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
ⅰ) | 「Aさんの相続における遺産に係る基礎控除額は、( ① )万円です」 |
ⅱ) | 「妻Bさんが受け取った死亡退職金5,000万円のうち、相続税の課税価格に算入される金額は、( ② )万円です」 |
ⅲ) | 「妻Bさんが自宅の敷地を相続により取得し、特定居住用宅地等として『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、その敷地は( ③ )㎡までの部分について80%の減額が受けられます」 |
1. | ① 4,800 ② 4,000 ③ 400 |
2. | ① 4,200 ② 4,000 ③ 330 |
3. | ① 4,800 ② 3,500 ③ 330 |
正解:3(3点)
① | 相続税の基礎控除は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の式で計算されます。 普通養子は、実子がいる場合、1人まで法定相続人の数に算入されますから、法定相続人の数は、3人となります。 よって、相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×3=4,800万円となります。 |
② | 死亡退職金の非課税限度額は、「500万円×法定相続人の数」の式で計算されます。 よって、課税価格に算入される死亡退職金の額は、5,000万円-(500万円×3)=3,500万円となります。 |
③ | 自宅の敷地について小規模宅地の特例の適用を受けた場合、当該敷地の330㎡までの部分について、相続税評価額が80%減額されます。 |
【問15】
Aさんの相続に係る課税遺産総額(課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)が2億2,000万円であった場合の相続税の総額は、次のうちどれか。
<資料>相続税の速算表(一部抜粋) | ||
法定相続分に 応ずる取得金額 |
税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% | 200万円 |
5,000万円超 10,000万円以下 |
30% | 700万円 |
10,000万円超 20,000万円以下 |
40% | 1,700万円 |
20,000万円超 30,000万円以下 |
45% | 2,700万円 |
1. | 4,600万円 |
2. | 5,400万円 |
3. | 7,200万円 |
正解:1(4点)
各相続人の法定相続分は、妻Bさんが1/2、長女Cさんと配偶者Dさんがそれぞれ1/4です。
よって、妻Bさんの法定相続分に応ずる取得金額は、2億2,000万円×1/2=1億1,000万円、長女Cさんと配偶者Dさんの法定相続分に応ずる取得金額は、それぞれ2億2,000万円×1/4=5,500万円となります。
したがって、妻Bさんの法定相続分対応する相続税額は、1億1,000万円×40%-1,700万円=2,700万円となり、長女Cさんと配偶者Dの法定相続分対応する相続税額は、それぞれ5,500万円×30%-700万円=950万円となります。
ゆえに、相続税の総額は、2,700万円+950万円+950万円=4,600万円となります。
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