FP3級実技(保険)解説-2022年9月・後半
会社員のAさんは、妻Bさんおよび長男Cさんとの3人家族である。Aさんは、2022年中に一時払養老保険の満期保険金を受け取っている。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(50歳)]
会社員
[妻Bさん(47歳)]
2022年中に、パートタイマーとして給与収入90万円を得ている。
[長男Cさん(19歳)]
大学生。2022年中の収入はない。
<Aさんの2022年分の収入等に関する資料>
[給与収入の金額]
800万円
[一時払養老保険(10年満期)の満期保険金]
契約年月:2012年6月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
満期保険金受取人:Aさん
満期保険金額:330万円
正味払込保険料:300万円
<Aさんが2022年中に支払った生命保険の保険料に関する資料>
[終身保険(特約付加なし)]
契約年月:2007年5月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
年間正味払込保険料:18万円(全額が一般の生命保険料控除の対象)
[終身介護保険(死亡保障なし)]
契約年月:2022年7月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
年間正味払込保険料:12万円(全額が介護医療保険料控除の対象)
※ | 妻Bさんおよび長男Cさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんとその家族の年齢は、いずれも2022年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
<資料>給与所得控除額 | |
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 (最低55万円) |
180万円超 360万円以下 |
収入金額×30%+8万円 |
360万円超 660万円以下 |
収入金額×20%+44万円 |
660万円超 850万円以下 |
収入金額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円 |
1. | 590万円 |
2. | 610万円 |
3. | 640万円 |
一時所得=330万円-300万円≦特別控除額(50万円)より、0円です。
給与所得は、全額が総所得金額に算入されるため、総所得金額=610万円となります。
ⅰ) | 「妻Bさんの合計所得金額は( ① )万円以下であるため、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができます。Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の額は、( ② )万円です」 |
ⅱ) | 「Aさんが適用を受けることができる長男Cさんに係る扶養控除の額は、( ③ )万円です」 |
1. | ①48 ②26 ③38 |
2. | ①103 ②38 ③58 |
3. | ①48 ②38 ③63 |
① | 配偶者控除を受けるための配偶者の合計所得金額の要件は、48万円以下であることです。 |
② | 合計所得金額が900万円以下の人が、一般の控除対象配偶者(12月31日時点で70歳未満の配偶者)について適用を受けることができる配偶者控除の額は、38万円です。 |
③ | 19歳以上23歳未満の控除対象扶養親族は、特定扶養親族として63万円の控除対象となります。 |
1. | 4万円 |
2. | 8万円 |
3. | 9万円 |
また、2012年以降に契約した終身介護保険の保険料は、介護医療保険料控除の対象となり、年間の正味払込保険料が8万円以上であれば、所得税の計算上、4万円の控除を受けることができます。
したがって、生命保険料控除の控除額は、5万円+4万円=9万円となります。
個人で不動産賃貸業を営んでいるAさん(70歳)の推定相続人は、妻Bさん(68歳)、長女Cさん(45歳)および二女Dさん(42歳)の3人である。
Aさんは、妻Bさんには現預金および自宅を、長女Cさんには賃貸ビルを相続させたいと考えており、遺言書の作成を検討している。また、Aさんは、現在、生命保険に加入していないため、相続対策として一時払終身保険への加入を検討している。
<Aさんの推定相続人>
[妻Bさん]
Aさんと自宅で同居している。
[長女Cさん]
Aさん夫婦と同居し、Aさんの不動産賃貸業を手伝っている。
[二女Dさん]
会社員。夫と子の3人暮らし。
現預金:1億3,000万円
自宅(敷地300㎡):5,000万円(注)
自宅(建物):1,000万円
賃貸ビル(敷地400㎡):1億2,000万円(注)
賃貸ビル(建物):6,000万円
(注) | 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額 |
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:長女Cさん
死亡保険金額:2,000万円
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
1. | 「公正証書遺言は、作成された遺言書の原本が家庭裁判所に保管されるため、紛失や改ざんのおそれがなく、安全性が高い遺言といえます」 |
2. | 「公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成するものです」 |
3. | 「Aさんが公正証書遺言を作成する場合の証人には、妻Bさんはなることができませんが、長女Cさんおよび二女Dさんは証人になることができます」 |
1) | 正しい記述です。 |
2) | 正しい記述です。 |
3) | 推定相続人は、公正証書遺言の証人になることはできません。 |
ⅰ) | 「妻Bさんが自宅の敷地を相続により取得し、当該敷地の全部について、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、自宅の敷地(相続税評価額5,000万円)について、相続税の課税価格に算入すべき価額を( ① )万円とすることができます」 |
ⅱ) | 「Aさんが加入を検討している一時払終身保険の死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。当該生命保険に加入後、Aさんの相続が開始した場合、長女Cさんが受け取る死亡保険金2,000万円のうち、相続税の課税価格に算入される金額は( ② )万円となります」 |
ⅲ) | 「遺言により妻Bさんおよび長女Cさんが相続財産の大半を取得した場合、二女Dさんの遺留分を侵害する可能性があります。仮に、遺留分を算定するための財産の価額が3億6,000万円である場合、二女Dさんの遺留分の金額は( ③ )万円です」 |
1. | ①1,000 ② 500 ③4,500 |
2. | ①2,500 ② 500 ③9,000 |
3. | ①1,000 ②1,500 ③9,000 |
① | 自宅の敷地について『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、330㎡までの部分について、課税価格を80%引き下げます。 よって、課税価格への算入額は、5,000万円×(1-80%)=1,000万円となります。 |
② | 相続税の課税対象となる死亡保険金を相続人が受け取った場合、500万円×法定相続人の数まで非課税になります。 よって、課税価格へ算入される死亡保険金の額は、2,000万円-(500万円×3)=500万円となります。 |
③ | 抽象的遺留分は、3億6,000万円×1/2=1億8,000万円です。 具体的遺留分は、抽象的遺留分を遺留分権利者の法定相続分に従って按分したものですから、二女Dさんの具体的遺留分=1億8,000万円×1/4=4,500万円となります。 |
<資料>相続税の速算表(一部抜粋) | ||
法定相続分に 応ずる取得金額 |
税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% | 200万円 |
5,000万円超 10,000万円以下 |
30% | 700万円 |
10,000万円超 20,000万円以下 |
40% | 1,700万円 |
20,000万円超 30,000万円以下 |
45% | 2,700万円 |
1. | 6,700万円 |
2. | 8,700万円 |
3. | 9,900万円 |
各相続人の法定相続分は、妻Bさんが1/2、長女Cさんと二女Dさんがそれぞれ1/4です。
よって、妻Bさんの法定相続分に応ずる取得金額は、2億8,000万円×1/2=1億4,000万円、長女Cさんと二女Dさんの法定相続分に応ずる取得金額は、それぞれ2億8,000万円×1/4=7,000万円となります。
したがって、妻Bさんの法定相続分対応する相続税額は、1億4,000万×40%-1,700万円=3,900万円となり、長女Cさんと二女Dさんの法定相続分対応する相続税額は、それぞれ7,000万円×30%-700万円=1,400万円となります。
ゆえに、相続税の総額は、3,900万円+1,400万円+1,400万円=6,700万円となります。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
<戻る | ホーム | 進む> |