お金の寺子屋

FP2級実技(FP協会)解説-2022年1月・問35~40

【問35】~【問40】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
国内の企業に勤務する加瀬博之さんは、今後の生活のことなどに関して、FPで税理士でもある細井さんに相談をした。なお、下記のデータは2022年1月1日現在のものである。


【問35】
FPの細井さんは、まず現時点(2022年1月1日)における加瀬家(博之さんと晴美さん)のバランスシート分析を行うこととした。下表の空欄(ア)に入る数値を計算しなさい。

正解:4,540万円

<資産>
預貯金等:1,060万円+530万円
株式・投資信託:710万円+220万円
生命保険:120万円+350万円+50万円
土地:2,400万円
建物:640万円
その他:120万円+100万円
より、計6,300万円です。

<負債>
住宅ローン:1,680万円
自動車ローン:80万円
より、計1,760万円です。

したがって、純資産=6,300万円-1,760万円=4,540万円となります。

【問36】
下記<資料>は、博之さんの2021年(令和3年)分の「給与所得の源泉徴収票(一部省略)」である。<資料>を基に、博之さんの2021年分の所得税額を計算しなさい。なお、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。また、復興特別所得税については考慮しないこと。

<資料>
<給与所得控除額の速算表>
給与収入金額 給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40%-10万円 
(最低55万円)
180万円超
360万円以下
収入金額×30%+8万円
360万円超
660万円以下
収入金額×20%+44万円
660万円超
850万円以下
収入金額×10%+110万円
850万円超 195万円
<所得税の速算表>
課税される
所得金額
税率 控除額
195万円未満 5%
195万円以上
330万円未満
10% 97,500円
330万円以上
695万円未満
20% 427,500円
695万円以上
900万円未満
23% 636,000円
900万円以上
1,800万円未満
33% 1,536,000円
1,800万円以上
4,000万円未満
40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円
正解:392,500円
給与所得の額=850万円-(850万円×10%+110万円)=655万円です。
また、資料より、所得控除の額の合計額は245万円ですから、課税所得金額は、655万円-245万円=410万円となります。
よって、所得税額は、410万円×20%-427,500円=392,500円となります。
【問37】
博之さんは、保有している投資信託(KVファンド)の収益分配金を受け取った(下記<資料>参照)。この収益分配金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、税率は20%(所得税15%、住民税5%)とし、復興特別所得税については考慮しないこととする。

<資料>KVファンドの基準価額・個別元本等の明細(1万口当たり)
分配落ち前の博之さんの個別元本 10,000円
分配落ち前のファンドの基準価額 11,000円
分配金の額 1,500円
分配落ち後のファンドの基準価額 9,500円
1. 収益分配金から源泉徴収される所得税および住民税の合計額は、1万口当たり200円であり、分配落ち後の博之さんの個別元本は1万口当たり9,500円である。
2. 収益分配金から源泉徴収される所得税および住民税の合計額は、1万口当たり300円であり、分配落ち後の博之さんの個別元本は1万口当たり9,500円である。
3. 収益分配金から源泉徴収される所得税および住民税の合計額は、1万口当たり200円であり、分配落ち後の博之さんの個別元本は1万口当たり10,000円である。
4. 収益分配金から源泉徴収される所得税および住民税の合計額は、1万口当たり300円であり、分配落ち後の博之さんの個別元本は1万口当たり10,000円である。
正解:
分配金1,500円のうち、個別元本を上回る部分(普通分配金)は1,000円ですから、源泉徴収税額は、1,000円×20%=200円となります。
また、分配金1,500円のうち、個別元本を下回る部分(元本払戻金)は500円であり、分配落ち後の個別元本(正味の投資額)は、分配落ち前の個別元本-元本払戻金の額の式で計算されますから、個別元本=10,000円-500円=9,500円となります。

【問38】
晴美さんの叔母である真理さんは、2021年分の所得等(下記<資料>参照)に関して確定申告すべきかどうかについて、FPの細井さんに質問をした。細井さんの説明のうち、最も適切なものはどれか。

<資料>真理さんの2021年における所得等の明細

給与所得:200万円(給与所得控除後の金額)
変額保険(有期型)の満期保険金:430万円
外貨預金の為替差損:20万円
注1 変額保険の保険契約者(保険料負担者)および満期保険金の受取人は真理さんであり、払込保険料の総額は300万円である。
注2 満期保険金による所得は、総合課税となる一時所得に該当する。
1. 確定申告をする必要はありません。
2. 確定申告をする必要があります。確定申告すべき所得の合計額は230万円です。
3. 確定申告をする必要があります。確定申告すべき所得の合計額は240万円です。
4. 確定申告をする必要があります。確定申告すべき所得の合計額は260万円です。
正解:
一時所得の額は、430万円-300万円-50万円=80万円です。
一時所得の額は、その2分の1相当額が総所得金額に算入されますから、合計所得金額は200万円+80万円×1/2=240万円となります。
また、給与所得を得ている人で、給与所得と退職所得以外の所得の額(一時所得については総所得金額への参入額ベース)が20万円を超える人は、確定申告をする必要があります。
【問39】
博之さんは、自分の老齢年金の受取り方について考えており、FPの細井さんに質問をした。博之さんの老齢年金の繰上げ受給および繰下げ受給に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

(ア) 老齢基礎年金または老齢厚生年金の支給の繰下げによる年金額の増額率は、最大で30%となる。
(イ) 老齢基礎年金と併せて付加年金が受給できる場合であっても、付加年金については繰上げ受給により減額されることはなく、繰下げ受給により増額されることもない。
(ウ) 老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰上げ請求は、異なる時期に別々に行うことができない。
(エ) 老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰下げ申出は、異なる時期に別々に行うことができない。
正解:×、×、○、×
(ア) 公的年金の老齢給付は、最大で60ヵ月繰り下げることができて、繰り下げた場合の増額率は、1ヵ月当たり0.7%ですから、増額率の最大値は42%となります。
(イ) 老齢基礎年金を繰り上げると付加年金も繰り上げられ、老齢基礎年金を繰り下げると付加年金も繰り下げられます。また、付加年金も、老齢基礎年金と同じ割合で増減額されます。
(ウ) 正しい記述です。
(エ) 老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰り下げは、異なる時期に別々に行うことができます。
【問40】
博之さんは、会社を退職して健康保険の被保険者資格を失い、すぐには再就職しない場合の公的医療保険について、FPの細井さんに質問をした。退職後の公的医療保険制度の選択肢に関する下表の空欄(ア)~(ウ)に入る適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、博之さんと晴美さんはそれぞれ全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の被保険者である。また、晴美さんは裕美さんよりも年収が多く、博之さんは障害者ではない。

<退職後の公的医療保険制度の選択肢(博之さんのケース)>
<語句群>
1.3割 2.半額 3.全額 
4.市区町村 5.協会けんぽ 
6.年金事務所 
7.103万円 
8.130万円 9.201万円
正解:3、4、8
(ア) 健康保険の任意継続被保険者の保険料は、全額被保険者負担です。
(イ) 健康保険の被保険者資格を失い、国民健康保険に加入する場合には、健康保険の資格喪失後14日以内に、市区町村に届け出る必要があります。
(ウ) 健康保険の被扶養者となるためには、原則として、年収130万円未満、かつ
、被保険者の年収の2分の1未満である必要があります。

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