お金の寺子屋

FP3級実技(保険)解説-2022年9月・前半

【問1】~【問3】は、以下の資料を元に解答してください。

《設例》
個人事業主であるAさん(47歳)は、公的年金制度からの老齢給付について理解を深めるとともに、老後の収入を増やす各種制度を活用したいと考えている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

<Aさんに関する資料>
1974年10月22日生まれ
公的年金の加入歴は下記のとおりである(60歳までの見込みを含む)。
Aさんは、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。
上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
【問1】
はじめに、Mさんは、老齢基礎年金について説明した。Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~③に入る語句または数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。

「老齢基礎年金を受給するためには、原則として、国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が( ① )年必要です。Aさんは、( ① )年の受給資格期間を満たしていますので、原則として65歳から老齢基礎年金を受給することができます。
Aさんが希望すれば、60歳以上65歳未満の間に老齢基礎年金の繰上げ支給を請求することができます。ただし、老齢基礎年金の繰上げ支給を請求した場合は、( ② )減額された年金が支給されることになります。仮に、Aさんが60歳0カ月で老齢基礎年金の繰上げ支給を請求した場合の減額率は( ③ )%となります」
1. ①10 ②生涯   ③24
2. ①10 ②75歳まで ③30
3. ①25 ②生涯   ③30
正解:(3点)
老齢基礎年金を受給するためには、受給資格期間が10年以上ある必要があります。
年金を繰上げたり繰下げたりした場合、年金の増減額率は一生涯変わりません。
1962年4月2日以降生まれの人(2022年4月1日以降に60歳になる人)が、老齢年金を繰上げた場合、1ヵ月当たり0.4%減額されますから、5年(60月)繰上げた場合、減額率は0.4%/月×60=24%となります。
【問2】
次に、Mさんは、国民年金の付加保険料について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も不適切なものはどれか。
1. 「仮に、Aさんが付加保険料を145月納付し、65歳から老齢基礎年金を受け取る場合、老齢基礎年金の額に付加年金として年額29,000円が上乗せされます」
2. 「老齢基礎年金の繰上げ支給を請求した場合でも、付加年金の年金額は減額されません」
3. 「国民年金の第1号被保険者は、国民年金基金に加入することができますが、国民年金基金に加入した場合は、付加保険料を納付することができません」
正解:(4点)
1) 正しい記述です。付加年金の額=200円×付加保険料納付月数ですから、付加保険料を145月納付した場合、付加年金の額は、200円/月×145=29,000円となります。
2) 老齢基礎年金を繰り上げた場合、付加年金も同時に繰り上げられ、老齢基礎年金と同じ割合で減額されます。
3) 正しい記述です。国民年金基金の掛金と国民年金の付加保険料は、同時に納めることができません(国民年金基金の1口目の終身年金に、付加年金が)。
【問3】
最後に、Mさんは、小規模企業共済制度について説明した。Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~③に入る語句または数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。

「小規模企業共済制度は、個人事業主が廃業等した場合に必要となる資金を準備しておくための制度です。毎月の掛金は、1,000円から( ① )円までの範囲内(500円単位)で選択でき、支払った掛金は( ② )の対象となります。共済金(死亡事由以外)の受取方法には『一括受取り』『分割受取り』『一括受取りと分割受取りの併用』がありますが、このうち、『一括受取り』の共済金(死亡事由以外)は、( ③ )として所得税の課税対象となります」
1. ①70,000 ②税額控除 ③一時所得
2. ①68,000 ②税額控除 ③退職所得
3. ①70,000 ②所得控除 ③退職所得
正解:(3点)
小規模企業共済制度の掛金月額は、最高7万円です。
小規模企業共済制度の掛金は、全額小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象となります。
小規模企業共済制度の共済金(死亡事由以外)は、一時金で受け取ると退職所得になり、年金(分割)で受け取ると雑所得になります。

【問4】~【問6】は、以下の資料を元に解答してください。

《設例》
X株式会社(以下、「X社」という)に勤務するAさん(59歳)は、専業主婦である妻Bさん(59歳)との2人暮らしである。Aさんは、来年、60歳の定年でX社を退職する予定である。
Aさんは、退職にあたり、現在加入している生命保険を見直して、医療保障や介護保障を充実させたいと考えている。また、退職後の健康保険(現在、Aさんは全国健康保険協会管掌健康保険に加入)についても理解を深めておきたいと考えている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

<Aさんが加入している生命保険に関する資料>
保険の種類:定期保険特約付終身保険(65歳払込満了)
契約年月日:2008年10月1日
月払保険料:17,200円
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
【問4】
はじめに、Mさんは、生命保険の見直しを検討するにあたって、現時点の必要保障額を試算することにした。下記の<算式>および<条件>に基づき、Aさんが現時点で死亡した場合の必要保障額は、次のうちどれか。

<算式>
必要保障額=遺族に必要な生活資金等の総額-遺族の収入見込金額
<条件>
1. 現在の毎月の日常生活費は35万円であり、Aさん死亡後の妻Bさんの生活費は、現在の日常生活費の50%とする。
2. 現時点の妻Bさんの平均余命は、30年とする。
3. Aさんの死亡整理資金(葬儀費用等)・緊急予備資金は、500万円とする。
4. 住宅ローン(団体信用生命保険に加入)の残高は、400万円とする。
5. 死亡退職金見込額とその他金融資産の合計額は、2,000万円とする。
6. Aさん死亡後に妻Bさんが受け取る公的年金等の総額は、4,500万円とする。
7. 現在加入している生命保険の死亡保険金額は考慮しなくてよい。
1. 200万円
2. 300万円
3. 700万円
正解:(3点)
<遺族に必要な生活資金等>
35万円/月×50%×12ヵ月×30年=6,300万円
死亡整理資金:500万円
住宅ローン:団信加入の為0円
の、計6,800万円

<遺族の収入見込額>
死亡退職金と金融資産:2,000万円
公的年金等:4,500万円
の、計6,500万円

よって、必要保証額=6,800万円-6,500万円=300万円となります。

【問5】
次に、Mさんは、生命保険の見直しについてアドバイスした。MさんのAさんに対するアドバイスとして、次のうち最も適切なものはどれか。
1. 「厚生労働省の患者調査等の各種データによれば、入院日数は年々長期化しており、退院後の通院時の療養に係る費用負担も大きくなっていますので、医療保障を検討する場合は、入院や退院後の通院に対する保障を充実させることが大切です」
2. 「介護保障を検討する際には、保険金額に加え、保険金等の支払事由が保険会社独自のものか、公的介護保険等の社会保障制度と連動しているものか等、どのような場合に保険金や給付金が支払われるか、加入前に確認しておきましょう」
3. 「現在加入している生命保険を払済終身保険に変更した場合、死亡保険金額は減少しますが、現在付加されている入院特約は残り、月々の保険料負担は軽減されます」
正解:(4点)
1) 入院日数は年々短期化しています。
2) 正しい記述です。
3) 払済保険にすると、現在の特約は全て消滅します。
【問6】
最後に、Mさんは、AさんがX社を退職した後の健康保険について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
1. 「Aさんは、退職日の翌日から最長2年間、健康保険に任意継続被保険者として加入することができますが、保険料はAさんが全額負担することになります」
2. 「Aさんが健康保険の任意継続被保険者とならなかった場合は、国民健康保険に加入します。Aさんが国民健康保険に加入した場合、妻Bさんを国民健康保険の被扶養者とすることができます」
3. 「Aさんが国民健康保険に加入した場合、高額療養費の支給はありません。健康保険の任意継続被保険者には高額療養費の支給がありますので、退職後は、健康保険の任意継続被保険者になることをお勧めします」
正解:(3点)
1) 健康保険に任意継続被保険者となることができるのは、最長2年間で、保険料は全額被保険者が負担します。
2) 国民健康保険には、扶養の制度はありません。
3) 国民健康保険にも、高額療養費制度があります。

【問7】~【問9】は、以下の資料を元に解答してください。

《設例》
Aさん(50歳)は、X株式会社(以下、「X社」という)の創業社長である。Aさんは、先日、生命保険会社の営業担当者から、自身の退職金準備を目的とした下記の<資料>の生命保険の提案を受けた。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

<資料>Aさんが提案を受けた生命保険の内容
保険の種類:無配当低解約返戻金型終身保険(特約付加なし)
契約者(=保険料負担者):X社
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:X社
死亡保険金額:5,000万円
保険料払込期間・低解約返戻金期間:65歳満了
年払保険料:310万円
65歳までの払込保険料累計額(①):4,650万円
65歳時の解約返戻金額(②):4,200万円(低解約返戻金期間満了直後)
受取率(②÷①):90.3%(小数点第2位以下切捨て)
※解約返戻金額の80%の範囲内で、契約者貸付制度を利用することができる。
上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
【問7】
仮に、将来X社がAさんに役員退職金5,000万円を支給した場合、Aさんが受け取る役員退職金に係る退職所得の金額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、Aさんの役員在任期間(勤続年数)を40年とし、これ以外に退職手当等の収入はなく、障害者になったことが退職の直接の原因ではないものとする。
1. 1,400万円
2. 2,200万円
3. 2,800万円
正解:(3点)
退職所得控除額=800万円+70万円×(40-20)=2,200万円です。
よって、退職所得=(5,000万円-2,200万円)×1/2=1,400万円となります。
【問8】
Mさんは、《設例》の終身保険について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も不適切なものはどれか。
1. 「当該終身保険は、保険料払込期間における解約返戻金額を抑えることで、低解約返戻金型ではない終身保険と比較して保険料が割安となっています」
2. 「Aさんの勇退時に、役員退職金の一部として当該終身保険の契約者をAさん、死亡保険金受取人をAさんの相続人に名義を変更し、当該終身保険をAさんの個人の保険として継続することが可能です」
3. 「X社が契約者貸付制度を利用し、契約者貸付金を受け取った場合、当該終身保険契約は継続しているため、経理処理は必要ありません」
正解:(3点)
1) 正しい記述です。
2) 正しい記述です。
3) 契約者貸付制度を利用すると、法人の現金と借入金が増えるため、経理処理をする必要があります。
なお、経理処理は、法人の貸借対照表や損益計算書に影響がある出来事(資産・負債・純資産・収益・費用のうち、いずれか1つ以上が増減する出来事)があった場合に行います。
【問9】
《設例》の終身保険の第1回保険料払込時の経理処理(仕訳)として、次のうち最も適切なものはどれか。
1.
2.
3.
1.
2.
3.
正解:(4点)
終身保険の保険料は、全額資産計上します。

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