お金の寺子屋

FP2級実技(FP協会)解説-2024年1月・問28~34

【問28】~【問34】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
牧村耕治さんは、民間企業に勤務する会社員である。耕治さんと妻の琴美さんは、今後の生活設計や資産形成などについて、FPで税理士でもある吉田さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2024年1月1日現在のものである。

<家族構成>
[牧村 耕治(本人)]
1986年 8月20日(37歳)
会社員(正社員)

[牧村 琴美(妻)]
1988年10月 8日(35歳)
会社員(正社員)

[牧村 雄大(長男)]
2018年12月13日( 5歳)
保育園児

<収入金額(2023年)>
[耕治さん]
給与収入670万円(手取り額)。給与収入以外の収入はない。

[琴美さん]
給与収入400万円(手取り額)。給与収入以外の収入はない。

<金融資産(時価)>

[耕治さん名義]
銀行預金(普通預金) 80万円
銀行預金(定期預金) 110万円
財形年金貯蓄 120万円
個人向け国債(変動10年) 60万円
[琴美さん名義]
銀行預金(普通預金) 230万円
公募株式投資信託 40万円
上場株式 90万円
<住宅ローン>
契約者:耕治さん
借入先:HA銀行
借入時期:2021年10月(居住開始時期:2021年10月)
借入金額:2,600万円
返済方法:元利均等返済(ボーナス返済なし)
金利:全期間固定金利型(年1.4%)
返済期間:30年間

<保険>
[定期保険A]
保険金額1,500万円(リビング・ニーズ特約付き)。保険契約者(保険料負担者)および被保険者は耕治さん、保険金受取人は琴美さんである。

[収入保障保険B]
年金月額10万円。保険契約者(保険料負担者)および被保険者は耕治さん、年金受取人は琴美さんである。

[火災保険C]
保険金額2,000万円。保険の目的は建物、保険契約者(保険料負担者)は耕治さんである。

[医療保険D]
入院給付金日額5,000円、保険契約者(保険料負担者)および被保険者は琴美さんであり、先進医療特約が付加されている。

【問28】
FPの吉田さんは、個人に対する所得税の仕組みについて耕治さんから質問を受けた。吉田さんが下記<イメージ図>を使用して行った所得税に関する次の(ア)~(エ)の説明のうち、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

<イメージ図>

(出所:財務省「所得税の基本的な仕組み」を基に作成)
(ア) 「耕治さんが収入保障保険の保険料を支払ったことにより受けられる生命保険料控除は、所得控除として、一定金額を所得金額から差し引くことができます。」
(イ) 「耕治さんが琴美さんの医療費を支払ったことにより受けられる医療費控除は、所得控除として、一定金額を所得金額から差し引くことができます。」
(ウ) 「耕治さんがふるさと納税をしたことにより受けられる寄附金控除は、税額控除として、一定金額を所得税額から差し引くことができます。」
(エ) 「耕治さんが振り込め詐欺による被害にあったことにより受けられる雑損控除は、所得控除として、一定金額を所得金額から差し引くことができます。」
正解:○、○、×、×
(ア) 正しい記述です。収入保障保険の保険料は、生命保険料控除の対象となります。生命保険料控除は、所得控除の一つです。
(イ) 正しい記述です。生計を一にする親族のために支払った医療費は、医療費控除の対象となります。医療費控除は、所得控除の一つです。
(ウ) 所得税の計算上、ふるさと納税をしたことにより受けられる寄付金控除は、所得控除として、所得金額から差し引かれます。
(エ) 詐欺や恐喝による被害は、雑損控除の対象になりません。
【問29】
耕治さんは、財形年金貯蓄について、FPの吉田さんに質問をした。財形年金貯蓄に関する下表の空欄(ア)~(エ)にあてはまる数値に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、復興特別所得税については考慮しないものとする。

財形年金貯蓄
契約締結の
年齢要件
満( ア )歳未満
積立期間 毎月の給与や賞与から定期的に( イ )年以上の期間
非課税の限度額 [貯蓄型]
財形住宅貯蓄と合算して元利合計( ウ )万円まで
[保険型]
払込保険料累計額385万円まで、かつ財形住宅貯蓄と合算して払込保険料累計額( ウ )万円まで
目的外の払出時の
原則的取扱い
[貯蓄型]
過去( エ )年間に支払われた利息について、さかのぼって所得税および住民税が源泉徴収される。
[保険型]
積立開始時からの利息相当分すべてが一時所得扱いとなる。
1. (ア)にあてはまる数値は、「60」である。
2. (イ)にあてはまる数値は、「5」である。
3. (ウ)にあてはまる数値は、「550」である。
4. (エ)にあてはまる数値は、「5」である。
正解:
(ア) 財形年金貯蓄を利用することができるのは、契約締結の年齢が満55歳未満の人に限られます。
(イ) 財形年金貯蓄の積立期間は、5年以上とされています。
(ウ) 財形年金貯蓄の非課税限度額は、財形住宅貯蓄と合算して、貯蓄型は元利合計、保険型は払込保険料累計額ベースで、550万円です。
(エ) 財形年金貯蓄を目的外で払い出した場合、原則として、貯蓄型については、過去5年間に支払われた利息について、遡って課税されます。
【問30】
耕治さんは、教育資金が不足する事態に備えて、個人向け国債(変動10年)の中途換金について、FPの吉田さんに質問をした。個人向け国債(変動10年)の中途換金に関する吉田さんの次の説明のうち、最も不適切なものはどれか。

1. 「発行から1年経過すれば、原則としていつでも中途換金することができます。」
2. 「中途換金は、全額または額面1万円単位ですることができます。」
3. 「市場金利が低下すると個人向け国債(変動10年)の債券価格は上昇し、中途換金の際に値上がり益が生じることもあります。」
4. 「中途換金する場合の換金額は、原則として、額面金額と経過利子相当額の合計額から中途換金調整額が差し引かれますが、中途換金調整額は直前2回分の各利子(税引前)相当額を基に算出されます。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 個人向け国債の時価(中途換金額)は、市場金利の影響を受けません(常に、額面金額から直前2回分の利子相当額が控除された金額となります)。
4. 正しい記述です。

【問31】
耕治さんは、生命保険の解約返戻金について、FPの吉田さんに質問をした。吉田さんが、生命保険の解約返戻金相当額について説明する際に使用した下記のイメージ図のうち、耕治さんが契約している定期保険Aの解約返戻金相当額の推移に係る図として、最も適切なものはどれか。

正解:
定期保険は、満期があり、死亡保険金の額が保険期間を通して変わらず、満期時の解約返戻金はありません。
よって、定期保険のイメージ図は、2番となります。
【問32】
耕治さんは、契約している定期保険Aのリビング・ニーズ特約について、FPの吉田さんに質問をした。吉田さんが行ったリビング・ニーズ特約の一般的な説明として、最も不適切なものはどれか。

1. 「リビング・ニーズ特約の特約保険料は、無料です。」
2. 「リビング・ニーズ特約は、被保険者の余命が6ヵ月以内と診断されたときに死亡保険金の一部または全部を生前に受け取ることができる特約です。」
3. 「リビング・ニーズ特約の請求により被保険者が受け取った生前給付金は、所得税の課税対象となります。」
4. 「一般的に、リビング・ニーズ特約により請求できる金額は保険金額の範囲内で、1被保険者当たり3,000万円が限度となります。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. リビング・ニーズ特約の請求により被保険者が受け取った生前給付金は、非課税です。
なお、このうち、被保険者の死亡時に残っていた金額については、相続税の課税対象となります。
4. 正しい記述です。
【問33】
耕治さんは、2024年1月に病気(私傷病)療養のため休業したことから、健康保険の傷病手当金についてFPの吉田さんに相談をした。下記<資料>に基づき、耕治さんが受け取ることができる傷病手当金に関する次の記述の空欄(ア)〜(ウ)にあてはまる適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、耕治さんは、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の被保険者である。また、記載のない事項については一切考慮しないものとする。

<資料>
[耕治さんの2024年1月の出勤状況]

[耕治さんのデータ]
支給開始月以前の直近の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額の平均額は、540,000円である。
上記の休業した日について、1日当たり3,000円の給与が支給された。
上記以外に休業した日はなく、上記の休業した日については、労務不能と認められている。

[傷病手当金の1日当たりの額の計算式]
支給開始月以前の直近の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額の平均額×1/30×2/3

耕治さんへの傷病手当金は、( ア )より支給が開始される。
耕治さんへ支給される傷病手当金の額は、1日当たり( イ )である。
耕治さんに同一の疾病に係る傷病手当金が支給される期間は、支給を始めた日から通算して( ウ )である。
<語群>
1.1月18日 2.1月20日 
3.1月21日 4.9,000円 
5.12,000円 
6.18,000円 
7.1年間 8.1年6ヵ月間 9.2年間
正解:3、4、8
(ア) 傷病手当金は、業務外の病気やケガにおり連続して3日休んだ場合に、休業4日目から支払われます。
よって、20日に支給要件を満たし、21日から支給されます。
(イ) 傷病手当金の日額は、540,000円÷30×2/3=12,000円です。
また、休業中に給与が支給された場合、原則として、その額に相当する金額を差し引いた金額が支給されますから、傷病手当金の支給額は、1日当たり12,000円-3,000円=9,000円となります。
(ウ) 傷病手当金は、支給開始日から通算して最長で1年6ヵ月間支給されます。
【問34】
耕治さんは、現在の勤務先を2024年1月に自己都合退職した場合に受給することができる雇用保険の基本手当についてFPの吉田さんに質問をした。雇用保険の基本手当に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、個別延長給付等の記載のない事項については一切考慮しないものとする。

<資料>

[耕治さんのデータ]
現在の勤務先に22歳から勤務し、継続して雇用保険に加入しており、基本手当の受給要件はすべて満たしているものとする。
これまでに雇用保険の給付を受けたことはない。

[基本手当の所定給付日数(抜粋)]

○一般受給資格者
○特定受給資格者および一部の特定理由離職者
基本手当を受給する場合、離職後、住所地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)において求職の申込みをしたうえで、勤務先から受領した( ア )を提出しなければならない。
耕治さんが受給することができる基本手当の所定給付日数は( イ )であり、求職の申込みをした日から7日間の待期期間および原則として( ウ )の給付制限期間を経て支給が開始される。
<語句群>
1.離職票 2.雇用保険被保険者証 
3.離職証明書 
4.120日 5.210日 6.240日 
7.1ヵ月 8.2ヵ月 9.3ヵ月
正解:1、4、8
(ア) 基本手当を受給するためには、ハローワークに離職票を提出する必要があります。
(イ) 設例より、耕司さんは37歳であり、資料より、22歳から継続して雇用保険に加入している事から、雇用保険の被保険者期間は10年以上20年未満に該当する事が分かります。
よって、資料より、自己都合で退職した場合の所定給付日数は、120日であると読み取ることが出来ます。
(ウ) 基本手当の給付制限期間は、原則として、2ヵ月間です。

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