お金の寺子屋

FP3級実技(保険)解説-2019年1月・問10~15

【問10】~【問12】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
会社員のAさんは、妻Bさんおよび長男Cさんの3人家族である。Aさんは、住宅ローンを利用して平成30年10月に新築マンションを取得し、同月中に入居した。
Aさんとその家族に関する資料等は、以下のとおりである。

<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(35歳)]
会社員

[妻Bさん(35歳)]
平成30年中にパートにより給与収入80万円を得ている。

[長男Cさん(8歳)]
小学生。平成30年中の収入はない。

<Aさんの平成30年分の収入等に関する資料>
[給与収入の金額]
1,020万円

[終身保険の解約返戻金]
契約年月:平成18年5月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
解約返戻金額:240万円
正味払込済保険料:270万円

<Aさんが利用した住宅ローンに関する資料>
借入年月日:平成30年10月1日
平成30年12月末の借入金残高:2,500万円
住宅借入金等特別控除の適用要件は、すべて満たしている。
妻Bさんおよび長男Cさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。
Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。
Aさんとその家族の年齢は、いずれも平成30年12月31日現在のものである。
上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
【問10】
Aさんの平成30年分の所得税の課税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 「Aさんの合計所得金額は1,000万円以下となりますので、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができます」
2. 「終身保険の解約返戻金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象となりますので、給与所得の金額と合計して、所得税の確定申告を行う必要があります」
3. 「長男Cさんは一般の控除対象扶養親族に該当するため、長男Cさんに係る扶養控除の控除額は38万円となります」
正解:
1. 正しい記述です。配偶者控除の適用を受けるための納税者の合計所得金額の要件は、1,000万円以下である事です。
2. 解約返戻金よりも正味払込済み保険料の方が多いですから、一時所得はマイナスになります。一時所得は損益通算の対象外ですから、給与所得の金額と合算することはありません。
3. 扶養控除の対象となるのは、16歳以上の親族です。
【問11】
住宅借入金等特別控除に関する以下の文章の空欄①~③に入る語句または数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。

「Aさんの場合、平成30年分の所得税に係る住宅借入金等特別控除の控除額は( ① )万円です。住宅借入金等特別控除の控除期間は、最長で( ② )年間となります」
「住宅借入金等特別控除の適用を受ける最初の年分は所得税の確定申告を行う必要があります。確定申告書は、Aさんの( ③ )を所轄する税務署長に提出してください」
1. ①25 ②10 ③住所地
2. ①25 ②20 ③勤務地
3. ①30 ②20 ③住所地
正解:
住宅ローン控除の控除額は、基本的に、年末の借入金残高の1%ですから、2,500万円×1%=25万円です。
住宅ローン控除の控除期間は、最長で10年間です。
確定申告書は、納税者の住所地を所轄する税務署長に提出します。
【問12】
Aさんの平成30年分の所得税における総所得金額は、次のうちどれか。(注)制度改正あり

<資料>給与所得控除額
給与収入金額 給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40% 
(最低65万円)
180万円超
360万円以下
収入金額×30%+18万円
360万円超
660万円以下
収入金額×20%+54万円
660万円超
1,000万円以下
収入金額×10%+120万円
1,000万円超 220万円
1. 770万円
2. 800万円
3. 990万円
正解:

給与所得=1,020万円-220万円=800万円です。
一時所得のマイナスは損益通算の対象外ですから、給与所得の金額がそのまま総所得金額になります。

<参考>
現在の給与所得控除額は、資料と異なります。


【問13】~【問15】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
Aさん(65歳)は、40年以上勤務した上場企業を定年退職し、現在は知人の会社の顧問をしている。平成30年12月9日、Aさんの故郷であるX市内の実家で1人暮らしをしていた母Dさんが死亡した。法定相続人は、Aさん、弟Bさん(62歳)および妹Cさん(57歳)の3人である。母Dさんは、遺言書を作成しておらず、Aさんは弟Bさんおよび妹Cさんと相談して、遺産分割を行う予定である。
Aさん、弟Bさんおよび妹Cさんは、X市内に住んでおらず、それぞれが別の都市に自宅を保有し、居住している。3人とも、X市に戻る予定がないため、実家(敷地および建物)の売却を考えている。

<母Dさんの主な相続財産(相続税評価額)>
[現預金]
2,000万円

[自宅(実家)]
敷地(300㎡):5,000万円
建物(昭和54年築):300万円

[死亡保険金]
2,000万円
契約者(=保険料負担者):母Dさん
被保険者:母Dさん
死亡保険金受取人:Aさん

上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
【問13】
母Dさんの相続に関する以下の文章の空欄①~③に入る数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。

「Aさんが受け取る死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることで、相続税の課税価格に算入される金額は( ① )万円となります」
「母Dさんの相続における遺産に係る基礎控除額は( ② )万円です。課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額を上回りますので、相続税の申告が必要となります」
「相続税の申告書は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から( ③ )カ月以内に提出しなければなりません
1. ①500 ②4,200 ③4
2. ①500 ②4,800 ③10
3. ①1,500 ②4,800 ③4
正解:
相続人が受け取る死亡保険金は、500万円×法定相続人の数だけ非課税となります。
法定相続人の数は3人ですから、1,500万円が非課税枠となり、2,000万円の死亡保険金のうち、500万円が相続税の課税価格に算入されます。
遺産に係る基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。
よって、3,000万円+600万円×3=4,800万円となります。
相続税の申告期限は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内です。
【問14】
母Dさんの相続に係る課税遺産総額(「課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額」)が3,000万円であった場合の相続税の総額は、次のうちどれか。

<資料>相続税の速算表(一部抜粋)
法定相続分に
応ずる取得金額
税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超
3,000万円以下
15% 50万円
3,000万円超
5,000万円以下
20% 200万円
1. 300万円
2. 400万円
3. 450万円
正解:
相続人は、第一順位の血族相続人のみですから、法定相続分は、AさんとBさんとCさんそれぞれが、3分の1ずつです。
よって、課税遺産総額3,000万円を法定相続分通りに分割したと仮定すると、全員1,000万円ずつ取得する事になります。
したがって、各人の法定相続分に応ずる取得金額に対する相続税額は、1,000万円×10%=100万円となります。
ゆえに、相続税の総額は100万円×3=300万円となります。
【問15】
実家(敷地および建物)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 「相続人であるAさん、弟Bさんおよび妹Cさんは、いずれも自己所有の家屋に居住しているため、実家の敷地について『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けることはできません」
2. 「実家の敷地および建物を売却するときに備えて、X市役所において相続を登記原因とする所有権の移転登記を行ってください。相続登記の手続は、相続人が自分で行うことも可能ですが、司法書士等の専門職業家に依頼するのが一般的です」
3. 「母Dさんの自宅を相続により取得した相続人が、『被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例』の適用を受けて、その敷地を譲渡した場合、最高1,000万円の特別控除の適用を受けることができます」
正解:
1. 正しい記述です。
2. 登記は法務局で行います。
3. 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の適用を受けると、譲渡所得の金額が最高3,000万円控除されます。

スポンサーリンク




スポンサーリンク



<戻る ホーム
LINEで送る
Pocket

コメントは受け付けていません。