お金の寺子屋

FP2級実技(FP協会)解説-2022年5月・問35~40

【問35】~【問40】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
国内の企業に勤務する工藤文恵さんは、2022年4月2日に死亡した夫(達朗さん)の相続に関することや今後の生活のことなどについて、FPで税理士でもある宮本さんに相談をした。なお、下記データのうち「I.家族構成(同居家族)」および「Ⅱ.工藤家の親族関係図」は達朗さん死亡後のものであり、「Ⅲ.工藤家(達朗さんと文恵さん)の財産の状況」は2022年4月1日現在のものである。


【問35】
FPの宮本さんは、2022年4月1日時点における工藤家(達朗さんと文恵さん)のバランスシート分析を行うこととした。下表の空欄(ア)に入る数値を計算しなさい。

正解:5,630(万円)

<資産>
預貯金等:2,360万円
株式・投資信託:490万円
生命保険:490万円
土地:2,690万円
建物:620万円
その他:230万円
より、計6,880万円です。

<負債>
住宅ローン:1,250万円
より、計1,250万円です。

したがって、純資産=6,880万円-1,250万円=5,630万円となります。

【問36】
達朗さんの相続に係る原則的な手続きに関する次の(ア)~(エ)の記述のうち、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

(ア) 相続放棄をする場合には、自己のために相続の開始があったことを知った時から、3ヵ月以内に家庭裁判所に申述しなければならない。
(イ) 限定承認をする場合には、自己のために相続の開始があったことを知った時から、4ヵ月以内に家庭裁判所に申述しなければならない。
(ウ) 遺産分割協議により遺産分割を行う場合には、相続の開始があったことを知った日から10ヵ月以内に遺産分割協議書を作成し、家庭裁判所に提出しなければならない。
(エ) 相続税の納税義務がある場合には、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に申告書を提出しなければならない。
正解:◯、×、×、◯
(ア) 正しい記述です。
(イ) 限定承認をする場合には、自己のために相続の開始があったことを知った時から、3ヵ月以内に 家庭裁判所に申述しなければなりません。
(ウ) 遺産分割協議の期限はありません。また、遺産分割協議書は、家庭裁判所に提出しなければならないものではありません。
(エ) 正しい記述です。
【問37】
文恵さんの母である佳子さん(75歳)が2021年中に受け取った公的年金および終身保険の解約返戻金の明細は下記<資料>のとおりである。2021年分の所得税の確定申告に際して、佳子さんが申告すべき合計所得金額(所得控除を差し引く前の金額)として、正しいものはどれか。なお、佳子さんには下記以外に申告すべき所得はない。また、前年以前から繰り越された純損失の金額等はないものとする。

<資料:公的年金および終身保険の解約返戻金の明細>>
[老齢基礎年金]
金額(収入金額) :70万円
税務上の必要経費等の額:各自計算

[遺族厚生年金]
金額(収入金額) :120万円
税務上の必要経費等の額:各自計算

[終身保険の解約返戻金]
金額(収入金額) :800万円
税務上の必要経費等の額:払込保険料550万円(一時払いで佳子さんが全額負担している)
(注)2010年に契約した保険契約に係るものである。

<65歳未満の者の公的年金等控除額の速算表>
収入金額(A) 公的年金等控除額
130万円未満 60万円
130万円以上
410万円未満
A×25%+27.5万円
410万円以上
770万円未満
A×15%+68.5万円
770万円以上
1,000万円未満
A×5%+145.5万円
1,000万円以上 A×5%+145.5万円
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下の場合
<65歳以上の者の公的年金等控除額の速算表>
収入金額 公的年金等控除額
330万円未満 110万円
330万円以上
410万円未満
A×25%+27.5万円
410万円以上
770万円未満
A×15%+68.5万円
770万円以上
1,000万円未満
A×5%+145.5万円
1,000万円以上 A×5%+145.5万円
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下の場合
1. 1,000,000円
2. 1,100,000円
3. 1,800,000円
4. 2,000,000円
正解:
老齢基礎年金は公的年金等の雑所得となりますが、遺族厚生年金は非課税です。また、終身保険の解約返戻金は、一時所得となります。
公的年金等の雑所得は、「収入金額-公的年金等控除額」の算式により計算されますが、収入金額(70万円)が公的年金等控除額(110万円)を下回りますから、0円となります。なお、損失が発生している訳ではないので、控除しきれない金額は他の所得と通算する事はできません。
そして、一時所得は、「総収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)」の算式により計算され、800万円-550万円-50万円=200万円となります。
一時所得はその2分の1相当額が総所得金額に算入され、合計所得金額となりますから、合計所得金額は、200万円×1/2=100万円となります。

【問38】
文恵さんが取引をしているSZ証券会社から送付された2021年分の特定口座年間取引報告書(一部)が下記<資料>のとおりである場合、次の記述の空欄(ア)~(ウ)に入る最も適切な語句または数値を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、同じ番号を何度選択してもよいこととする。また、復興特別所得税については考慮しないこと。

<資料>
文恵さんが2021年中に受け取った上場株式等の配当等から源泉徴収された住民税額は( ア )円である。
この特定口座で生じた譲渡損失とこの特定口座で受け入れた上場株式等の配当等とが損益通算された結果、還付された所得税額は( イ )円である。
2022年分に繰り越すことのできる譲渡損失の額は、( ウ )円である。
<語句群>
1.ゼロ 2.8,000 3.12,000 
4.16,000 5.24,000 6.32,000 
7.36,000 8.60,000 9.140,000
正解:2、5、9
(ア) 配当金が支払われた際、配当所得に対して所得税15%と住民税5%が源泉徴収されます。
よって、配当所得16万円に係る住民税の額は、160,000円×5%=8,000円となります。
(イ) 配当所得16万円と譲渡所得▲30万円を損益通算すると、配当所得の額は0円になり、配当所得に対して源泉徴収されていた所得税額は全額還付されます。
配当所得に対して課される所得税額は、160,000円×15%=24,000円ですから、還付額は24,000円となります。
(ウ) 配当所得16万円と譲渡所得▲30万円を損益通算すると、譲渡所得は▲14万円となり、これが翌年以降3年間にわたって繰越控除されます。
【問39】
文恵さんは、自分の老齢年金の受給について、FPの宮本さんに質問をした。宮本さんの次の説明の空欄(ア)~(ウ)に入る適切な語句を語群から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、文恵さんは、夫の達朗さんの死亡に基づく遺族年金の受給権者であり、また、老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給資格期間を満たしているものとする。

「文恵さんは現在受給している遺族年金に加えて、老後は老齢年金を受給できるようになりますが、( ア )になるまでは本人が選択するどちらか一方の年金しか受給できません。( ア )からの遺族厚生年金は、老齢厚生年金および老齢基礎年金と併給されますが、遺族厚生年金は老齢厚生年金を上回る額しか受給できません。なお、文恵さんは( イ )繰下げ受給することはできません。また、文恵さんが老齢厚生年金を受給できるときに( ウ )である場合、在職老齢年金として老齢厚生年金の支給額の調整が行われることがあります。」
<語句群>
1.60歳 2.64歳 3.65歳
4.老齢基礎年金および老齢厚生年金とも 
5.老齢基礎年金に限り 
6.老齢厚生年金に限り 
7.一定以上の事業所得を得ている者 
8.雇用保険の被保険者 
9.厚生年金の被保険者または70歳以上被用者
正解:3、4、9
(ア) 老齢厚生年金と遺族厚生年金の受給権を有している場合、64歳まではいずれかを選択しますが、65歳以降は、老齢厚生年金を優先的に受給することとなります。
(イ) 遺族厚生年金を受給している場合は、老齢基礎年金と老齢厚生年金のいずれも繰下げることができません。
(ウ) 在職老齢年金は、賃金と老齢厚生年金の年金額の合計が一定額を超える場合に、年金額の一部または全部を支給停止する制度です。よって、在職老齢年金に事業所得は関係なく、雇用保険の被保険者でない人(法人の役員など)も在職老齢年金による調整を受けます。
【問40】
文恵さんは、2022年3月中に業務外の事由による病気の療養のため休業した日がある。FPの宮本さんが下記<資料>に基づいて計算した文恵さんに支給される傷病手当金の額として、正しいものはどれか。なお、文恵さんは全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の被保険者であり、記載以外の受給要件はすべて満たしているものとする。

<資料>
1. 12,960円
2. 19,440円
3. 25,920円
4. 45,360円
正解:
標準報酬日額(支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額の平均額÷30)=280,000円×5+300,000円×7=350万円÷12÷30=9,722.2≒9,720円(10円未満四捨五入)です。
傷病手当金は、業務外の事由による病気の療養のため、連続して3日以上休業した場合、休業4日目以降標準報酬日額の3分の2相当額が支払われますから、20日、21日、23日の3日間支払われます。
よって、傷病手当金の額は、9,720円×2/3×3=19,440円となります。

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